更新日:2024年08月07日
生理がこないのは、妊娠してるから?考えられ原因と生理周期を整える方法
- 生理予定日より1週間以上生理がこない場合は、何らかの原因がある可能性がある
- 妊娠以外に生理がこない原因には、過度なストレスやダイエット、無月経などが考えられる
- 生理がこないときは、妊娠検査薬を使用するか婦人科を受診しよう
- 生理周期を整える方法には、ストレス解消をしたり、生活リズムを整えたりすることがある
予定日を過ぎてもなかなか生理がこないと、原因が気になったり、「もしかしたら重大な病気なのかも…」と不安に思ったりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
生理がこない原因には、妊娠以外にもストレスや無月経などさまざまなものが考えられます。
この記事では、生理がこない場合に妊娠以外に考えられる原因や生理がこないときの対処法、生理周期を整える方法をご紹介します。
正常な生理周期とは
生理開始日から、次の生理が開始するまでのサイクルを「生理周期」といいます。個人差はありますが、生理周期は25日~38日が正常であり、出血期間は3~7日、経血量は20~140mlが一般的とされています。この生理周期は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンの働きによってコントロールされています。
しかし、このホルモンのバランスが何らかの理由で崩れると、生理が遅れたり、こなくなったりすることがあります。
もし生理予定日から1週間以上経っても生理がこない場合は、これからご紹介するような原因がある可能性があります。
生理がこない場合に考えられる原因
生理がこないとまず妊娠を思い浮かべますが、妊娠以外でも生理がこなくなることはあります。
ここでは妊娠以外で生理が遅れる原因をご紹介します。
過度なストレス
過度なストレスでホルモンバランスが崩れると、生理が止まることがあります。
人間関係などの精神的ストレスだけでなく、疲れや寝不足などの肉体的ストレスも生理に影響します。
脳はストレスを感じると、ストレスホルモンとよばれる副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の分泌を促進します。それにより、性腺刺激ホルモンが刺激され、女性ホルモンの分泌が抑制されることで生理がこなくなるのです。
参照元:東邦大学医療センター 大森病院 臨床検査部「ストレスと月経不順」
早発閉経(早期卵巣不全)
40歳未満で生理がこなくなった場合、早発閉経の可能性があります。
日本人の平均的な閉経年齢は51歳前後ですが、遺伝や自己免疫疾患、代謝性疾患などのさまざまな原因から、40歳未満でも閉経することがあります。
早発閉経の前後に起こるホルモンの変化は、通常の閉経と似ており、卵巣から分泌されるエストロゲンが非常に少なくなることで排卵が止まります。
早期閉経の場合、エストロゲンの分泌がなくなることで、骨粗鬆症や膣萎縮になるリスクが高まるので、必要最低限のエストロゲンを補うホルモン治療(HRT)を受けることをおすすめします。
参照元:MSDマニュアル家庭版「早発閉経」
無月経
妊娠や閉経以外で3ヶ月以上生理がこない状態が続く場合、無月経の可能性があります。
無月経には満18歳を迎えても生理が一度もこない「原発性無月経」と3ヶ月以上生理がこなくなる「続発性無月経」の2種類があります。
続発性無月経の原因は、ストレスや過剰な運動、過度なダイエットなどでホルモンバランスが一時的に崩れることとされています。
あらゆる女性が経験しうる症状であり、あまり珍しくはありませんが、症状が長期間続く場合は回復まで時間がかかる場合があるため医師に相談することをおすすめします。
甲状腺の病気
バセドウ病や橋本病といった甲状腺の病気は、生理周期に異常をきたすことがあります。
甲状腺の病気は、甲状腺ホルモンの過剰分泌や分泌の低下を引き起こします。甲状腺ホルモンは、女性ホルモンの分泌にも関わっているため、甲状腺の病気によりホルモンバランスが乱れて生理がこなくなることがあるのです。
過度なダイエット
過度なダイエットを行うと、女性ホルモンの分泌が減り生理が止まることがあります。個人差はありますが、体脂肪率が21%未満になると、月経不順や無月経のリスクが高まるとされています(※)。
ダイエットのために過度な食事制限を行い、十分な栄養が摂れなくなると、生命を維持するために必要な機能への栄養が優先され、卵巣への栄養が後回しになってしまうのです。
※参照元:働く女性の心とからだの応援サイト「体型について。やせすぎ、太りすぎのリスクと対策」
生理がこないときの対処法
生理がなかなかこない場合、そのまま放っておくのではなく、原因を突き止めてなるべく早く対処することが大切です。
ここでは、生理がこないときの対処法を紹介します。
妊娠検査薬を使用する
性交渉をしてから生理がこなくなった場合は、妊娠している可能性があるため、妊娠検査薬を使用しましょう。市販の妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後から使用可能です。
妊娠している場合、生理がこない以外にも高温期が16日以上続いたり、吐き気や下腹部痛などの症状が現れたりすることがあります。
現在の妊娠検査薬の精度は非常に高いため、もし陽性が出た場合は、生理予定日から2週間を過ぎた頃に婦人科を受診しましょう。妊娠6週以降になると、赤ちゃんの心拍が確認できるとされています。
婦人科を受診する
妊娠検査薬を使用して陰性であったにもかかわらず、前回の生理から60日以上経過している場合は、婦人科を受診しましょう。
思わぬ病気が潜んでいる可能性があるので、婦人科で血液検査や超音波検査、CT/MRIなどの画像検査をして、必要に応じて適切な治療を受ける必要があります。
生理周期を整える方法
ストレスや生活習慣が生理不順を引き起こしている場合は、以下の方法で生理周期を整えることができます。それぞれについて詳しく説明します。
ストレス解消をする
適度な運動をしたり親しい友人と話したりして、ストレスを解消しましょう。
職場や日常生活で環境の変化が起こると、特にストレスが溜まりやすくなります。過度なストレスは自律神経の乱れを引き起こし、ホルモンバランスが崩れることで生理不順になる可能性があります。
日々の生活の中でリラックスできる時間を確保して、ストレスを溜めないよう心がけましょう。
生活リズムを整える
ホルモンバランスを整えるために、規則正しい生活をしましょう。
生活リズムを整えるためには、睡眠のリズムをつくることが大切です。起床や就寝時間が不規則だと、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
毎日同じ時間に布団に入るようにし、決まった時間になると自然と眠気がくる状態をつくりましょう。
バランスの良い食事をとる
タンパク質やビタミン、炭水化物などの栄養バランスの良い食事を1日3食とることを心がけましょう。
栄養が偏ってしまうと、身体のさまざまなところに栄養が行き届かない状態になり、生理がこなくなることがあります。
ダイエットを行う場合も、過度な食事制限は控え、必要な栄養素をしっかりととるようにしましょう。
体を温める
入浴時に38~40℃のぬるめのお湯に浸かり、しっかりと体を温めましょう。
身体が冷えていると、卵巣内で血行不良が起こることがあります。それにより、卵巣の働きが低下し生理不順を引き起こすおそれがあります。
血行を良くするために、お風呂で身体を温めることが大切です。
低用量ピルを服用する
生理不順の改善には、低用量ピルの服用が有効です。
生理不順の多くは、ホルモンバランスの乱れから引き起こります。低用量ピルには、ホルモンバランスを整える作用があるため、生理周期を安定させることができます。
ほかにも、低用量ピルを服用することで、生理痛やPMSが改善したり、出血の量が少なくなったりするメリットがあります。
まとめ
生理がこない原因には、妊娠以外にも過度なストレスや無月経などが考えられます。生理が予定日を過ぎても1週間以上こない場合は、妊娠検査薬を使用したり婦人科を受診したりすることを検討しましょう。生理周期を整えるためには、日頃からストレスの解消やバランスの良い食事を心がけることが大切です。
また、ホルモンバランスの乱れから生理不順になっている方には、低用量ピルの服用がおすすめです。低用量ピルは産婦人科やオンライン診療で処方ができるため、気になる方はお気軽に相談してみてください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました