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更新日:2024年08月07日

ピルを飲むと基礎体温はどうなる?服用中の変化や正しい測り方を解説

この記事のまとめ
  • 基礎体温とは安静状態での体温のことで、女性の場合は生理周期に合わせて変動する
  • ピル服用中は基礎体温があまり変化しないため、服用をやめてから測定を再開する必要がある
  • 基礎体温を正しく測定するには、婦人体温計を使い、起床直後に、一定期間継続して測定する
  • 基礎体温には低温期(生理〜排卵前)と高温期(排卵〜次の生理前)がある
  • 基礎体温の測定で、生理周期の予測・妊娠しやすい時期の把握・妊娠の可能性・ダイエットの適期がわかる

ピルは避妊や生理不順の改善のために服用されます。しかし、「ピルの服用は基礎体温にどのような影響を及ぼすのだろう」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ピル服用が基礎体温に与える影響や正しい測定方法、そして計測するメリットについて解説します。この記事を読むことで、基礎体温の基礎知識やピル服用中の基礎体温の変化についてわかり、今後ピルを服用するか判断できるようになるでしょう。

そもそも「基礎体温」とは?

基礎体温とは、生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない、安静状態にあるときの体温です。

女性の場合、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量の変化によって、基礎体温が周期的に変動します。したがって、基礎体温を毎日測定しその変化を記録することで、自分自身の排卵日や生理周期を推定したり、妊娠の兆候を察知したりできます。

ピルを飲むと基礎体温はどうなる?

この章では、ピル服用中の基礎体温の変化について解説します。具体的には次の3つです。

  • ピル服用中は基礎体温はあまり変化しない
  • ピル服用中は体温が37℃まで上昇しても問題ない
  • 基礎体温の測定はピルの服用をやめてから

それぞれの内容について、詳しく解説していきます。ピルを服用しようかどうか迷っている方は、参考にしてみてください。

ピル服用中は基礎体温はあまり変化しない

ピル服用中は、ホルモンバランスが人工的にコントロールされているため、基礎体温の変化はあまり見られません。

通常、女性の基礎体温は排卵期に上昇して、月経期に下降しますが、ピルを飲んでいる間はこのような大きな体温変化が起こりにくくなります。体温が上がったとしても通常の低体温より少し高い状態が続くのが一般的です。

なお、ピル服用中は、基礎体温が通常よりも高めに推移することがあります。これは、ピルに含まれる黄体ホルモンの成分が影響するためです。

ピル服用中の基礎体温は、一般的には36.5℃~37℃程度まで上昇しますが、これは正常な範囲内なので心配する必要はありません。ただし、37℃以上の高熱が続く場合や、他の症状を伴う場合は、医師に相談することをおすすめします。また、基礎体温には個人差があるため、36.5℃~37℃程度というのはあくまで目安です。

基礎体温の測定はピルの服用をやめてから

ピル服用中の基礎体温には大きな変化が見られません。そのため、ピルを飲んでいる間は基礎体温から排卵日を予測できないため、基礎体温を測定する必要がないです。

基礎体温を正確に測定したい場合は、ピルの服用をやめてから行いましょう。ピルの服用をやめてから数周期が経過し、体内のホルモンバランスが安定してから計測開始することをおすすめします。

元の基礎体温にもどるのは、服用中止からおよそ1か月程度です。基礎体温で生理日や排卵日を予測するのであれば、1か月過ぎてから測定を再開しましょう。基礎体温を記録することで、ピルをやめた後に正常な排卵が再開されているかを確認できます。

基礎体温を正しく測る3つのポイント

基礎体温を正しく測るためのポイントは、次の3つです。

  • 婦人体温計を使う
  • 目が覚めたら、起き上がらずにすぐに測定する
  • 一定期間測定する

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。正しく基礎体温を測るためにも、しっかり理解していきましょう。

婦人体温計を使う

基礎体温を正しく測るには、婦人体温計を使うことが重要です。婦人体温計は、基礎体温を測定するための特殊な体温計で、通常の体温計と異なり小数点第二位(0.01単位)まで測定できます。

基礎体温の変動は、低温期と高温期の間でわずか0.3~0.5度の違いであるため、婦人体温計を使用しないと正確に計測できません。そのため、婦人体温計は、女性ホルモンの微妙な変化を正確に捉えるために使用されます。測定結果の記録はアプリを使うと手軽で忘れにくいためおすすめです。

起きたらすぐに測定する

基礎体温を正しく測定するためには、起きたらすぐに測定するようにしましょう。朝一番の体温が安定しており、基礎体温を反映するためです。

目が覚めたら起き上がらず寝たままの状態ですぐ測定できるよう、寝る前に枕元など手の届く場所に婦人体温計を用意しておくと便利です。体温計は舌の裏側の付け根に当てて5分程度測定します。これらのポイントを押さえることで、基礎体温の変化を正しく把握できます。

一定期間測定する

基礎体温を正しく把握するには、少なくとも一定期間(2〜3周期分)の測定が必要です。一定期間測定することで、高温期と低温期の区別、ストレスや体調による基礎体温の変化がわかるようになります。

測定期間が長いほど、自分の体の変化を正確に把握できます。面倒に感じるかもしれませんが、自分の健康管理のために、継続的に測定を行うことが大切です。60秒程度で測定が終わる予測式体温計を選ぶと続けやすくおすすめです。

体のなかで何が起きている?高温期と低温期

健康な女性では、基礎体温は排卵日を境に低温期と高温期の二相になり、それが一定のサイクルで繰り返されます。これは、女性ホルモンの分泌に基づいて基礎体温も変動するためです。

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しかし、基礎体温は体調や計測方法によって細かな変化を見せるため、健康な女性であっても、基礎体温が常に二相性を示すわけではありません。この章では、基礎体温の高温期と低温期について、それぞれ詳しく解説していきます。

低温期の体の変化

基礎体温の低温期とは、生理開始から次の排卵前までの期間のことです。この期間中、体温を上げる効果を持つプロゲステロンというホルモンの分泌量が減少するため、基礎体温が通常よりも低い状態が続きます。

また、月経終了後から排卵日の2〜3日前までの期間は、エストロゲンという卵胞ホルモンが多く分泌されるため、身体的にも精神的にも安定しやすい傾向にあります。この期間中には、肌の状態が良好になり、エネルギーが満ちて積極的に行動を起こす人も少なくありません。

低温期は、さらに月経期と卵胞期の2つに分けられるため、それぞれの期間について詳しく見ていきましょう。

月経期

月経期は、出血が始まってから終わるまでの期間のことです。妊娠が成立しない場合、黄体は退化し、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が急速に減少し、結果として月経が発生します。月経が起こると、不要になった子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに経血として体外に排出されます。

期間は個人差が大きいですが、通常は3〜7日程度です。月経期は、新しい月経周期の始まりを示し、次の排卵に向けて体が準備を始める時期といえます。

卵胞期

卵胞期とは、月経が終了し、新たな卵子(卵胞)が卵巣内で成長を始める時期のことです。この卵子(卵胞)の発育は、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)の影響を受けます。

卵胞期の間には、卵胞の成長と並行して女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が増加し、これが卵胞の発育を促進し、同時に子宮内膜を厚くする役割を果たすのです。28日周期の月経では、月経開始後の最初の2週間は低温期に入ります。

高温期の体の変化

高温期は、排卵後から次の生理が始まる直前までの期間のことです。この時期、体温は個人差や生活習慣によって異なりますが、一般的に低温期よりも約0.3~0.6℃高くなります。

この体温の上昇は、体内で分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)によるもので、このホルモンが体温を高める効果を持っています。

低温期は、さらに排卵期と黄体期の2つに分けられるため、それぞれの期間について詳しく見ていきましょう。

排卵期

排卵期は女性の月経周期において、卵子が卵巣から放出される重要な時期で、卵胞ホルモンの分泌がピークに達します。この時期は基礎体温が変化し、排卵を境に体温が高温期に移行することが特徴です。

低温期と高温期の間には少なくとも0.3℃の差があり、この高温期が3日以内に始まり、10日以上継続することが一般的に正常とされています。排卵期が近づくにつれて、透明で粘性のあるおりものの量が増加することも一般的です。

また、排卵日の前後数日は月経周期のなかでとくに妊娠しやすい時期とされており、この期間に性交渉があると妊娠の確率が高くなります。

黄体期

黄体期は、排卵が終わってから次の月経が始まるまでの期間のことです。この期間は通常、10〜14日間続き、黄体ホルモン(プロゲステロン)が主に分泌され、基礎体温が低温期に比べて0.3~0.6℃ほど上昇します。

人によって、以下のような不快な症状が現れることがあります。

  • 身体症状:下腹部の痛み、頭痛、腰の痛み、乳房の張りや痛み、手足のむくみや体重増加など
  • 精神症状:イライラ、抑うつ感、不安や緊張、疲れやすさ、不眠、意欲や集中力の低下など

知っておきたい基礎体温計測の4つのメリット

基礎体温を計測することによるメリットは、次の4つです。

  1. 生理周期を予測できる
  2. 妊娠しやすい時期を予測できる
  3. 妊娠の可能性を把握できる
  4. ダイエットの計画が立てやすい

基礎体温の測定を続けると、生理周期や妊娠しやすい時期、ダイエットに適した時期などを予測できます。それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

基礎体温を計測するメリットを理解することで、計測に対するモチベーションもアップするでしょう。

1. 生理周期を予測できる

女性ホルモンは生理周期と深く関連しており、これらのホルモンの変動は基礎体温にも影響を及ぼします。そのため、基礎体温の変化を把握することで、生理周期の予測が可能です。

生理周期が安定している場合、高温期が14日を超えると生理が始まる傾向にあるため、基礎体温の記録を通じて生理の開始時期を予測できます。

また、基礎体温のグラフを観察することで、生理周期の長さや排卵日の間隔などがわかります。これにより、日常生活の計画を立てやすくなったり、生理不順などの問題にも早期に気づいたりできるでしょう。

2. 妊娠しやすい時期を予測できる

基礎体温を毎日測定することで、自分の妊娠しやすい時期を予測できます。生理周期が安定している場合、排卵の約3~4日前から排卵日の翌日またはその次の日までが、とくに妊娠しやすい時期とされています。

これは、妊娠を希望する女性にとってはとくに有用な情報となるでしょう。ただし、生理周期が乱れている方や排卵が正常に行われていない方の場合、予測は難しくなります。

3. 妊娠の可能性を把握できる

基礎体温を毎日測ることで排卵日を特定し、妊娠の可能性を把握することが可能です。基礎体温は、排卵前は低温期、排卵後は高温期となるパターンを示します。

この高温期が14日以上続く場合、妊娠の可能性が高いとされています。また、基礎体温が高温期のまま下がらない場合も、妊娠の兆候の一つです。

ただし、基礎体温の変化だけでは確実に妊娠を判断できないため、妊娠の可能性があると感じたら、医師による診断を受けることが大切です。基礎体温を測ることで、自分の身体の変化を知り、妊娠の可能性を早期に発見できます。

4. ダイエットの計画が立てやすい

基礎体温の計測を通じて、低温期と高温期の特徴を理解することは、ダイエット計画を立てるときにも役立ちます。とくに、体が太りやすく便秘になりやすい高温期にはダイエットを行うのが難しいため、減量を目指すなら低温期を狙うのが効果的です。

高温期は太りやすい傾向を踏まえ、便秘を解消する食事や過食を避ける意識を持つことで、ダイエットの成果を高められます。基礎体温を知ることで、自分の体の状態に合わせたダイエット計画を立てられるでしょう。

まとめ

この記事では、ピル服用中の基礎体温の変化や正しい測り方、毎日計測するメリットについて解説しました。

基礎体温の変化を知ることで、自分の身体の変化を理解し、健康的なライフスタイルを送れます。妊娠を望む方は排卵日や妊娠しやすい時期を把握できますし、ダイエットをしたい方は自分の体質に合った計画を立てられます。

また、ピル服用中はホルモンバランスが人工的にコントロールされているため、基礎体温の変化はあまり見られません。正確な基礎体温の測定を行いたい場合は、ピルの服用をやめてから行うようにしましょう。

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この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました