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更新日:2024/04/19

PMS改善にはピルが効果的?効果や値段、処方を受ける方法についても解説

この記事のまとめ
  • PMSとは月経前に起こる身体的、精神的な不調のこと
  • PMSにはピルの中でも低用量ピルの服用が有効とされている
  • PMSの治療目的の場合、対面診療であればピルの費用は保険適用される
  • ピルの処方には医師の診察が必要
  • ピルは対面診療かオンラインクリニックで処方が受けられる

生理前になると、イライラしたり憂鬱になったりする方も多いのではないでしょうか。生理前になると訪れるさまざまな不調の原因は、PMSかもしれません。

PMSは、ピルを服用することで改善が期待できる症状です。本記事では、ピルの仕組みや種類、効果が期待できる症状などを詳しく解説します。また、ピルの値段相場や処方を受ける2つの方法も紹介するので、PMS改善の参考にしてください。

PMSとは?原因や主な症状

PMSとは、月経前症候群(Premenstrual Syndrome)の略で、月経前に起こる、身体や精神に現れるさまざまな不快な症状のことを指します。ここでは、PMSの原因や主な症状について解説します。

PMSが起こる原因

PMSは、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の急激な変動によって起こるとされています。

エストロゲンは、女性の体や心を健康に保つためのホルモンです。乳房や子宮を発達させたり、肌をきれいに保ったりする働きを持つほか、自律神経のバランスを保つ役割もあります。

プロゲステロンは、子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやすい状態にしたり、妊娠中の状態を安定させたりする役割を持つホルモンです。

PMSは、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が、生理前の時期にあたる黄体期に大きく変動することで発症するとされています。

また、PMSの精神的な不調はセロトニンの減少によっても引き起こされると考えられています。セロトニンは、気分や感情を安定させる働きを持つ神経伝達物質の一種で、エストロゲンの分泌量が減るとセロトニンも減少するとされています。

PMSの症状

PMSの症状は、月経前の3~10日前にかけて現れるのが一般的です。PMSの症状はさまざまあり、症状や程度には個人差があります。また、月経サイクルや年齢によっても症状の程度が変化します。

ここではPMSの主な症状を、身体的な症状と精神的な症状に分けて紹介します。

身体的な症状

PMSの身体的な症状には、以下のようなものがあります。

  • 乳房の張り
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 下部腹痛
  • むくみ
  • 便秘
  • 肌荒れ
  • のぼせ

人により程度は異なるものの、月経前に乳房の張りや腰痛などの症状が出ることがあります。

精神的な症状

PMSの精神的な症状の例は、以下のとおりです。

  • イライラ
  • 怒りっぽい
  • 憂鬱感
  • 情緒不安
  • 焦燥感
  • 集中力の低下
  • 不眠・睡眠過多
  • 過食傾向
  • 自己評価の低下

PMSの精神的な症状は多岐にわたります。症状が多くあてはまるほど、PMSである可能性が高いでしょう。

PMSと月経困難症との違い

PMS(月経前症候群)と月経困難症は、どちらも月経に伴う症状ですが、発症時期や原因に違いがあります。

PMSの症状は、月経の3~10日前に現れ、月経が始まると症状が軽減または解消されます。

一方、月経困難症は、月経直前から月経中に現れ、月経の終了とともに解消する症状です。主な症状は下腹部痛や腰痛、吐き気、頭痛、疲労感などです。月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患が原因である器質性月経困難症のほかに、診察では異常がみられない機能性月経困難症があります。

PMSの改善にはピルの服用が効果的?

PMSの改善にはピルの服用が効果的とされています。ピルを服用して女性ホルモンのバランスを整えることで、PMSの症状の緩和が期待できます。ここからは、ピルがPMS改善に役立つ仕組みや効果、注意すべき副作用について解説します。

ピルの仕組み

ピルは、女性ホルモンのエストロゲンと、プロゲステロンが配合された薬です。

ピルを毎日決まった時間に服用することで、体内のエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が一定に保たれます。

エストロゲンとプロゲステロンの変動量を抑制し、ホルモンバランスを安定させることで、PMSの緩和が期待できます。

ピルの副作用

ピルを服用すると、以下のような副作用が出ることがあります。

  • 吐き気
  • 頭痛
  • 不正出血
  • 乳房の張り・痛み
  • 下腹部痛

ピルが体内のホルモンバランスを変化させるため、服用をはじめたばかりのころは副作用が出やすいといわれています。

服用を続けることでホルモンが安定していくため、1~3か月ほど続けると副作用の症状は解消されるでしょう。

なお、ピルの重篤な副作用として血栓症があります。

血栓症は、血管内に血のかたまりができて、血流が阻害されることで起こります。

血栓症のリスクが高い傾向がある人の特徴として、35歳以上、タバコを1日に15本以上吸う、肥満体質、高血圧などがあるため、あてはまる場合は医師に必ず相談しましょう。

ピルの種類

ピルの種類は、主にエストロゲンの含有量によって、中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルに分けられます。加えて、性交渉後の緊急避妊薬として使用されるアフターピルがあります。ピルの中でもPMSの改善のために処方されるのは、主に低用量ピルです。

ここではそれぞれのピルの種類について解説します。

中用量ピル

主に月経困難症の治療や月経移動に用いられます。エストロゲンの含有量が多い分、副作用が強い傾向があります。

低用量ピル

エストロゲンの含有量が中用量ピルよりも少なく、副作用が比較的少ないのが特徴です。主に避妊やPMS改善、生理痛の改善を目的として処方されます。

超低用量ピル

エストロゲンの含有量が最も少なく、副作用がさらに少ないとされているのが特徴です。月経困難症や子宮内膜症の治療を目的として処方されるのが一般的です。

アフターピル

避妊していない性交後72時間以内に正しく服用することで、80%の避妊効果が期待できるとされています。毎日服用することで避妊効果を得る低用量ピルとは用途が異なります。

参照:日本産婦人科医会「緊急避妊について

ピルで期待できるPMS改善以外の効果

ここからは、ピルの服用により効果が期待できる症状を解説します。

月経困難症の改善

ピルには、排卵を抑制する効果があります。

月経困難症の原因のひとつは、排卵後に分泌されるプロゲステロンの急激な減少による子宮の収縮と炎症反応と考えられています。

ピルを服用すると、排卵が抑制されるため、プロゲステロンの急激な減少が起こりません。

そのため、子宮内膜の収縮と炎症反応が抑制され、月経困難症の症状が改善されると考えられていま す。

生理不順の改善

ピルを服用することで、排卵が抑制されて月経周期が一定に保たれ、生理不順が改善されます。生理不順は、排卵の乱れやホルモンバランスの乱れが主な原因で起こります。

エストロゲンとプロゲステロンの量を一定に保つことで、ホルモンバランスが整い、生理不順を改善します。

肌荒れの改善

ピルを服用してホルモンバランスを整えることで、ニキビなどの肌荒れの改善が期待できます。

ニキビは、皮脂の過剰な分泌によって毛穴が詰まり、そこに皮脂や汚れが溜まったり、炎症が起こったりすることで引き起こされます。ピルを服用して皮脂の分泌量を抑えることで、ニキビや肌荒れの改善が期待できます。

避妊

ピルの服用によってエストロゲンとプロゲステロンを安定させることで、排卵を抑制し、避妊効果を得ることができます。排卵がなければ、精子は受精することができません。また、子宮内膜を薄くする作用により、受精卵が着床しにくくなります。

さらに、ピルを服用すると、子宮と膣をつなぐ子宮頸管から分泌される粘液が濃くなります。粘度が濃くなると、入り口が狭くなるために精子が子宮内に入るのが難しくなります。

これらの働きにより、低用量ピルには避妊効果があるとされています。

ピルは保険が適用される?

ピルは、月経困難症やPMS、子宮内膜症の治療目的で服用する場合、保険適用となります。これらの疾患は、女性のQOL(生活の質)を低下させる病気であり、治療の必要性が認められるためです。

一方、避妊や美容目的で服用する場合は保険適用外となります。ピルを服用する際には、どのような目的で服用するのか医師に正しく申告しましょう。

ピルの料金相場

ピルの料金の相場は、医療機関やピルの種類により異なり、自費診療の場合は1か月あたり2,500円~3,500円程度です。

薬代のほか、初診料・再診料、郵送料などが発生し、対面診療の場合、追加で検査料などがかかる場合もあります。

ピルの処方を受ける方法

ピルはドラッグストアなどでは市販されていないため、医師の診察を受けたうえで処方してもらう必要があります。処方を受けるためには、医療機関に来院して診察を受けるか、オンラインクリニックで診察を受けるかの2つの方法があります。

以下より、2つの方法のそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

医療機関に来院して受診する

産婦人科や婦人科に直接来院して受診することで、ピルの処方を受けられます。対面診療の場合、以下のメリット・デメリットがあります。

来院のメリット

来院のメリットは以下のとおりです。

  • 健康状態を確認するための検査が受けられる
  • 医師が直接診察するため安心感がある
  • 定期検診が受けられる

対面診療では血圧や体重の測定が行われ、健康状態を確認したうえでピルを処方してもらえます。また、必要に応じて血液検査も実施するため、血栓症などのリスクが心配な方は、より安心して服用を開始できるでしょう。

低用量ピルの服用方法や副作用のリスク、対処法などを直接質問でき、安心感を得やすい点もメリットです。

来院のデメリット

対面診療のデメリットは以下のとおりです。

  • 初診料や再診料、検査料がかかる
  • 通院に手間がかかったり待ち時間がかかったりする
  • 院内で他の患者さんに遭遇する可能性がある 対面診療では初診料や再診料など、診察の度に費用が発生します。ほかにも、必要に応じて検査料が発生する場合があります。また、処方を受けるたびに通院しなければならず、手間や時間がかかる点がデメリットといえるでしょう。 また、クリニックには当然他の方も通院されているため、待合室で同じ空間に他の患者がいることが気になる場合もあるかもしれません。

オンラインクリニックで受診する

オンラインクリニックは、ネットを通じて自宅などで医師の診察を受けられるサービスです。スマホから自分の都合の良いときに医師の診察を受け、ピルを処方してもらえます。

ここではオンラインクリニックを利用するメリット・デメリットを解説します。

オンラインクリニックのメリット

オンラインクリニックを利用するメリットは以下のとおりです。

  • 自宅で診察が受けられる
  • 通院の手間や時間が省ける
  • 土日や夜間も診察が受けられる
  • 診察料がかからないクリニックもある

オンラインクリニックの大きなメリットは、病院に足を運ぶことなく、どこででも診察を受けられる点です。通院の手間や時間を省けるため、自分の時間を有効に使えます。

また、多くのオンラインクリニックでは、土日や夜間でも診察を受けられるため、忙しい方や遠方に住んでいる方も利用できる点も魅力です。

オンラインクリニックのデメリット

反対に、オンラインクリニックには以下のデメリットがあります。

  • 送料がかかる場合がある
  • 検査を直接受けられない

ピルを配送にて受け取るため、送料の発生によりトータルの料金が高くなる可能性があります。また、初診からオンラインクリニックで受診する場合は基本的に自由診療となり、治療目的でもピルの処方は保険適用外となります。

しかし、クリニックによっては診察料がかからない場合もあり、交通費などを含めたトータルコストで考えると、必ずしも対面診療の方が安いとはいえないでしょう。

まとめ

本記事では、PMSの原因や症状、ピルの服用による効果などを解説しました。PMSは多くの女性に起こりうる症状です。ピルを服用すると、PMSの原因となるホルモンバランスの乱れを改善し、症状の緩和が期待できます。

ピルを服用するには、医療機関に来院して受診するか、オンラインクリニックで受診するかの2つの方法があります。それぞれのメリットとデメリットを確認して、自分に合った方法で受診しましょう。

レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会