更新日:2026年08月19日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
性行為がうまくいかない経験から「心因性EDかもしれない」と不安を感じている方もいるかもしれません。心因性EDは、精神的なストレスや不安などを原因とする勃起障害です。治療の第一選択はED治療薬の服用で、成功体験を重ねることで症状の改善が期待できます。EDに関する悩みがある場合、原因に応じた対応がとれるよう、まずは医師に相談しましょう。
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心因性EDは、精神的なストレスや不安などが原因となって勃起が起こりにくくなる状態を指します。ここでは、心因性EDの特徴について解説します。
心因性EDの特徴は、朝勃ち(睡眠中や起床時の勃起)や自慰行為での勃起はあるにもかかわらず、パートナーとの性行為など特定の状況では勃起できない点です。
朝勃ちがあり自慰行為で勃起する場合には、精神的なストレスや心理的なプレッシャーなどの心理的要因が主体のEDの可能性が示唆されます。
ただし、症状の原因は人によって異なるため、自己判断せず医師に相談することが大切です。
EDは大きく「心因性ED」「器質性ED」「薬剤性ED(服用中の薬が原因で起こるED)」「混合性ED(心理的な要因と身体的な要因が重なって起こるED)」に分類されます。
このうち心因性EDと器質性EDの違いの一つが、朝勃ちの有無です。器質性EDは糖尿病や高血圧による動脈硬化など血管・神経のダメージが原因で、朝勃ちが減少・消失する傾向があります。
| 項目 | 心因性ED | 器質性ED |
|---|---|---|
| 朝勃ち | 起こる傾向がある | 減少・消失する傾向がある |
| 自慰行為での勃起 | 可能な場合がある | 困難な傾向がある |
| 主な原因 | 精神的なストレス・不安・トラウマなど | 血管・神経のダメージ(糖尿病・高血圧など) |
| 多い年代 | 20〜40代 | 40代以降 |
| 主な治療法 | ・ED治療薬の服用 ・心理療法 | ・原因となる疾患の治療 ・ED治療薬の服用 ・生活習慣の改善 |
ただし、単独の原因でEDが引き起こされることは少なく、複数の原因が重なっている場合が多いとされています。セルフチェックだけで原因を特定することは難しいため、気になる症状がある場合は早めに医師に相談することをおすすめします。
心因性EDの原因は、大きく「心理的要因」と「精神疾患」の2種類に分けられます。ここではそれぞれについて解説します。
心因性EDを引き起こす心理的要因は、日常生活のストレスに起因する「現実心因」と、無意識下のトラウマなどに起因する「深層心因」の2種類に大別されます。ここではそれぞれの内容について見ていきましょう。
現実心因の例は、下記のとおりです。
上記の原因によってストレスやプレッシャーを感じることで、性行為の際に勃起しづらくなることがあります。現実心因によるEDは、ED治療薬の服用が第一選択肢です。
深層心因の例として、下記が挙げられます。
深層心因の場合、「自分では理由がわからないけれど、いざというときに体が反応しない」といった形で現れやすく、心理療法によるアプローチが選択肢になります。
心因性EDの原因として、精神疾患が関与することがあります。うつ病や不安神経症などの精神疾患は脳内の神経伝達物質のバランスを乱し、性的な興奮の正常な伝達を妨げます。原因となる精神疾患の例は以下のとおりです。
うつ病などの精神疾患が背景にある場合は、原疾患の治療として抗うつ薬を服用しつつ、EDの症状改善のためにED治療薬を服用することがあります。ただし、抗うつ薬には副作用として薬剤性EDを発症するケースがあります。抗うつ薬の服用中に勃起が起こりにくいと感じた場合、自己判断で服用を中断せず、まずは医師に相談しましょう。
心因性EDをそのままにすると、性行為がうまくいかない状態が慢性的なストレスとなり、心理的な負担が大きくなる場合があります。
精神的な不調は自己肯定感を低下させ、仕事のパフォーマンスや周囲との人間関係にも支障をきたすことがあるでしょう。そこから生じる新たなストレスがさらにEDを悪化させるという悪循環を招きかねません。
また、心因性EDの症状が長期間続くほど「予期不安(次も失敗するのではないかという恐怖)」が定着し、改善が難しくなる傾向があります。心身の健康を維持するためにも、EDの症状に気づいた際は、早期にクリニックを受診することが推奨されます。
心因性EDの主な治療法は、下記のとおりです。
なかでも、ED治療薬の服用が第一選択とされています。それぞれについて解説します。
心因性EDの場合、過去の失敗による不安がさらなる勃起力低下を招く悪循環に陥りやすいのが特徴です。そのため、下記のようなED治療薬を服用して性行為の成功体験を積み重ね、不安を和らげることが改善のための第一歩となります。
| 項目 / 薬剤名 | バイアグラ(シルデナフィル) | レビトラ(バルデナフィル) | シアリス(タダラフィル) |
|---|---|---|---|
| 効果の持続時間 | 約3〜5時間 | 約4〜8時間 | 約30〜36時間 |
| 食事の影響 | 受けやすい | 受けにくい | 受けにくい |
| 代表的な副作用 | ・頭痛 ・めまい ・顔のほてり ・目の充血 | ・頭痛 ・ほてり ・鼻づまり ・めまい | ・頭痛 ・潮紅 ・ほてり ・背部痛 ・筋痛 |
※レビトラはメーカー都合により販売が中止され、ジェネリック医薬品のバルデナフィルが流通
いずれも後発医薬品(ジェネリック医薬品)があるため、費用を抑えたい場合はジェネリック医薬品を選ぶのも一つの方法です。ジェネリック医薬品とは、先発医薬品と同一の有効成分を含み、同等の安全性・有効性が認められている薬のことです。
なお、硝酸剤(ニトログリセリンなど)やsGC刺激剤(リオシグアト)を使用している方は、いずれのED治療薬も服用できません。併用により、急激な血圧降下を招くリスクがあるためです。医療機関を受診した際は服用中の薬を医師に必ず伝えましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「タダラフィル錠 添付文書」
ストレスは心因性EDの主要な原因の一つです。仕事や人間関係のストレスを慢性的に抱えていると、交感神経が優位な状態が続き、性的な興奮が脳から陰茎へ伝わりにくくなります。スポーツや趣味の時間を楽しむなど、自分に合ったストレス解消法を定期的に実践しましょう。リラックスする時間を作ることで、自律神経のバランスを整える助けになります。
睡眠不足も心因性EDに影響する要因の一つです。睡眠中に多く分泌される男性ホルモン(テストステロン)は性機能の維持に関わるため、質の良い睡眠を十分に取ることが自律神経と性機能のバランスを保つうえで大切です。
心因性EDに関するよくある質問に回答します。
心因性EDは自然に治りますか?
ストレスの原因が解消されたり、パートナーとの関係が改善されたりすることでEDの症状が改善する場合があります。一方、そのままにすると失敗への恐怖が心理的に定着し、悪循環に陥る場合もあります。気になる症状がある場合は、早めに医師へ相談することが大切です。
心因性EDの治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
個人差があるため一概には言えませんが、ED治療薬で成功体験を積み重ねることで症状の改善が見られる場合があります。心理的な要因が深い場合は、薬物療法と心理療法を併用するアプローチも有効です。心理療法の回数や期間に関わらず併用による効果が期待できるとされているため、具体的な治療期間や進め方については医師と相談しましょう。
心因性EDは、ストレス・不安などの心理的要因や精神疾患が原因で勃起しにくくなる状態です。朝勃ちや自慰による勃起は起こる一方、特定の状況で勃起できない場合には、心因性EDを考える手掛かりになります。そのままにすると不安や自信消失など心理的な負担が大きくなる場合があるため、早期の対処が重要です。
心因性EDの治療はED治療薬の服用が第一選択で、成功体験を積んで不安を軽減することが改善のための第一歩となります。また、心理療法の併用も重要とされています。原因に応じた対応がとれるよう、まずはクリニックを受診して医師に相談することが大切です。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「タダラフィル錠 添付文書」
厚生労働省「ジェネリック医薬品への疑問に答えます~ジェネリック医薬品 Q&A~」
National Library of Medicine「Psychocorrection of Male Sexual Dysfunctions: A Clinical Study in Ukraine」
National Library of Medicine「The effectiveness of psychological interventions alone, or in combination with phosphodiesterase-5 inhibitors, for the treatment of erectile dysfunction:A systematic review」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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心因性EDの治療では、「失敗への不安から勃起できない」という悪循環から抜け出すことが大切です。ED治療薬の助けを借りて前向きに取り組むことで、徐々に薬なしでも勃起できるようになる場合があります。一人で悩まず、まずは医師に相談してみましょう。
薬物療法で十分な効果を感じにくい場合、心理療法を併用することで治療効果が高まることが期待できます。日本性機能学会・日本泌尿器科学会のED診療ガイドラインにおいて、薬物療法と心理療法を併用した治療は、薬物療法のみと比較して改善が見られやすい傾向があるとされています。 主な心理療法は、カウンセリングや行動療法です。カウンセラーと1対1で行うもののほか、パートナーを含めた3者で行う方法もあります。これらは自分では気づかなかったストレスの根本原因を明らかにし、改善に向けた行動を促すきっかけとなりうるでしょう。
参考:National Library of Medicine「Psychocorrection of Male Sexual Dysfunctions: A Clinical Study in Ukraine」
National Library of Medicine「The effectiveness of psychological interventions alone, or in combination with phosphodiesterase-5 inhibitors, for the treatment of erectile dysfunction:A systematic review」
パートナーとの性行為の失敗が心因性EDのきっかけとなった場合、パートナーに状況を伝えて理解を得ることが改善への大切なステップです。「また失敗しないか不安」というプレッシャーを正直に打ち明けることで、心理的負担を軽減できる可能性があります。
また、手をつなぐ、ハグや言葉を交わすといった性行為以外のスキンシップは、「成功させなければ」という緊張感を和らげることが期待できます。お互いに相談しながら、リラックスして向き合える関係を築いていきましょう。