更新日:2024年10月29日
生理と着床出血の違いは?見分け方や不正出血の症状・対処法も解説
- 着床出血とは受精卵が着床する際に起きる出血のこと
- 生理と着床出血の違いは、着床出血のほうが量が少なく期間が短い
- 腹痛の程度にも生理と着床出血の違いがあり、生理のほうが強いとされる
- 不正出血の原因には子宮内膜症や子宮外妊娠などがある
- 生理や着床出血以外で出血があり、量が多い・痛みがある場合は早めに産婦人科で受診する
「生理と着床出血の違いを知りたい」という方もいるでしょう。生理と着床出血の違いは、血の色や出血の量・期間、腹痛の程度などにあります。
当記事では、生理と着床出血の違いや着床出血以外での出血の原因、不正出血が起きた場合の対処法について解説します。
そもそも着床出血とは?
着床出血とは、妊娠初期に受精卵が着床することで発生する出血を意味します。受精卵が子宮内膜に根を張るように入り込んでいく過程で、子宮内膜の血管を傷つけてしまうことにより出血が起こると考えられています。
ただし、妊娠成立の際に必ずしも着床出血がみられるわけではありません。また、着床出血のタイミングは生理開始予定日と近いため、着床出血と生理のどちらであるか自分では判断しにくいこともあるでしょう。
着床出血と生理の3つの違い
着床出血と生理を見分けるためには、次の3つの違いに着目してみましょう。
- 血の色
- 出血の量や期間
- 腹痛の程度
それぞれのポイントを解説します。
1.血の色
着床出血の血の色は人それぞれです。茶色やピンク色の場合もあれば、生理のように真っ赤な鮮血がみられる場合もあります。
一方で、生理の場合ははじめは茶色やピンクの出血であっても、時間が経つと量も増え、赤から暗赤色に変わるケースが多いようです。自分の生理時の経血の色を把握していれば、いつもと違う色をした出血に気付ける可能性があります。
2.出血の量や期間
着床出血の場合は、生理に比べると出血量が少なく、期間も短いのが一般的です。生理は個人差があるものの1週間程度出血が続くのに対し、着床出血はダラダラと出血が続くものではありません。
生理が始まったと思ったら1~2日程度で出血が止まった場合は、妊娠が成立した際の着床出血である可能性があります。また、生理時には血の塊が出ることもありますが、着床出血の場合は血の塊がみられることはないでしょう。
3.腹痛の程度
着床出血による腹痛があっても、チクチクした痛みを感じる程度のことが多いようです。一般的には生理痛ほど強い痛みが出ることは少ないとされているため、腹痛の程度も着床出血と生理を見分けるポイントとなるでしょう。
ただし、痛みの感じ方は人それぞれであるため、もともと生理痛が軽い人は、腹痛が着床出血によるものか生理によるものかを見分けるのが難しい可能性があります。
着床出血以外での出血の原因
着床出血でも生理でもない理由で、不正出血が起きることも考えられます。具体的には、以下の6つの原因が考えられます。
- 絨毛膜下血腫
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん・子宮体がん
- 子宮膣部びらん
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)
出血の原因が着床出血や生理ではない場合、思わぬ子宮関連の疾患などが関係していることがあります。それぞれの原因について確認し、気になる症状があるときは早めに受診しましょう。
絨毛膜下血腫
絨毛膜下血腫は、妊娠初期に、絨毛膜と子宮内膜の間に血液がたまってできる血腫がみられる状態です。血腫が大きくない場合は、子宮に吸収されることも多いですが、鮮血色や赤褐色の不正出血が起きることもあります。
妊娠初期に血腫が吸収されて改善すれば問題ないですが、中期になるまで血腫が残っていたり不正出血が続いたりする場合は医師に相談したほうがよいでしょう。
子宮内膜症
子宮内膜症を患っている場合、子宮内膜組織が子宮内以外で発育してしまい、組織が剥がれ落ちる際に不正出血や痛みを伴います。さらに、月経痛が重くなったり、排便痛や性交痛を感じたりすることもあります。
「周りの人よりも生理痛が重く出血量が多いと思っていたら、子宮内膜症が関係していた」というケースもあります。子宮内膜症の治療方法には、ピルの服用や手術などがあります。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋肉組織に由来する良性の腫瘍を指します。年代に関わらず、広く見られる子宮関連疾患の1つです。
子宮筋腫を患っている場合、月経過多や月経痛、腰痛といった症状がみられる可能性があります。また、不正出血を伴うケースもあります。
さらに、妊娠を希望している場合、子宮筋腫が不妊や流産・早産につながる恐れがあるため、早めの対処が必要です。
子宮頸がん・子宮体がん
子宮頸がんや子宮体がんといった悪性腫瘍を患っている場合も、不正出血が起きることがあります。ただし、症状の出方には個人差があるため、排尿痛や性交痛といった違和感をおぼえることもあれば、これといった症状を感じないケースもあるようです。
生理期間以外の出血など、少しでも普段との違いを感じた場合は、医療機関で受診するとよいでしょう。
子宮膣部びらん
子宮膣部びらんは、特に若い女性に多くみられる症状で、子宮の入り口付近が赤くただれてしまっている状態です。女性ホルモンの影響で出血するケースもあれば、性交や産婦人科の内診による刺激で起きるケースもあります。
子宮膣部びらん自体は、病気ではなく、女性ホルモンが活発な時期にみられる生理現象の1つです。出血がみられても量は少なく、色はピンクや茶色、赤褐色などが多いでしょう。
異所性妊娠(子宮外妊娠)
異所性妊娠とは、子宮外妊娠ともいわれ、子宮以外の場所で受精卵が着床してしまう状態のことです。具体的には、卵管や卵巣、腹膜などに着床してしまうケースがあります。
子宮外で受精卵が着床すると、鮮血色や赤褐色の出血がみられることがあります。胎児は子宮外では成長できないため、妊娠の継続は諦める必要があります。
また、異所性妊娠は胎児だけではなく母体にも危険が及ぶ可能性があるため、早急な処置が求められます。
生理ではない出血があった場合の対処法
生理ではない出血がみられた場合に知っておきたい、3つの対処法をご紹介します。
- 妊娠検査薬で妊娠の有無を確認する
- 出血量が多く痛みが強い場合は産婦人科で受診する
- ピルの服用を検討する
不正出血は、生理との見分けが難しく、自己対処が難しい場合もあります。ご紹介する3つの対処法を心得ておき、いざというときに備えておきましょう。
妊娠検査薬で妊娠の有無を確認する
原因が思い当たらない出血がある場合、妊娠成立による着床出血であるか確認してみましょう。妊娠検査薬は生理予定日の約1週間後から使用でき、ドラッグストアで購入できるため自宅でも簡単に妊娠の有無を確認できます。
妊娠検査薬で陽性だった場合は妊娠している可能性が高いため、早めに受診し、異所性妊娠でないかを確認することも重要です。
出血量が多く痛みが強い場合は産婦人科で受診する
いつもの生理と違うタイミングで大量の出血や強い痛みがある場合は、すぐに産婦人科で受診しましょう。特に子宮関連の疾患は初期段階では自覚症状がないケースもあり、気付かないうちに症状が悪化していることがあります。
受診するときは、出血の色や量、形状、期間などを伝えられるようにしておきましょう。
ピルの服用を検討する
不正出血の原因が子宮内膜症などの子宮関連の疾患だとわかっている場合は、ピルを服用することで女性ホルモンのバランスが安定し、症状を軽くできる可能性があります。子宮内膜症を患っていると、不正出血だけではなく、月経時の不調が強く現れることが考えられます。
毎月生理の期間に体調を崩してしまうと、生活の質が落ち、気分も落ち込んでしまうかもしれません。普段からピルを服用することで、月経や排卵の周期を整え、自分の体調をコントロールしやすくなるでしょう。
まとめ
着床出血は妊娠成立の際にみられる出血のことで、生理と見分けがつきにくいとされています。ご紹介した見分け方のポイントをもとに、着床出血であるかどうかを確認してみましょう。
妊娠している場合は早めに受診する必要があるため、タイミングを待って妊娠検査薬を使うのも手です。また、生理でも着床出血でもない不正出血がある場合は、自己判断せず産婦人科の受診を検討してみてください。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました