更新日:2026年09月02日

ニキビが落ち着いたあと、「赤みがいつまでも気にかかる」「茶色い影のような跡が残ってしまった」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、「飲み薬と塗り薬、どちらが自分の肌に合っているのか分からない」といった疑問をお持ちの方も少なくありません。
ニキビ跡の悩みは、その肌の状態に合わせた適切なお手入れを選ぶことが大切です。もし日々のスキンケアで納得がいかない場合は、医師による診察や処方薬という選択肢もあります。 この記事では、ニキビ跡のタイプ別のお手入れの選び方や、市販薬と処方薬の違いについて解説します。 ※この記事で紹介する薬のうち、シナールは、炎症後の色素沈着(ニキビ跡など)に対して承認された効能・効果を持つ医薬品です。一方、トラネキサム酸・ハイチオール・ユベラ・ハイドロキノン・トレチノインは、いずれもニキビ跡への承認適応(国から正式に認められた効能・効果)を持ちません。自由診療では、これらの医薬品が持つ作用に着目し、ニキビ跡へのアプローチとして選ばれることがあります。なお、レバクリの提携医療機関で取り扱う美容皮膚治療で承認適応外として処方している薬は、トラネキサム酸・シナール・ハイチオール・ユベラ・グルタチオンの内服薬5種類です。

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)

ニキビ跡といっても「赤み」「茶色い影」「凹凸(クレーター)」など、状態によって肌の性質が異なります。ご自身の肌のタイプを見極めて適切なお手入れを選ぶことが、健やかな素肌への第一歩です。まずはそれぞれの特徴を確認しましょう。

ニキビが治ったあとも赤みが残っている状態を「炎症後紅斑(えんしょうごこうはん)」と呼びます。ニキビの炎症によって肌の毛細血管がダメージを受け、うっ血したり皮膚が薄くなって血管が透けて見えたりしている状態です。 炎症後紅斑であれば、炎症を鎮める成分や肌の生まれ変わり(ターンオーバー)のサイクルをサポートする薬を用いることで、赤みの改善が期待できます。
ニキビが茶色や黒っぽいシミのようになった状態を「炎症後色素沈着」と呼びます。ニキビのダメージから肌の細胞を守ろうとした結果、黒い色素(メラニン)が過剰に作られ、それが肌に残ってしまったものです。 メラニンの生成を抑える薬や、肌のターンオーバーを促して健やかに保つ塗り薬・飲み薬が選ばれます。色素沈着の悩みは赤みに比べてじっくりとしたお手入れが必要になるため、早めに適切なケアを始めることが大切です。
肌がでこぼこしたクレーター状になったニキビ跡は、肌の奥深く(真皮層)の組織にまでダメージが及んでしまっている状態であるため、市販薬や処方薬(内服薬・外用薬)だけで元の状態に整えることは極めて困難です。クレーター状の悩みをケアするには、美容皮膚科などで以下のような医療施術を検討するのが一般的です。
肌に微細な点状のレーザーを照射して、肌本来の修復力(再生力)をサポートし、なめらかな肌を目指す方法です。
髪の毛よりも細い針で肌を優しく刺激し、肌本来の修復しようとする力(再生力)をサポートし、なめらかな肌を目指す方法です。
酸の力で古い角質を優しくオフし、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を促す施術です。クリニックでは肌の状態に合わせた適切な濃度で行われるため、浅いくすみや色素沈着のケアにも活用されます。
ニキビ跡の飲み薬は「肌のめぐりを整える」「メラニンへアプローチする」「ターンオーバーのサイクルを健やかに保つ」という役割を持つ薬を、肌の状態に合わせて取り入れるのが基本です。代表的な内服薬を3つ紹介します。

ハイチオールの主成分であるL-システイン(アミノ酸の一種)は、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)のサイクルを整える内服薬です。肌の代謝を促すことで、炎症のあとに残ってしまった過剰なメラニン(色素沈着)を、古い角質とともにスムーズに排出するようサポートする働きが期待できます。
シナールに配合されたビタミンC(アスコルビン酸)は、シミの元となるメラニンの生成を抑えて、すでにできてしまった茶色い跡の色調を明るく整えるサポートが期待されます。また、肌のハリを支えるコラーゲンの働きをサポートし、美肌づくりを助けます。
肌に赤みが残っているのは、肌の内部で微細な炎症が続き、ダメージを修復しようとしているサインです。トラネキサム酸は抗炎症作用を持っています。炎症を鎮め、肌を穏やかな状態へと導くことが期待できます。 この炎症はのちにニキビ跡のもとになる黒いメラニンが生成される引き金になりますが、トラネキサム酸は初期段階でその働きを抑えるため、赤み跡が茶色く(色素沈着)変化してしまうのを未然に防ぐ効果も期待できます。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トラネキサム酸錠「YD」 添付文書」 参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「シナール配合錠・シナール配合顆粒 添付文書」 参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ハイチオール錠40mg・ハイチオール錠80mg・ハイチオール散32% 添付文書」
ニキビ跡の飲み薬は、肌の状態に合わせて組み合わせることで、より効率的なアプローチが可能になります。代表的な3パターンの組み合わせを紹介します。

トラネキサム酸による内部の炎症(赤み)へのアプローチと、ユベラによる肌の生まれ変わり(ターンオーバー)のサポートが期待できる組み合わせです。「赤みの鎮静化」・「ターンオーバー」を同時に進められるのが特徴で、赤みが主な悩みという方に向いています。
シナール(ビタミンC・ビタミンB5)とハイチオールによる茶色い跡へのアプローチと、ユベラによる肌の生まれ変わり(ターンオーバー)のサポートが期待できる組み合わせです。「色を薄くする」・「ターンオーバー」を同時に進められるのが特徴で、色素沈着が主な悩みという方に向いています。
トラネキサム酸による赤みへのアプローチ、シナール・ハイチオールによる色調へのアプローチ、ユベラによる肌の生まれ変わり(ターンオーバー)のサポートが同時に期待できる組み合わせです。「赤みの鎮静化」・「色を薄くする」・「ターンオーバー」の3つを同時に進められるため、赤みも茶色い跡も両方気になる方に向いています。

塗り薬(外用薬)は、気になるニキビ跡のスポットに直接有効成分を届けられるのが強みです。「今ある色素沈着をケアしたいのか」「赤みやザラつきを抑えたいのか」によって選ぶべき薬が異なります。

ハイドロキノンは、メラニンが作られる酵素の働きを抑えることで、肌の透明感のサポートが期待される塗り薬です。市販品にも配合されていますが、医療機関では医師の管理下でより高濃度のものが使用されます。使用中は紫外線を受けるとメラニン生成が再活性化するため、日焼け止めの使用が必須です。
トレチノイン(レチノイン酸)はビタミンAの誘導体で、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)のサポートが期待される塗り薬です。国内に市販薬はなく、医療機関での処方のみで入手できます。使い始めは肌の皮が剥けたり、赤みやヒリヒリ感(レチノイド反応)が出たりすることが多いため、医師の指示を守って使用することが重要です。ハイドロキノンと組み合わせて処方されることも多い薬です。
アットノン ニキビあとケアジェルは、ヘパリン類似物質や抗炎症成分が配合された市販薬で、肌にうるおいを与えてめぐりを良くし、コンディションを健やかに整える働きが期待できます。茶色い色素沈着を薄くする美白成分は配合されていないため、すでに残った色素沈着への改善ではなく、ニキビが治った前後の赤みやザラつきのケアに適しています。
イハダ アクネキュアクリームは、ノンステロイドの抗炎症成分(イブプロフェンピコノール)と殺菌成分を配合した市販薬で、アクネ菌の増殖を抑えて治りかけの赤みを鎮めることを目的としています。アットノンと同様に色素沈着を薄くする成分は含まれていないため、肌の清潔を保ち、治りかけの部分を穏やかにする目的で使用するのに適しています。
市販薬と医療用医薬品(処方薬)の主な違いは、有効成分の配合濃度と種類です。安全性を最優先してマイルドに作られている市販薬に対し、医療用医薬品は医師の管理のもと症状に合わせた処方が可能です。

市販されている薬は、重篤な副作用のリスクを減らすため、有効成分の含有量が比較的マイルドに抑えられています。ドラッグストア等で手軽に購入できる点が大きなメリットであり、日々の予防や軽度なお手入れ、肌のコンディション維持として活用するのに向いています。 「いろいろ試したけれど肌の印象が変わらない」という場合は、成分や濃度上の限界である可能性もあるため、処方薬への切り替えを検討するタイミングかもしれません。
医療用医薬品は医師の診察のもとでしか入手できませんが、市販薬には配合できない高濃度のハイチオール(L-システイン)やシナール(ビタミンC)、トラネキサム酸、あるいはトレチノインなどが処方されます。個人の症状や肌質に合わせて薬の種類・用量を調整してもらえるため、セルフケアで限界を感じている方に向いている選択肢です。

ニキビ跡ケアの薬を入手する方法はいくつかあります。大切なのは、ご自身の肌の状態に合った薬を、無理なく続けやすい形で選ぶことです。
「対面診療」・「市販薬」・「オンライン診療(レバクリ)」の3つを、安全性・費用・時間(手間)の観点で整理しました。

皮膚科やクリニックへの通院は、医師が直接肌の状態を確認したうえで処方してもらえるため、悩みに合った薬を選んでもらいやすい点がメリットです。ただし、予約・通院・待ち時間といった手間や、施設によっては費用が高くなるケースがあります。
ドラッグストアやECサイトで購入する方法です。費用は比較的安価で、自分のタイミングで購入できるため時間はかかりませんが、安全性への配慮から有効成分の量が少なめに抑えられています。軽度のケアには向いていますが、濃いニキビ跡の改善には限界がある場合があります。
オンライン診療は、スマホ1つで医師の診察から薬の受け取りまで、すべて自宅で完結できる便利な選択肢です。通院時間を省きながら、医師の判断により、適切な医療用医薬品の処方を受けられる場合があります。
薬の効果を効率よく引き出し、ニキビ跡を長引かせないためには、日頃のセルフケアも大切です。

紫外線は肌の赤みの気になる部分を茶色い色素沈着へと長引かせる引き金になります。肌が紫外線ダメージを受けると、メラニンがさらにつくられてしまうためです。 外出時はもちろん室内でも日焼け止め(日常使いならSPF30・PA++程度が目安)を毎日塗り、外出時は日傘や帽子も活用しましょう。ハイドロキノンやトレチノインを使用中は特に紫外線の影響を受けやすいため、日焼け止めはニキビ跡対処中のマストアイテムです。
ゴシゴシ擦る洗顔は肌に負担を与え、ニキビ跡の赤みや茶色い跡を長引かせる原因になります。洗顔は朝と夜の1日2回、洗顔料をしっかり泡立てて泡を転がすようにやさしく洗うのが基本です。 洗顔後は低刺激の化粧水・乳液ですみやかに保湿し、肌のバリア機能を整えてください。
バランスの良い食事と質の高い睡眠は、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を正常に保ち、健やかな肌を維持することが期待できます。食事では脂っこいものや糖質を控え、肌の代謝を促すビタミンB2・B6やビタミンCを積極的に摂ることが大切です。 また、肌の修復を促す成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されます。夜更かしを避け、成人の場合は6時間以上の睡眠を確保することが望ましいとされています。
参考:厚生労働省「良い睡眠のために」
ここでは、ニキビ跡の薬に関するよくある質問をまとめました。以下で質問にお答えします。
内服薬の副作用はありますか?
薬により異なりますが、軽度の胃部不快感や食欲不振、悪心(吐き気)、嘔吐、下痢、発疹などが現れることがあります。
ニキビ跡の薬はどのくらいの期間飲み続けるのですか?
肌の生まれ変わり(ターンオーバー)の周期(28〜56日前後、年齢によって異なる)を考慮すると、効果を実感し始めるまでに最低でも1〜3ヶ月程度の継続が必要です。ただし、服用期間が定められている薬もあるため、薬剤師や医師の指示に従って服用してください。
妊娠中・授乳中でも薬は飲めますか?
トラネキサム酸とユベラの服用は添付文書に服用注意の記載があります。妊娠中・授乳中、またはその可能性のある方は自己判断で薬を使用せず、必ず医師に相談のうえ使用可否を確認してください。
オロナインでニキビ跡は消えますか?
オロナインH軟膏の効能・効果として認められているのは、現在進行形のはれや炎症を伴う「にきび」や「吹出物」の治療です。すでにニキビが落ち着いたあとに残る赤みや茶色い色素沈着といった「ニキビ跡」に対して、それらをきれいにする効能・効果やアプローチする成分は含まれていません。そのため、ニキビ跡のお手入れ目的での使用には向いていません。
ニキビ跡の薬を選ぶには、まず自分の跡が「赤み(炎症後紅斑)」「色素沈着(茶色・黒い跡)」「凹凸(クレーター)」のどのタイプかを見極めることが大切です。薬で対応できるのは赤みと色素沈着で、クレーターには医療施術が必要になります。 市販薬の手軽さは魅力的ですが、効果の確実性や安全性、そしてケアにかけられる時間や費用といったトータルバランスを考えたとき、医師による医療用医薬品(処方薬)が最も効率的な選択となるケースは少なくありません。 もしセルフケアで納得のいく結果が得られないのであれば、一人で悩み続ける前に、オンライン診療という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。通院の手間を抑えながら、医師の知見に基づいた対処をスタートさせることは、理想の肌を目指すための選択肢の一つです。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トラネキサム酸錠「YD」 添付文書」 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「シナール配合錠・シナール配合顆粒 添付文書」 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ハイチオール錠40mg・ハイチオール錠80mg・ハイチオール散32% 添付文書」 厚生労働省「良い睡眠のために」