更新日:2026年09月25日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「30代でもEDになるの?」と不安に感じている方もいるかもしれません。ED(勃起不全)は20〜30代でも起こります。原因は精神的ストレスや生活習慣病、男性ホルモンの減少などさまざまです。EDの改善には生活習慣の見直しのほかに、ED治療薬を用いた治療も有効な選択肢です。一人で抱え込まず、まずは正しい知識を身につけ、必要に応じて医師への相談も検討してみてください。
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30代でもED(勃起不全)は起こるうえ、決して珍しいものではありません。EDは中高年特有の症状と思われがちですが、全国調査では若い年代でも一定の割合で見られることが示されています。ここでは、若年層のEDの有病率や、EDに含まれる症状の範囲を確認していきましょう。
20代・30代の若年層でもEDの人は一定数存在します。一般社団法人日本性機能学会が2023年に20〜79歳の男性6,228人を対象に実施した調査では、日本人男性のED有病率は30.9%で、人口にあてはめると約1,400万人と推計されました。 このうち30~34歳、35~39歳の有病率は15%を超えています。また、20〜24歳の有病率は26.6%で、50〜54歳の27.8%とほぼ同等の結果でした。年齢が若いからEDにならないわけではなく、20〜30代でも向き合う可能性のある症状といえます。
参考:National Library of Medicine「Erectile Function and Sexual Activity Are Declining in the Younger Generation: Results from a National Survey in Japan」
EDは「まったく勃起しない状態」だけを指すわけではありません。日本性機能学会・日本泌尿器科学会の「ED診療ガイドライン」では、EDは「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」と定義されています。 つまり、行為の途中で萎える「中折れ」や、挿入に十分な硬さにならない状態も、EDに含まれます。疲れているときにたまに失敗するケースは、EDに含まれません。中折れや硬さ不足が続く場合は「疲れているだけ」と放置せず、状態を把握しておくことが対処の第一歩です。
30代のEDは「心」と「体」のどちらの要因でも起こり得ます。EDの原因は大きく「心因性」「器質性」「薬剤性」、これらが重なる「混合性」の4つに分けられ、30代ではいずれも発症の原因となる可能性があります。 20代に多い心因性EDと、40〜50代に多い器質性EDの両方が影響することもあるため、原因を1つに決めつけず、複数の視点から見ていくことが大切です。ここでは、30代のEDで考えられる主な原因を解説します。
30代で見られるEDの原因の1つが、精神的なストレスです。仕事のプレッシャーや職場の人間関係によるストレス、夫婦間の問題などが重なると、心因性EDを引き起こすことがあります。 心因性EDでは、自慰行為では正常に勃起しても、パートナーとの性行為では勃起しづらくなることがあります。また、過去の性行為の失敗によるトラウマやパートナーとのトラブル、妊活のプレッシャーなどが影響する場合もあるでしょう。心因性EDを和らげるには、精神的なストレスの軽減やパートナーとの関係改善などに努めることが大切です。
30代のEDの原因として、生活習慣病も挙げられます。
勃起は、性的刺激によって陰茎の海綿体に血液が多く流れ込むことで起こる仕組みです。糖尿病・高血圧・脂質異常症といった生活習慣病が動脈硬化を引き起こすと、血流が滞り、器質性EDとなって勃起不全の症状が出ることがあります。
健康管理がおろそかになり、不健康な食生活や運動不足が続くと、肥満や血管障害が進行し、勃起に必要な血流が不足するおそれがあるでしょう。生活習慣病を予防し健康を維持するためには、バランスの良い食事や定期的な運動が大切です。
30代でEDを発症する原因の1つが、加齢による男性ホルモン(テストステロン)の減少です。これは内分泌系が原因の器質性EDの一種です。テストステロンが減少すると男性更年期障害を引き起こし、勃起機能の低下や性欲の減退のほか、疲労感や情緒不安定といった症状が出ることがあります。 男性更年期障害は、早いと30代後半頃から見られることもあります。男性ホルモンの減少はEDのほか、生活習慣病や心血管疾患などの発症にも影響する可能性があるため、注意が必要です。
服用している薬の影響でEDが起こる場合もあります。これは薬剤性EDと呼ばれ、中枢神経に作用する薬や血管・神経に影響する薬によって、血管収縮や神経伝達の妨げが生じることが原因です。薬剤性EDを引き起こす代表的な薬には、以下のものがあります。
これらの薬を服用している場合、年齢に関係なくEDの発症に影響を与える可能性もあります。ただし、EDが気になっても自己判断で薬を中止すると、もともとの病気に影響するおそれがあるため、まずは処方した医師に相談しましょう。
30代のEDでは、心因性か器質性かをある程度見極めることが、対処法を考えるうえで役立ちます。心因性EDはストレスやプレッシャーが主な要因で、器質性EDは血管や神経の状態が関係します。原因によって適した対処が変わるため、まずは自分の状態を振り返ってみましょう。
朝勃ち(早朝勃起)の有無は、原因を見極める1つの目安になります。朝勃ちは、勃起に必要な血管や神経の機能が働いているときに起こる生理的な現象です。 パートナーとの性行為ではうまくいかないのに、朝勃ちや自慰行為での勃起はある場合、心因性の要因が関係していることがあります。一方、朝勃ちが減ってきたと感じる場合は、動脈硬化など体の要因が関係している可能性も考えられます。なお、朝勃ちの有無などはあくまで目安の1つであり、これだけで原因を断定できるものではありません。
原因の見極めに迷う場合は、自己判断せず医師への相談を検討しましょう。「混合性ED」といって心因性と器質性の原因を併せ持つケースもあるため、医師の専門的な視点で原因を整理することが、症状の把握や適切な対処につながります。 たとえば、疲労による一度の失敗がプレッシャーとなり、心因性の要素が加わって症状が続くこともあります。原因を正しく把握するには、医師による問診や検査が役立ちます。気になる症状が続くときは、早めに相談を検討しましょう。
30代のEDは、早期に対処することで改善が期待できます。生活習慣や職場でのストレスなど、さまざまな原因が関係していると考えられるため、原因に合った対処を組み合わせることが大切です。ここでは、具体的な予防策と改善方法を見ていきましょう。
30代でEDを予防・改善するためには、食生活や喫煙習慣をはじめとする日々の生活習慣を見直すことが大切です。器質性EDの原因となる糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、食生活の乱れが発症・進行に関与しています。
食事は栄養バランスに気をつけて、塩分や脂質をとりすぎないよう心掛けましょう。また、ストレスを解消することも大切です。趣味を楽しむ時間や適度な運動を日々の生活に取り入れると、勃起機能の維持につながります。また、喫煙は血管を収縮させる作用があり、血流に影響を与えるおそれがあります。EDは血管の健康状態が関係することが多く、生活習慣の見直しがそのまま改善につながる場合もあります。
30代でEDを改善する方法として、クリニックでの治療があります。EDの治療は、ED治療薬による薬物治療が一般的です。 ED治療薬は、性的刺激を受けた際の陰茎への血流を促し、勃起をサポートする役割を持ちます。服用によって性行為の成功体験を積むことで、心因性EDの改善にもつながるでしょう。国内で承認されているED治療薬は、バイアグラ(一般名:シルデナフィル)・レビトラ(一般名:バルデナフィル)・シアリス(一般名:タダラフィル)の3種類です。それぞれ効果が現れるまでの時間や持続時間、食事の影響が異なります。

なお、バイアグラとシアリスは、2022年に不妊治療を目的とする場合に限り保険適用が認められています。ED治療薬を検討する場合は、ED治療を行っているクリニックや泌尿器科を受診し、状態に合った治療薬を医師に処方してもらいましょう。
バイアグラなどのED治療薬は、正しく服用することで効果が期待できますが、下記のような注意点があります。
安全に服用するために、上記3点を事前に確認しておきましょう。
バイアグラなどのED治療薬は、医師の処方が必要な医療用医薬品です。持病や服用中の薬がある場合は副作用のリスクが高まるため、診察時に医師へ申告しましょう。 また、ED治療薬の過剰摂取は副作用のリスクを高めるおそれがあるため、医師から指示された用法・用量を守ることが大切です。自己判断で服用量を増やしたり複数の薬を組み合わせたりせず、医師の指示に従いましょう。食事の影響を受けやすい治療薬もあるため、服用のタイミングにも注意が必要です。
ED治療薬には、併用してはいけない薬(併用禁忌薬)があります。狭心症などに使われる硝酸剤(ニトログリセリンなど)や、sGC刺激剤(リオシグアト)とED治療薬を併用すると、急激に血圧が下がるおそれがあるため、いずれも併用禁忌とされています。 硝酸剤は内服薬だけでなく、貼り薬・スプレー・注射などに含まれる場合もあります。心臓や血圧の薬を使っている方は、必ず診察時に医師へ伝えるようにしましょう。服用中の薬を正しく申告することが、安全な治療につながります。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」「バルデナフィル 添付文書」「タダラフィル錠 添付文書」
海外の通販サイトや個人輸入でのED治療薬の入手は、危険性が高いため避けましょう。個人輸入での購入は医療機関を通じた処方と異なり、品質管理の状況が確認できない場合があります。 偽造薬は、不純物が混入しているものや成分量が不適切なものが混じっていることも少なくありません。また、個人輸入した薬で副作用が起きても、国内の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。ED治療薬は、必ず医師の診察を受けて処方してもらいましょう。
参考:厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
30代のEDは、オンライン診療でも相談できます。近年はオンライン診療の普及により、ED治療においても自宅などから医師の診察を受け、医師の判断のもとED治療薬を処方してもらえるようになりました。 オンライン診療は、通院の手間や待ち時間がなく、忙しい方も都合に合わせて診察を受けられます。ほかの患者と顔を合わせずに受診できるため、人目が気になる方も相談しやすい手段です。利用する際は、事前にクリニックのWebサイトで、対応している症状や診療の流れを確認しておきましょう。
30代のEDについて、よくある疑問と回答をまとめました。
30代のEDは自然に治りますか?
EDが自然治癒するかどうかは原因によって異なります。一時的なストレスや疲労が要因の心因性EDでは、環境やコンディションの改善とともに和らぐ場合があります。しかし、自然に改善しない場合も多いので、自己判断で放置することは避けたいです。生活習慣病などが関係する場合は、放置すると進行することもあるため、気になる症状が続くときは医師への相談を検討しましょう。
ED治療薬は毎回服用しないといけませんか?
ED治療薬は、性行為の前に服用して勃起をサポートする薬です。生活習慣の改善や心因性の要因が和らぐことで、必要としなくなる場合もあります。服用の要否や頻度は自己判断せず、医師へ相談することを検討してください。
妊活中でもED治療薬は服用できますか?
ED治療薬は、基本的に妊活中でも使用できるとされています。バイアグラとシアリスは、2022年に不妊治療を目的とする場合に限り保険適用が認められました。服用にあたっては、医師に妊活中である旨を伝えることが大切です。
EDは20〜30代でも起こり得る、珍しくない症状です。原因は精神的なストレスや生活習慣病、男性ホルモンの減少、服用中の薬などさまざまで、心因性か器質性かによって適した対処も変わってきます。 まずは食事・運動・睡眠・禁煙といった生活習慣の見直しから始め、それでも改善が難しい場合や原因の見極めに迷う場合は、医療機関の受診も選択肢になります。ED治療薬は医師の処方のもとで正しく使うことが大切です。通販サイトや個人輸入での入手は避けましょう。一人で抱え込まず、早めに相談することが、快適な毎日への一歩になります。
National Library of Medicine「Erectile Function and Sexual Activity Are Declining in the Younger Generation: Results from a National Survey in Japan」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「タダラフィル錠 添付文書」 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
オンライン診療とは、スマホやPCを使い、ご自宅など好きな場所から医師の診察を受け、お薬を配送してもらえるサービスです。従来のED治療における「通院の負担」「待ち時間」「人目」といった課題を解決します。
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参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「タダラフィル錠 添付文書」

30代のEDは、早めに対処することで改善が期待できます。生活習慣の見直しとED治療薬による治療には、どちらか一方ではなく併せて取り組むことも可能です。「年齢のせい」と思い込んで我慢する方もいますが、背景に生活習慣病が隠れていることもあるため、気になる症状が続くときは一人で抱え込まず、医師への相談を検討してみてください。