更新日:2026年09月29日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
陰茎の硬さや中折れの悩みがあり、「以前より勃起力が弱い」と感じる場合はEDを発症している疑いがあります。EDの原因には生活習慣病やストレス、薬の副作用が関わっている場合があり、まずは状態を確認することが大切です。 この記事では、セルフチェックの方法や、生活習慣の改善とED治療薬による対処法を解説します。必要に応じて医師への相談も検討してみてください。
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勃起力とは、陰茎の硬さを維持するために必要な力のことです。満足のいく性行為には、十分な陰茎の硬さと、それを一定時間保つ力が求められます。勃起は反射的に起こる単純な現象ではなく、脳や神経、血管が連携して生じる仕組みです。
勃起は、性的刺激を受けて陰茎の血管が広がり、海綿体に血液が流れ込むことで起こります。具体的には、脳からの指令で血管内皮からNO(一酸化窒素)が放出され、NOによってcGMP(環状グアノシン一リン酸)が増え、海綿体平滑筋がゆるむことで、海綿体に血液が流れ込み勃起が起こります。さらに、流れ込んだ血液を保持する仕組みが働くことで、勃起の状態が保たれます。脳や神経、血管のいずれかがうまく働かないと、勃起力の低下や中折れの症状につながることがあるでしょう。
「勃起力が弱い」と感じる状態には、硬さが足りないケースと途中で萎えてしまうケースがあります。具体的には、十分に硬くならず挿入が難しいと感じるケースや、勃起はするものの途中で中折れしてしまう現象が該当します。こうした状態が一時的なものであれば、体調や疲れが影響していることもあるでしょう。一方で、陰茎の硬さが不十分だったり中折れしたりする場面が続く場合は、勃起障害(ED)が疑われます。
勃起力が弱い状態が続く場合、勃起障害(ED)の可能性があります。EDとは、十分な勃起が得られない、または勃起を維持できないため、満足な性行為を行えない状態のことです。EDの原因は、次の4つに分類されます。
器質性EDは、血管や神経の障害、内分泌異常などにより引き起こされる勃起障害です。血管障害によるEDは、動脈硬化が主な原因とされています。動脈硬化では血管が硬くなって十分に広がらないため、勃起に必要な血液が陰茎に届きにくくなります。 神経障害によるEDは、糖尿病が原因の一つです。糖尿病による神経障害では、脳からの性的興奮が陰茎に伝わりにくくなるほか、血管にも影響が及びます。そのほか、脊髄損傷や脳卒中なども神経障害の原因となります。
心因性EDは、精神的な要因によって勃起力が弱くなるEDです。原因としては、強いストレスやパートナーとの関係の悪化、性行為の失敗体験、緊張・不安などが挙げられます。自慰行為では問題なく勃起するものの、パートナーとの性行為では勃起が難しい場合、心因性EDの可能性が考えられます。勃起は副交感神経が優位でリラックスしているときに起こるため、緊張状態が続くと勃起しづらくなることがあるのです。一度失敗を経験すると、「また失敗するかもしれない」という不安がさらなる勃起力の低下を招くこともあるでしょう。
薬剤性EDは、服用している薬の副作用によって勃起力が弱くなる状態です。原因となる薬剤には、抗不安薬や抗うつ薬などの中枢神経に作用する薬、筋弛緩薬などの末梢神経に作用する薬があります。また、抗不整脈薬や血管拡張剤などの循環器系に作用する薬が関係するケースもあります。薬剤性EDの可能性があっても、自己判断で服用中の薬を中止したり量を減らしたりすることは避けてください。健康状態が悪化する可能性があるため、まずは主治医に相談しましょう。
混合性EDは、器質性・心因性・薬剤性のいずれかが重なって発生する勃起障害です。たとえば、薬の副作用による中折れがトラウマとなり、不安や緊張から心因性EDを併発するケースがあります。また、軽度の器質性EDによる中折れをきっかけに、心理的な負担が重なって心因性EDを発症することもあります。EDは複数の原因が重なって起こることが多いとされており、どの原因が主なのかを調べることが大切です。
勃起力が弱いか気になるときは、勃起の硬さや朝勃ちの状態を目安にセルフチェックできます。自分の勃起がどの段階にあるかを知るのが、対処法を選ぶための第一歩です。 ここでは、勃起の硬さスケールと朝勃ちの2つの視点からチェックする方法を紹介します。
勃起の硬さは、医療現場でも使われる5段階のスケールで把握できます。勃起の硬さスケール(EHS)は、勃起の状態を5つの段階で表したものです。
レベル3以下の状態が続く場合は、血流やコンディションの低下が考えられます。あくまで目安として、自分の状態を確認してみましょう。
朝勃ちの有無は、勃起力が弱い要因を推測する手がかりになります。朝勃ちは、睡眠中から起床時にかけて自然に起こる勃起のことです。朝勃ちがあるのに性行為のときだけうまくいかない場合は、心理的な要因が関係している可能性があります。一方で、朝勃ちそのものが減ってきた場合は、血管や神経、ホルモンといった身体的な要因が関わっている可能性があります。ただし、これも目安の一つであり、気になる場合は医師に相談してください。

セルフチェックはあくまで目安であり、EDかどうかを確定するものではありません。硬さの低下や中折れが続く場合は、背景に糖尿病や高血圧などが隠れていることもあります。気になる症状が続くときは、自己判断せず医療機関の受診を検討しましょう。
勃起力が弱いときは、生活習慣の改善や適切な治療によって改善が期待できます。勃起力は、血流やホルモンの状態と深く関わっています。
勃起力を保つには、栄養バランスのとれた食事が土台になります。主食・主菜・副菜・汁物を組み合わせ、食材の種類をできるだけ多くしてバランス良く食べましょう。毎日3食のバランスの良い食事は、男性ホルモンの分泌や健康な血管の維持を支えます。そのうえで、次の栄養素を意識して取り入れると良いでしょう。
| 栄養素 | 働き | 多く含む食材の例 |
|---|---|---|
| 亜鉛 | テストステロンの分泌に関与 | 牡蠣、レバー |
| シトルリン | 血管の健康に関わる | スイカ、メロン |
| DHA・EPA | 血液の健康をサポート | イワシ、サバ |
| ビタミンE | 体の巡りをサポート | アーモンド、アボカド |
一方で、高カロリーの食事や動物性脂肪の多い食事は控えめにしましょう。動脈硬化を招き、血流が悪くなってEDの原因となることがあります。
適度な運動は血流を改善し、勃起力を助けるセルフケアの一つです。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は血流を促すため、陰茎にも血液が届きやすくなる場合があります。 また、骨盤底筋を鍛えるケーゲル体操は、勃起の維持に関わる筋肉に働きかけます。
さらに、スクワットなどで下半身を鍛えると、血流の改善やテストステロンの維持が期待できます。いずれも効果の現れ方には個人差があるため、無理のない範囲で続けることが大切です。
参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
過度な飲酒や喫煙は、勃起力を低下させる要因になります。アルコールを過剰に摂取すると、中枢神経の働きが抑えられ、性的興奮が陰茎に伝わりにくくなるためです。 また、タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、一酸化炭素は血液が酸素を運ぶ力を低下させます。勃起力に悪影響を与えないためにも、飲酒は適量を心がけ、禁煙を目指すことが大切です。
質の良い睡眠は、勃起力を保つうえで大切です。睡眠中は、性機能に関わるホルモンであるテストステロンが多く分泌されます。睡眠不足や睡眠の質の低下が続くと、テストステロンの分泌が減り、勃起力が弱まることにつながりかねません。睡眠の質を高めるためにも、毎日できるだけ同じ時刻に就寝・起床し、就寝前のスマートフォンの使用を控えましょう。日中に適度な運動を取り入れることも、睡眠の質を高める助けになります。
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
陰茎の硬さや中折れといった勃起の悩みが続く場合は、ED治療薬の服用が選択肢になります。ED治療薬は、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)の働きを抑え、陰茎への血流を促すことで勃起をサポートする医薬品です。薬を飲むと自然に勃起するわけではなく、性的刺激を受けた際の勃起力を補助する役割を果たします。ED治療薬を入手するには医師の処方が必要です。持病や服用中の薬がある場合は、必ず医師に申告してください。
日本国内で承認されているED治療薬は、バイアグラ(シルデナフィル)・バルデナフィル(レビトラジェネリック)・シアリス(タダラフィル)の3種類です。いずれもPDE5(ホスホジエステラーゼ5)の働きを抑え、陰茎の血流を促すことで勃起をサポートします。各治療薬には効果の持続時間や食事の影響などに違いがあります。
ここでは、それぞれの特徴を解説します。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ 添付文書」
バイアグラは、日本で最初に承認されたED治療薬です。有効成分はシルデナフィルで、服用後30分〜1時間ほどで効果が現れます。持続時間は服用後3〜5時間ほどで、推奨されるタイミングは性行為の約1時間前が目安です。バイアグラは食事の影響を受けやすいため、空腹時の服用が望ましいとされています。
バルデナフィルは、レビトラのジェネリック医薬品として流通しているED治療薬です。有効成分はバルデナフィルで、性行為の約1時間前の服用が推奨されます。効果の持続時間は服用後およそ4〜8時間です。食事の影響を受けにくいとされていますが、より効果を得たい場合は空腹時の服用が望ましいでしょう。なお、先発品のレビトラは2021年に販売が中止されており、現在はジェネリック医薬品が流通しています。
シアリスは、効果の持続時間が長いことが特徴のED治療薬です。有効成分はタダラフィルで、効果はおよそ30〜36時間持続します。長時間の効果により、より自然なタイミングで性行為を行いやすくなります。性行為の約1時間前の服用が目安ですが、約3時間前の服用が推奨される場合もあります。服用当日は、グレープフルーツなどの摂取を避けてください。
ED治療薬には、血管を広げる作用にともなう副作用が報告されています。副作用の現れ方には個人差があります。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ 添付文書」
ED治療薬の主な副作用は、頭痛やほてり、鼻づまりです。これらは血管が広がることで生じます。頭痛は安静にすることで和らぐことがあるほか、顔のほてりも時間の経過とともに落ち着く場合があります。鼻づまりが気になる場合は、点鼻薬を検討しましょう。ただし、副作用が続いたり重く感じたりしたときは医師に相談してください。
ED治療薬の副作用として、まれに消化器症状や視覚症状が現れるケースがあります。消化器症状には消化不良や腹痛などがあり、視覚症状には目の充血や見え方の変化などがあります。これらの症状はまれに報告されるものですが、異常を感じた場合は医師に相談しましょう。
既往歴や持病によっては、ED治療薬を服用できない場合があります。ED治療薬の服用を検討している場合は、事前に確認しておきましょう。服用できないとされているのは、次のような人です。
また、心血管系疾患がある人は性行為自体の可否を含めて、医師と相談したうえで判断することが大切です。上記に該当する場合や持病がある場合は、必ず医師に申告してください。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ 添付文書」
特定の薬とED治療薬を併用すると、急激な血圧低下を招くおそれがあります。次の薬を服用している場合は、ED治療薬を使用できません。
硝酸剤は飲み薬だけでなく、貼り薬やスプレーに含まれることもあります。使用している薬がある場合は、必ず医師に伝えてください。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ 添付文書」
勃起力が弱くなる要因は、年代によって傾向が異なります。年代ごとの傾向を知っておくと、早めの対策を検討しやすくなるでしょう。ここでは、20〜30代と40代以降に分けて解説します。
20〜30代で勃起力が弱いと感じる場合、心理的な要因や生活習慣が関係していることがあります。若い世代では、血管や神経の障害よりも、仕事の疲れや睡眠不足、緊張やプレッシャーといった要因が重なって勃起しにくくなるケースが考えられます。生活リズムを整え、ストレスをためこまないことが対策の一つです。症状が続く場合は、年齢にかかわらず医師に相談してみましょう。
40代以降は、加齢に伴う動脈硬化や生活習慣病の影響で勃起力が低下しやすくなる傾向にあります。加齢によって血管の柔軟性が低下し、テストステロンの分泌も減っていきやすいためです。さらに、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が重なると、血流が悪くなり勃起力にも影響する場合があります。年齢とともに勃起の変化を感じている方は、生活習慣の見直しに加え、必要に応じて医療機関の受診を検討してみましょう。
勃起力が弱い状態が続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。EDの症状を放置すると、症状が進むことがあります。ここでは、受診の目安と相談先について解説します。
勃起の硬さが足りない、勃起を維持できない状態が続く場合は、受診を検討しましょう。次のようなサインが続く場合は、EDの可能性があります。
EDは動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病と関わりが深く、治療が遅れると回復に時間がかかることがあります。「EDかもしれない」と感じたら、早めに医師に相談してみましょう。
通院に抵抗がある場合は、オンライン診療も相談先の選択肢になります。オンライン診療は、スマートフォンやパソコンでのビデオ通話で医師の診察を受けられるサービスです。自宅など好きな場所で受診できるため、プライバシーを確保しながら相談できます。病院に行く時間がとれない人や、待ち時間を避けたい人にも向いています。勃起力が弱いと感じて医師に相談したいものの通院にためらいがある場合は、オンライン診療の利用を検討してみてください。
勃起力は自力で回復できますか?
生活習慣が原因の場合、食事や運動、睡眠の見直しで改善が期待できることがあります。ただし、EDが背景にある場合はセルフケアだけでは改善が難しく、医療機関での治療が選択肢になります。
勃起力が弱いのは年齢のせいですか?
加齢は要因の一つになりえますが、原因は年齢だけではありません。生活習慣やストレス、持病なども関係します。年齢にかかわらず対処できる方法があるため、気になる場合は医師に相談してみましょう。
市販の精力剤やサプリで勃起力は改善しますか?
市販のサプリや精力剤は栄養補助を目的としたもので、医薬品のような効果を示すものではありません。より変化を期待する場合は、医師の診察を受けたうえでのED治療薬が選択肢になります。また、ネット通販での個人輸入は品質や安全性を確認しにくいため注意が必要です。
勃起力とは、陰茎が十分に硬化し、性行為が終わるまでその状態を維持し続ける力のことです。勃起は、性的刺激を受け、脳からの指令で陰茎に血液が流れ込むことで起こります。そのため、勃起力が弱いと感じる原因には血管や神経の状態、心理的な要因、生活習慣など、さまざまな要素が考えられます。まずは食事や運動、睡眠を見直し、飲酒や喫煙の習慣を整えることが大切です。 また、EDには器質性ED・心因性ED・薬剤性ED・混合性EDの4パターンがあり、これらが原因となっている場合は治療が必要になるケースもあります。医療機関を受診することでED治療薬の服用といった選択肢を相談できるでしょう。勃起力をセルフチェックしてみて気になる症状があったときは、年齢にかかわらず医師へ相談してください。
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ 添付文書」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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