更新日:2026年08月31日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
ケーゲル体操で肛門周辺の骨盤底筋を鍛えることが、ED・早漏・尿漏れのセルフケアになる場合があります。トレーニングによって性機能の悩みを直接改善できるわけではありませんが、血流の促進や射精のコントロール力向上が期待できます。ケーゲル体操を行う際は、適切なフォームや推奨される回数、手順を意識し、継続的に実践しましょう。効果には個人差がありますが、3ヶ月以上続けることで変化を感じられたというケースも報告されています。
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ケーゲル体操とは、骨盤の底部に位置する「骨盤底筋」を意識的に締めたり緩めたりする動作を繰り返すトレーニングです。女性の尿漏れ対策として知られていますが、男性が行うことでEDや早漏、尿漏れのケアにつながる場合があります。
ケーゲル体操とは、肛門を意識的に締めたり緩めたりすることで骨盤底筋を鍛えるトレーニングです。1940年代に米国の産婦人科医Arnold Kegelが考案し、女性の腹圧性尿失禁の改善法として広まりました。特別な器具は不要で、仰向け・座位・立位など姿勢を問わずに実践できます。肛門・尿道口周辺を「キュッと締めて内側に引き上げ、ゆっくり緩める」だけというシンプルな動作が特徴です。骨盤底筋の位置を正確に意識して動かすことが大切なため、まずは正しい感覚を掴むことから始めましょう。
男性の骨盤底筋は、膀胱・前立腺・直腸を下から支えながら、勃起・射精・排尿をコントロールする筋肉群です。主な構成筋は以下の3つです。
ケーゲル体操で骨盤底筋を鍛えることで、ED・早漏・尿漏れなどへの変化が期待できます。
| 主なメカニズム | |
|---|---|
| ED(勃起不全) | 球海綿体筋・坐骨海綿体筋を鍛えることで静脈閉塞機能が改善し、勃起を維持するサポートが期待できる |
| 早漏(射精コントロール) | 球海綿体筋を意識的にコントロールし、射精タイミングの調整を目指す |
| 尿漏れ・頻尿 | 骨盤底筋の強化で膀胱・尿道の支持機能が向上し、尿漏れや頻尿の抑制につながる場合がある |
骨盤底筋を鍛えることで、勃起の維持に関わる静脈閉塞機能へのアプローチが期待できます。勃起を維持するには、海綿体に流れ込んだ血液を「閉じ込める」ことが必要です。球海綿体筋・坐骨海綿体筋はこの静脈閉塞を担う筋肉であり、衰えると陰茎の血液が漏れ出して勃起が弱まります。
骨盤底筋トレーニングを3ヶ月継続する研究では、実施した男性のうち一定の割合が勃起機能の改善を示したと報告されています。ただし、これらの効果を示した研究の多くは規模が小さく方法論的な限界があり、勃起機能の改善効果については今後さらに質の高い研究による検証が必要です。
参考:National Library of Medicine「Pelvic floor exercises for erectile dysfunction」
骨盤底筋のコントロール力が高まると、射精のタイミングを意識しやすくなる可能性があります。射精は骨盤底筋の収縮・弛緩と密接に関わっており、筋力が弱いと収縮の制御が難しくなるためです。
骨盤底筋を締める・緩める動作を意識的に繰り返せるようになると、射精反射をある程度コントロールしやすくなる場合があります。ただし、2026年に報告されたメタ解析では、骨盤底筋トレーニング単独の効果は、早漏治療薬(ダポキセチン)や、他の方法(横隔膜呼吸法など)と組み合わせた場合と比べて小さいことが示されています。より高い効果を求める場合は、自己判断でトレーニングのみを続けるのではなく、医師に相談し薬物療法などの選択肢も検討することが勧められます。
参考:National Library of Medicine「Efficacy of pelvic floor muscle training in the management of premature ejaculation: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials」
骨盤底筋を強化することで、尿漏れ・頻尿の予防や対策にも役立つ場合があります。泌尿器科といった医療機関でもケーゲル体操を取り入れているケースがあり、前立腺がんや前立腺肥大症の手術後に失禁対策として行われています。急に強い尿意を感じたり頻尿になったりする「過活動膀胱」の対策にも役立つ可能性があり、取り入れられているトレーニングの一つです。
ケーゲル体操の効果を引き出すには、骨盤底筋の位置を正確に意識することが前提です。まず感覚を掴み、仰向けの基本姿勢から始めましょう。
骨盤底筋の位置を意識するには、排尿を途中で止めるときの感覚を参考にするのが分かりやすい方法です。排尿中に尿を止めようとしたときに、肛門や尿道口周辺に力が入る感触が骨盤底筋の収縮です。感触が分かったら、トレーニング時は「肛門を締めて内側に引き上げるイメージ」で動かしてみましょう。その際は、ほかの筋肉が動いていると骨盤底筋への刺激が分散されるため、腹筋・臀部・太ももに力が入っていないかを確認するのがポイントです。
ケーゲル体操を始める際は、仰向けに寝た姿勢から行うと骨盤底筋を意識しやすくなります。
仰向けでのケーゲル体操では、膝を90度ほど立てて行うのがコツです。さらに、以下のように筋肉を引き締める手順や秒数を意識してみましょう。
| ステップ | 動作 | 秒数 |
|---|---|---|
| 準備 | 仰向けに寝て膝を立て、全身の力を抜く | ― |
| 1 | 息を吐きながら肛門・尿道口をキュッと締め、内側に引き上げる | 5秒 |
| 2 | 息を吸いながらゆっくり力を抜いて緩める | 5秒 |
| 繰り返し | 上記1〜2を10回繰り返す(1セット)。1日3セットを目安に行う | ― |
体勢のキープが難しい場合は、3秒程度から始めて少しずつ延ばしても構いません。腹筋や太ももに力が入っていないかを確認しながら進めましょう。
仰向けのケーゲル体操に慣れてきたら、座位や立位でのトレーニングにも挑戦してみましょう。座位では椅子に浅く腰掛けて背筋を伸ばし、同じく肛門の締める・緩める動作を繰り返します。立位の場合は軽く脚を開いて立ち、呼吸を意識しながら行うのがポイントです。
どちらの姿勢でも通勤中やデスクワークなどの合間で日常の隙間時間に取り入れやすいのがメリットです。1回あたりの時間は数分程度なので、習慣として継続してみましょう。
ケーゲル体操の効果を高めるには、正しいフォームを維持しながら長く継続することが大切です。次の2つのポイントを押さえて実践してみましょう。
ケーゲル体操では「息を吐きながら締める・息を吸いながら緩める」という呼吸法が基本です。息を止めてしまうと血圧が上昇しやすくなり、腹筋や太ももなど不要な筋肉にも力が入りやすくなります。意識を骨盤底筋だけに集中させ、腹筋が動いていないかお腹に手を当てて確認しながら行うのも有効です。力を入れる部位が腹筋や臀部にずれていると、骨盤底筋への刺激が伝わりません。正しい部位に意識が向いているかを都度確認しながら進めましょう。
骨盤底筋の変化を実感するには、1日3セット・週5日以上を3ヶ月以上継続することが目安です。個人差はありますが、3週間〜数ヶ月で変化を感じ始めるケースが報告されています。焦らず地道に取り組むことが大切です。 ただし、毎日やりすぎると筋疲労が起こる可能性があるため、週1〜2日は休息日を設けることも考慮してください。「朝の歯磨きのついでに行う」といった日常の習慣とセットにすると継続しやすくなります。
ケーゲル体操を始める際に、EDへの影響やデメリットを気にする方がいるかもしれません。読者から寄せられやすい質問をまとめました。
ケーゲル体操でEDは改善できますか?
骨盤底筋の強化は骨盤底筋の強化はEDの一因となる静脈閉塞機能に関わるとされていますが、必ず症状に変化が現れるわけではありません。一部の小規模な研究では勃起機能の向上の可能性が示唆されているものの、これらの効果を示した研究の多くは規模が小さく方法論的な限界があり、勃起の硬さの改善効果については今後さらに質の高い研究による検証が必要です。陰茎の硬さや勃起の維持に悩みがある場合は、医師への相談を検討してください。
ケーゲル体操は毎日やり過ぎると逆効果になりますか?
ケーゲル体操を過度に行うと、筋肉の疲労や違和感を招くことがあります。違和感がある場合は中止し、必要に応じて医師にご相談ください。
ケーゲル体操は肛門周辺の筋肉を締めたり緩めたりするトレーニングで、骨盤底筋を鍛えられます。勃起の維持を担う球海綿体筋や坐骨海綿体筋にアプローチでき、EDや早漏の症状のケアにも役立つ可能性があるほか、尿漏れしにくい体づくりにも役立ちます。
ケーゲル体操を行う際は、推奨される仰向けの姿勢や秒数を意識するのが大切です。1日3セットを週5日以上行い、3ヶ月以上継続することで効果を引き出しやすくなるでしょう。ただし、効果には個人差があるほか、ED・早漏・尿漏れの原因には血管障害や神経障害が関わっている可能性があります。ケーゲル体操だけでは改善しない可能性があるため、症状が気になるときは医療機関の受診を検討することも重要です。
National Library of Medicine「Pelvic floor exercises for erectile dysfunction」
National Library of Medicine「Efficacy of pelvic floor muscle training in the management of premature ejaculation: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials」
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