更新日:2026年08月26日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
うつとEDは関係が深く、うつ病のある人ではEDが、EDのある人では抑うつ症状がみられやすいとされています。うつでEDになる原因は、抑うつ症状や抗うつ剤の影響、テストステロンの低下などです。うつは自慰行為(オナニー)への意欲などにも影響しやすくなります。 また、抗うつ剤がEDの原因と思われる場合でも、自己判断での服用中止は避けましょう。EDは自信喪失にもつながることがあるため、うつでEDになった際は早めに医師への相談を検討しましょう。
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うつとEDは、互いに影響し合う関係にあります。うつ病のある人ではEDが、EDのある人では抑うつ症状がみられやすいとされており、併発するケースも少なくありません。
うつは、性的な意欲や勃起機能を低下させることでEDを引き起こします。 うつ病の主な症状は、気分の落ち込みや意欲低下です。これらの症状により性的欲求への関心が薄れ、性的刺激に対する反応が鈍くなることがあります。 加えて、うつ病は男性ホルモン(テストステロン)の分泌を低下させ、勃起機能に影響することもあります。詳細は後述しますが、うつによるEDは心因性EDを中心とした、上記のような複合的なメカニズムで生じるのです。
EDを抱える人はその後のうつとの関連が高いことが報告されています。EDに関する精神的なストレスで考えられる事柄は、以下のとおりです。
これらによって、うつ症状や心理的負担が強まる場合があります。
参考:National Library of Medicine「Relationships between erectile dysfunction, depression, and anxiety in Japanese subjects」「Bidirectional relationship between depression and erectile dysfunction」
うつでEDになる主な原因には、以下が考えられます。
実際には、これらが重なり合って生じる場合が多いです。
EDの原因になり得るのが、抑うつ症状による意欲の低下と感覚の鈍麻です。 うつ病は気分が落ち込み、何事にも興味や関心がもてなくなる点が特徴です。これは性欲にも同様に現れ、人によっては性行為や自慰行為(オナニー)への意欲が薄れることがあります。 また、感覚が鈍麻することで性的な刺激を受けても脳が十分に反応できず、勃起に必要なcGMP(環状グアノシン一リン酸)という物質が出づらくなります。その結果、生じるのが心因性EDです。
うつ病の治療に使われる抗うつ剤の中には、薬剤性EDを引き起こすものがあります。 特に、抗うつ剤の一種であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、中枢神経系のセロトニンを増加させることで性欲に関わるドーパミンの作用を抑制し、性機能障害の原因になることが知られています。
以下の表に、主なSSRIでの性機能障害の発症率をまとめました。
| 薬剤名 | 性機能障害の発症率 |
|---|---|
| シタロプラム | 72.70% |
| パロキセチン | 70.70% |
| セルトラリン | 62.90% |
| フルボキサミン | 62.30% |
| フルオキセチン | 57.70% |
いずれも50%以上の高い発症率であることが分かります。
ただし、抗うつ剤の服用中にEDの症状が現れた場合でも、自己判断での服用中止は避けましょう。まずは、抗うつ剤を処方した医師に相談することが大切です。
参考:National Library of Medicine「Antidepressant-associated sexual dysfunction: impact, effects, and treatment」
うつや慢性的なストレスはテストステロンの分泌を低下させ、EDリスクを高めます。 テストステロンは、性欲や勃起機能に深く関わる男性ホルモンの一種です。うつ状態が続くと、ストレスホルモン(コルチゾール)の影響でテストステロンの産生が抑制されることがあります。 テストステロンが低下すると、勃起に必要なcGMPの産生力が低下し、EDのリスクが高まります。
うつは性欲や勃起機能だけでなく、自慰行為(オナニー)にも影響することがあります。自慰行為の変化は、うつによる症状やEDのサインの可能性があるため、思い当たる方は注意しましょう。
うつは性欲と快楽感覚を鈍化させるため、自慰行為の回数や意欲が減りやすくなります。 うつ病は、本来楽しめていたことへの興味や関心が失われる快感消失が起こりやすく、自慰行為への欲求も低下します。性的な刺激での喜びや興奮を感じにくくなることも原因です。 また、SSRIなどの抗うつ剤を服用している場合は、薬の作用によってオルガズムが遅延したり困難になったりする場合があります。
自慰行為のときに勃起が不十分な場合は、EDの可能性があります。
EDの主な原因は、血管障害や神経障害が関わる器質性、精神的ストレスによる心因性、薬の服用による薬剤性などです。 自慰行為中に勃起が弱かったり射精が困難だったりする場合は、器質性または薬剤性EDが関わっている可能性があります。
一方、自慰行為のときはある程度勃起できても、パートナーとの性行為で上手くいかないケースでは、心理的なプレッシャーが影響した心因性EDの可能性が考えられます。 自慰行為の変化が気になる場合は、ED治療を行っている医師に相談しましょう。原因の特定や適切な対処につながります。
うつでEDになったときは、自己判断で対処しようとせず、早めに医師への相談を検討しましょう。うつとEDは異なる要因が重なっていることが多いため、原因に応じた対処が必要です。
うつの治療を継続して精神症状を安定させることが、性機能回復の前提です。
うつの治療として行われる薬物療法や精神療法(カウンセリング)、環境調整(ストレス源の除去)などを継続することで、抑うつ症状の改善が期待できます。心因性EDの場合は、うつの治療が進むにつれてEDが改善するケースもあります。
また、精神症状の安定や血管の健康維持には、バランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動などの生活習慣の改善も大切です。
抗うつ剤の変更や減量を検討する場合は、必ず医師に相談しましょう。
「EDが気になる」と医師に伝えることで、性機能への影響が少ない抗うつ剤への変更や、用量の調整を検討してもらえる場合があります。
ただし、自己判断で抗うつ剤を中断することは避けてください。急に抗うつ剤の服用を止めると頭痛やめまいなどの離脱症状が起こったり、うつ症状が悪化したりするリスクがあります。抗うつ剤の調整は、必ず医師の判断のもとで行いましょう。
うつの治療を行いながら、EDも治療できる場合があります。
ED治療の第一選択は、勃起をサポートするPDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬です。代表的な薬はシルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)、タダラフィル(シアリス)などです。
これらは一般的にうつの治療薬と併用可能なので、うつの治療中でも使用できます。ただし、硝酸剤(ニトログリセリン)などの併用禁忌薬があり、持病や既往歴で服用できない人もいるため、服用前に必ず医師に確認しましょう。

ED治療を受けるにあたっては、オンライン診療を通じて医師に相談する方法もあります。デリケートな悩みでも、自宅から医師へ相談できます。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「タダラフィル錠 添付文書」
最後は、うつとEDに関するよくある質問に回答します。さらに詳しく知りたい方は、参考にしてください。
うつ病で自慰行為(オナニー)の頻度が下がるのはEDですか?
性欲の低下だけでは必ずしもEDとは言えませんが、EDのサインである可能性もあります。うつ病による性欲低下や感覚の鈍麻、または抗うつ剤の影響で自慰行為への意欲が減ることがあります。自慰行為中に勃起が不十分だと感じる場合は、ED治療を行っている医師への相談が選択肢に入ります。
うつが改善すればEDも自然に回復しますか?
うつによる心因性EDの場合は、うつの治療が進むにつれてEDが改善することがあります。ただし、抗うつ剤による薬剤性EDや器質性EDが重なっている場合は、うつが改善しても治らないことがあります。EDの症状が続く場合は、ED治療を行っている医師に相談して原因を特定したうえで対処することが大切です。
うつ病のある人ではEDが、EDのある人では抑うつ症状がみられやすいことが報告されています。うつでEDになる原因は、抑うつ症状や抗うつ剤の影響、テストステロンの低下などです。また、うつは自慰行為(オナニー)への意欲や感覚にも影響することがあります。自慰行為中に勃起が不十分な場合は、EDの可能性があります。
また、抗うつ剤がEDの原因だと感じても、自己判断で服用を中断せず、処方した医師に相談しましょう。
一般的に、ED治療薬はうつの治療薬と併用できます。うつとEDは連動していることもあるため、双方を並行して治療するとスムーズな治療につながる可能性があります。
National Library of Medicine「Antidepressant-associated sexual dysfunction: impact, effects, and treatment」 「Relationships between erectile dysfunction, depression, and anxiety in Japanese subjects」 「Bidirectional relationship between depression and erectile dysfunction」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「タダラフィル錠 添付文書」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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