更新日:2026年08月31日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
最近、勃起力の低下を感じ「タバコが原因では」と気になっている方もいるかもしれません。喫煙はニコチンなどの作用で血流を妨げ、EDのリスクを高める要因の一つです。一方、禁煙により血管の状態が回復し、勃起力の改善が期待できると報告されています。この記事では、喫煙がEDを招く理由や禁煙の効果、加熱式タバコの影響、禁煙で改善しない場合のED治療について解説します。気になる方は医師への相談もご検討ください。
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喫煙はEDの原因の一つになると報告されています。EDは勃起に必要な血液が陰茎へ十分に流れ込まなくなることなどで起こりますが、タバコに含まれるニコチンなどの成分は血流を妨げる方向に働きます。ここでは、喫煙とEDの関係を示すデータから確認していきます。
喫煙者は非喫煙者と比べてEDのリスクが高いことが報告されています。複数の研究をまとめた解析では、喫煙者は非喫煙者と比べて約1.5倍EDになりやすいことや、喫煙本数・喫煙期間が長くなるほど、EDのリスクが高まる傾向があるとされています。喫煙が血管の状態に影響し、勃起機能を低下させる要因になると考えられているためです。
参考:National Library of Medicine「Effects of cigarette smoking on erectile dysfunction」
EDに悩む人の中には、喫煙者が一定の割合で含まれることがわかっています。1980年から2001年に行われた複数の研究を統合した解析では、一般の男性で喫煙者の割合が約28%だったのに対し、EDの症状がある男性では約40%が喫煙者だったと報告されています。これはあくまで傾向を示すデータであり、喫煙だけがEDの原因になるわけではありません。ただし、喫煙とEDに何らかの関係があることを示す一つの手がかりといえます。
参考:National Library of Medicine「The link between smoking and impotence: two decades of evidence」
タバコで勃起しにくくなる主な理由は、喫煙が陰茎への血流や神経に影響するためです。勃起は陰茎に血液が流れ込むことで起こるため、血流を妨げる要因は勃起機能の低下につながります。ここでは、喫煙が勃起に影響する仕組みを4つに分けて解説します。
ニコチンには血管を収縮させる作用があり、陰茎への血流を低下させる要因になります。勃起は陰茎の血管が広がって血液が流れ込むことで起こるため、血管が収縮すると必要な血液を取り込みにくくなるのが特徴です。その結果、性的刺激を受けても勃起しにくい状態につながると考えられています。喫煙のたびに血管が収縮する状態が繰り返される点に注意が必要です。
長期間の喫煙は動脈硬化を進め、陰茎への血流を妨げる要因になります。タバコに含まれる有害物質は血管を傷つけ、血管が硬くなったり狭くなったりする動脈硬化の一因になるためです。陰茎の血管は体の中でも特に細いため、動脈硬化の影響を受けやすいと考えられています。動脈硬化はゆっくり進み、いったん進むと元に戻りにくいため、早い段階での対策が大切です。
喫煙は交感神経を優位にし、勃起が起こりにくい状態を招くことがあります。勃起は、リラックスしているときに働く副交感神経が関わって起こる反応です。ED診療ガイドラインでは、喫煙が勃起機能に影響を与える機序として、血管内皮の障害、陰茎への血流障害、交感神経の刺激などが示されています。喫煙による神経への影響も、勃起のしにくさに関わると考えられています。
喫煙本数が多いほど、EDのリスクは高まる可能性があります。喫煙量が増えるほどニコチンなどの成分を多く取り込むことになり、血管への影響が積み重なると考えられているためです。ここでは、喫煙本数とEDリスクの関係を示すデータを確認します。
1日の喫煙本数が多いほど、EDのリスクが高まると報告されています。血管疾患のない男性を対象にした海外の調査によると、タバコを吸わない人と比べた喫煙本数別のEDリスクは次のとおりです。
このように、喫煙本数が多いほどEDのリスクが高くなる傾向が報告されています。あくまで海外のデータではあるため、喫煙量と勃起機能の関係を考えるうえで参考程度にとどめておきましょう。
参考:National Library of Medicine「Cigarette smoking and erectile dysfunction among Chinese men without clinical vascular disease」
血管や神経のダメージで起こる器質性EDの背景に、喫煙がある場合があります。器質性EDは、動脈硬化や血管内皮機能の低下などによって陰茎への血流が妨げられるタイプのEDです。喫煙はこうした血管の変化を進める要因の一つとされているため、長く喫煙を続けている方は器質性EDのリスクにもさらされている可能性があります。EDの原因は複数が重なることも少なくないため、気になる場合は医師に相談することが大切です。
禁煙をすると、勃起力の改善が期待できると報告されています。喫煙によって妨げられていた血流が、禁煙によって回復に向かうと考えられているためです。ここでは、禁煙がEDの改善につながる理由と、研究で報告されている内容を確認します。
禁煙によって血管内皮機能が回復に向かうため、血流の改善が期待できます。血管内皮機能とは、血管を広げたり縮めたりする血管本来の働きのことです。喫煙で低下したこの機能が禁煙によって回復に向かえば、陰茎への血流も改善しやすくなると考えられています。EDは、AGA(男性型脱毛症)と異なり、生活習慣の改善が勃起機能の回復につながり得るとされている点も特徴です。
禁煙によってEDが改善したとする報告もあります。EDを訴える喫煙者に禁煙プログラムを行った調査では、1年後も禁煙が続いていた人の約25%でEDの改善がみられた一方、禁煙に失敗した人ではEDの改善はみられなかったと報告されています。
すべての人に当てはまるわけではありませんが、禁煙がEDの改善に関わる可能性を示す結果です。禁煙は勃起機能だけでなく、ほかの健康面にもつながるため、取り組む価値があるといえます。
参考:National Library of Medicine「Do cigarette smokers with erectile dysfunction benefit from stopping?」

喫煙はEDの原因の一つですが、EDの原因は器質性・心因性・薬剤性などが複数重なることも少なくありません。EDは生活習慣の改善が勃起機能の回復につながり得るとされていますが、禁煙しても変化を感じない場合や不安が残る場合は、自己判断で放置せず医師に相談してください。原因に合わせた対処を検討することが大切です。
加熱式タバコや電子タバコも、EDのリスクになりうると考えられています。EDに関わるのは主にニコチンによる血管への影響ですが、加熱式タバコにもニコチンは含まれているためです。タールの量は紙巻きタバコより少ないとされますが、ニコチンによる血管収縮の影響は残ると考えられています。
電子タバコについてはEDとの関連がはっきり示されていない部分もありますが、ニコチンを含む製品では同様のリスクが指摘されているのが現状です。勃起への影響を考えるなら、本数を減らしたり種類を変えたりするよりも、禁煙が選択肢として挙げられます。具体的なアプローチについては医師へご相談ください。
禁煙をしても改善しない場合は、ED治療も選択肢の一つになります。喫煙はEDの原因の一つに過ぎず、ほかの要因が関わっている場合は禁煙だけで改善しないこともあるためです。ここでは、ED治療薬による治療と、生活習慣の改善との併用について解説します。

ED治療では、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬と呼ばれるED治療薬が用いられます。国内で承認されているED治療薬には、バイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)があります。これらはPDE5の働きを抑えて陰茎への血流をサポートし、勃起を助ける薬です。
薬を飲めば自然に勃起するのではなく、性的刺激を受けたときに勃起する力を補う役割を持ちます。硝酸剤など併用できない薬もあるため、必ず医師の診察を受けたうえで処方を受ける必要があります。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「タダラフィル錠 添付文書」
ED治療薬による治療と、禁煙などの生活習慣の改善を併せて行う方法もあります。喫煙がEDの原因の一つになっている場合、禁煙に取り組みながら治療を受けることで、血管の状態と勃起機能の両面からアプローチが可能です。どのように進めると良いかは、医師に相談しながら決めていくと良いでしょう。
喫煙とEDについて、よくある質問をまとめました。Q&A形式で回答するので、ぜひご覧ください。
禁煙するとどれくらいでEDは改善しますか?
改善までの期間には個人差があります。禁煙によって血管の状態が回復するには時間がかかるとされ、数ヶ月単位で経過をみることが多いです。変化を感じない場合は医師に相談してください。
タバコは性欲や妊活にも影響しますか?
喫煙が精子の質に影響する可能性を示した研究があり、妊活の面でも注意が必要とされています。性欲との関係は明確になっていない部分もあります。妊活を考える場合は医師に相談してください。
タバコの本数を減らすだけでもEDの改善に効果はありますか?
喫煙本数が多いほどEDのリスクが高まると報告されているため、本数を減らすことにも一定の意味はあると考えられます。ただし、ニコチンの影響を抑えるには、禁煙が選択肢として挙げられます。具体的な進め方については医師へご相談ください。
喫煙はニコチンなどの作用で血流を妨げ、EDのリスクを高める要因とされていますが、禁煙によって血管の状態が回復し、勃起力の改善が期待できると報告されています。まずは禁煙に取り組むことが、勃起機能にとっても全身の健康にとっても大切な一歩になります。
ただし、EDの原因は一つではないため、禁煙しても変化を感じない場合や不安が残る場合もあるかもしれません。そのようなときは一人で抱え込まず、オンライン診療なども活用しながら医師に相談し、自分に合った対処を検討してみてください。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「タダラフィル錠 添付文書」 National Library of Medicine「Cigarette smoking and erectile dysfunction among Chinese men without clinical vascular disease」 National Library of Medicine「The link between smoking and impotence: two decades of evidence」 National Library of Medicine「Effects of cigarette smoking on erectile dysfunction」 National Library of Medicine「Do cigarette smokers with erectile dysfunction benefit from stopping?」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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