更新日:2026年09月29日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「オルガズムはあるのに精液が出ない」「自慰や性行為後の排尿時に尿が白く濁る」といった変化があれば、逆行性射精かもしれません。逆行性射精は、膀胱頸部の働きが低下したり、糖尿病による神経の障害が影響したりして、精液が膀胱側へ逆流する症状です。基本的には痛みや健康被害はないとされますが、不妊の原因にはなりえます。まずは逆行性射精の基本を知り、対処法を検討してみましょう。
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逆行性射精とは、射精のときに精液が尿道から体外へ出ず、膀胱側へ逆流してしまう射精障害です。オルガズムや射精感はあるのに精液がほとんど出ないのが特徴で、パートナーとの妊娠を考えるなかで気づかれることが多い状態です。まずは逆行性射精がどのような状態なのかを整理します。
逆行性射精では、射精感やオルガズムは通常どおり感じるのに精液が体外へ出ません。精液が尿道側ではなく膀胱側へ流れ込むためで、精液が出ない状態は「ドライオーガズム(ドライオルガズム)」と呼ばれます。膀胱にたまった精液は次の排尿で尿と一緒に体外へ排出されるため、「射精のときに精液が出ず、おしっこに混じる」と感じる方もいます。
「逆流性射精障害」という言い方を見かけることがありますが、医学的な正式名称は「逆行性射精」です。精液が本来の向き(尿道側)とは逆に進む、つまり逆行することから名づけられています。検索では「逆流性射精障害」と入力されることもありますが、指している状態は同じです。呼び方の違いに惑わされず、正しい情報を確認していきましょう。
※現在レバクリでは、逆行性射精の診療を行っておりません。
逆行性射精は、精液量の減少と、射精後の尿が白く濁ることが主な症状です。射精感はあるため気づきにくいこともありますが、精液が出る量の変化がサインになります。痛みを伴わないことが多く、不妊以外の影響は基本的にないとされています。
逆行性射精では、射精のときに出る精液の量が減る、またはほとんど出なくなります。精子が膀胱側へ逆流し、本来尿道から出るはずの精液が体外に排出されにくくなるためです。以前と比べて精液の量が明らかに少なくなったと感じる場合は、逆行性射精を含むいくつかの原因が考えられます。自己判断は難しいため、気になる変化があれば泌尿器科での検査を検討しましょう。
射精後の尿が白く濁るのも、逆行性射精でよくみられる現象です。膀胱へ逆流した残りの精液が、次の排尿時に排出されるためです。射精のあとにトイレへ行くと、尿が白っぽく濁っていたり、どろっとしたものが混じっていたりすることがあります。
逆行性射精は、痛みを伴わず、不妊以外の影響は基本的にないとされています。膀胱に流れ込んだ精液は尿と一緒に排出され、体に害を及ぼしにくいためです。そのため、妊娠を希望していない場合は治療をせず経過をみることもあります。ただし、精液量の減少や尿の濁りの裏に別の病気が隠れていることもあるため、気になる症状があるときは医師への相談を検討してください。
逆行性射精の主な原因は、糖尿病による神経障害、前立腺や骨盤内の手術、一部の薬剤の影響です。いずれも膀胱頸部を閉じる働きや、それを調節する神経に影響することで起こります。原因によって改善の見込みや対処法が変わるため、原因を見極めることが大切です。
糖尿病は逆行性射精の原因の一つです。血糖値の高い状態が長く続くと末梢神経が傷つきやすくなり、膀胱頸部の収縮を調節する神経の働きが低下するためです。その結果、射精のときに膀胱頸部がうまく閉じず、精液が膀胱側へ逆流しやすくなります。糖尿病が背景にある場合は、まず血糖コントロールが大切になります。
前立腺や骨盤内の手術も逆行性射精の原因になりえます。前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術(TURP)や、精巣腫瘍などに対する後腹膜リンパ節郭清の手術では、膀胱頸部やその周囲の神経に影響が及ぶことがあります。手術の内容によっては、一時的または継続的に逆行性射精が生じることがあり、手術を受けたあとに精液量が減った場合は担当医に相談してみてください。
一部の薬剤の影響で逆行性射精が起こるケースもあります。たとえば、前立腺肥大症や排尿の症状に使われるα1遮断薬(タムスロシン、シロドシンなど)や、抗うつ薬・抗精神病薬などが挙げられます。それらには、膀胱頸部を締める働きをゆるめるものがあるためです。薬剤が原因の場合は、その薬を中止したり変更したりする方法が検討されますが、自己判断で服薬を中止するのは控えましょう。射精への影響が気になるときは処方医に相談することが大切です。
※現在レバクリでは、逆行性射精の診療を行っておりません。
逆行性射精は、射精(オルガズム)後の尿検査と問診で診断されます。膀胱へ逆流した精液を確認し、原因を切り分けることが目的です。特別な準備は少なく、泌尿器科などで受けられます。ここでは診断の流れを紹介します。
逆行性射精の診断では、オルガズムのあとに尿検査が行われます。精液が膀胱へ逆流していれば、射精後の尿の中に多くの精子が確認できるためです。強拡大の顕微鏡で一定数以上の精子が認められた場合に、逆行性射精と診断されます。尿を調べるだけで確認できるため、体への負担は少ない検査です。
逆行性射精の診察では、尿検査とあわせて問診で原因を切り分けます。糖尿病などの持病、前立腺や骨盤内の手術歴、服用中の薬によって、逆行性射精の背景や対処法が変わるためです。医師は、いつから精液量が変化したか、どのような薬を飲んでいるかなどを確認します。受診の際は、服用中の薬やお薬手帳を持参するとスムーズです。
逆行性射精の治療は、原因に応じて薬剤の見直し・薬物療法・血糖コントロールを行うのが基本です。妊娠を希望していない場合は、治療をせず経過をみることもあります。原因によって改善の見込みが異なるため、まずは状態を確認することが重要です。ここでは主な治療法を紹介します。
薬剤が原因の場合は、その薬の中止や変更が検討されます。膀胱頸部の働きをゆるめる薬をやめたり、別の薬に切り替えたりすることで、逆行性射精が改善する可能性があるためです。ただし、もとの病気の治療に必要な薬もあるため、変更は必ず処方医と相談して進めます。自己判断で中止することは、もとの疾患を悪化させるおそれがあるため避けましょう。
逆行性射精の原因や状態によっては、膀胱頸部を締める作用のある内服薬が使われることがあります。三環系抗うつ薬のイミプラミン塩酸塩などがこれにあたり、膀胱頸部の収縮を促して精液の逆流を抑えることを目的とした治療です。逆行性射精のうち一部のケースでは、こうした薬物療法で改善がみられると報告されています。ただし、改善がみられる割合は原因によって差があり、また、効果や副作用には個人差があるため、医師の管理のもとで使用するのが基本です。
高血糖による神経へのダメージが逆行性射精の一因と考えられていますが、神経障害がどの程度改善するかは個人差が大きく、血糖管理のみで症状が完全に解消するとは限りません。糖尿病の主治医と連携しながら経過をみていくことが大切です。
※現在レバクリでは、逆行性射精の診療を行っておりません。
逆行性射精があると、自然妊娠の可能性は下がりますが、妊娠が不可能というわけではありません。精液が膀胱へ逆流するため、腟内に届く精子が少なくなることが理由です。近年は、膀胱内から精子を回収して不妊治療につなげる方法もあります。妊娠を希望する場合は、早めに専門外来へ相談することが大切です。
逆行性射精でも、体外へ出る精液の量や、その中に含まれる精子の数・運動性によっては、自然妊娠にいたる場合があります。ただし、精液量が大きく減っている場合は、妊娠しにくくなると考えられます。妊娠を希望していて思うようにいかないときは、専門医への相談を検討してみてください。
薬物療法で十分な改善がみられない場合は、膀胱内から精子を回収して不妊治療につなげる方法があります。膀胱にたまった精液を尿とともに採取し、精子を取り出して人工授精や体外受精・顕微授精に用いる目的です。事前に尿をアルカリ化するなど、精子を傷めないための準備が行われます。こうした方法は生殖補助医療を行う専門施設で受けられます。

妊娠を希望する場合は原因の特定や膀胱内からの精子回収など、タイミングを要する対応が必要になることもあります。精液量の変化に気づいたら、泌尿器科や生殖医療の専門外来へ早めに相談しておくと安心です。その際には、パートナーと一緒に受診することで、検査や治療の方針を相談できます。
※現在レバクリでは、逆行性射精の診療を行っておりません。
逆行性射精は自然に治りますか?
原因によって異なります。薬剤が原因の場合は、その薬を中止・変更することで改善がみられることがあります。糖尿病が原因の場合は血糖を安定させる方法が基本です。ただし、神経の問題が関わるため改善しにくいこともあります。気になるときは泌尿器科へ相談してください。
射精のときに精液が出ず、おしっこと一緒に出るのは逆行性射精ですか?
逆行性射精の可能性があります。膀胱へ逆流した精液が次の排尿で一緒に排出されると、射精後の尿が白く濁ることがあります。逆行性射精かどうかを確認するには射精後の尿検査が必要なので、泌尿器科での確認を検討してください。
逆行性射精を放置しても問題ありませんか?
不妊以外の健康被害は基本的にないとされているため、妊娠を希望しない場合は経過をみることもあります。ただし、逆行性射精の背景に別の病気が隠れている場合もあり、健康状態が気になる方や妊娠を希望する場合は早めに受診してください。
逆行性射精は、射精のときに精液が膀胱側へ逆流し、オルガズムはあるのに精液がほとんど出ない射精障害です。精液量の減少や射精後の尿の濁りといった変化で気づかれることが多く、糖尿病や前立腺などの手術、一部の薬剤が主な原因になります。不妊以外の影響は基本的にないとされている一方で、妊娠を希望する場合は原因の特定や精子の回収など、専門的な対応が必要になることがあります。 また、逆行性射精の治療は原因に応じて異なり、糖尿病の影響であれば血糖コントロールを試みるほか、常用薬によるものであれば医師と薬の変更を相談するのが基本です。膀胱頸部を締める薬物療法の選択肢もあるため、気になるときは泌尿器科や生殖補助医療の専門外来で医師に相談することを検討してみてください。
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