更新日:2026年09月29日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
精液が出ない、または以前より量が減ったと感じ、加齢のせいか不安に思う方もいるかもしれません。精液量は加齢で変化する傾向がありますが、原因は年齢だけとは限らず、薬剤・生活習慣が関わる場合もあります。この記事では「出ない」と「少ない」の違いのほか、考えられる原因や妊娠との関係を解説します。性生活や妊活への不安がある方は、検査や受診先についても参考にしてください。
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精液が出ない・少ないと感じる場合、加齢が原因とは断定できません。年齢とともに精液の量や精子の状態が変化することもありますが、射精の仕組みそのものの問題や、服用中の薬剤、生活習慣などが関わっている場合もあります。まずは加齢による変化と、それ以外の要因を分けて理解することが大切です。
精液量は、年齢を重ねるにつれて減少しやすくなり、動いている精子の割合を示す運動率も少しずつ低下する傾向があるとされています。そのため、若い頃と比べて「量が減った」「勢いがなくなった」と感じる方もいるかもしれません。ただし、こうした変化には個人差があり、加齢だけで説明できるとは限りません。精液量の急な変化や極端な減少がある場合は、別の要因が関わっている可能性も考えられます。
精液量の目安は、下限基準値が1.4mLとされています。これは自然妊娠に至った男性のデータをもとに設定された参考値で、この数値を下回っても妊娠するケースがあるほか、満たしていても妊娠が難しい場合もあります。 また、精液量は体調や禁欲期間、ストレスなどの影響を受けやすく、1回の測定結果だけで状態を判断することはできません。気になる場合は、医療機関に相談のうえで検査を受けることを検討しましょう。
参考:World Health Organization「WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, sixth edition」
※現在レバクリでは、射精障害の診療は行っておりません。
「精液が出ない」と「精液が少ない」は、原因や対処の方向性が異なります。同じように感じても背景は違うため、まずは自分の状態がどちらに近いのかを整理すると、原因を考えやすくなります。
精液が出ない場合、射精そのものが起きていないか、射精はしていても精液が体外に出ていない状態が考えられます。前者はオーガズムを感じても射精に至らない「無射精」、後者は精液が膀胱側へ逆流する「逆行性射精」などが当てはまります。いずれも見た目には「精液が出ない」と感じられるため、自分では区別がつきにくいことがあります。
射精はできても、「精液量が少ない」「勢いが低下した」と感じるケースがあります。これは、加齢による射精機能の変化のほか、生活習慣や服用中の薬剤などが影響していることもあります。まずは射精ができているかどうかが、「出ない」状態と見分けるポイントです。
精液がまったく出ない状態には、主に3つのタイプがあります。
原因は一つとは限らず、神経や前立腺の状態、薬剤の影響などが重なっていることもあります。心因的な要因によって性行為時の射精に問題が生じるケースもあり、まずは自分がどのタイプに当てはまるかを見極めることが大切です。
無射精は、性的な興奮やオーガズムを感じても、射精そのものが起こらない状態です。原因として、糖尿病による神経障害や脊髄損傷などの神経系の問題が考えられます。また、前立腺の手術やホルモンの異常、薬剤の副作用などが関係するケースもあり、心当たりがないか確認してみましょう。
逆行性射精は、射精は起きているものの、精液が尿道から体外へ出ず、膀胱側へ逆流してしまう状態です。糖尿病による神経障害や、前立腺・膀胱の手術後の影響、前立腺肥大症の治療薬などの副作用が原因になることがあるとされています。見た目には精液が出ない、または極端に少ないと感じられ、射精後の尿が白く濁ることで気づく場合もあります。
腟内射精障害は、マスターベーションでは射精できるものの、腟内では射精が難しい状態を指します。強い刺激を加えるマスターベーションの習慣や性行為に対するプレッシャー、勃起の問題などが関わっているとされています。ただし、加齢や基礎疾患が関与する場合もあり、原因は一つに限られません。

持病の薬を服用し始めてから精液が「急に出なくなった」「量が極端に減った」と感じる場合があるかもしれません。しかし、その場合でも自己判断で薬を中止・減量することは控えましょう。もとの病気が悪化するおそれがあります。気になる症状があるときは、服用中の薬を含めて医師に相談してください。
※現在レバクリでは、射精障害の診療は行っておりません。
「以前より精液が少ない」と感じる場合は、加齢に伴う射精機能の変化のほか、生活習慣や服用中の薬剤が影響している可能性があります。原因は一つとは限りませんが、精液量や射精の勢いに悩みがある方は参考にしてください。
加齢によって、精液の量や射精の勢いが徐々に低下することがあります。年齢を重ねると、精嚢や前立腺から分泌される液体の量が減ったり、射精時の筋肉が収縮する力が弱まったりすることが関係すると考えられています。そのため、一定の年齢から「以前より量が減った」「勢いが弱くなった」と感じる方がいるかもしれません。射精自体は起きている点が、精液が出ない状態との違いです。
生活習慣の乱れは精液の状態に影響する可能性があります。たとえば、次のような生活習慣があれば見直しを検討しましょう。
精液の生成にはテストステロンなどの男性ホルモンが関わっており、特に肥満は精液の質に影響しやすいとされています。喫煙や過度の飲酒についても、影響は比較的軽度とされるものの見直しを検討する価値があります。生活習慣の改善だけで症状が必ず解消するとは限りませんが、体調を整える土台になるため、できることから意識してみましょう。
参考:World Health Organization「Infertility」
服用中の薬剤が、射精や精液の量に影響することがあります。一部の降圧薬や抗うつ薬、抗精神病薬、前立腺肥大症の治療薬などには、副作用として射精に影響する可能性があるとされています。抗うつ薬の中には、脳内の神経伝達物質のバランスに影響し、射精のタイミングを調整する仕組みに作用するものがあります。ただし、自己判断で薬を中止・減量することは避けてください。持病の治療に必要な薬の場合、中断によって症状が悪化するおそれがあります。薬との関連が気になるときは、処方を受けている医師に相談しましょう。
精液が出ない・少ない状態でも、妊娠を目指せる方法があります。精液の量だけで妊娠の可否が決まるわけではなく、射精障害がある場合でも、医療機関で選択肢を相談できます。
妊娠の成立には、精液の量だけでなく、精子の濃度や運動率など複数の要因が関わります。そのため、精液量が少ないことだけを理由に妊娠できないと判断することはできません。一方で、精液や精子の状態が妊娠に影響する場合もあるため、気になるときは精液検査で状態を確認すると良いでしょう。
射精障害があり妊娠を望む場合、生殖補助医療を受ける選択肢があります。採取した精液を子宮内に直接注入する人工授精(AIH)や体外受精、顕微授精といった生殖補助医療は、性行為によらずに妊娠を目指せる方法です。射精や性機能に不安がある場合でも、不妊治療を行う医療機関で相談すれば、状況に合った方法を検討できます。
精液が出ない・少ないときは、原因を調べる検査を受けられます。症状が続く場合や急に変化した場合は、泌尿器科や不妊治療の専門クリニックといった医療機関への相談を検討しましょう。
精液の状態を調べる基本の検査が精液検査です。精液量や精子の濃度、運動率、形態などを測定し、WHOの基準値を参考に医師が総合的に判断します。精液が出ない場合には、逆行性射精を確認するための射精後の尿検査や、ホルモン検査、超音波検査などが行われることもあります。主な検査は次のとおりです。
症状に応じて検査内容は変わりますが、精液が出ない状態でも原因を調べられます。
精液が出ない・少ない症状の相談先は、主に泌尿器科や不妊治療の専門クリニックです。医療機関では射精障害や男性不妊の検査、治療について相談できます。ただし、すべての医療機関で同じ検査ができるとは限らないため、受診前に対応状況を確認しておくと良いでしょう。症状が気になるときは、早めに相談することで原因の把握につながります。
※現在レバクリでは、射精障害の診療は行っておりません。
精液が出ない・少ないという悩みに関して、よくある質問と回答を掲載します。
精液が出ないと必ず不妊症になりますか?
精液が出ない・少ないからといって、「妊娠しない」わけではありません。妊娠には精子の濃度や運動率、女性側の状態など複数の要因が関わります。気になる場合は、精液検査で状態を確認しましょう。
精液が出ないのは自分で治せますか?
原因によって対処が異なるため、まずは自分の状態や考えられる要因を確認しましょう。生活習慣や心因的な問題、持病や薬剤の影響などさまざまなケースがあり、自力での改善が難しい場合もあります。
精液が出ないのはEDと同じですか?
ED(勃起不全)と射精障害は異なる症状です。EDは十分に勃起しない状態であり、精液が出ないのは射精機能や精液の生成に関わる状態を指します。両方が関係する場合もあるため、気になるときは医師に相談してください。
精液が出ない・少ないと感じると、加齢のせいだと考えてそのままにしてしまう方もいるかもしれません。精液の量や精子の状態は年齢を重ねるとともに変化することもありますが、その背景に射精障害が隠れているケースもあります。持病の薬や生活習慣の乱れが関係している場合もあるほか、性行為時にだけ射精できない状態であればマスターベーションの習慣が関わっていることもあります。
また、射精はできるものの量が少ない状態と、まったく精液が出ない状態では原因や対処法が異なる点にも留意しましょう。まずは自分の症状を確認したうえで対処法を見いだすことが大切です。 性生活や妊活に支障を感じている方は、医療機関を受診することが選択肢になります。精液が出ない状態でも原因を調べる検査は受けられ、妊娠を目指す方法も用意されています。気になる症状が続くときや急に変化したときは、一人で抱え込まず、泌尿器科や不妊治療の専門クリニックへの相談を検討してみてください。
World Health Organization「WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, sixth edition」 World Health Organization「Infertility」
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