更新日:2026年08月13日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「糖尿病になると抜け毛が増えるのか?」と心配な方もいるかもしれません。糖尿病が抜け毛の直接的な原因になるという研究結果はないものの、血行不良などで抜け毛が増える可能性はあります。AGA(男性型脱毛症)や休止期脱毛症などが生じる場合もあります。過度な糖質制限での栄養不足にも、要注意です。まずは糖尿病の治療を優先させ、それでも薄毛が改善しない場合はAGAの可能性を考えて専門のクリニックに相談しましょう。
糖尿病が抜け毛の直接的な原因であると断定できる研究結果は、報告されていません。糖尿病の方に抜け毛がみられた事例はあるものの、糖尿病そのものが抜け毛を引き起こす仕組みは解明されていません。
一方、糖尿病で抜け毛が増えたと感じる場合、血行不良によって髪の成長に必要な栄養が頭皮へ届きにくくなっている可能性があります。
糖尿病により高血糖の状態が続くと血管が傷つき、血流が滞りやすくなります。髪は血液から運ばれる栄養を使って成長するため、血流が悪くなると健やかな髪が育ちにくくなり、抜け毛につながると考えられています。
糖尿病で抜け毛が増えるとされる主な原因は、次の2つです。
ただし、いずれもヒトでの因果関係が完全に確立されているわけではなく、機序の解明は発展途上です。
糖尿病による抜け毛の原因として考えられるのが血行不良です。高血糖の状態が続くと血管がダメージを受け、細い血管の血流が滞りやすくなります。頭皮の毛細血管の流れが悪くなると、髪の成長に必要な栄養や酸素が毛根へ届きにくくなり、髪が育つ前に抜けてしまう可能性があります。
ホルモンバランスの乱れも、抜け毛を増やす一因です。糖尿病でインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が続くと、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きに影響を与えると指摘されています。
糖尿病になると、発症リスクが高まるとされる脱毛症があります。注意したい脱毛症は、次の2つです。
それぞれの脱毛症の特徴を紹介します。
AGA(男性型脱毛症)は、成人男性にみられる進行性の脱毛症です。AGAは、強力な男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)によって毛髪の成長が妨げられ、抜け毛が生じます。

糖尿病でホルモンバランスや血流が乱れると、AGAの発症リスクが高まったり、進行が早まったりする可能性があります。AGAは放置すると進行するため、早めの対策が大切です。
休止期脱毛症とは、発熱や手術、出産、急激な体重減少、栄養不足、精神的ストレスなどの身体的負荷をきっかけに、本来なら成長を続けるはずの毛髪が早期に休止期へ移行し、その約2〜3ヶ月後から頭部全体にびまん性の抜け毛が増える脱毛症です。誘因から発症までに時間差があるため、原因に気づきにくいのが特徴です。多くの場合、誘因が解消されれば半年程度で自然に改善します。糖尿病の場合、高血糖が長く続いたあとや、入院を伴う体調の変化など、体に大きな負担がかかったときに起こることがあります。
血糖値を気にするあまり過度な糖質制限で栄養不足になれば、抜け毛につながる可能性があります。髪を作る栄養が不足し、頭皮環境や髪の成長に影響することがあるためです。
髪は主にたんぱく質から作られ、その合成には亜鉛などのミネラルも関わっています。糖質を減らそうとして食事全体の量や栄養が偏ると、髪に必要な栄養素が不足し、抜け毛や髪のボリュームの低下につながることがあります。
過度な糖質制限は控え、たんぱく質や亜鉛など、髪に良い栄養素を含んだバランスの良い食事が大切です。
糖尿病で抜け毛が増えたと感じるときは、原因に合わせて対処しましょう。まずは医師と一緒に血糖コントロールに取り組み、AGAが疑われる場合は早めに治療を検討しましょう。それぞれのポイントを紹介します。
まずは医師や専門家に相談し、糖尿病の治療のために血糖コントロールに取り組みましょう。血流の悪化や栄養不足が抜け毛に関わっている場合、血糖値を安定させると頭皮の環境が整いやすくなります。糖尿病の治療や詳しい血糖管理については、内科(糖尿病内科)で医師に相談してください。
生え際や頭頂部の薄毛が進んでいる場合は、AGAを疑い早めに治療を検討しましょう。AGAは進行性のため、対策が遅れるほど薄毛が目立ちやすくなります。AGA治療では、抜け毛の進行を抑える内服薬や、発毛を促す薬などが使われます。

ただし、糖尿病の治療薬を使っている場合は、飲み合わせや服用のタイミングに注意が必要です。自己判断はせず、必ず医師の指示に従いましょう。
通院の負担を減らしたい方は、オンライン診療の活用も選択肢の一つです。
糖尿病が原因の抜け毛は治りますか?
血流や栄養不足による抜け毛であれば、血糖コントロールや体調の回復に伴って改善する場合があります。ただし、AGAの場合は自然治癒が難しく、治療が必要になります。
糖質制限をすると抜け毛が増えますか?
適度な糖質制限で抜け毛が増えるとは考えにくいですが、極端な制限で栄養が不足すると髪に影響する可能性があります。たんぱく質や亜鉛を含め、バランス良く食べることが大切です。
糖尿病でもAGA治療は受けられますか?
糖尿病の方でもAGA治療を受けられる場合がありますが、服用中の薬や血糖の状態によって注意が必要です。診察時に糖尿病の治療内容を伝え、医師の判断を仰ぎましょう。
糖尿病と抜け毛の関係を証明する明確な研究結果はないものの、糖尿病による血行不良やホルモンバランスの乱れによって、抜け毛が増える可能性はあります。
また、糖尿病でAGA(男性型脱毛症)や休止期脱毛症などのリスクが高まることもあります。さらに、過度な糖質制限による栄養不足も抜け毛リスクを高めるため、注意が必要です。
血糖値が関わる抜け毛は、血糖コントロールや体調の回復で改善が期待できる一方、AGAの場合は別の治療が必要です。糖尿病の治療は内科で相談し、治療を続けても薄毛が気になる場合はAGA専門のクリニックへ相談しましょう。通院の負担を減らしたい方は、オンライン診療も選択肢の一つです。
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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