更新日:2026年04月03日
「髪のボリュームが減ってきた」と不安な方もいるかもしれません。壮年性脱毛症は主に30~50代にみられる進行性の脱毛症です。男性の壮年性脱毛症とAGA(男性型脱毛症)は医学的には同じものを指し、メカニズムに違いはありません。
本記事では、壮年性脱毛症の特徴やAGAとの違い、原因について解説します。AGA治療薬での治療法についても紹介していますので、ぜひご一読ください。
壮年性脱毛症は、主に30~50代に現れる進行性の脱毛症を指します。
男性の脱毛の進行パターンには、主に「M字はげ」「U字はげ」「O字はげ」の3種類があります。代表的なはげ方の3パターンは、以下の図のとおりです。

M字はげは左右の剃り込み部分から後退していくタイプで、正面から鏡を見たときに気づきやすいのが特徴です。U字はげはM字はげがさらに進行した状態で、額の生え際全体が後退していくタイプです。O字はげは頭頂部から渦を巻くように薄くなるタイプで、自身では状態が確認しづらいため、周囲に指摘されて気づく場合もあります。
日本人は頭頂部から薄くなるO字型が多く、合わせ鏡や写真でチェックしないと、気づかないうちに進行しているケースがあります。
男性の壮年性脱毛症とAGA(男性型脱毛症)は、医学的には同じものを指しています。AGAは10~20代の若い世代で発症する場合も含まれますが、そのなかでも主に30~50代の「壮年期」に症状が現れるものが壮年性脱毛症と呼ばれることがあります。発症した年代によって名称が使い分けられる場合があるものの、発症メカニズムに違いはありません。
AGAの原因や見分け方、治療方法については、「AGAとは?抜け毛・薄毛が進行する男性型脱毛症について分かりやすく解説」の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

AGA(男性型脱毛症)は、約30%に発症するとされており、加齢とともに有病率が上昇します。髪の変化に気づくと落ち込んでしまうかもしれませんが、治療により改善を図ることが可能なため、薄毛の症状が気になる場合は早めに医療機関で相談しましょう。
壮年性脱毛症(AGA)の原因として、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)と遺伝が挙げられます。ここではそれぞれについて見ていきましょう。
壮年性脱毛症(AGA)の原因として考えられているのが、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という男性ホルモンの影響です。
体内で分泌された男性ホルモンの「テストステロン」が、頭皮などにある「5αリダクターゼ」という酵素と結びつくと、より活性の強いDHTに変換されます。DHTが毛根にある男性ホルモン受容体と結合すると、髪の成長を止める脱毛因子が生成されます。
脱毛因子によって髪が生え変わるサイクルである「ヘアサイクル」が乱れると、通常2~6年ある成長期が短縮され、数ヶ月~1年程度に短縮されます。髪が十分に成長できず、細く短い毛が増えることで薄毛が進行していくことが特徴です。
男性ホルモンジヒドロテストステロン(DHT)については、「AGAと男性ホルモンの関係は?AGAの原因と対策5選」の記事で詳しく解説していますので、気になる方はご覧ください。
壮年性脱毛症(AGA)の発症に関わる5αリダクターゼの活性度や毛根にある男性ホルモン受容体の感受性の高さは、遺伝との関係が深いといわれています。父親や父方・母方の祖父が壮年性脱毛症(AGA)である場合、テストステロンがDHTへ変換されやすくなったり、DHTが男性ホルモン受容体と結合しやすくなったりする可能性があるでしょう。
壮年性脱毛症(AGA)と遺伝は深く関係していることから、自身の家系を振り返って薄毛のリスクが考えられる場合には、髪の変化を意識的に確認しておくと良いでしょう。
壮年性脱毛症(AGA)と遺伝については、「AGAと遺伝との関係性を解説!薄毛の原因や対処法も紹介」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
ストレスや生活習慣の乱れは壮年性脱毛症(AGA)を引き起こす直接的な原因にはならないものの、髪や頭皮に悪影響を与える可能性があります。
たとえば強い精神的ストレスを感じた状態が続くと、自律神経が乱れて頭皮の血管を収縮させ、髪への栄養供給を妨げる可能性があります。
睡眠時間が不足していたり、寝る時間が不規則だったりすると、髪の修復や成長に悪影響が出る可能性もあります。髪の成長を促す成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるといわれているからです。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
壮年性脱毛症(AGA)は進行性の症状であるため、何もしなければ徐々に薄毛が広がっていきます。そのため、薄毛が気になり始めた段階で医師の診察を受け、脱毛の原因を判断してもらったうえで、適切な治療を始めるのが良いでしょう。一般的には、クリニックで処方されるAGA治療薬を服用・使用して症状の改善を図ります。ここからは、代表的な3つのAGA治療薬について、それぞれの特徴もふまえて解説します。
フィナステリドは、5αリダクターゼⅡ型という酵素を阻害する作用があります。5αリダクターゼⅡ型を阻害することで男性ホルモンであるテストステロンがDHTに変換されるのを防ぐため、抜け毛を抑制し、薄毛の進行を抑える効果が期待できるでしょう。
フィナステリドの服用を開始してから効果を実感するまでの期間には個人差があり、効果を評価するには少なくとも6ヶ月程度の継続投与が必要だとされています。
デュタステリドは、5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型の両方を阻害する作用があります。5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型は頭のそれぞれ異なる部位にみられるため、フィナステリドよりも広範囲に作用すると考えられています。
デュタステリドはフィナステリドと同様に継続した服用が必要とされています。服薬を始めてから効果を感じるまでの期間は個人差があり、効果を評価するには少なくとも6ヶ月ほど服用を継続する必要があるとされています。
デュタステリドについても、期待できる主な効果は抜け毛の抑制です。
ミノキシジルの作用機序は完全には解明されていないものの、血管拡張作用により毛包周囲の血流を改善する作用があると考えられています。これにより毛根に酸素や栄養が届きやすくなることで、発毛を促進する効果が期待できます。また、毛包に直接作用しヘアサイクルの成長期を延長すると考えられており、髪が太く強く育ちやすくなることが期待できます。
ミノキシジルは抜け毛を抑制するフィナステリドやデュタステリドとは作用機序が異なるため、併用することも可能です。
ミノキシジルには、国内で認可されている外用薬(塗り薬)と、国内未承認の内服薬(ミノタブ)の2種類があります。ミノキシジル内服薬は専門医の管理下のもと行われる適応外使用である点に留意しましょう。
個人差はありますが、ミノキシジルの効果を感じるまでには4~6ヶ月ほど使用または服用を継続する必要があります。
AGA治療に使用される薬や効果については、「AGA治療薬の種類や効果は?副作用のリスクと自分に合った選び方を解説」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

壮年性脱毛症(AGA)は進行性の疾患であるため、早めの治療が肝心です。壮年性脱毛症(AGA)と診断されたら、一般的にはAGA治療薬を使った治療が検討されます。薬の副作用などが不安な場合も、医師に相談することで適切なアドバイスを受けられるでしょう。まずは一度、専門のクリニックで相談してみることをおすすめします。
壮年性脱毛症(AGA)は遺伝や男性ホルモンのDHTが主な原因であるため、セルフケアで改善することはできません。壮年性脱毛症(AGA)の治療を基本としてセルフケアを見直すことで、間接的に髪や頭皮の健康に役立つ可能性があるでしょう。
壮年性脱毛症(AGA)の間接的なサポートとして、生活習慣を整えることが挙げられます。良質な睡眠をとって成長ホルモンの分泌を促すことで、髪の成長をサポートしましょう。就寝前はブルーライトを発生させるスマートフォンなどの使用は避け、落ち着いた睡眠環境をつくるのがおすすめです。また、厚生労働省の「知っているようで知らない睡眠のこと」によると、働く世代に必要な睡眠時間は最低6時間とされています。適正な睡眠時間には個人差がありますが、少なくとも6時間は睡眠をとることを意識しましょう。
また、栄養バランスの整った食事をとり、髪に必要な栄養素を摂取することも大切です。

髪の主成分であるタンパク質を含む肉や魚、卵のほか、代謝を助ける亜鉛を多く含む牡蠣や牛肉、ナッツ類を特に意識して摂取するのがおすすめです。栄養が偏ると髪に必要な栄養が届きづらくなるため、外食が多い方は野菜を使った料理を増やすなど、選ぶメニューを工夫しましょう。
また、軽いジョギングや趣味の時間を持つなど、ストレスを溜め込まない習慣をつくることもおすすめです。自分なりのストレス解消法を見つけて、心身ともに健やかに過ごしましょう。
参考:厚生労働省「健康日本21アクション支援システム Webサイト 睡眠」
頭皮や髪の健康を間接的にサポートする方法として、頭皮環境を整えるケアが挙げられます。毎日の洗髪ではシャンプーを手で泡立ててから頭に乗せ、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗い、余分な皮脂汚れを落としましょう。
洗髪後は、頭皮を湿ったまま放置せず、ドライヤーでしっかり乾かすようにしましょう。頭皮が濡れたままだと雑菌が繁殖しやすくなり、炎症やにおいの原因になる場合もあります。乾燥が気になる場合は頭皮用の保湿ローションを使用するのも一つの方法です。
毎日のセルフケアを行うことで、髪が育ちやすい頭皮環境をつくることにつながる可能性があるでしょう。
壮年性脱毛症は、主に30~50代の壮年期にみられるAGAのことを指し、発症した時期によって呼び方が分けられることがあります。男性の壮年性脱毛症(AGA)の主な原因は、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びついて生成されるジヒドロテストステロン(DHT)です。DHTは毛根に作用して髪の成長を阻害します。また、5αリダクターゼの活性度や毛根にある男性ホルモン受容体の感受性の高さには遺伝的要因が関わっているため、親族にAGAの人がいる場合は発症する可能性があります。
壮年性脱毛症(AGA)は放置すると徐々に進行するため、早期に医療機関を受診し、治療を始めると良いでしょう。主な治療薬としては、DHTの生成を抑制するフィナステリドやデュタステリド、発毛促進が期待できるミノキシジルがあり、継続的に服用・使用することで効果が期待できます。気になる症状がある場合は、早めに専門クリニックで相談しましょう。