更新日:2026年08月12日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「男性ホルモンが多いとハゲるのでは」と不安に感じている方もいるかもしれません。結論として、AGAは男性ホルモンの量ではなく、5αリダクターゼがテストステロンに作用してDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることで進みます。
この記事では、男性ホルモンと薄毛の関係や仕組み、DHTが多い人の特徴、AGAを改善する方法を紹介します。生活習慣の見直しで頭皮環境を整える方法についても解説しているので、ぜひご覧ください。

AGAの発症には、男性ホルモンであるテストステロンが深く関わっています。ただし、薄毛を左右するのは男性ホルモンの量そのものではなく、テストステロンが薄毛の原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されるかどうかです。
ここでは、AGAが発症するまでの流れを4つのステップで紹介します。
テストステロンは、筋肉や骨格の発達などに関わる代表的な男性ホルモンです。AGAの始まりは、テストステロンが頭皮にある5αリダクターゼという酵素の作用を受けることにあります。
5αリダクターゼにはl型とll型があり、l型は頭皮全体に分布していますが、主に前頭部や頭頂部に多く分布しているのはll型です。テストステロンが5αリダクターゼの作用を受けることが、AGAが進む最初のきっかけになります。
5αリダクターゼの作用を受けたテストステロンは、より作用の強いDHTへと変換されます。DHTは「脱毛ホルモン」とも呼ばれ、AGAの進行に関わる物質です。
作られるDHTの量には個人差があり、5αリダクターゼの働きが活発なほどDHTが多く作られやすくなります。テストステロンの量が同じでも、変換のされやすさによって薄毛の進みやすさは変わります。
作られたDHTは、髪の成長を司る毛乳頭細胞のアンドロゲンレセプターと結合します。アンドロゲンレセプターは男性ホルモンを受け取る部分で、ここにDHTが結びつくことで脱毛の指令が出される仕組みです。
このアンドロゲンレセプターの感受性にも個人差があり、遺伝的に感受性が高い人ほどDHTの影響を受けやすいとされています。

DHTがアンドロゲンレセプターと結合すると、脱毛因子が生成され、髪の成長を止める信号が送られます。その結果、本来は数年続くヘアサイクルの成長期が、数ヶ月~1年程度に短縮されてしまいかねません。
成長期が短くなると、髪は太く長く育つ前に抜け落ち、細く短い毛が増えていきます。これが繰り返されることで、地肌が目立つようになるのがAGAの特徴です。
AGAの直接的な原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)が産生される量やその影響の受けやすさには個人差がありますが、遺伝的な要素や身体に見られるサインからある程度想定できます。
DHTの生成を促す5αリダクターゼの活性度や、DHTをキャッチするアンドロゲンレセプターの感受性は、遺伝しやすい傾向にあります。特にアンドロゲンレセプターの感受性に関わる遺伝子はX染色体に含まれているため、母方の家系に薄毛の人がいる場合は、その体質を引き継いでいる可能性があるでしょう。
ただし、AGAは複数の遺伝子と環境要因が関与する多因子疾患であり、父母どちらの家系からも影響を受ける可能性があります。母方家系の薄毛傾向は参考にはなりますが、それだけで将来の薄毛を決定するものではありません。
ヒゲや胸毛などの体毛が濃い人は、DHTの影響を受けやすい体質である可能性があります。DHTは、頭髪では抜け毛を促す一方で、それ以外の体毛の場合には成長を促す働きがあるとされているためです。
つまり、同じ男性ホルモンでも作用する部位によって現れ方が逆になり、体毛の濃さはアンドロゲンレセプターの感受性(男性ホルモンの影響の受けやすさ)を推測する一つの目安になり得ます。
ただし、あくまで傾向であり個人差もあるため、体毛が濃いからといって必ずしもAGAになるというわけではありません。気になる場合は、自己判断せず医師に相談してみましょう。
頭皮や顔がベタつきやすい人も、DHTの影響を受けやすい(男性ホルモンの影響を受けやすい)体質の可能性があります。男性ホルモンをDHTに変換する5αリダクターゼl型は皮脂腺にも多く分布して皮脂の分泌に関与するため、皮脂量の多さはアンドロゲン作用(男性ホルモンの影響)が関与していることを判断する一つのサインと考えられるからです。
ただし、注意したいのは皮脂そのものがAGAを直接進行させるわけではないという点です。皮脂の多さはあくまで体質を推測する目安であり、薄毛の進行が気になる場合、頭皮ケアだけに頼らず医師の診断を受けることが大切です。

薄毛の進行を食い止める効果が期待できる方法は、AGA治療薬を活用することです。フィナステリドは5αリダクターゼのll型を、デュタステリドはl型とll型を阻害し、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑えます。
一方、ミノキシジルは外用薬として使われ、発毛を促進する働きが期待できます。
これらのAGA治療薬のうち、内服薬は医師の処方が必要です。ミノキシジル外用薬は薬局などで市販されているものもありますが、自分の状態に合った薬を選ぶためには、まずはクリニックで相談することが大切です。また、AGA治療薬の効果には個人差があることも理解しておきましょう。
生活習慣の改善が、抜け毛予防や発毛促進に直接作用するわけではありません。ただし、頭皮環境を整えることで、抜け毛の予防などに間接的な効果をもたらす可能性はあります。ここでは、生活習慣の見直しで頭皮環境を整える方法を見ていきましょう。
健康な髪を育てるには、栄養バランスの取れた食事が土台になります。偏った食生活で髪の成長に必要な栄養が不足すると、頭皮環境が乱れる要因になります。
髪の主成分であるケラチンの原料となるのがタンパク質です。魚や肉、大豆製品などから良質なタンパク質を摂りましょう。あわせて、亜鉛やビタミンB群、ビタミンEなどもバランスよく摂ることが大切です。
ただし、特定の食べ物や栄養素でAGAそのものを改善・予防できるという根拠はありません。食事の改善は頭皮環境を整える土台の一つですが、より根本的な対策が必要な場合は医師と相談のうえ検討することが推奨されます。
睡眠中には身体の修復に関わるホルモン分泌が促され、頭皮環境の維持にも関与すると考えられています。そのため、十分な睡眠時間を確保することで、髪の毛の健康維持に貢献できるのです。厚生労働省によると、 7時間前後が適正な睡眠時間とされています。 良い睡眠のためのポイントは、以下のとおりです。
仕事や家庭、趣味などで睡眠不足になっている方もいるかもしれません。日中の強い眠気や週末に長く寝る習慣がある場合は、慢性的な睡眠不足の可能性があります。上記で紹介したポイントを意識して質の良い睡眠を確保するよう心がけましょう。
参考:厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」
参考:厚生労働省「健康のためのGood Sleepガイド」
適度な運動はストレス解消にも効果的です。ストレスが長期間続くと体内でコルチゾールが過剰に分泌され、頭皮環境が悪化する場合があります。運動によってストレスを軽減することは、頭髪の健康維持にも役立つでしょう。
厚生労働省によると、1日60分以上の身体活動や1日8,000歩以上の歩行、週2〜3日の筋力トレーニングが適度な運動として推奨されています。
参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
飲酒や喫煙の習慣を見直すことも、頭髪の健康維持に関わると考えられています。喫煙は、タバコに含まれる有害物質のニコチンが毛細血管を収縮させ、毛髪の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、タバコの煙に含まれる一酸化炭素が血液中のヘモグロビンと結合し、酸素運搬能力を低下させるため、毛根が酸素不足の状態に陥るのです。酸欠状態は髪の成長を阻害し、間接的に抜け毛につながる可能性があります。
さらに、多量の飲酒をした場合、アルコール代謝の過程で肝臓で生成されるアセトアルデヒドが、AGAの原因物質であるDHTの増加を促すとされることもありますが、明確な医学的根拠は確立されていません。
しかし、過度な飲酒や喫煙が、頭皮環境に悪影響を及ぼす可能性はあります。そのため、日常的に過度な喫煙や飲酒を続けている場合、少しずつ控えることで、髪の成長に必要な環境を整える効果が期待できます。
ここでは、AGAと男性ホルモンに関する質問に答えます。正しい知識をもつことで、より効果的なAGA対策につながるでしょう。
筋トレをするとAGAは悪化しますか?
筋トレそのものがAGAを直接悪化させる可能性は低いと考えられます。適度な運動は血行を促し、頭皮環境の改善も期待できます。筋トレで一時的にテストステロン値が上がることはありますが、それがすぐにDHT(ジヒドロテストステロン)の増加につながるわけではありません。
AGA治療薬に男性機能低下の副作用はありますか?
フィナステリドやデュタステリドには、一部の方に性機能に関する副作用が報告されています。気になる症状が出た場合は、自己判断で中止せず、医師に相談して治療法の変更を検討しましょう。
テストステロンを減らせばAGAは予防できますか?
テストステロンの量を減らすことがAGA対策になるわけではありません。AGAに関わるのはテストステロンの量ではなく、5αリダクターゼによってDHTへ変換される量やアンドロゲンレセプターの感受性です。対策はDHTの生成を抑える治療薬が基本となるため、気になる場合は医師に相談しましょう。
AGAは、5αリダクターゼがテストステロンに作用して、DHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることで発症します。DHTが毛乳頭細胞のアンドロゲンレセプターと結合して脱毛因子が作られ、髪の成長期が短くなることで進行します。
大切なのは、男性ホルモンの量を減らすことではなく、DHTの生成を抑えることです。治療薬によるDHT抑制を軸に、栄養バランスの取れた食事や質の高い睡眠、適度な運動、飲酒・喫煙の見直しを組み合わせましょう。
通院の時間が取れない方や治療していることを周囲に知られたくない方は、自宅で完結するオンライン診療も選択肢の一つです。レバクリを通じた診療では、初診・再診とも診察料なしで、最短15分の診察に対応しています。
厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」 厚生労働省「健康のためのGood Sleepガイド」 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
オンライン診療サービス「レバクリ」なら、医師の診察からお薬の処方まで、すべてスマホひとつで完結できます。
AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
オンライン診療とは、スマホやPCを使い、ご自宅など好きな場所から医師の診察を受け、お薬を配送してもらえるサービスです。従来のAGA治療における「通院の負担」「待ち時間」「人目」といった課題を解決します。
「レバクリ」は、AGA治療の「始めやすさ」と「続けやすさ」を重視し、オンライン診療のメリットを最大限に活かしたサービスを提供しています。

テストステロンを無理に減らそうとする必要はありません。AGAの対策で大切なのは、5αリダクターゼの作用によるDHTへの変換を抑えることです。サプリや自己流の生活改善だけで進行を止めるのは難しいため、薄毛が気になり始めたら早めに医師へ相談してみてください。