更新日:2026年06月16日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
頭皮にかさぶたができ、原因や治療法について悩んでいる方もいるかもしれません。頭皮のかさぶたの原因として考えられるものは、脂漏性皮膚炎やアタマジラミ、シャンプーの洗い残しなどです。市販薬で対処できることもありますが、長期間かさぶたが消えない場合は治療が必要な可能性もあります。 本記事では、頭皮にかさぶたができる主な原因や対処法について解説します。受診を判断する目安も紹介するので、参考にしてください。
頭皮にかさぶたができる原因は、皮脂の過剰分泌による菌の増殖や化学物質が引き金となって起こる炎症などさまざまです。適切な対処をするためには、まず原因を確認する必要があります。ここでは、頭皮にかさぶたができる主な原因を紹介します。
脂漏性皮膚炎とは、皮脂腺の密度が高い部位に生じる炎症性疾患の一つです。なぜ起きるかは明確には分かっていませんが、マラセチアと呼ばれる頭皮の常在真菌が関係しているといわれています。マラセチアは皮脂を分解する働きがあるため、皮脂の分泌が過剰になると増殖し、炎症を引き起こす要因となるのです。
脂漏性皮膚炎の症状は少しずつ現れ、頭皮がカサカサとはがれ落ちたり、脂っぽいフケが出たりします。重症化した場合に、皮脂が混ざった黄色いかさぶたが生え際や耳の後ろなどにこびりつくようになります。
接触皮膚炎には、刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎があります。
刺激性接触皮膚炎は、化学物質などが皮膚に触れることで引き起こされる炎症です。接触してすぐに皮膚に変化が起きる場合もあれば、刺激の少ない石けんでも長時間の使用で炎症が起こる場合もあります。
アレルギー性接触皮膚炎は一般に最初の接触では症状が出ないことが多く、最初の接触で異物として認識したあとに2回目以降の接触でかゆみや赤みが出ることが多いです。したがって、一度アレルギー反応が起こりやすい状態になると、少量の接触でも突然症状が出る場合があります。
どちらの場合も主な症状はかゆみや痛み、発疹ですが、炎症が強いと水泡を含んだ腫れとなる場合があります。この水泡から滲出液(しんしゅつえき)が漏れ出し、乾くとかさぶたになるのです。
乾癬には、尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)や乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)など、いくつかの種類があります。多くの場合は尋常性乾癬で、皮膚が赤くなる「紅斑(こうはん)」や皮膚が盛り上がる「浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)」、銀白色のフケのようなもの「鱗屑(りんせつ)」などが主な症状です。これらの皮疹が乾燥し、赤く盛り上がった部分がかさぶたのように見えることがあります。
乾癬の原因は明らかになっていませんが、遺伝的要因に免疫反応の偏りや感染・ストレスなどの要因が重なることで発症すると考えられています。
乾癬は慢性的な疾患であるため、症状が軽くなったり、再び悪化したりを繰り返すのが特徴です。遺伝的要因を根本的に治療することは難しいとされていますが、外用薬や内服薬などによる治療を行い、症状を抑えられる可能性があります。また、目につきやすい部位に症状が現れる場合もありますが、人にうつるものではありません。
頭部白癬は、白癬菌という真菌の感染によって引き起こされる頭皮の感染症で、「しらくも」と呼ばれることもあります。主な症状は、頭皮に現れる乾燥したうろこ状の斑や丸い形の脱毛斑です。さらに、禿瘡(とくそう)といわれる状態になると、痛みを伴って大きく腫れあがり、膿や水泡が現れてかさぶたが生じる場合もあります。
頭部白癬は脂漏性皮膚炎や円形脱毛症と症状が似ていることもありますが、正確な診断には医療機関による検査が必要です。
頭部白癬は適切な抗真菌薬の治療が必要で、放置すると慢性化する恐れもあります。
とびひ(伝染性膿痂疹)は、細菌感染によって引き起こされる皮膚疾患です。かゆみを伴う水ぶくれやかさぶたが特徴で、掻くことでほかの部位にも広がります。
この疾患の主な原因は、黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌などの細菌が傷口から侵入することです。虫刺されや汗疹などを掻いたり、アトピー性皮膚炎などで炎症が起きているところに細菌が感染すると発症します。
とびひの治療では、患部を清潔に保つことが大切です。また、タオルや寝具を介して家族にも感染する可能性があるので共用は控えましょう。早期に治療を行わないと症状が悪化し、広範囲に広がる可能性があるため、医療機関で診察を受けることが大切です。
アタマジラミは、頭髪に寄生する小さな虫が吸血して頭皮にかゆみやかさぶたを引き起こします。
アタマジラミの主な感染ルートは、感染者との直接的な頭部の接触や、帽子やクシなどの共有などです。そのため、集団生活をする子どもたちの間で流行することが多いですが、大人にも寄生するため、家庭内で感染する可能性もあるでしょう。
アタマジラミは病気を媒介しませんが、かゆみが気になり頭皮を掻きこわすと、そこから細菌に感染する場合があるため注意が必要です。
なお、アタマジラミ専用のクシを使うと卵の駆除にも対処できる可能性があります。専用の薬剤もありますが、なかには薬剤が効かないアタマジラミも存在するため、市販薬で改善しない場合は皮膚科へ相談しましょう。また、薬剤抵抗性の場合でも、専用のクシによる入念なブラッシングを併用することで、対処できる場合があります。
頭皮アトピーはアトピー性皮膚炎の一種で、炎症が頭皮に発現したものです。乾燥した頭皮に起こりやすく、かゆみを伴う赤みやかさぶた、湿疹などの症状が現れます。
頭皮アトピーの背景には、遺伝的なアトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)や免疫異常に伴うバリア機能の低下があり、そこへダニや汗、洗浄成分などの環境因子が侵入することで発症します。
頭皮アトピーの治療はステロイド外用薬で炎症を抑えるのが基本で、髪があっても塗りやすいローションやシャンプー型が有効です。加えて、保湿剤でバリア機能を補い、乾燥による過敏状態を防ぐ必要もあります。
毛嚢炎(もうのうえん)は毛包炎とも呼ばれ、毛穴の奥の毛包に炎症が起きる疾患です。赤いニキビのような吹き出物やかさぶたが生じ、かゆみや軽度の痛みを伴います。
主な原因は、ひっかき傷やカミソリ負けなどで生じた傷からブドウ球菌などの細菌が侵入することです。また、マラセチアの増殖により発症する毛嚢炎もあります。部位を問わず全身に起こり得ますが、特に頭皮はダメージを受けやすく、広範囲に広がるケースもあるでしょう。
軽症なら頭皮を清潔に保つことで軽快する可能性がありますが、広範囲に広がったり、深部感染に進行したりする場合は抗生物質や抗真菌薬による治療が必要になります。
頭皮の乾燥やシャンプーのすすぎ残しも、かさぶたの原因となる可能性があるでしょう。
乾燥した頭皮はバリア機能が低下し、炎症を起こしやすくなります。乾燥によってかゆみが生じ、そこを掻きこわすと傷ができ、菌が入り込んで炎症となるケースです。
また、洗浄力が強過ぎる合成界面活性剤が含まれている場合や、たとえ頭皮に優しい成分であってもすすぎ残しがある場合、それらが刺激となって炎症を引き起こす可能性があります。こうした刺激で生じた炎症部位から滲出液が出て、それが固まることでかさぶたとなるのです。
このようなかさぶたを予防するには、頭皮に合ったシャンプーを選び、予洗いやすすぎを徹底してください。皮脂を奪い過ぎないよう40度未満のぬるま湯で洗い、洗髪後は保湿ローションなどでバリア機能を補うことが望ましいです。
頭皮にかさぶたができたときは無理に剥がさず、できるだけ刺激を与えないようにすることが大切です。シャンプーの成分や洗い方にも気を付けるほか、頭皮のバリア機能を壊さないためのケアも必要でしょう。ここでは、かさぶたができたときの効果的な対処法を紹介します。
かさぶたを無理に剥がすと、皮膚の修復過程が妨げられ、治癒が遅れる原因となります。また、剥がすことで新たな傷ができ、細菌感染のリスクが高まる可能性も否定できません。
さらに、炎症が長引くことで瘢痕(はんこん)化し、毛穴が塞がってしまうと、局所的な脱毛を招く可能性もあります。
かさぶたが自然にはがれ落ちるまで、刺激を与えないように意識しましょう。
頭皮にかさぶたがある時は、肌のバリア機能を壊さない低刺激なシャンプーを選ぶことが望ましいです。肌と同じ弱酸性で、洗浄成分にアミノ酸系を用いたシャンプーが良いでしょう。
アミノ酸系シャンプーは、成分表にココイルグルタミン酸NaやラウロイルメチルアラニンNaと記載されることが多く、皮脂を落とし過ぎずに潤いを守りながら洗えるのが特徴です。一方、ラウレス硫酸Naなどは洗浄力が強く、頭皮の乾燥を招く可能性があります。
洗髪の際は、爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗ってください。正しい洗髪方法を身につけ、頭皮への刺激を抑えることが大切です。
洗髪後は頭皮を濡れたままにせず、しっかりとドライヤーで乾かしましょう。湿った状態の頭皮は細菌やカビが繁殖しやすく、かさぶたを悪化させる原因となります。ドライヤーを使用する際は、頭皮に熱風を当て続けないようにして乾かします。一箇所に熱が集中しないことや、頭皮から15cm以上離すなどの工夫をしてみてください。
また、頭皮の乾燥がかさぶたの原因となっている場合は、頭皮用の保湿ローションを使用するのも効果的です。ただし、「メントール配合」と記載のあるローションは、アルコール(エタノール)などを含んでいることがあり、かさぶたに悪影響となる可能性があります。保湿目的で使用するローションは、敏感肌向けの低刺激なものが良いでしょう。

かさぶたを剥がして未熟な皮膚が露出すると治りが遅くなる可能性があるので、触らないようにしましょう。炎症が長引くと、将来的な脱毛や傷跡の原因にもなりかねません。過度な洗浄や刺激を控え、自然に剥がれ落ちるまで根気強く待つことをおすすめします。
頭皮のかさぶたを改善するために、市販薬を使用することも一つの方法です。ただし、市販薬で対処できる可能性があるのは、初期の段階や症状が軽い場合に限られます。また、かさぶたの原因によって使用が懸念される市販薬もあるため、薬剤師に相談しながら検討するのが望ましいでしょう。
頭部のかさぶたが脂漏性皮膚炎によるものである場合、抗真菌成分配合シャンプーが選択肢になります。
このタイプのシャンプーには、一般的にミコナゾール硝酸塩などの抗真菌成分や、グリチルリチン酸ジカリウムなどの抗炎症成分が含まれています。これらの成分の働きはマラセチアなどの増殖を抑制し、炎症を軽減することです。
症状がごく初期で軽度と思われる場合は、まずは市販の抗真菌シャンプーを試してみるのも一つの方法といえます。数日使用しても改善が見られない場合や、範囲が広がるような場合は皮膚科を受診してください。
一方、頭部白癬が疑われる場合は内服抗真菌薬が必要になることが多く、シャンプーは補助にとどまるため早めに皮膚科を受診しましょう。
ステロイド外用薬は、炎症を抑制しかゆみを和らげる効果があります。ローションやスプレータイプの市販薬も存在しますが、かさぶたの原因が細菌や真菌の感染である場合、ステロイドのみの使用は適さないため、購入前に薬剤師へ相談しましょう。
なお、脂漏性皮膚炎はマラセチアという常在真菌が関わっているにもかかわらず、医療機関でステロイドが処方されることがあります。この疾患では、炎症が強い場合は医師の判断のもと、まずはステロイドを使用したり、抗真菌薬と併用したりすることがあるようです。
ただし、自己判断でステロイドを使用すると、免疫抑制作用により真菌が増殖し、症状が悪化する恐れがあります。特に長期間の連続使用は避け、改善が見られない場合は医師の診察を受けてください。

ステロイドは炎症を抑える薬ですが、真菌感染に使用すると、悪化することもあります。これはステロイドの免疫抑制作用によって、原因である真菌の増殖を助けてしまうためです。 そのため、かさぶたの原因が自己判断しにくい場合は安易に使用せず、まずは皮膚科で適切な診断を受けるようにしましょう。
頭皮のかさぶたが長期間続く場合は、自己判断での対処を続けるのではなく、医師の診察を受けることが大切です。ここでは、病院を受診するタイミングについて解説します。
頭皮のかさぶたが2週間以上改善しない場合は、皮膚科を受診しましょう。
長期間続くかさぶたは単なる乾燥やシャンプーの問題ではなく、何らかの皮膚疾患が影響している可能性があります。特に、かゆみや痛みが強い場合やかさぶたが広がっている場合、あるいは膿や出血を伴う場合は、医師への相談が必要です。
かさぶたが続く状態を放置するとダメージが毛根にまでおよび、脱毛を引き起こしかねません。また、市販薬だけで対処しようとすると、炎症が慢性化して脱毛症に至るリスクもあるでしょう。「市販薬が効いていないかも…」と感じたら、皮膚科の受診を検討してください。
ここでは、頭皮のかさぶたに関する疑問について、Q&A形式で解説します。「どうしてもかさぶたを意識してしまう」「人の目線が気になる」とお悩みの方は、参考にしてみてください。
頭皮のかさぶたを剥がす癖の治し方は?
頭皮のかさぶたを無意識に剥がしてしまう場合は、指先に絆創膏を貼ったり、清潔な手袋をはめたりする工夫が対処法の一つです。ただし、かゆみが強く、つい掻いてしまう場合は、皮膚科で相談しましょう。
かさぶたを剥がすと炎症が悪化し、かゆみが増してさらに掻いてしまうといった悪循環に陥る可能性があります。そのため、まずはかゆみを抑えるための治療を優先してください。
頭皮のかさぶたは薄毛の原因になる?
頭皮のかさぶたが直接薄毛を引き起こすわけではありませんが、関連する状態が抜け毛の増加につながる可能性があります。
頭皮のかさぶたの原因となる炎症や感染症は、毛根にダメージを与え、一時的な脱毛を引き起こすことがあります。たとえば、脂漏性皮膚炎の過剰な皮脂分泌と炎症によりヘアサイクルに悪影響を与えるなどです。
かさぶた自体が直接薄毛の原因になるとは限りません。ただし、炎症や掻き壊しが続くと抜け毛が増えたり、状態によっては毛包へのダメージにつながる可能性があります。かさぶたは自然に治ることもありますが、市販薬などを試しても治らない場合は、早めに皮膚科を受診するのがおすすめです。
頭皮にかさぶたができる原因は、脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎、乾癬や頭部白癬など多岐にわたります。皮脂の過剰分泌によるマラセチア菌の増殖や、シャンプーなどの化学物質による刺激、乾燥やすすぎ残しなども頭皮かさぶたの要因となるでしょう。
頭皮かさぶたの対処法として大切なのは、無理に剥がさず刺激を避けることです。低刺激性のアミノ酸系シャンプーで優しく洗髪し、ドライヤーでしっかり乾かして保湿を行いましょう。軽症の場合は抗真菌成分配合シャンプーやステロイド外用薬などの市販薬も選択肢となりますが、原因によっては適さない場合もあるため薬剤師への相談が大切です。
頭皮のかさぶたが2週間以上改善しない場合や、かゆみ・痛みが強い場合は皮膚科を受診してください。放置すると炎症が毛根にダメージを与え、脱毛を引き起こす可能性もあります。適切な診断と治療により、健康な髪が生える環境を守りましょう。
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