更新日:2026年07月31日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
50代・60代になると、髪のボリュームが減り、地肌が透けて見えるようになったと感じる方も少なくありません。薄毛の原因は人それぞれですが、男性で特に多いのがAGAです。もし、AGAである場合は育毛ケアでは解決しないため、病院やクリニックにて適切な治療が必要になります。
この記事では、50代・60代で薄毛が進む理由から、育毛剤・発毛剤・治療薬の違い、AGA治療の選択肢まで紹介します。
50代・60代で薄毛が進行する理由は、AGA(男性型脱毛症)や加齢による変化が重なっているなど様々です。一つの原因だけでなく、頭皮環境や全身の健康状態も関わっている可能性もあります。
ここでは、50代・60代で薄毛が進む主な理由を順番に見ていきましょう。
50代・60代の薄毛に深く関わるのが、AGAです。AGAは思春期以降に発症し、ゆっくり進行する脱毛症で、年齢を重ねるほど症状がはっきりする傾向にあります。

AGAは、男性ホルモンが毛根に作用してヘアサイクルを乱すことで起こる脱毛症です。テストステロンが頭皮の5αリダクターゼの働きでDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されます。このDHTが毛乳頭細胞のアンドロゲン受容体に結合し、脱毛に関与するサイトカイン(TGF-βなど)の発現を促すことで、髪の成長期が短縮されます。AGAは、本来は太く長く育つはずの髪が育ちきる前に抜け、細く短い毛が増えて地肌が目立つようになる特徴があります。
50代以降は加齢のせいと捉えがちですが、進行性のAGAが背景にあることもあるため、早めに向き合うことが大切です。
加齢による毛包の衰えも、50代・60代の薄毛が進む理由の一つです。加齢に伴い毛包機能が徐々に低下し、毛径や毛密度が減少します。また、AGAでは毛包のミニチュア化が進行します。髪が抜けたあとの休止期が長引き、新しい髪が生えるまでの期間も延びやすくなるのが特徴です。
生活習慣の乱れが薄毛を直接引き起こすわけではありませんが、頭皮環境を通じて間接的に影響する可能性は十分にあります。過度な栄養バランスの偏りや極端な睡眠不足は、健やかな髪を育てる土台となる頭皮の状態を乱す要因と考えられているためです。
ただし、食事や睡眠の改善だけでAGAの進行を止めることは難しいとされています。生活習慣を整えることは大切ですが、進行性のAGAには医学的な治療を軸に考えましょう。
50代・60代の薄毛は、全身の健康状態が関与している可能性があります。たとえば、糖尿病などの生活習慣病は薄毛との関連が報告されており、血流や代謝異常など複数の要因が関与すると考えられています。
また、他の病気の治療で服用している薬の副作用として、脱毛が引き起こされる場合もあるでしょう。内服薬の影響は個人差があるため、急激な抜け毛を感じた場合は、服用中の薬との関連を医師に相談することが大切です。
50代・60代の頭皮はバリア機能が低下しており、些細な刺激がダメージとなり、頭皮環境を悪化させる原因となり得ます。たとえば、紫外線による光老化は、長年の蓄積が頭皮の弾力を奪い、乾燥や硬化が進むのが特徴です。その結果、紫外線による酸化ストレスや頭皮の光老化が進み、頭皮環境の悪化につながる可能性があります。
また、洗浄力の強過ぎるシャンプーや熱いお湯での洗髪は、頭皮に必要な皮脂まで洗い流し、乾燥を招きます。頭皮が乾燥するとターンオーバーが乱れ、フケや炎症を引き起こしやすくなるでしょう。
育毛剤・発毛剤・AGA治療薬は、目的も期待できる働きも異なります。頭皮環境を整える育毛剤と、髪を生やす発毛剤、AGAの進行を抑制するAGA治療薬は別物だからです。違いを知っておくと、自分に合ったケアや治療法を選びやすくなります。
育毛剤は、頭皮環境を整えるための定番セルフケアアイテムです。育毛剤には発毛効果や、AGAの原因である男性ホルモンを抑える効果はありません。
フケやかゆみを防いで今ある髪を健やかに保つことや、頭皮を清潔で潤いのある状態に保つことを目的としています。医薬部外品の育毛剤は、頭皮ケアの範囲で役立つものと考えておきましょう。
発毛剤は、医学的に「発毛効果」が認められた成分(ミノキシジル)を配合した第1類医薬品です。育毛剤が今ある髪を健やかに保つための「環境づくり」を目的とするのに対し、発毛剤は毛包へ作用し、毛包周囲の血流改善や成長因子の発現促進などを介して発毛を促すと考えられています。 薄毛が気になって髪を生やしたい方にとって、発毛剤の活用は選択肢の一つになるでしょう。
AGAの進行自体を抑制したい場合は、国内で承認されている薬による治療が選択肢になります。男性ホルモンなどが関わっている進行性のAGAは、頭皮ケアだけで進行を止めるのが難しいためです。
国内で承認されているフィナステリドやデュタステリドは、AGAの原因であるDHTの生成抑制に働きかける効果が認められています。
また、AGA治療に効果的なアプローチとして、フィナステリドやデュタステリドでAGAの進行を抑制しつつ、ミノキシジルで発毛を促進するという組み合わせもあります。ただし、医師の管理下で適切に治療を進める必要があるため、まずはクリニックを受診しましょう。
50代・60代が育毛剤を選ぶときは、頭皮環境を整える成分に注目しましょう。年齢を重ねた頭皮は血行が滞りやすく、乾燥や炎症などのトラブルも起こりやすくなるためです。
ここでは、育毛剤に配合される主な成分とその働きを紹介します。
血行を促す成分は、頭皮環境を整えたい50代・60代に向いています。頭皮環境を健やかに保つ目的で配合されています。たとえば、センブリエキスやビタミンE誘導体(酢酸トコフェロールなど)は、育毛剤によく配合されています。
ただし、血行を促す成分は頭皮環境を整える働きであり、発毛そのものを保証するものではありません。
頭皮の炎症やフケ・かゆみが気になる場合は、抗炎症成分が配合された育毛剤がおすすめです。デリケートになった頭皮を穏やかに整えることで、ケアを続けやすくなります。
グリチルリチン酸ジカリウムやピロクトンオラミンなどが、頭皮環境を整える目的でよく使われます。頭皮トラブルを防ぎ、清潔な状態を保つことを目的とした成分です。
ヒアルロン酸やコラーゲンといった成分は、頭皮表面の保湿を補助し、乾燥を防ぐ目的で配合されています。50代・60代の頭皮はバリア機能が低下しやすく、乾燥によるトラブルが起きやすい傾向にあるため、適切な保湿ケアが大切です。
頭皮の乾燥はターンオーバーを乱し、髪の健やかな成長を阻害する要因となり得るでしょう。潤いが満たされた環境下では、健やかな髪が育ちやすくなります。
50代・60代が育毛剤を選ぶときは、続けやすさと頭皮への優しさで判断することが大切です。育毛剤は最低でも数ヶ月は継続使用しましょう。
ここでは、育毛剤を選ぶときに確認したい基準をまとめました。
育毛剤を選ぶ際は、頭皮が敏感な方は、自身の肌に合った低刺激性の製品を選ぶことが望ましいでしょう。50代・60代の頭皮はバリア機能が低下しがちであるため、刺激を抑えた肌への優しさを優先するのがおすすめです。刺激が強過ぎる育毛剤は頭皮トラブルを招き、逆効果となる可能性があります。
香料などで刺激を感じる方もいるため、肌が敏感な方は成分表示を確認すると安心です。敏感な頭皮に添加物を多く含む育毛剤を使用すると、炎症を引き起こしたり、かゆみや赤みの原因となったりする場合があります。
50代・60代の方が育毛剤を選ぶ際は、家計に負担をかけ過ぎず、日々の生活の一部としてストレスなく使い続けられる製品を選ぶのがおすすめです。高価な製品を短期間だけ試すよりも、無理のない価格で継続できる製品を使い続ける方が、頭皮環境を維持しやすいでしょう。
また、使用感も継続に欠かせない要素です。液ダレしにくいノズルや塗布のしやすさ、香りの好みなどをチェックしましょう。自分が心地良いと感じる使用感の育毛剤であれば、自然とケアが習慣化します。
育毛剤は、自分の頭皮タイプや悩みに合った成分で選ぶのがおすすめです。頭皮の状態は人によって異なり、合わない製品では刺激を感じることもあります。
皮脂が多い脂性肌、乾燥しやすい乾燥肌、刺激に弱い敏感肌など、自分の頭皮タイプを把握しておきましょう。乾燥が気になるなら保湿成分、フケやかゆみが気になるなら抗炎症成分というように、悩みに合わせて育毛剤を選ぶと続けやすくなります。
育毛剤の成分を毛穴の深部まで届け、髪が育ちやすい土壌を整えるには、正しい手順と丁寧なケアが必要です。ここでは、育毛剤の効果を引き出す使い方を紹介します。
育毛剤は、シャンプーで丁寧に頭皮の汚れを落としたあと、タオルドライで頭皮の水分を拭き取ってから使用しましょう。頭皮を清潔な状態で使用することで、有効成分を頭皮全体へ塗布しやすくなります。
水分が残っていると育毛剤が薄まったり、流れ落ちたりしてしまう場合があるため、洗浄後はタオルドライで頭皮の水分をしっかり拭き取るのがポイントです。
洗髪時は、38度程度のぬるま湯を使用しましょう。高温のお湯は頭皮を保護するために必要な皮脂膜を過剰に洗い流してしまう恐れがあるためです。皮脂膜を失った頭皮は、乾燥状態に陥る可能性があります。
育毛剤を頭皮に塗布後、指の腹でやさしくなじませてからドライヤーを使いましょう。育毛剤が乾いてからなど、製品ごとに記載されている使用方法に従って乾かしてください。
ドライヤーは頭皮に近づけ過ぎず適度に離し、一箇所に熱が集中しないよう注意しましょう。頭皮を軽く乾かしたあとは、冷風に切り替えるのがおすすめです。これにより、熱による過度なダメージを防げます。

50代・60代の方も、特に健康状態に異常(肝機能障害など)がなければAGA治療が可能です。AGAは進行性のため、放置するとさらに薄毛になりますが、治療することで現状維持や進行を抑制できるでしょう。
ここでは、AGA治療の中心となる承認薬を紹介します。
AGAの内服薬には、フィナステリドとデュタステリドがあります。どちらもDHTの生成を抑え、薄毛の進行を抑えることを目的とした薬です。フィナステリドは前頭部・頭頂部に多いII型の5αリダクターゼを阻害します。デュタステリドはI型とII型の両方を阻害するため、一部の臨床試験ではより高い有効性が示されています。

副作用としては、性機能障害や肝機能障害、抑うつ症状などが報告されています。
1ヶ月にかかる費用の目安は、フィナステリドの後発医薬品(または成分が同一の国内承認医薬品等)で3千円〜5千円、デュタステリドのジェネリックで5千円〜8千円程度です。
なお、フィナステリド・デュタステリドは妊活中の方には原則処方されず、女性や子どもの服用・接触は避ける必要があります。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書」
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル0.1mg/ザガーロカプセル0.5mg 添付文書」
AGAの外用薬や発毛剤として国内で承認されているのが、ミノキシジルです。ミノキシジルは毛包に作用し、毛包周囲の血流改善や成長因子の発現促進などを介して発毛を促すと考えられています。国内で市販・承認されているのは5%までの外用薬です。

主な副作用には、頭皮のかゆみや発赤、ふけ、使用部位の熱感などがあります。ミノキシジル外用薬1本あたりの費用の相場は、5千円~1万円です。
なお、ミノキシジルの内服薬は国内では未承認のため(2026年6月時点)、本記事では承認されている外用薬を中心に紹介しています。

AGAは進行性のため、50代・60代であっても「もう年だから」と諦めず、まずは現状を維持する治療から始める価値があります。市販薬だけで判断せず、持病や飲み合わせも含めて医師に相談してください。
参考:大正製薬「リアップX5チャージ」
ここでは、50代・60代の育毛に関してよくある質問をまとめました。以下で詳しくお答えします。
50代・60代からでも育毛剤や治療の効果は期待できますか?
年齢を理由に薄毛の改善を諦める必要はありません。毛根が残っている段階であれば、育毛剤で頭皮環境を整えたり、AGA治療で進行を抑えたりすることが期待できます。
早めに対策を始めるほど、今ある髪を保ちやすくなるので、薄毛を改善したい場合は医療機関を受診しましょう。
育毛剤とAGA治療薬は併用しても良いですか?
育毛剤とAGA治療薬は目的が異なるため、両方を取り入れる方もいます。ただし、ミノキシジル外用薬とほかの塗り薬を同じ部位に重ねると、吸収が妨げられることがあります。
併用する場合は、自己判断せず医師に相談すると安心です。
持病があり薬を飲んでいてもAGA治療はできますか?
持病や服用中の薬がある場合、医師が問診で飲み合わせや既往歴を確認したうえで治療を検討します。現在飲んでいる薬は必ず医師に伝えてください。
50代・60代の薄毛の原因は、加齢だけでなくAGAが背景にある場合があります。そのため、年齢を理由に薄毛改善を諦める必要はありません。薄毛の原因によってケアや治療法は異なるため、まずは専門医師に診察してもらい、治療方針を相談することをおすすめします。
持病や服用中の薬があっても、医師に相談すればAGA治療を検討できます。レバクリを通じたオンライン診療なら、ビデオ通話で通院せずにAGA治療を始めることが可能です。気になる方は、まず一度相談してみましょう。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル0.1mg/ザガーロカプセル0.5mg」
大正製薬「リアップX5チャージ」
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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