更新日:2026年08月13日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
ED(勃起不全)が治る食べ物はありませんが、血管や男性ホルモンをサポートする栄養素の摂取は勃起力の土台を築くことに役立ちます。偏った食事は肥満や生活習慣病のリスクがあり、血流悪化によって性機能にも影響する可能性があるため控えましょう。勃起不全が続く場合は医療機関の受診やED治療薬の服用を検討することも大切です。
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日々の食事はEDの発症に関わる場合があります。EDは高血圧や糖尿病といった生活習慣病がきっかけで起こることがあり、それらの疾患の発症には食生活が関わるためです。
勃起は陰茎に血液が流れ込むことで起こる現象のため、血管の健康を左右する食事は勃起力へ間接的に影響する可能性があります。
「これを食べればEDが治る」という単一の特効食品や特定の栄養素はありませんが、EDに関する食事療法についてはいくつか知見があります。最も一貫したエビデンスがあるのは、地中海式や植物性中心の低脂肪食であり、全体的な食事パターンが血管内皮機能を改善し、EDリスクを下げることが示されています。
1,469人を対象とした研究では、地中海式食スコアが高いほどEDの発症リスクが低下すること(特に60歳未満で顕著)が分かっています。また、メタボリックシンドローム合併のED患者を対象とした試験(RCT)でも、地中海式食群で勃起機能スコア(IIEFスコア)の改善が認められています。
27,389人を対象とした2025年のメタ解析では、植物性食、低脂肪食、果物・野菜、ナッツの摂取がいずれもEDリスク低下と関連することが示されています。さらに、食事の改善と運動を併用することが最も効果的であることが分かっています。
参考:National Library of Medicine「Association between improved erectile function and dietary patterns: a systematic review and meta-analysis」
偏った食生活は、生活習慣病を介してEDの一因になる場合があります。高カロリー・高脂質・高塩分の食事を続けると、肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症などを招きやすくなるためです。これらの生活習慣病になると血管の内側にコレステロールがたまって動脈硬化が進み、血流が悪くなります。
勃起は陰茎の血管が広がって血液が流れ込むことで起こるため、血流が悪化すると勃起しにくくなります。バランスのとれた食生活によって生活習慣病のリスクを減らすことが、ED予防につながることもあるでしょう。
男性ホルモンであるテストステロンの分泌にも、食生活が関係します。テストステロンは精巣や副腎などでつくられ、性的興奮や勃起に必要なドーパミンの分泌を促す物質です。
乱れた食生活や喫煙、過度の飲酒によって臓器のはたらきが低下すると、テストステロンの分泌に影響することがあります。加齢によってもテストステロンは減少しやすいため、栄養バランスの良い食事で体全体を整えておくことが大切です。
EDは主に、血管や神経の障害で起こる「器質性ED」、心理的な要因で起こる「心因性ED」、両方が重なる「混合性ED」に分けられます。器質性EDや生活習慣が主な原因のケースでは、食事や運動の見直しが血管の状態を改善し、結果的に勃起のサポートへ関わる可能性があります。一方、ストレスやプレッシャーが主な原因の心因性EDでは、食事療法だけで改善するのは難しく、原因に合わせた対処が必要です。自分のEDがどのタイプかを知るためにも、一度医師に相談してみると良いでしょう。
「これを食べればEDが治る」という食べ物はありません。ただし、血管の健康や男性ホルモン、血流へのサポートが期待できる栄養素は存在し、日々の食事に取り入れることでEDの予防・改善に役立つと考えられます。ここでは、血行や男性ホルモン、テストステロンに関わるとされる主な栄養素と、それを含む食材を紹介します。
亜鉛は、男性ホルモンであるテストステロンの産生に関わる栄養素です。不足するとテストステロンの分泌が低下し、性機能に影響する可能性があります。亜鉛は牡蠣やレバー、赤身肉、卵黄、ナッツ類などに多く含まれます。ビタミンCと一緒に摂ると吸収が高まるとされるため、レモンやほうれん草などと組み合わせるのがおすすめです。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
シトルリンは、血管を広げる一酸化窒素(NO)の生成を助けるとされるアミノ酸です。血管が広がって血流が促されることで、勃起に必要な血液の流れをサポートすると考えられています。シトルリンはスイカ・メロン・きゅうり・ゴーヤなどのウリ科の食材に多く含まれます。
アルギニンも、シトルリンと同じくNOの生成をサポートするとされるアミノ酸です。血流のサポートに加え、成長ホルモンの分泌にも関わるとされ、精力サプリメントやエナジードリンクにも配合されています。
アルギニンはキハダマグロ・アーモンド・鶏卵・高野豆腐・落花生などに多く含まれます。シトルリンとアルギニンはお互いを補い合うため、両方を含む食材を組み合わせるのがおすすめです。
DHA・EPAは、血液の状態を整えるとされる必須脂肪酸です。中性脂肪を下げるはたらきがあり、肥満や脂質異常症の予防を通じて、EDの予防・改善に役立つ可能性があります。
DHA・EPAはイワシ・サバ・サンマ・アジなどの青魚に多く含まれます。体内でつくることがほとんどできないため、青魚を食事に取り入れたり、必要に応じてサプリメントを活用したりすると良いでしょう。
カルニチンは、脂肪をエネルギーに変える過程で脂質の代謝を助けるとされるアミノ酸の一種です。体脂肪の減少に役立ちます。
カルニチンは羊肉(ラム肉)や牛の赤身肉、鶏レバーなどの動物性食品に多く含まれます。毎日摂るのが難しい場合は、牛乳や魚などの動物性たんぱく質もあわせて取り入れることで補いやすくなるでしょう。
ビタミンE・Cは、抗酸化作用によって血管の健康を守るとされる栄養素です。ビタミンEは血管の老化を防ぐとされ、ビタミンCは亜鉛の吸収を助けます。
ビタミンEはアーモンド・うなぎ・アボカドなどに、ビタミンCはピーマン・ブロッコリー・レモンなどに多く含まれます。亜鉛を含む食材と組み合わせると、栄養を効率良く摂れるでしょう。
ポリフェノールは、抗酸化作用で血管の健康を保つとされる成分です。血管の柔軟性が保たれると血流がスムーズになり、陰茎の血流促進にも役立つ場合があります。
ポリフェノールはダークチョコレートやブルーベリー、緑茶、赤ワインなどに多く含まれます。ただし、赤ワインのようなアルコールの飲み過ぎは勃起の妨げになる可能性があるため注意しましょう。
高カロリー・高塩分・高脂質の食事はEDリスクに関わる生活習慣病につながりやすいため、できるだけ避けるのが無難です。どれだけ性機能に役立つとされる栄養素を摂っても、これらの食事を続けていると生活習慣病のリスクを高め、EDの一因にもなりえます。避けたい食事を3つに分けて紹介します。
高カロリーな食事は、肥満を通じてEDのリスクを高めます。カロリーの摂り過ぎが続くと、肥満や糖尿病、動脈硬化などを招きやすく、これらはいずれもEDのリスクを高める要因となるためです。
揚げ物・ジャンクフード・カップ麺・スナック菓子などは高カロリーになりがちです。男性が1日に必要とするエネルギーは身体活動量によって異なりますが、一般的には30〜40代でおよそ2,700kcal前後が目安とされています。この目安を意識して食事量を見直しましょう。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
塩分の摂り過ぎは高血圧を招き、血流が悪化することでED症状を引き起こす可能性があります。
ラーメン・味噌汁・漬物・加工食品などは塩分が多いため、偏って摂り過ぎないようにしましょう。成人男性における食塩の目標量は1日7.5g未満とされていますが、ラーメン1杯にはおよそ6g前後の塩分が含まれます。麺類を食べるときはスープを飲み干さないようにしたり、薄味にしたりして減塩を心がけることが大切です。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
脂質の多い食事は肥満や動脈硬化の原因になりやすく、血流の悪化を招いてED症状につながる一因となりえます。揚げ物・マヨネーズ・バター・チーズ・洋菓子など、油を多く使った料理は脂質が多くなりがちです。頻繁に食べている場合は回数を減らしたり、青魚といった良質な脂質に置き換えたりして工夫すると良いでしょう。
EDの予防・改善を目指す場合は、食事だけでなく生活習慣そのものを見直すことも大切です。食事や生活習慣の改善が性機能に直接はたらきかけるわけではありませんが、血流や男性ホルモンに良い生活は体全体のサポートにもなります。
EDの一因となりうる動脈硬化や生活習慣病を予防するためにも、適度な運動によって血流の改善と肥満の解消を目指すことが大切です。
ウォーキングやジョギング、水泳など、無理なく続けやすい有酸素運動を習慣にしましょう。日本性機能学会などのガイドラインでも、運動はED予防や改善に関わるとされています。
十分な睡眠は、男性ホルモンのテストステロンを保つうえで重要です。テストステロンは深い睡眠中に多く分泌されるため、睡眠不足が続くと性欲や勃起力の低下につながることがあります。
必要な睡眠時間は成人でおおよそ6〜8時間が目安とされています。寝る直前の食事やスマートフォンの使用を控えるなど、睡眠の質を高める工夫も取り入れてみましょう。
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド」
喫煙は血管を収縮させて血流を悪くし、動脈硬化を進めるため、EDのリスクを高める要因となる可能性があります。アルコールは適量であれば緊張をやわらげて勃起のサポートになることもありますが、飲み過ぎると性的興奮が伝わりにくくなるため、極力控えるのが無難です。少しでも勃起に悪影響を与えたくない場合は禁煙と節酒を心がけてみましょう。
強いストレスや心身の疲れは、心因性EDの原因につながりかねません。休養や睡眠をしっかりと確保したり、趣味でリフレッシュしたりして自分に合った方法でストレスをやわらげることが大切です。また、性行為に対する精神的なプレッシャーが勃起に影響することもあり、その場合も医療機関で原因や対策を相談できます。
食事や生活習慣の改善だけでEDを治すのは難しい場合があります。特にED治療薬は心因性EDの治療においても選択肢の一つとなります。ここでは、ED治療薬のはたらきと主な種類を紹介します。
ED治療薬は、陰茎への血流を促して勃起をサポートする薬です。国内で使われているED治療薬はPDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬と呼ばれ、勃起不全を引き起こすPDE5のはたらきを抑えることで、勃起とその維持を助ける目的で処方されます。
「飲めば自然に勃起する」薬ではなく、性的な刺激を受けたときの勃起する力を補う薬であると認識しましょう。医療用医薬品のため、使用するには医師の診察と処方が必要です。
国内で処方される主なED治療薬は、バイアグラ・レビトラ・シアリスの3種類です。各治療薬には効果が現れるまでの時間や持続時間、食事の影響などに違いがあります。
| 種類(成分名) | 効果が現れるまでの時間 | 持続時間 | 食事の影響 |
|---|---|---|---|
| バイアグラ (シルデナフィル) | 約30分〜1時間 | 約3〜5時間 | 受けやすい(空腹時の服用が推奨される) |
| レビトラ (バルデナフィル) | 約15〜30分 | 約4〜8時間 | 受けにくい(食前・食後どちらでも影響しにくい) |
| シアリス (タダラフィル) | 約1〜3時間 | 約30〜36時間 | 受けにくい(食前・食後どちらでも影響しにくい) |
バイアグラ(シルデナフィル)は食事の影響を受けやすいため、食後よりも空腹時の服用が推奨されます。いずれの薬も硝酸剤などとの飲み合わせに禁忌があるため、服用中の薬がある方は必ず医師に伝えてください。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シアリス錠 添付文書」

市販の精力剤やサプリメントは医薬品ではなく健康食品にあたり、EDを治したり勃起力そのものを高めたりする効果は確認されていません。直接勃起に関わるのはED治療薬であり、入手するには医師の処方が必要です。また、個人輸入による医薬品は、品質管理の確認が困難な場合があり、万が一副作用が生じた際も「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となります。ED治療薬を検討する際は医師の診察を受けるのが安全です。
ここでは、ED・食事に関するよくある質問をまとめました。Q&A形式で回答するので、ぜひご覧ください。
勃起に良い飲み物や精力ドリンクでEDは改善しますか?
精力ドリンクやエナジードリンクは健康食品であり、EDを改善したり勃起力を高めたりする効果は確認されていません。カフェインやアルギニンが配合されたものもありますが、あくまで体調管理のサポートが目的であると考えましょう。EDの改善を目的とするなら、医師の診察を受けることが推奨されます。
食事改善だけでEDは治りますか?どのくらいで変化しますか?
食事改善はED症状の予防や回復に役立つ場合もありますが、必ず効果があるとはいえません。また、EDには血管の状態が関わるため食事改善による変化を感じるまでには時間がかかります。さらに、心因性や重度のEDでは食事以外の対処が必要です。改善を急ぐ場合や症状が続く場合は、医師に相談してみてください。
ED治療薬を服用する日に避けた方が良い食べ物はありますか?
脂質の多い食事とグレープフルーツ類は避けるのが無難です。グレープフルーツは成分の分解に関わる酵素のはたらきを妨げ、作用が強く出る恐れがあります。ほかにも、脂っこい食事は薬の吸収を遅らせることがあり、特にシルデナフィルで影響が出やすいとされています。ED治療薬の効果をしっかりと引き出すためにも、医師や薬剤師の説明を受けたうえで飲み合わせを理解することが大切です。
食生活が乱れていると高血圧や糖尿病といった生活習慣病のリスクを招き、血流が悪化することで結果的にEDの一因となる場合があります。偏った食事を避け、健康管理を心がけることが推奨されます。
また、日々の食事には血流のサポートやテストステロンの分泌に関わる食材を取り入れると良いでしょう。高カロリー・高塩分の食事を控えることが血管の健康につながり、勃起力を支えてくれる可能性があります。ただし、EDが治る食べ物があるわけではなく、食事だけで改善するには限界があることも事実です。特に器質性EDでは、生活改善とあわせてED治療薬を使うことで改善が期待できます。
ED治療薬は性的刺激を受けた際に勃起を促す医療用医薬品であり、入手するには医師の処方が必要です。気になる症状が続く場合は、自己判断に頼らず医師に相談のうえ、適切な対処法を検討することが推奨されます。
National Library of Medicine「Association between improved erectile function and dietary patterns: a systematic review and meta-analysis」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シアリス錠 添付文書」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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