更新日:2026年10月27日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
高血圧と診断され、すでに症状が出ていたEDの原因はこれだったのか?と思い当たる節がある方もいるかもしれません。高血圧は動脈硬化を通じてEDの要因となり、服用する降圧剤の種類によってEDを起こすこともあります。この記事では、高血圧でEDが起こる仕組み、降圧剤とEDの関係、ED治療薬を服用する際の注意点、両方を改善する生活習慣を解説します。
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高血圧は動脈硬化を進行させ、勃起不全(ED)を引き起こす要因の一つになります。高血圧と診断された方が勃起しづらさを感じる場合、血圧の影響によるEDの可能性があります。 なぜ高血圧とEDが併発しやすいのか、理由と仕組みを解説します。
高血圧とEDが併発しやすいのは、どちらも血管内皮機能低下や動脈硬化など共通の病態を持つからです。高血圧が続くと血管に負担がかかり、動脈硬化が進み、血流の悪化を招きます。勃起は陰茎の動脈に血液が流れ込むことで起こるため、血管内皮機能低下や動脈硬化が進むと、陰茎海綿体への十分な血液流入が得られにくくなり、EDにつながると考えられています。
高血圧の方は血圧が正常な方よりも、EDのリスクが高いと考えられているのはそのためです。 EDの症状が、動脈硬化など血管の変化を知らせるサインになることもあります。
高血圧でEDが起こる主な仕組みは、動脈硬化と血管内皮の障害による血流低下です。 高い血圧が血管の内側の壁(血管内皮)を傷つけると、血管を広げる物質である一酸化窒素(NO)が十分に作られなくなったり、本来の働きを発揮できなくなったりします。さらに動脈硬化で血管の柔軟性が低下し、内腔が狭くなることでも血流が妨げられます。 陰茎の動脈は全身の中でも細いのが特徴です。そのため、こうした血流低下の影響を受けやすいと考えられています。結果として、勃起に必要な血液が海綿体に届きにくくなり、EDにつながることがあります。
EDは原因によって器質性・心因性・混合性などに分けられ、血管や神経の障害で起こるものが器質性EDです。 血管性のEDは、血圧や血管の状態を整えることが対処や治療の基本とされています。
| 降圧剤の分類 | EDへの関与・影響 | 補足 |
|---|---|---|
| 利尿薬(チアジド系) | 起こしやすいとされる | EDとの関連が報告されているが、明確な機序は分かっていない |
| β遮断薬 | 起こしやすいとされる | 脳から陰茎へ性的刺激を伝える神経の働きに関わるためとされる |
| 交感神経抑制薬 | 起こしやすいとされる | 脳から陰茎へ性的刺激を伝える神経の働きに関わるためとされる |
| カルシウム拮抗薬 | 影響は少ないとされる | 薬剤の種類によって影響が分かれるとされる |
| ACE阻害薬 | 影響は少ないとされる | ー |
| ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬) | 影響は少ないとされる | ー |
高血圧そのものに加えて、一部の降圧剤の副作用でEDが起こることがあります。薬剤の影響によって起こるものは薬剤性EDです。 降圧剤にはEDを起こしやすいものと、影響が少ないとされるものがあります。降圧剤の種類別にEDへの影響を解説します。
EDを起こしやすいとされる降圧剤には、一部の利尿薬・β遮断薬・交感神経抑制薬があります。 チアジド系利尿薬ではEDとの関連が報告されていますが、明確な機序は分かっていません。 β遮断薬や交感神経抑制薬が勃起に影響することがあるのは、性的刺激を脳から陰茎へ伝える神経の働きに関わるためとされています。 これらの薬を使っていてEDが気になる場合、自己判断で投薬や治療を中止せず、かかりつけの医師に相談しましょう。
カルシウム拮抗薬・ACE阻害薬・ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)は、性機能への影響が少ないとされる降圧剤です。
カルシウム拮抗薬は、薬剤の種類によって影響が分かれるとされています。 どの降圧剤が向いているかは、血圧の状態や持病によって異なるため、医師が総合的に判断します。EDが気になる場合は、降圧剤の種類について主治医に相談しても良いでしょう。

降圧剤を飲み始めてEDを感じても、自己判断で薬を中止しないでください。高血圧の治療を中断すると、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まります。ED症状は主治医に伝えれば、薬の種類や量の調整を検討してもらえる場合があります。高血圧の治療を続けることは、将来のED重症化の抑制にもつながると考えられています。
ED治療薬を服用する際は、血圧の状態や併用薬の確認が必要です。血圧がコントロールできていれば、医師の確認のもとでED治療薬を使える場合があります。 一方で、併用禁忌の薬と一緒に服用すると、血圧が急激に低下するおそれがあります。
主な注意点を順に解説します。
血圧が薬物療法でコントロールできていれば、医師の確認のもとでED治療薬を併用できる場合があります。 ただし、降圧剤とED治療薬はどちらも血圧を下げる作用があるため、併用すると想定以上に血圧が下がることがあります。 血圧の状態や使用中の薬によっては、ED治療薬を使えないこともあり、注意が必要です。 自己判断で服用せず、必ず医師に相談し、使用中の薬を伝えましょう。
狭心症などで使われる硝酸剤(ニトログリセリンなど)とED治療薬の併用は禁忌です。 硝酸剤とED治療薬を一緒に飲むと、血圧が急激に下がり、命に関わるおそれがあります。 バイアグラ錠の添付文書でも、硝酸剤や一酸化窒素(NO)供与剤などを使用中の方は服用禁忌です。 硝酸剤は飲み薬だけでなく、貼り薬やスプレーなどに含まれることもあります。使用中の薬がある方は、必ず事前に医師へ伝えてください。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
未治療やコントロール不良の高血圧があると、性行為に伴う心血管負荷が許容できない可能性があるため、ED治療薬を服用できない場合があります。 添付文書によると、安静時収縮期血圧が170mmHgより高い、または拡張期血圧が100mmHgより高い方は禁忌とされています。 高血圧が疑われ未治療の場合は、まず医療機関で高血圧の治療を優先して始めましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シアリス錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」
個人輸入では、医療機関を通じた処方と異なり、品質管理の状況が確認できない場合があります。また、個人輸入した医薬品で健康被害が起きても、医薬品副作用被害救済制度の対象外となることから、ED治療薬の個人輸入は行わないようにしましょう。ED治療薬は、原因の特定や副作用への対応、持病・併用薬との兼ね合いを考慮すると、医療機関で医師の診察を受けて服用を開始することが大切です。
参考:厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」

高血圧とEDは、生活習慣の見直しでともに改善することがあります。 どちらも血管の健康と関わるため、血圧を下げる生活習慣はEDの予防・改善にも役立つと考えられています。
軽度の高血圧であれば、生活習慣の改善で血圧が落ち着く場合もあるため、以下で紹介する取り入れやすい5つの改善方法を試してみましょう。
塩分を控えることは、高血圧の改善に役立つとされています。
厚生労働省によると、日本人男性の食塩摂取量は1日10.9gで、日本高血圧学会が示す目標値の6g未満より多い状態です。日本食は味噌汁や漬物など塩分の高い食事が多く、加工食品からの摂取も影響していると考えられます。 薄味でも満足感を得るために、レモンやわさび、ゆず、山椒などを活用すると良いでしょう。食品の栄養成分表示を確認し、食塩相当量の少ないものを選ぶ方法もあります。
参考:厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」 農林水産省「みんなの食育 中高年男性編」
適度な運動は、血圧を下げるほか、肥満や動脈硬化の予防にもつながり、高血圧とEDの両方の改善に役立つと考えられています。
厚生労働省によると、20歳以上の男性の肥満割合は33.0%で、40〜50代では約40%とされています。肥満は男性ホルモン(テストステロン)の低下を招き、性機能にも影響するため、肥満の予防はEDの予防にもつながると考えられています。高血圧のある方は激しい運動を避け、ジョギングや踏み台昇降などの軽い運動を30分程度続ける方法があります。運動の可否や強度は主治医にご相談ください。
参考:厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
過度な飲酒は血圧を上昇させ、高血圧の原因になることがあります。 高血圧の状態で多量に飲酒すると、脳卒中やアルコール性の心疾患のリスクもあります。また、多量の飲酒によるアルコール依存症もEDの原因となることがあるため、注意が必要です。
参考:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて」
喫煙すると、ニコチンにより血管が収縮し交感神経が活発になって、血圧が上昇します。また、高血圧だけでなく、動脈硬化を進めて血管に負担をかける要因にもなります。 禁煙に取り組むことで、高血圧をはじめとするさまざまな疾患の予防につながると考えられています。
禁煙が難しいと感じる方は、禁煙外来の受診も検討しましょう。
ストレスをためないことと十分な睡眠をとることは、高血圧とEDのどちらの改善にも役立つと考えられています。 ストレスが続くと交感神経が優位になり、血管が収縮して血圧が上がりやすくなります。また、EDには血管の要因だけでなく、不安や緊張といった心因性の要因が関わる場合もあります。睡眠不足も血圧が下がりにくい状態につながるとされています。 入浴や軽いストレッチで休息の時間をつくり、就寝・起床の時間をそろえることから始めてみましょう。気分の落ち込みや不眠が続く場合は、医師に相談してください。
高血圧とEDについて、よく挙がる疑問に回答します。
高血圧が改善すれば、EDも自然に良くなりますか?
軽度であれば、血圧の改善とともに勃起の状態が変わる場合もあります。ただし、動脈硬化が進んでいる場合は血圧の改善だけでは十分でないこともあるため、気になる場合は医師に相談しましょう。
ED治療薬は高血圧の薬の代わりになりますか?
なりません。ED治療薬は一時的に勃起を助ける薬で、血圧を継続的に下げる降圧剤とは目的が異なります。高血圧の治療は降圧剤などで別に行う必要があります。
高血圧のほかに、EDの原因になりやすい生活習慣病はありますか?
糖尿病や脂質異常症も、動脈硬化を通じてEDの原因になりやすいとされています。複数が重なると血管への負担が増すため、生活習慣の見直しが大切です。
高血圧は、動脈硬化を通じて器質性(血管性)EDの要因になります。高血圧の治療による降圧剤の種類によっては、薬剤性EDを起こしやすいものもありますが、自己判断で中止せず医師に相談することが大切です。血圧が安定していれば、医師の確認のもとでED治療薬を併用できる場合があります。 一方で、未治療の高血圧や硝酸剤との併用には注意が必要です。高血圧とEDをともに改善するために、減塩や運動、節酒、禁煙といった生活習慣の見直しに取り組み、気になる症状があれば医師への相談を検討してください。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シアリス錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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