更新日:2026年08月26日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「肥満の傾向が進むにつれて勃起力の衰えを感じている」「太っていることとEDは関係があるのか」と気になる方もいるかもしれません。肥満はEDのリスクファクターの一つとされ、背景には血流やホルモンへの影響があります。ダイエットや生活習慣の改善によってEDの改善が期待できることもわかっています。この記事では肥満とEDの関係や仕組み、見直したい生活習慣、治療方法としてのED治療薬を解説します。
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肥満はEDを引き起こすリスクファクターの一つとされています。肥満とEDのリスクがどのように関係しているのかを解説します。
BMIとは、体重と身長から算出される体格の指標で、数値が大きいほど肥満の程度が高いと判断されますが、このBMIが高くなるほど、EDのリスクは高まると報告されています。 海外で平均年齢31.5歳の男性878人を対象にした調査では、BMIが高い群ほどEDの発症リスクが高い傾向が示されました。肥満そのものだけでなく、肥満に伴って進む血管や代謝の変化がEDに関係していると考えられています。
参考:National Library of Medicine(PubMed)「Association of BMI with erectile dysfunction: A cross-sectional study of men from an andrology clinic」
National Library of Medicine(PubMed)「Association of BMI with erectile dysfunction: A cross-sectional study of men from an andrology clinic」
同じ肥満でも、おなかの内側に脂肪がたまる内臓脂肪型の肥満はEDと関係が深いとされています。内臓脂肪が増えると、動脈硬化や糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病につながりやすくなります。いずれの疾患も血管の状態を悪化させ、勃起に必要な血流を妨げる要因になります。 見た目の体型だけでなく、体の内側で起こる代謝の変化がEDの背景にあるといえます。
肥満がEDを引き起こす背景には、血管やホルモン、血糖、心理的要素という複数の要因があります。 勃起は、性的刺激を受けると脳からの指令で陰茎の血管が広がり、cGMP(環状グアノシン一リン酸)という血管を広げる物質が増え、海綿体に血液が流れ込むことで起こります。肥満はこの仕組みのさまざまな部分に影響します。
肥満によって動脈硬化が進むと、陰茎の海綿体に十分な血液が届きにくくなり、勃起が起こりにくくなります。肥満に伴う脂質異常や高血糖は血管内皮機能を低下させ、血管を広げる働きを低下させます。その結果、cGMPが十分に働きにくくなり、海綿体への血流が不足しやすくなります。 陰茎の血管は体の中でも細いため、動脈硬化の影響を受けやすい部位とされています。
参考:National Library of Medicine(PubMed)「Atherosclerosis-induced arterial erectile dysfunction: pathogenesis, diagnosis, and therapeutic strategies」
脂肪が増えると、男性ホルモンであるテストステロンが低下しやすくなります。脂肪組織にはアロマターゼという酵素が多く含まれ、テストステロンを女性ホルモン(エストロゲン)に変換する働きがあります。 また、テストステロンは性機能の維持だけでなく、気力や筋肉量を保つための役割も担っているため、その低下はEDを招くだけでなく、活力や筋肉量の低下といった全身の不調にもつながります。
肥満によってインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が起こると、糖尿病を併発してED発症のリスクが高まります。 糖尿病は高血糖の状態が続くことで血管と神経の両方を傷つけます。血管が傷つけば血流が不足し、神経が傷つけば勃起に必要な信号が伝わりにくくなります。糖尿病は肥満を背景に発症することも多く、EDと深く関わる生活習慣病の一つです。
参考:National Library of Medicine「Erectile dysfunction and diabetes: A melting pot of circumstances and treatments」
体型へのコンプレックスやストレスが、心因性のEDにつながることもあります。 心因性EDは、心理的なプレッシャーや不安によって脳の興奮がうまく伝わらない状態です。肥満による身体的な要因と、体型への不安といった心理的な要因が重なり、混合性のEDになる場合もあります。原因が一つとは限らないため、背景を整理することが大切です。

陰茎の血管は体の中でも細く、動脈硬化の影響が比較的早く現れやすい部位です。そのため、EDの症状は、糖尿病や高血圧といった生活習慣病が隠れている兆候の可能性もあります。
肥満によるEDは、カロリー制限や運動など、ダイエットによる体重管理や生活習慣を見直すことで改善が期待できます。肥満の改善とEDの関係を解説します。
ダイエットによって、ED症状の改善が期待できます。体脂肪が減ると血管の状態が整いやすくなり、テストステロンのバランスも回復しやすくなります。その結果、勃起に必要な血流やホルモンの条件が整いやすくなると考えられています。 無理なダイエットではなく、続けられる範囲で体重を管理していくことが大切です。
参考:National Library of Medicine「Obesity and Erectile Dysfunction: From Bench to Clinical Implication」
EDは、生活習慣の改善そのものが治療につながり得る点が特徴です。 EDの原因の多くは血管の状態に関係するため、運動・食事・禁煙などで血管の働きが整えば、改善につながることがあります。ガイドラインでは、ED治療薬に有酸素運動を併用した群のほうが、より勃起機能の改善がみられたという報告も紹介されています。生活習慣の見直しは、EDへの対処の土台になります。
参考:National Library of Medicine「Lifestyle modifications and erectile dysfunction: what can be expected?」
肥満によるEDの改善に必要なのは、運動・食事・禁煙や節酒・睡眠の見直しです。どれか一つだけではなく、無理のない範囲でバランスよく続けることがポイントです。見直したい生活習慣を紹介します。
有酸素運動は、血流と体重の両方を整えるうえで大切です。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどは、内臓脂肪の減少と血流の改善に役立ちます。海外の研究によると、ED患者のうち、有酸素運動を行った集団と行わなかった集団で比較した結果、有酸素運動をした集団の一部で勃起機能の改善が有意にみられたと報告されています。 ただし、持病がある場合は、自己判断で運動を始めず、医師に相談したうえで取り組んでください。
参考:National Library of Medicine「Effect of aerobic exercise on erectile function: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials」
栄養バランスのとれた食事は、血管の健康を維持しホルモンバランスを正常に整えるうえで大切です。特に、次のような食材を意識して摂取すると良いでしょう。
これらをとり入れつつ、揚げ物や脂質・糖質のとりすぎを控えることが、肥満とEDの両方の対策につながります。特定の食材だけに頼らず、全体のバランスを整えることを心掛けましょう。
禁煙と節酒もまた、血管の健康を保つためのポイントです。 喫煙は血管を収縮させ、血流を低下させる作用があるとされており、循環器疾患などの原因でもあります。また、過度の飲酒は男性ホルモンの分泌や神経の働きに影響することがあります。飲酒の適量には個人差があるため、量が気になる場合や禁煙を考えている場合は、医師に相談してみてください。
参考:厚生労働省「健康日本21アクション支援システム 喫煙」
参考:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて」
十分な睡眠は、テストステロンの分泌を整えるうえで大切です。テストステロンは主に睡眠中に分泌されるため、睡眠不足が続くとホルモンのバランスが崩れ、性欲や勃起力の低下につながることがあります。睡眠時間の確保に加えて、寝る前のスマートフォンの使用を控えるなど、睡眠の質を高める工夫も取り入れてみましょう。
参考:National Library of Medicine「The relationship between sleep disorders and testosterone in men」
参考:厚生労働省「Good Sleepガイド(ぐっすりガイド)成人版」
生活習慣の改善とあわせて、ED治療薬を利用するという選択肢もあります。国内で承認されているED治療薬はPDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬と呼ばれ、勃起の仕組みに働きかけて血流をサポートします。主なED治療薬の作用を解説します。
ED治療薬は、性的刺激を受けたときの勃起する力を補う薬です。 勃起がおさまるときには、血管を広げる物質であるcGMP(環状グアノシン一リン酸)を分解するPDE5という酵素が働きます。ED治療薬はこのPDE5の働きをブロックし、海綿体への血流をスムーズにして勃起を助けます。薬を飲むと勝手に勃起するといったものではなく、性的刺激があってはじめて効果が発揮されます。
参考:厚生労働省「勃起障害のメカニズムと病態生理等」
国内で承認されたED治療薬には、シルデナフィル・バルデナフィル・タダラフィルの3種類があります。それぞれ持続時間や食事の影響などに違いがあります。主な特徴は以下のとおりです。
| 成分名(先発薬) | 持続時間の目安 | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| シルデナフィル (バイアグラ) | 3〜5時間 | 400〜1,200円 | 世界で最初に承認されたED治療薬。空腹時の服用が推奨される |
| バルデナフィル (レビトラ) | 5mgで3〜5時間、10〜20mgで4〜8時間 | 1,000〜2,000円 | 標準的な食事であれば食後でも影響を受けにくい |
| タダラフィル (シアリス) | 5mgで12〜24時間、10〜20mgで30〜36時間 | 500〜1,200円 | 持続時間が長く、食事の影響を受けにくい |
代表的な副作用として、頭痛やほてり、消化器症状、鼻づまりなどが報告されています。また、ニトログリセリンなどの硝酸剤を使用している方は、急激な血圧の低下を招くため併用できません。持病や服用中の薬がある場合は、必ず医師に伝えたうえで判断を受けてください。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「レビトラ(バルデナフィル) 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シアリス 添付文書」
ED治療薬は、生活習慣の改善とあわせて用いることで、より改善が期待できるとされています。薬に頼りきるのではなく、減量や運動といった生活習慣の見直しと組み合わせることが、肥満によるEDへの対処につながります。
肥満はEDを引き起こすリスクファクターの一つとされ、BMIが高いほどEDのリスクが高まる傾向が報告されています。背景には、血管内皮障害や動脈硬化による血流の低下、テストステロンの減少、糖尿病の併発、体型へのストレスといった複数の要因があります。 減量や生活習慣の改善によってEDの改善が期待できることがわかっており、EDは生活習慣の見直しそのものが対処につながり得る点が特徴です。適切な運動、バランスのとれた食事、禁煙や節酒、良質な睡眠を無理のない範囲で続けつつ、必要に応じてED治療薬の服用という選択肢も検討できます。 肥満とEDが気になる方は、自己判断だけで抱え込まず、医師への相談やオンライン診療も検討してみてください。
National Library of Medicine(PubMed)「Association of BMI with erectile dysfunction: A cross-sectional study of men from an andrology clinic」
National Library of Medicine(PubMed)「Atherosclerosis-induced arterial erectile dysfunction: pathogenesis, diagnosis, and therapeutic strategies」
National Library of Medicine「Erectile dysfunction and diabetes: A melting pot of circumstances and treatments」
National Library of Medicine「Obesity and Erectile Dysfunction: From Bench to Clinical Implication」
National Library of Medicine「Lifestyle modifications and erectile dysfunction: what can be expected?」
National Library of Medicine「Effect of aerobic exercise on erectile function: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials」
National Library of Medicine「The relationship between sleep disorders and testosterone in men」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「レビトラ(バルデナフィル) 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シアリス 添付文書」
厚生労働省「勃起障害のメカニズムと病態生理等」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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