更新日:2026年07月03日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「女性がバイアグラを飲んだらどうなるのか」「女性用のバイアグラは存在するのか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。女性がバイアグラを服用しても性的な悩みを解決する効果は期待できず、むしろ健康上のリスクを伴う可能性があります。
本記事では、女性がバイアグラを服用した場合の効果とリスク、海外で承認されている「女性用バイアグラ」の実態について詳しく解説します。
女性がバイアグラを服用しても、性的な悩みを解決する効果は期待できません。バイアグラ(シルデナフィル)を女性が服用した場合、血管拡張作用により血行がよくなることで膣や陰核(クリトリス)への血流が増えるといわれています。ただし、医学的に確立されたエビデンスはありません。
ファイザー社は女性性機能障害の症状がある約3000人の女性を対象に、性的興奮に関するプラセボ対照試験を実施しました。しかし、バイアグラの有効性に関する決定的な結果は得られていません。
そもそもバイアグラは、医薬品医療機器総合機構「バイアグラ 添付文書」にも明記されているように、催淫剤や性欲増進剤ではありません。催淫剤とは性的興奮を促す作用がある薬剤のことですが、バイアグラには性行為への満足度が上がる作用はないのです。
女性が服用して性行為への満足度が上がったとしても、「バイアグラを飲んだから効果があるに違いない」と思い込むことによるプラセボ効果である可能性が高いでしょう。
参考:National Library of Medicine「Pfizer will not apply for a licence for sildenafil for women」
医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
参考:医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
女性がバイアグラを服用することは、効果が期待できないだけでなく健康上のリスクを伴う可能性があります。具体的なリスクは以下のとおりです。
順番に解説します。
バイアグラはED(勃起不全)の治療を目的とした薬です。 女性がバイアグラを服用した場合の安全性は確立されておらず、予期しない副作用を招くおそれがあります。
医薬品医療機器総合機構「バイアグラ 添付文書」によると、男性がED治療を目的として服用した場合に報告されている副作用は以下のとおりです。
しかし、これらの副作用はあくまでED患者の男性が服用した場合に起こりうるものです。海外の女性を対象とした試験において、シルデナフィル(バイアグラの有効成分)を服用した場合の副作用として報告されているのは、頭痛や顔面紅潮、一過性の視覚障害などがあります。軽度から中等度の症状であったと報告されていますが、女性のバイアグラ服用に関する大規模・長期的なデータは少ないのが現状です。上記に記載した以外の副作用が出る可能性や、副作用の症状が強く出る可能性も考えられます。万が一、バイアグラを入手したとしても女性は服用しないようにしましょう。
参考:医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
National Library of Medicine「Safety and efficacy of sildenafil citrate for the treatment of female sexual arousal disorder: a double-blind, placebo controlled study」
女性がバイアグラを服用して重篤な副作用が出たとしても、医薬品副作用被害救済制度の適用対象外となり、治療費は全額自己負担となります。
医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用により入院治療が必要になるほどの健康被害が生じた場合に、医療費や障害年金などの給付を行う公的な制度です。
バイアグラは男性のED治療薬として承認されており、女性の服用は承認された使用方法ではありません。つまり、女性がバイアグラを服用して重篤な副作用が起こった場合は、適正な使用ではないと判断され救済制度の対象外となります。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「Q3 救済の対象となる健康被害とはどのようなものですか。」
女性がバイアグラを服用しても、性的な悩みを解決する効果は期待できません。バイアグラはED(勃起不全)治療を目的とした男性向けの薬であり、女性の性機能に対する医学的エビデンスは確立されていないのが現状です。仮に効果を感じたとしても、それはプラセボ効果である可能性が高いでしょう。
女性がバイアグラを服用することは、健康上のリスクを伴います。安全性は確立されていないため予期せぬ副作用を招くおそれがあるほか、医薬品副作用被害救済制度の適用対象外となり、治療費は全額自己負担となってしまいます。また、個人輸入で入手したバイアグラは偽薬のリスクもあり非常に危険です。
海外には「女性用バイアグラ」と呼ばれるAddyiやVyleesiなどの薬が存在しますが、日本では承認されておらず、これらもバイアグラとは成分やメカニズムが異なる薬です。性に関する悩みがある場合は、バイアグラの服用ではなく、婦人科や泌尿器科などの適切な医療機関への相談を検討してみましょう。
National Library of Medicine 「Pfizer will not apply for a licence for sildenafil for women」
独立法人 医薬品医療機器総合機構「勃起不全治療剤 シルデナフィルクエン酸塩錠 シルデナフィルクエン酸塩口腔内崩壊フィルム」
National Library of Medicine「Safety and efficacy of sildenafil citrate for the treatment of female sexual arousal disorder: a double-blind, placebo controlled study」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「Q3 救済の対象となる健康被害とはどのようなものですか。」
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