更新日:2026年06月09日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「薄毛を自分で治すことは可能か」とお悩みの方もいるかもしれません。しかし、薄毛の原因はさまざまなため、自分で原因を特定し、適切な対応をとることは困難です。特にAGAなどの脱毛症は、専門医による医学的な治療が欠かせません。
本記事では、自分で治せたといわれる薄毛や治療が必要な薄毛の種類、心掛けたい生活習慣を解説します。AGAが原因である場合の治療法にも触れていますので、ぜひご一読ください。
薄毛を自分で治すことは、基本的には難しいと考えられます。ここでの「自分で治す」とは、医療機関を受診せずに自身で原因を特定し、かつ完治させることを指します。後述するように薄毛にはさまざまな原因があり、複数の要因が複雑に絡み合っているケースも少なくありません。自身の判断だけで原因を見つけ出すのは困難です。
また、AGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症のように、医学的に「完治」という概念がない脱毛症も存在します。インターネット上のブログなどで「自分で治した」という内容を見かけるかもしれませんが、それらはあくまで個人の体験談に過ぎません。自身の症状に当てはまるとは限らないため、注意が必要です。

薄毛の症状が気になるときは、自己判断せずクリニックを受診しましょう。早めに相談し、原因に応じた対応をとることで症状の悪化を防げる可能性があります。
ここでは、「自分で治せた」「自然に治った」といわれることがある薄毛について紹介します。改善するために自身で対応する場合でも、まずは皮膚科などの医療機関を受診して医師の診断を仰ぐことが大切です。
牽引性脱毛症は、ポニーテールや三つ編みのように、特定の方向に髪をきつく引っ張り続けることが原因で起こる脱毛症です。ほかにも、重いエクステンションを付けたり、ヘアアイロンで過度に引っ張ったりすることが頭皮への負担となり、脱毛につながることがあります。
牽引性脱毛症は、初期段階であれば原因となる髪型や習慣をやめることで症状が改善へ向かう場合があります。まずは、髪型を変えるなどの対策を検討してみましょう。ただし、頭皮の状態を正確に把握するためには、自己判断ではなく、一度クリニックなどで相談するのがおすすめです。
休止期脱毛症は、本来であれば成長を続けるはずの毛包が、通常よりも長く「休止期」という休毛期間に入ってしまうことで起こります。この症状を引き起こす原因はさまざまですが、代表的なものとして以下が挙げられます。
休止期脱毛症は、原因によって対応方法が異なります。たとえば、栄養不足が原因であれば食事内容の見直し、ストレスが原因であれば環境の改善が必要になるでしょう。自身の抜け毛は何が原因で起こっているのかを特定し、適切に対応するためにも、専門医による診察を受けることが大切です。
自身で改善できる可能性のある薄毛がある一方、自分で治すことが難しい薄毛もあります。具体的には、以下の3種類です。これらはいずれも、医学的に「完治」という概念のない薄毛に該当します。
それぞれ詳しく解説します。
AGA(男性型脱毛症)は、思春期以降の男性にみられる進行性の脱毛症です。主な原因は、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモンや遺伝的要因であると考えられています。

男性ホルモンの一種であるテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結合すると、DHTが生成されます。DHTは、毛根にある受容体(レセプター)と結合して脱毛因子を生成し、ヘアサイクル(毛周期)の乱れを招きます。その結果、髪の毛が細く弱くなり、額の生え際が後退したり、頭頂部の髪が薄くなったりするのが特徴です。
AGAはそのままにしておくと徐々に薄毛が進行していくため、自然に治ることはありません。症状の改善を図るためには、専門医の診察を受け、適切な治療を行う必要があるでしょう。
FAGA(女性男性型脱毛症)やFPHL(女性型脱毛症)は、頭頂部を中心に広範囲にわたって髪が薄くなる脱毛症です。女性の場合も男性のAGAと同じく薄毛になることがあり、FAGAと呼ばれています。しかし、AGAとは発症時期が異なるなどの理由から、現在はFPHLという病名が使われる機会が増えています。
FAGAやFPHLは薄毛のパターンによって、ルードウィッグ型、ハミルトン型、クリスマスツリー型の3タイプに分類できます。特徴は下図のとおりです。

FAGAやFPHLの発症メカニズムは完全には解明されていません。治療の選択肢としては、成分濃度1%のミノキシジル外用薬の使用が検討されます。同濃度のミノキシジル外用薬は市販で購入可能ですが、まずは皮膚科などの専門医に相談するのが良いでしょう。症状を改善するためには、原因を特定したうえで、適切な治療を受けることが大切です。
円形脱毛症は、ある日突然、円形や楕円形に髪の毛が抜け落ちてしまう自己免疫性疾患です。本来は体を守る免疫細胞が、何らかのきっかけで毛包を攻撃してしまうことで発症すると考えられています。症状は髪が1箇所だけ抜けるものから、複数箇所に広がるものまで、いくつかのパターンが存在します。円形脱毛症の種類は、以下の図のとおりです。

円形脱毛症の治療法は、年齢や脱毛している範囲などによって一人ひとり異なります。軽症であれば自然な回復も期待できますが、重症・範囲が広い場合などは自然治癒は難しいため、専門医に相談して適切な治療を受けましょう。
AGAやFAGA・FPHLなどの薄毛を自分で治すことは難しいものの、正しい生活習慣を取り入れることで頭皮環境を整えることはできます。日常的に意識しておきたい生活習慣は以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説していきます。
健康な髪の成長をサポートするためには、栄養バランスの整った食事を心掛けることが大切です。髪の主成分であるケラチンの材料になるタンパク質をはじめ、ケラチンの合成を助ける亜鉛や細胞分裂をサポートするビタミン群などを意識して摂取するようにしましょう。
厚生労働省の「食事バランスガイド」によると、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物をバランスよく取り入れるのが理想的とされています。外食が多い方はなるべく野菜を多く使ったメニューを取り入れたり、副菜の付いた定食を選んだりするなど、できるだけ食材を多く摂れるよう工夫してみましょう。
参考:厚生労働省「『食事バランスガイド』について」
適度な運動を習慣にすることは、ストレスの軽減や睡眠の質の向上に役立ちます。これらの効果は全身の健康状態を維持し、結果として毛髪の健康を支える土台となるでしょう。普段、運動のためのまとまった時間がとれない人や、デスクワークで座りっぱなしの人は、意識的に体を動かす機会をつくりましょう。
厚生労働省の「アクティブガイド-健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023-成人版」でも、今より10分多く体を動かすことが推奨されています。たとえば、仕事中も30分に1回は立ち上がってストレッチをする、通勤時に一駅分歩くといった小さな積み重ねから始めてみましょう。無理のない範囲で身体活動を増やすことが、健康な髪を育てる環境づくりに役立ちます。
参考:厚生労働省「身体活動・運動の推進」
過度な精神的ストレスは、自律神経の乱れなどを通じて脱毛症を引き起こすきっかけになる場合があります。可能なかぎり原因を取り除くとともに、自身に合った方法でストレスを解消することが大切です。
厚生労働省の「こころと体のセルフケア」では、ストレス解消のために運動や腹式呼吸、音楽を聴くなどのセルフケアを勧めています。ストレス解消法は人それぞれであるため、自分に合った方法でリフレッシュし、日常的に心と体のバランスを整えることが大切です。
参考:厚生労働省「ストレスとこころ」
薄毛の症状を改善したいときには、専門医に相談するのが良いでしょう。特にAGAの場合はそのままにしておくと徐々に進行するため、早期に治療を開始することが大切です。
AGAの症状を改善したい場合、内服薬・外用薬を使った治療が主な選択肢となります。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬やミノキシジル外用薬による治療が「行うよう強く勧める」とされています。
AGAの代表的な治療薬について、以下の表にまとめました。

ただし、ミノキシジル内服薬は国内未承認で、専門医の適切な管理のもとで行われる適応外使用である点に注意が必要です。薄毛の進行度や体質などに合わせて、医師の処方を受けましょう。
忙しくて病院に行く時間がない方や対面での診療に抵抗がある方には、オンライン診療という選択肢があります。オンライン診療はスマートフォンやパソコンを使って自宅から医師の診察を受け、薬を自分が指定する場所に配送してもらえるサービスです。
オンライン診療の主なメリットは以下のとおりです。
ただし、初診からオンライン診療が可能かどうかは医療機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
「薄毛が改善する前兆を知って安心したい」「できるだけお金を掛けずに薄毛対策を始めたい」という方もいるかもしれません。ここでは、薄毛治療に関するよくある質問をまとめました。
薄毛が改善する前兆はありますか?
抜け毛の量が減り、1日の抜け毛が50〜100本程度になることが薄毛改善の前兆であるといえます。健康な人の場合は1日に50〜100本程度の抜け毛があるとされていることから、この範囲内であれば正常な抜け毛の量と考えられるでしょう。
変化に気づくには、シャンプー時の排水溝に溜まった抜け毛や、起床時の枕に残っている抜け毛の数を定期的に確認する方法があります。変化を見守りながら、継続的なケアを続けることが大切です。
男性の薄毛をお金をかけずに治す方法はありますか?
薄毛の原因がAGAである場合、お金をかけずに症状を改善させることは難しいといえます。AGAはホルモンや遺伝が関係する進行性の脱毛症であり、生活習慣の改善などのセルフケアだけで進行を抑制できないからです。
ただし、AGA治療にかかる費用をできるだけ抑える方法はあります。たとえば、先発医薬品と同じ有効成分を含みつつ、より低価格に設定されているジェネリック医薬品(後発医薬品)を選択する方法です。また、オンライン診療で初診料や診察料が無料のクリニックを選ぶことでも、初期の出費を抑えられるでしょう。
薄毛を治す食べ物はありますか?
食べるだけで「薄毛が治る」という医学的な根拠がある特定の食材はありません。大切なのは、さまざまな栄養素を摂取することで頭皮環境を整え、髪の毛を育ちやすくすることです。
食事がインスタント食品やジャンクフードに偏りやすい人は、惣菜などで野菜を摂取する工夫をするなど、普段の食生活を見直すことが大切です。特定の食材に頼るのではなく、栄養バランスの良い食事を心掛けて髪の成長をサポートしましょう。
「薄毛を自分で治す」とは、医療機関を受診せず自身で薄毛の原因を特定し、完治させることを指しますが、基本的には難しいと考えられます。インターネット上の「自分で治した」という情報は個人の体験談であり、すべての人に当てはまるわけではありません。
薄毛の原因はさまざまなものが考えられ、自身で原因を特定することは困難であるため、自己判断せず医師の診断を受けましょう。
栄養バランスの整った食事や適度な運動、ストレス管理といった生活習慣の改善は、健康な髪を育てるための土台になります。しかし、AGAやFAGA・FPHL、円形脱毛症などはホルモンや遺伝的要因、自己免疫などが関係する疾患のため、治療には医学的アプローチが必要であり、セルフケアだけで症状を改善させることは難しいでしょう。薄毛が気になる場合には、自力で解決しようとせず、クリニックで専門医に相談し、適切な治療を行うことが大切です。
厚生労働省「健康・食育対策」
厚生労働省「健康」
厚生労働省「こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~」
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
オンライン診療とは、スマホやPCを使い、ご自宅など好きな場所から医師の診察を受け、お薬を配送してもらえるサービスです。従来のAGA治療における「通院の負担」「待ち時間」「人目」といった課題を解決します。
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