更新日:2026年08月21日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「最近、薄毛が気になるけど、女性のAGAかも」と抜け毛に悩む女性も少なくありません。女性のAGAは、女性ホルモンの変化などにより髪が薄くなるFPHL(女性型脱毛症)のことで、頭頂部や分け目を中心にボリュームが減っていくのが特徴です。 本記事では、女性のAGAの原因や脱毛症の種類を解説します。薄毛の治療法や何科を受診すべきなのかも解説するので、参考にして医師への相談も検討してみてください。
女性のAGAとは、女性ホルモンの変化などにより髪が薄くなるFPHL(女性型脱毛症)のことで、頭頂部や分け目を中心に髪全体のボリュームが減っていくのが特徴です。 かつては、男性のAGA(男性型脱毛症)と同じ疾患と考えられ「FAGA(女性男性型脱毛症)」と呼ばれていました。しかし、研究が進み、女性の薄毛は男性ホルモンの影響だけではなく、加齢や女性ホルモンの変化など複数の要因が複雑に絡み合って発症することが分かってきました。 そのため、現在はより広い原因を含む女性の脱毛症として「FPHL(女性型脱毛症)」という呼称が国際的にも主流となっています。
女性と男性のAGAでは、薄毛の進行パターンや引き金となる要因に違いがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
女性のAGAは、頭頂部や分け目を中心に髪が細くなり、全体のボリュームが低下して見えるのが特徴です。男性のAGAのように一部分が極端に後退するのではなく、症状が進行すると広範囲の髪が細くなって地肌が透けて見えるようになります。進行度合いとして、I型・II型・III型があります

次のような変化は、女性の薄毛の過程で起こりうる変化の一つと考えられます。
こうした変化に心当たりがある場合は、早めに状態を把握しておくと対処の選択肢が広がるでしょう。
I型は頭頂部の分け目がわずかに広がり始めるのが特徴です。髪全体のボリュームの変化は少ないため、自分では薄毛の進行に気づかない場合もあります。
II型はI型よりも分け目が広がり、薄毛の範囲が拡大します。また、頭頂部の地肌が透けて見えるようになります。
III型は、頭頂部の髪が広範囲にわたって露出します。
参考:National Library of Medicine「Classification of the types of androgenetic alopecia (common baldness) occurring in the female sex」
女性のAGAと男性のAGAは、薄毛の出方と関わる要因が異なります。男性のAGAは男性ホルモン由来のDHTが主な要因で、生え際や頭頂部が部分的に後退します。一方、女性の薄毛は加齢やホルモンバランスの変化、遺伝などが関わり、髪全体が薄くなる傾向があります。
男性の薄毛の知識をそのまま当てはめると、原因や対処を見誤る恐れがあります。女性特有の薄毛の特徴をふまえて対処を考えることが大切です。
女性の薄毛は、原因の異なるいくつかの脱毛症に分けられます。女性のAGA・FPHL以外にも、自己免疫が関わる円形脱毛症や、出産、髪の引っ張りによる一時的な脱毛などがあります。 タイプによって対処法が変わるため、まずは自分の薄毛がどれに近いかを知ることが大切です。
円形脱毛症は、女性のAGAとは原因が異なる脱毛症です。日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン2024」では、毛包を標的とする自己免疫性の疾患と考えられています。主に、コインのような円形の脱毛斑が突然できるのが特徴で、ある日急に髪が抜けて気づく人も少なくありません。 発症の明確な引き金は不明とされており、過度なストレスやアトピー、甲状腺の病気などと関わることもあります。軽い場合は自然に回復することもありますが、範囲が広がる場合もあるため、気になるときは医師に相談しましょう。
出産や髪型が原因で起こる脱毛もあります。出産後に一時的に抜け毛が増える「分娩後脱毛症」は、妊娠中に伸びていた髪が出産後にまとめて抜けるもので、個人差がありますが、半年から1年ほどで自然に落ち着くとされています。 また、ポニーテールなど髪を強く引っ張る髪型を続けると、毛根に負担がかかる「牽引性脱毛症」が起こることがあります。結び目を変える、髪を結ばない日を設けるなど、原因となる習慣を見直すことで改善が期待できるでしょう。
女性のAGA・FPHL(女性型脱毛症)は、主に以下の原因が複数に絡み合って関係していると考えられます。
また、過度なダイエットによる栄養不足や生活習慣の乱れが頭皮環境に影響します。女性のAGAの直接的な原因ではありませんが、間接的に薄毛を悪化させることも考えられるでしょう。
女性のAGAの原因には、女性ホルモンであるエストロゲンの減少などホルモン環境の変化が関与すると考えられています。エストロゲンには髪の成長を維持する役割がありますが、更年期前後に分泌量が減少することで、ヘアサイクルが乱れ、薄毛を招く要因となります。一部では、男性ホルモンの関与も示唆されますが、男性のAGAと全く同じメカニズムで説明できるわけではない点に留意しましょう。
また、加齢に伴って毛包の機能自体が低下し、細い毛が増えることも薄毛が目立つ要因になります。
女性のAGAの原因には、薄毛になりやすい体質の遺伝が関わる場合もあります。毛根にあるアンドロゲンレセプターの感受性が高い遺伝子を持っていると、ホルモンの影響をより強く受け、髪の生え替わり周期が乱れやすくなるためです。 AGAは母方から遺伝すると言われることもあります。ただし、母方や父方の家系に薄毛傾向の人がいることは参考にはなるものの、それだけで自身の将来の薄毛が決定づけられるわけではありません。
過度な食事制限を伴うダイエットにも注意が必要です。栄養不足が女性のAGAの直接的な原因ではありませんが、頭皮環境や髪の健康に影響することがあるためです。 特に、髪の主成分であるタンパク質が足りないと、髪は細くなり、成長しきる前に抜け落ちてしまいます。さらに、髪の合成に欠かせない亜鉛や、頭皮へ酸素を運ぶ鉄分の不足も、毛をつくる細胞の活動に影響します。 髪の健康を保つためにも過度なダイエットは避けましょう。
強いストレスや睡眠不足などの生活習慣も女性のAGAの直接的な原因ではありませんが、頭皮環境の悪化を招き、結果として抜け毛を引き起こしやすくする可能性があります。 また、出産後のホルモン変化による一時的な抜け毛や、牽引性脱毛症などが重なって薄毛が目立っているケースもあります。急に抜け毛が増えたと感じる場合は自己判断せず、まずは医療機関へ相談して原因を見極めることが大切です。
女性の薄毛は、皮膚科や薄毛・頭髪専門のクリニックの受診が一つの選択肢です。薄毛の原因はタイプによって異なり、自己判断では見分けが困難です。医師に相談することで、自分の症状に合った適切な対処を行ってくれます。 また、通院の時間が取りにくい場合は、自宅から相談できるオンライン診療を利用する方法もあります。いずれの場合も、症状が気になり始めた段階で早めに相談することが、適切な対処につながるでしょう。
女性の薄毛は、原因に合った治療を続けることで改善が期待できます。効果の現れ方には個人差があるため、一概に誰にでも同じ結果が得られるわけではありませんが、早期に対処するほど良好な経過をたどりやすいでしょう。 大切なのは、医療機関で正確な診断を受け、薄毛のタイプや原因を判断してもらうことです。
自己判断で市販の育毛剤や発毛剤などを試し続けるよりも、医師に相談しながら進めると、改善に近づきやすくなります。

女性のAGA・FPHL(女性型脱毛症)は、ホルモンや遺伝、生活習慣など複数の要因が重なって起こることが多く、ご自身では原因を見極めにくいものです。市販薬や品質が保証されていない個人輸入で対処する前に、まずは医師に相談し、原因に合った方法を選ぶことが改善への近道になります。
女性の薄毛の治療には、発毛を促す効果が期待できるミノキシジルなどが用いられます。治療は外用薬や医師の判断による内服薬(国内未承認)が検討され、薄毛のタイプや体質に合わせて選ばれます。
ここでは女性の薄毛治療で使われる薬と、続ける際の期間や費用の考え方を解説します。
ミノキシジルは、発毛を促す効果が期待できる治療薬です。男性のAGAにも使われ、内服薬と外用薬があります。女性の薄毛には、男性向けより低い1%濃度の外用薬が用いられることが一般的です。
もともとは、血管を広げる薬として開発された経緯があり、毛包周囲の血流を改善することで、髪の成長に必要な酸素や栄養が届きやすくなると考えられています。
ただし、作用の仕組みは完全には解明されておらず、血流改善だけで発毛を説明できるわけではない点に留意しましょう。

なお、ミノキシジルの内服薬は2026年6月時点で国内では未承認であり、診療ガイドラインでも推奨されていません。使用する場合は、あくまで医療機関や医師の管理のもと輸入され、使用されている点に注意が必要です。
個人差はありますが、女性の薄毛治療では最低でも半年~1年間を目安に継続する必要があります。髪の生え替わり周期の関係で、すぐに結果が出るものではありません。 また、薄毛治療は公的医療保険が使えない自由診療にあたります。クリニックや薬によって料金が異なりますが、初診料3千円~5千円程度/回と薬代5千円~1万円/本(ミノキシジル外用薬の場合)が目安です。自由診療では、クリニックによって初診料や薬代を自由に決められるため、料金に差があります。治療を継続するためには、なるべく負担の少ない価格の医療機関を選ぶと良いでしょう。
レバクリを通じた診療では、女性のAGA治療の相談を受け付けています。初診・再診の診察料は発生しません。スマートフォンやパソコンのビデオ通話を利用し、自宅から提携医療機関の医師に相談できます。
女性のAGA・FPHL治療に伴う副作用はゼロではありませんが、正しく理解していれば過度に恐れる必要はありません。体質や体調によって反応は異なるため、医師の管理のもとで用法を守ることが大切です。 ここでは女性が治療を始める前に知っておきたい注意点を解説します。
男性のAGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリドは、女性への使用は適応外であり、服用や接触が禁じられています。特に、妊娠中や授乳中の女性が服用すると、男子胎児の生殖器の発育に異常を起こすおそれがあるためです。 これらの薬は皮膚からも吸収されるため、割れた錠剤に触れるだけでも成分が体内に取り込まれることがあります。家族が服用している場合も、触れないよう取り扱いに注意しましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」 参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「デュタステリド錠 添付文書」
ミノキシジルには外用薬と内服薬があり、形状によって副作用が異なります。
| 剤形 | 主な副作用 |
|---|---|
| 外用薬(塗り薬) | 頭皮の発疹、発赤、かゆみ、かぶれ、フケ、使用部位の熱感など |
| 内服薬(飲み薬) | 多毛症(体毛が濃くなる)、動悸、息切れ、頭痛、むくみなど |
外用薬の場合、主な副作用として頭皮の発疹や発赤など使用部位の熱感などがあります。ただし、頭皮トラブルだけでなく、全身性の副作用が起こる可能性もゼロではありません。 一方、 内服薬の場合は全身に作用が及ぶため、動悸や息切れなど全身性の副作用が起こる可能性があります。動悸や息切れは、ミノキシジルの血管拡張作用によるものと考えられています。 副作用や異変が現れた場合は、自己判断で続けずに、すぐに使用を中止して医師に相談しましょう。
参考:大正製薬「リアップリジェンヌ説明書」
ミノキシジル外用薬の使用初期に、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が現れることもあります。初期脱毛は、休止期の毛が抜け落ち、新しい成長期の毛に置き換わる過程で起こる現象です。初期脱毛の発生機序は十分に解明されていませんが、ヘアサイクルの変化が関与していると考えられます。

この一時的な抜け毛は、ヘアサイクルが変化する過程で起こりうる現象の一つと考えられます。個人差はあるものの、治療開始から2週間~8週間頃に起こり、3ヶ月程度で落ち着くことが多いでしょう。症状に不安を抱える場合は、処方元の医師に相談してみてください。
女性の薄毛対策として、日常生活でできるセルフケアもあります。セルフケアだけで薄毛を改善するのは難しいですが、髪が育ちやすい頭皮環境を整える土台になります。 ここでは、食事と、睡眠・ヘアケアの両面から取り組めることを紹介します。
髪の健康を保つには、栄養バランスのとれた食事が役立ちます。髪の主成分はタンパク質のため、肉・魚・卵・大豆などを不足なく摂ることが大切です。

あわせて、髪の合成に関わる亜鉛や、頭皮に酸素を運ぶ鉄分の摂取も意識すると良いでしょう。無理な食事制限は栄養不足を招き、髪に影響する可能性があります。3食バランスの良い食事を心掛けましょう。
睡眠やストレスへの対処も、頭皮環境を保つうえで役立ちます。睡眠不足や強いストレスは健やかな髪の成長を妨げてしまう可能性があるからです。休息を取りやすい生活を送るためにも、なるべく規則正しい起床時刻を心掛けたり、体を動かしてストレスを発散したりすることが大切です。
また、ヘアケアでは、頭皮を清潔に保ち、髪を強く引っ張る髪型を避けることがポイントです。育毛剤やスカルプ用のシャンプーは頭皮環境を整える目的のものと考え、発毛そのものを期待しすぎないようにしましょう。
参考:厚生労働省「成人のためのGood Sleepガイド」 参考:厚生労働省「こころと体のセルフケア」
髪型を工夫すると、薄毛が気になる部分を目立ちにくくできます。髪型は薄毛そのものを治すものではありませんが、見た目の印象が変わり、気持ちを前向きに保つ助けとなるでしょう。 ここでは、ボリュームを出す工夫と、頭頂部の薄毛をカバーする髪型を紹介します。
トップにボリュームをもたせることで、地肌の透けが目立ちにくくなります。
| 髪型の工夫 | 期待できる役割 |
|---|---|
| 分け目をジグザグにする | 直線で分けるよりも地肌の露出が減り、根元がふんわり立ち上がる |
| 定期的に分け目の位置を変える | 髪の重みや紫外線による負荷が分散され、分け目の広がりを抑えやすくする |
| 根元パーマやスタイリング剤 | 髪が細くペタンとしやすい場合でも、空気を含んだような立体感を出しやすい |
スタイリングの工夫は、頭皮への局所的な負担を減らすことにもつながります。上記のようなスタイリングを取り入れてみましょう。
頭頂部やてっぺんの薄毛は、ロングヘアよりもショートヘアやミディアムヘアにするとカバーしやすくなります。短めのスタイルは根元が立ち上がりやすく、トップにボリュームが出て地肌が目立ちにくくなるためです。 髪のボリュームが減りやすい年代でも、レイヤー(段差)を入れたショートやパーマを組み合わせると扱いやすくなります。前髪やトップの動きで分け目をぼかすのも一つの方法です。
ここでは、女性の薄毛についての疑問に回答します。
若い女性や10~20代でも薄毛になりますか?
10~20代の女性も薄毛になる可能性があります。牽引性(けんいんせい)脱毛症や円形脱毛症などが原因で、若い世代でも薄毛や抜け毛が起こる可能性があります。気になる症状がある場合は、早めに医師へ相談しましょう。
市販の育毛剤やシャンプーだけで女性の薄毛は治りますか?
育毛剤やシャンプーは頭皮環境を整える目的のもので、薄毛そのものを治すものではありません。薄毛の症状がある場合は、医療機関で医師による診断を受けて、適切な判断をしてもらいましょう。
女性のAGA・FPHLは、女性ホルモンの変化や加齢などさまざまな要因が複合的に作用して起こります。女性のAGAは、頭頂部や分け目を中心に髪全体が薄くなるのが特徴です。男性のAGAとは異なり、一部が極端に後退するのではなく、広範囲の髪が細くなって地肌が透けて見えるようになります。
一方で、自己免疫が関わる円形脱毛症や、出産・髪の引っ張りによる脱毛などは、女性のAGAとは原因が異なります。薄毛の原因を見極めるためにも、医師による適切な診断が大切です。
女性のAGA治療では、ミノキシジルなどが用いられますが、フィナステリドやデュタステリドは女性には使えません。女性の薄毛は、医師の診察のもと原因に合った治療を行うことで、改善を目指すことが期待できます。自己判断で対処せずに、気になる場合は早めに医師へ相談してみてください。
National Library of Medicine「[Classification of the types of androgenetic alopecia (common baldness) occurring in the female sex](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/921894/)」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「デュタステリド錠 添付文書」
大正製薬「リアップリジェンヌ説明書」
厚生労働省「睡眠対策」
厚生労働省「こころと体のセルフケア」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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