更新日:2023年12月22日
毛根が死滅したら髪はもう生えない?髪の毛を復活させる方法を解説
- 毛根が死滅することはあまりない
- 髪の毛が生えない場合、毛根が死滅しているのではなく休止状態に入っている可能性が高い
- 毛根が休止状態に入る理由は、ヘアサイクルや生活習慣が関係する
- AGAを発症している場合、多くの毛根が休止期に入る
- AGAは、AGA専門のクリニックで治療できる
薄毛改善に取り組んでいる方の中には、なかなか思うような効果が出ず自分の毛根が死滅してしまったのかと考える方もいるのではないでしょうか。
本記事では、毛根は死滅するのかについて詳しく解説します。また、毛根が復活するにはどうすればいいのかも併せて解説するため、自分の毛根が死滅しているのか気になる方や、髪が生えるにはどうしたらいいのか気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
毛根が死滅することはあまりない
毛根とは頭皮の中に隠れている部分の髪の毛のことをいいます。毛根の付け根には毛球と呼ばれる球状の組織があり、毛乳頭や毛母細胞などで構成されています。また、毛球は毛根鞘や毛包幹細胞からできている毛包で覆われており、毛球の中にある毛母細胞が死滅しない限り髪は生え続けます。
そして、この毛根は死滅することはあまりありません。毛母細胞が死滅することがあるのは、毛頭部にダメージを与えるような大けがをしたときや、永久脱毛のように毛根にピンポイントにレーザー照射をしたときなどです。
これらの理由以外で、毛母細胞が完全に死滅することは考えづらいといえるでしょう。
毛根が休止状態に入る原因
髪の毛が生えない理由は、毛根が死滅しているのではなくヘアサイクルが休止状態に入っている可能性が高いです。毛根が休止状態に入ってしまう理由は次のとおりです。
通常のヘアサイクルによるもの
ヘアサイクルには、髪の毛を成長させる成長期、髪の毛の成長が抑制される退行期、髪の毛が生えなくなる休止期の3つがあります。休止期に入った毛根は、数ヶ月後にまた成長期に移行し、髪の毛を生成するようになります。髪の毛はこのサイクルを繰り返して成長していきます。
成長期は約2~6年間続き、退行期を経て休止期に移行します。成長期はずっと続くものではないため、休止期に入るのは自然な流れであるといえます。
ヘアサイクルについて詳しく知りたい方は、「ヘアサイクル(髪の毛の周期)とは?オンライン診療でAGA対策を!」も参考にしてみてください。
過度な飲酒
過度な飲酒は、成長期にある毛根を休止期に移行させる要因となります。
飲酒により摂取されたアルコールは、体内で分解されアセトアルデヒドという物質を作り出します。アセトアルデヒドを分解するためには、体内の亜鉛やアミノ酸を消費しなければなりません。
髪の毛の原材料であるタンパク質はアミノ酸から作られていて、亜鉛はその生成を助ける役割を担います。過度な飲酒をすることで肝臓でのアルコール分解に亜鉛やアミノ酸を使わなければならず、毛母細胞へそれらの栄養を供給することを阻害してしまいます。そうすると、髪の毛に十分な栄養が送られず、毛根を休止期に追い込んでしまうのです。
また、過度な飲酒によって摂取されたアルコールは肝臓で分解しきれません。アルコールを分解する過程で生成されるアセトアルデヒドが血液に乗って体内を回ると、AGAの主な原因となるジヒドロテストステロンを増加させる原因にもなり、AGAを誘発します。
睡眠不足
睡眠不足も休止期の髪の毛を増やす要因となります。睡眠中は副交感神経が優位になるため、成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンには炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素の代謝を促進させたり、アミノ酸の吸収率を上げてタンパク質の合成を促したりする作用があるといわれています。大部分がタンパク質で占められている髪の毛は成長ホルモンの影響を受けやすく、成長ホルモンによって、健康的で丈夫な髪の毛に成長すると考えられているのです。
睡眠不足となれば成長ホルモンがきちんと分泌されなくなり、結果的に毛根が成長する期間が短くなり、休止期に入りやすくなります。
食生活の乱れ
食生活の乱れも、毛根を休止状態へと導きます。食生活が乱れると髪の成長に必要なタンパク質や亜鉛、ビタミン類などの栄養が不足します。
特に、脂っこいものや塩分の多いものをたくさん食べる食生活を送っていると血液がドロドロになって血行が悪くなり、十分な栄養を毛根に届けられなくなるため、毛根が十分に活動できません。その結果、毛根の成長が休止してしまうと考えられます。
喫煙
喫煙も毛根の休止状態と密接に関係しています。タバコに含まれているニコチンは血管を収縮させる作用があります。血管が収縮すると、毛根に必要な栄養や酸素が充分に届きにくくなり、その結果ヘアサイクルが乱れ、毛根が休止状態になる可能性があります。
また、喫煙は男性ホルモンを増加させる作用もあると考えられています。男性ホルモンのうち、テストステロンが5αリダクターゼによって変換されるジヒドロテストステロンはAGAの原因となるのですが、喫煙者は非喫煙者に比べるとこのジヒドロテストステロンの濃度が14%も高いとする研究も発表されています。
つまり、AGAを助長する一因となり、ヘアサイクルを乱してしまうため、毛根が休止期に入りやすくなるといえるのです。
参照元:National Library of Medicine「The relation of smoking, age, relative weight, and dietary intake to serum adrenal steroids, sex hormones, and sex hormone-binding globulin in middle-aged men」
毛根を休止状態から復活させるには
ここでは、毛根を休止状態から復活させる方法について解説します。
髪の成長に良い栄養を摂る
毛根を休止状態から復活させるためにはまず食事を見直しましょう。髪の成長にはタンパク質、ヨウ素や亜鉛などのミネラル、ビタミン類をバランス良くとる必要があります。
髪の毛を構成するタンパク質の大部分はケラチンで構成されており、タンパク質をケラチンに合成するためには亜鉛やヨウ素やの力が必要です。さらに、髪が健康的に生えるように頭皮の土台を整えるためにはビタミン類の摂取も欠かせません。これらの栄養を偏りがないようバランスよく摂取しましょう。これらの栄養素が含まれている食品は、以下のとおりです。
- タンパク質:肉類・魚介類・卵・大豆製品・乳製品など
- 亜鉛:牡蠣・豚レバー・牛もも肉・うなぎなど
- ヨウ素:海藻・魚介類
- ビタミン類:豚レバー・鶏レバー・にんじん・アセロラ・たまねぎ・アーモンドなど
これらの食材をうまく組みあわせながら日常の食事に取り入れてみましょう。
また、ファストフードやインスタント食品、スナック菓子やスイーツ類は極力控えることをおすすめします。インスタント食品にはポリリン酸が含まれ、髪の成長に必要な亜鉛の吸収を阻害するといわれています。また、甘いお菓子から大量に摂取された糖質はタンパク質と結びつき、髪の毛を生成する毛母細胞の働きを阻害するといわれているAGEs(終末糖化産物)に変化する可能性があります。
髪に良いといわれる栄養を積極的に摂取するだけでなく、髪に悪影響を及ぼす食品の摂取も極力減らしていくことで、毛根の成長が促進され毛根が休止期から復活するかもしれません。
睡眠
次に見直したいのが睡眠です。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、髪の成長を促進します。この成長ホルモンは22時から2時に分泌量が最大になるとされているため、この時間に就寝していると良いでしょう。
また、ただ眠っていればよいというわけではありません。成長ホルモンの分泌は徐波睡眠に入った30分後に最大になるとされています。徐派睡眠とは深い睡眠のことです。つまり、ただ寝るのではなくより深い睡眠に入らなければならないのです。
深い睡眠に入るようにする方法の1つが入浴です。入浴後1時間くらいすると深部体温が下がってくるので、深い眠りに入りやすいとされています。そのため、眠る1時間前にゆっくりと入浴をすると良いでしょう。
また、ブルーライトの光や白熱灯の強い光は睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制して脳を覚醒させてしまいます。就寝前にはパソコンやスマートフォンを見るのを控えたり、強い光にあたるのを避けたりして過ごすのが大切です。寝る前や睡眠中に電気をつける場合は、赤っぽい暖色系の蛍光灯で過ごすと良いでしょう。
ストレス解消
毛包を休止状態から復活させるためには、ストレスの解消も意識することが大切です。ストレスは交感神経を優位な状態にしてしまいます。そうすると、不眠にもつながり、髪の毛に対して悪影響につながります。
ストレスを発散する方法は人それぞれであるため、自分に合ったストレス解消法を見つけて取り組んでいきましょう。
ただし、ストレス解消のために暴飲暴食をしてしまうと栄養バランスが偏り、休止期状態からの早い復活にはつながりません。アルコールの過剰摂取も髪にとっては悪影響になるので、食事や過度な飲酒以外でのストレス解消方法を見つけられると良いでしょう。
禁煙・禁酒
早く休止期から復活させたいと考える方は、禁煙や禁酒することも検討してみましょう。しかし、タバコやお酒が好きな人は、すぐに禁煙・禁酒するのは難しいかもしれません。初めからすべてを中止するのではなく、量を減らすなどして徐々に禁煙・禁酒に慣れていくのが良いでしょう。
近年では、禁煙外来やアルコールを辞めたい方に向けた専門の外来などもあるため、医療の力を活用してお酒やたばこの量を減らしていくのも良いかもしれません。
毛根が死滅しているかどうか確認する方法
髪の毛が生えてこなくても、毛根が死滅しているのではなく休止状態に入っているだけであることが多いので、まだ髪の毛が生えてくる可能性は十分にあります。しかし、毛母細胞が死滅してしまえば毛は生えてきません。そのため、髪が生えるかどうかについては毛母細胞が死滅しているかをチェックする必要があります。
毛母細胞が死滅しているかどうかを知るためには、産毛が生えているかをチェックしましょう。毛母細胞が死滅してしていれば産毛も生えてきません。産毛が生えていれば、毛母細胞は活動している証拠であり、毛根が休止状態に入っていると判断できます。
毛根を復活させるには、AGAクリニックの受診がおすすめ
自分で産毛を確認することが難しいという場合には、AGAクリニックで、毛根が休止状態にあるのかを確認するという方法を活用しても良いでしょう。
また、毛根が休止期に入るのが通常よりも早いという場合には、AGAを発症している可能性も考えられます。AGAを発症するとヘアサイクルが乱れ、休止期に入る髪の毛が増えていくため、毛根の復活が難しくなってしまいます。クリニックを受診してAGAかどうかを診察してもらい、AGAの場合は治療をすることで、早期の毛根の復活を期待できるかもしれません。
AGA治療について詳しく知りたい方は、「AGA治療は効果がないと言われる6つの理由」も参考にしてみてください。
まとめ
髪の毛が生えてこない理由は、毛根が死滅しているのではなく、毛根が休止状態に入っていることが多いです。毛根が休止状態に入る理由は一般的なヘアサイクルの影響もありますが、そのほかにも生活習慣が影響しているケースもあるため、生活習慣を見直せば早期の毛根の復活を期待できます。
しかし、AGAを発症している場合には、生活習慣のみで毛根の休止期を短縮させるのは難しいといえます。そのため、生活習慣を意識しても髪が生えてこない、産毛があるかどうかが心配という方は一度クリニックで検査を受け、今後について検討すると良いでしょう。