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更新日:2024年01月11日

頭皮の湿疹の原因は?治療方法と予防方法について紹介

この記事のまとめ
  • 頭皮の湿疹の代表的な原因は、主に皮脂欠乏性皮膚炎(乾燥性皮膚炎)、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎の3つ
  • 頭皮の湿疹の治療には、ステロイド外用剤や抗真菌薬外用剤、抗生物質外用剤、抗ヒスタミン薬などを使用する
  • 頭皮の湿疹の予防方法として、スキンケアや適切なシャンプーの使用、生活習慣の改善が効果的
  • 頭皮に湿疹がある場合、まずは病院で受診することが大切

頭皮に湿疹ができやすく、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。頭皮の湿疹の原因は多岐にわたり、それぞれの症状に合わせて治療方法が違います。

本記事では頭皮の湿疹の主な原因や治療方法、予防方法について解説していきます。頭皮の湿疹の原因が分からず悩んでいる人や、予防方法などを調べている人はぜひ参考にしてください。

頭皮の湿疹の原因

頭皮の湿疹は、主に皮脂欠乏性皮膚炎(乾燥性皮膚炎)やアトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎などの皮膚炎が原因となって発症します。

ここではそれぞれの疾患について解説します。

皮脂欠乏性皮膚炎

皮脂欠乏性(乾燥性)皮膚炎とは、頭皮を乾燥から守る皮脂が少なくなり、頭皮環境の悪化や肌のバリア機能の低下が起こる皮膚炎のことです。

皮膚の細胞は、細胞と細胞の隙間に細胞間質液という水分があり、水分の蒸発を防ぐために皮脂という油分で肌をコーティングしています。そのため、皮脂が少なくなると皮膚からの水分の蒸発が進み、異物(アレルゲン)などが侵入しやすくなったり、外部からの刺激による影響を受け炎症反応が起きやすくなったりします。 異物が侵入すると侵入した箇所で炎症を引き起こし湿疹が発生したり、痒みやカサカサしたフケが発生したりすることがあります。

皮脂欠乏性皮膚炎を発症する原因としては、遺伝的要因によってそもそもの皮脂の分泌量が少ないことや、洗浄力が強いシャンプーを使用し過剰に皮脂を洗い流してしまっていることなどが考えられます。

アトピー性皮膚炎

湿疹の発症原因の1つとしてアトピー性皮膚炎があります。アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が増悪と軽快を繰り返しながら起こることが特徴です。左右対称に皮膚の炎症や湿疹が発生し、年齢によって皮膚の炎症や湿疹が発生する場所が異なります。また、子どものうちに症状が完全に治る人と、成人になっても症状が慢性的に続く人がおり、遺伝的要因による影響が強いと考えられています。

アトピー性皮膚炎の発症原因としては、セラミドやフィラグリンなどに代表される角質バリア機能の異常、細胞同士を密着させるタイトジャンクションに代表される表皮バリア機能の異常、アレルギーに反応する炎症機構などが、遺伝的要素やアトピー素因と複雑に関係しあっていると言われています。いずれにせよ様々な要因によって肌のバリア機能が極端に低下し、異物の侵入や外部からの刺激に弱くなり、皮膚の炎症や湿疹が起こりやすくなります。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、髪の生え際や眉毛など皮脂の分泌が多い部分に、湿疹とフケが発生するのが特徴です。症状は徐々に出現し、乾燥したフケと湿ったフケの2種類のどちらかが発生し、痒みはそれほど強く出ることはありません。症状がひどいと、炎症が起きている箇所でうろこ状(かさぶた状)にフケや浸出液が固まることがあります。

脂漏性皮膚炎の原因は、主に皮膚に常在する真菌の一種であるマラセチア属真菌であると考えられています。マラセチア属真菌は皮脂の成分の1種であるトリグリセリドを遊離脂肪酸へ分解する作用を持ち、分解生成された遊離脂肪酸が皮膚炎の原因になると考えられています。

頭皮に赤みがあるときの原因については、「頭皮が赤いときの治し方は?頭皮が赤くなる8つの原因と治し方を解説」を参照してください。

頭皮の湿疹の治療方法

頭皮の湿疹を治療するには、基本的に病院で受診し、医療用医薬品で治療を行うことが推奨されます。治療にあたっては、医師による診断によって症状の原因を判別し、ステロイド外用剤による炎症の抑制、脂漏性皮膚炎など真菌や細菌が原因の場合は抗真菌薬や抗生物質外用剤などを使用して原因菌の殺菌と増殖抑制を行います。

皮膚の炎症や湿疹が広範囲であったりステロイド外用剤だけでは効果が不十分だったりする場合は、アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬を併用することもあります。また、ステロイド外用剤単体だと塗った場所の免疫力が低下し細菌などによる感染が起こりやすくなるため、抗生物質が含有されたステロイド外用剤を使用することもあります。

治療方法の第一選択は病院での受診と治療ですが、病院で受診する前の繋ぎとして市販薬を使用しても良いでしょう。その場合は、湿疹や炎症を抑えるためにステロイド外用剤の使用や抗ヒスタミン薬を内服する方法があります。

また、脂漏性皮膚炎など皮膚の常在菌が原因の場合は、抗真菌薬含有の外用剤か抗真菌薬含有シャンプーを使用するのも一つの方法です。自分の湿疹の原因が何か判断できない場合は、ドラッグストアや調剤薬局の薬剤師か登録販売員に相談するのが良いでしょう。

頭皮の湿疹の予防方法

頭皮の湿疹の予防方法としては、スキンケアや適切なシャンプーの使用、生活習慣の改善が効果的です。それぞれについて解説します。

スキンケア

頭皮の湿疹予防として、スキンケアは効果的です。皮脂欠乏性・アトピー性・脂漏性のどれもが肌の乾燥によるバリア機能低下で発症・増悪するため、定期的な保湿が効果的です。

皮膚瘙痒症診療ガイドライン2020」によると、乾燥が原因で起こるかゆみにはヘパリン類似物質や尿素、乳酸、プロピレングリコールといった成分が有効であるとされています。これらの成分を含有した市販の化粧品や保湿剤、一般用医薬品はドラッグストアなどで購入することが可能です。お風呂上がりなどに塗布することで肌の過度な乾燥を防ぎ、頭皮の湿疹を予防する効果が得られると考えられます。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「皮膚瘙痒症診療ガイドライン2020

適切なシャンプーの使用

頭皮の湿疹の予防方法として、適切なシャンプーを使用することが効果的です。まず、過剰に皮脂を落とさないように洗浄力が強いシャンプーの使用は避けると良いでしょう。

シャンプーには洗浄力が強い順に高級アルコール系、石鹸系、アミノ酸系といった種類があります。アミノ酸系シャンプーは価格が少々高い傾向にありますが、植物オイルなど頭皮環境の改善効果が期待できる成分が入っていることが多いのでおすすめです。アミノ酸系シャンプーを見分けるポイントとしては、成分表記に洗浄成分として「〜グルタミン酸〜」、「〜アラニン〜」などアミノ酸の洗浄成分が記載されているので、そちらを確認しましょう。

また、すすぎのあとにシャンプーやリンス、コンディショナーの成分が残っていると、頭皮環境の悪化を招きます。細菌の増殖を引き起こしたり、シャンプーやリンスの成分が頭皮への刺激となって皮膚の炎症や湿疹を引き起こしたりするので、よくすすぐことが重要です。

さらに、お風呂上がりのドライヤーの使用方法にも注意が必要です。頭皮に水分が多く残っていると、細菌などの増殖を引き起こし湿疹や炎症の原因になります。しかし、だからといってドライヤーをあてすぎると、ドライヤーの熱によって頭皮にダメージが加わり、肌のバリア機能が低下する原因になってしまいます。 そのため、入浴後のドライヤーは髪が8割くらい乾いたら送風モードにして、頭皮に熱が加わりすぎて乾燥しないようにすることや、頭皮からは20cm程度離して使用することが大切です。

生活習慣の改善

頭皮の湿疹の予防方法として、生活習慣の改善は効果的です。特に、適度な運動やバランスの良い食事、十分な睡眠と質の確保が重要です。

定期的に適度な運動をすることで、毛穴にたまった老廃物を汗とともに排泄して毛穴のつまりを防止し、細菌の増殖を抑え炎症を防ぐことができます。

また、バランスの良い食生活を心がけることで、皮脂の分泌を正常化させることができます。皮脂の過剰分泌による細菌などの増殖を抑制できるほか、皮脂の分泌不足の場合は皮脂を増やし肌のバリア機能の低下を防止することで、湿疹や肌の炎症を防ぐことができます。栄養素の中でも、特にビタミンB群は肌のターンオーバー(皮膚の生まれ変わりのサイクル)に良い影響を与えるビタミンなので、積極的に摂取すると良いでしょう。

睡眠については、十分な睡眠と質を確保することで、肌の傷の修復や肌のターンオーバーの正常化を促し、炎症や湿疹の予防を図れます。就寝の前にはカフェインを摂取しない、眠るときは部屋を暗くして眠る、就寝の3時間前に入浴をするなどすると、より改善に効果的な睡眠が得られるでしょう。

まとめ

頭皮の湿疹の原因は、主に皮脂欠乏性皮膚炎(乾燥性皮膚炎)、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎の3つです。頭皮の湿疹は病気が原因であることが多いので、湿疹ができた場合は基本的に皮膚科で受診することをおすすめします。

また、治療と並行してスキンケアや生活習慣の見直しなども行うと、より効果的に症状の改善と予防が見込めます。今現在湿疹の治療を行っている人や湿疹ができやすい人は、セルフケアに取り組むのが良いでしょう。

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この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会