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更新日:2024年07月11日

低用量ピルで不妊になる?やめたあとの妊娠率や中止する際の注意点を解説

この記事のまとめ
  • 低用量ピルの服用で不妊になることはない
  • 低用量ピル服用中止後の妊娠率は、1年後で88%との調査結果がある
  • 低用量ピルは、子宮内膜症の予防に役立つ
  • 低用量ピルを中止すれば、排卵が再開し妊娠できるようになる

低用量ピルには排卵を抑制する効果があり、PMSの解消や避妊効果が得られることが知られています。しかし、高い避妊効果により、将来的に不妊につながるのではないかと懸念する方もいるでしょう。

そこで当記事では、低用量ピルと不妊の関係について解説します。また、低用量ピルの服用をやめたあとの妊娠率や、低用量ピルを中止する際の注意点についても解説します。低用量ピルによる不妊に不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

低用量ピルの服用で不妊になることはない

結論からいうと、低用量ピルの服用の影響で、不妊になることはありません。以下より、低用量ピルの服用が不妊につながらない理由を解説します。

低用量ピルを飲んでも卵巣機能は低下しない

低用量ピルは、黄体ホルモンと卵胞ホルモンを配合した製剤です。低用量ピルの服用により、脳がホルモン分泌を抑えることで、排卵を抑制します。しかし、卵巣機能そのものを低下させるような作用はありません。

低用量ピルを服用していても、卵管や卵巣などの生殖器官の機能は正常に保たれています。そのため、低用量ピルを服用していても、妊娠する能力が失われることはありません。

低用量ピルの服用を中止すれば排卵が再開する

低用量ピルは排卵を抑制する効果がありますが、服用を中止すると、排卵が再開し妊娠が可能な状態となります。

服用を中止してから排卵が再開するまでの期間は、服用する製剤や体質により差がありますが、約90%の方が3か月以内に排卵が再開するとの報告があります。

低用量ピルを服用していても、妊娠を希望する場合は低用量ピルをやめてから妊娠を計画すれば、問題なく妊娠できるでしょう。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

低用量ピル服用による妊娠率

低用量ピルの服用をやめたあとの妊娠率は、服用していない女性と変わらないとされるデータがあります。

低用量ピルのガイドラインによると、低用量ピルを服用していた女性が、服用を中止してから半年で妊娠する確率は74%、1年で88%との結果があります。この妊娠率は、低用量ピルを服用していない女性と変わらないとされています。

したがって、低用量ピルを服用していた女性が妊娠を希望する場合、服用を中止すれば、問題なく妊娠できるといえます。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

低用量ピル服用による胎児への影響

低用量ピルの服用による胎児への影響はありません。低用量ピルを服用していた女性から生まれた赤ちゃんの催奇性は、低用量ピルのガイドラインでもほとんど知られていないとされています。

妊娠していることに気付かず誤ってピルを服用していた場合でも、胎児への影響を過度に不安に思う必要はないでしょう。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

低用量ピルは子宮内膜症を予防し妊娠に良い影響を与える

低用量ピルは、避妊目的で服用されることが多いですが、子宮内膜症を予防できるため妊娠のしやすさの向上にも効果的であることが知られています。

ここからは、低用量ピルが子宮内膜症を予防し、妊娠に良い影響を与える理由を解説します。

子宮内膜症が妊娠に与える影響

子宮内膜症は、子宮内膜が子宮の外に発生してしまう病気です。子宮内膜は、月経の度に剥がれて体外に排出されますが、子宮外で発生すると、剥がれても体外に排出できず、炎症や痛みを引き起こします。

子宮内膜症は、卵管や卵巣、骨盤内など、子宮の周囲に発生することが多いため、妊娠に悪影響を及ぼす可能性があります。子宮内膜症は、不妊症の原因となる疾患であり、妊娠した場合も流産や早産のリスクを高めるとされています。

子宮内膜症の予防に効果的である理由

低用量ピルの服用は、子宮内膜症の予防につながります。

低用量ピルの服用により、排卵が抑制され、卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少します。これにより、子宮内膜症の原因となるエストロゲンの過剰な作用が抑制され、子宮内膜症の予防につながると考えられています。

また、低用量ピルが子宮内膜の厚みを薄くすることで、子宮内膜症の原因となる子宮内膜の増殖が抑制できるとされています。

以上の理由から、低用量ピルは子宮内膜症の予防や妊娠のしやすさの向上に効果的です。生理痛が強いなど子宮内膜症のリスクが高い女性は、将来の妊娠に備えて低用量ピルを服用するのも良いでしょう。

低用量ピルの服用を中止する際の注意点

低用量ピルの服用を中止する際には、以下の点に注意が必要です。

  • PMSや月経痛などの症状が再び現れる
  • 服用と中止を繰り返すと血栓症のリスクが高まる
  • 中止する場合は必ず医師に相談する

ここからは、それぞれの注意点について解説します。

PMSや月経痛などの症状が再び現れる

低用量ピルの服用をやめると、以下の症状が再び起こる可能性があります。

  • 月経周期が乱れる
  • 生理痛がひどくなる
  • 肌荒れやニキビが再発する
  • 気分の浮き沈みが激しくなる

これらの症状は、低用量ピルの服用によって整えられていたホルモンバランスが変化することで起こります。症状が重い場合は、医師に相談しましょう。

服用と中止を繰り返すと血栓症のリスクが高まる

低用量ピルの服用と中止を繰り返すと、わずかに血栓症のリスクが高まるとされています。血栓症は低用量ピルの副作用の一つで、血液が固まって血管を塞ぐ病気です。

低用量ピルによる血栓症の発症は、服用開始後3か月以内が最も多く、その後減少します。しかし、低用量ピルを中止した後、再度服用を開始すると、再び血栓症の発症が多い期間にさらされることになります。つまり、低用量ピルを服用・中止を繰り返すことは、血栓症のリスクを高めることになるのです。

中止する場合は必ず医師に相談する

低用量ピルの服用を中止する際には、必ず医師に相談しましょう。

低用量ピルの種類や体質によっても、排卵が再開するまでの期間が異なる場合があります。妊娠を希望する場合は、低用量ピルの服用を中止するタイミングを医師に相談して、排卵が再開するまでの期間を把握しておくことが大切です。

また、中止にともなう、血栓症や副作用のリスクを把握しておく必要もあります。医師に相談することで、これらのリスクを正しく理解し、状況にあった適切な中止方法のアドバイスが受けられるでしょう。

まとめ

低用量ピルを服用したとしても、不妊になることはありません。低用量ピルには卵巣機能を低下させるような作用はなく、服用を中止すれば排卵が再開して妊娠できるようになります。

また、低用量ピルの服用は、子宮内膜症の予防に効果的です。低用量ピルは、子宮内膜症のリスクを低下させ、妊娠しやすい体作りに役立ちます。

低用量ピルの服用を中止すると、PMSや月経痛などの症状が再び現れる可能性があることや、血栓症のリスクが高まる可能性があることに注意が必要です。低用量ピルの服用を中止したい場合は、必ず医師に相談しましょう。

レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました