更新日:2024年07月11日
低用量ピルを処方してもらうにはどうする?受診するときの注意点も解説
- 低用量ピルを処方してもらうには、クリニックやオンライン診療で診察を受ける
- オンライン診療は、自宅で受診できるため通院の手間を省けるメリットがある
- 低用量ピルを処方してもらう際には、月経が始まる前に受診する
- 低用量ピルの処方の際は、必要に応じて内診や超音波検査、血液検査などを受ける
- 低用量ピルの1シートあたりの値段は、自由診療で約2,000~3,000円、保険適用で1,000円程度
生理痛があり低用量ピルの服用を検討している方の中には、処方してもらうにはどうしたらいいか分からず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。低用量ピルを処方してもらうには、クリニックやオンライン診療で医師の診察を受ける必要があります。
本記事では、低用量ピルを処方してもらう方法を解説します。また、低用量ピルを処方してもらうときの注意点や費用、服用方法、副作用についてもお伝えします。
低用量ピルとは
低用量ピルとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が含まれている薬剤であり、1つの錠剤に含まれているエストロゲンの量が0.05mg以下のものです。
低用量ピルは避妊や生理痛・PMSの緩和のほか、子宮内膜症といった疾患の治療目的で服用します。低用量ピルは、避妊を目的としている場合はOC、子宮内膜症などの治療を目的とする場合はLEPと呼ばれます。
疾患の治療目的で低用量ピルを服用する場合は、保険適用で処方を受けられます。避妊目的の場合は、保険適用外となる点に注意してください。
低用量ピルを処方してもらうには?
低用量ピルを処方してもらうには、2つの方法があります。
- クリニックに行って診察を受け、処方してもらう
- オンライン診療を受けて処方してもらう
1つずつ解説します。
クリニックに行って診察を受け、ピルを処方してもらう
クリニックで低用量ピルを処方してもらうときは、問診や血圧・体重測定などを受けます。これらの情報をもとに、低用量ピルを服用できるか医師が判断する必要があるからです。
受診時には、生理痛についてだけでなく低用量ピルを服用したいことを医師に伝えてください。
問診のほかに行う診察や検査を下記で解説します。
クリニックで行う診察や検査
問診のほかに、必要に応じて内診や血液検査、超音波(エコー)検査などを行う場合があります。検査を行う理由は、下記のとおりです。
- 疾患の有無を確認する
- 低用量ピルの服用が問題ないか確認する
- 血栓症の発症リスクを確認する
- 家族に血栓症を発症した方がいるか確認する
内診では、子宮内膜症などの疾患の有無を観察します。血液検査は、血糖値や肝臓の異常、貧血の有無、血液の固まりやすさなどを、低用量ピルを服用するにあたって問題がないか調べるために行います。
また、月経困難症の治療目的など、保険適用で処方する際は、問診だけでなく内診や検査が必要です。低用量ピルを服用している期間は、定期的な身長・体重・血圧測定や、半年に1回血液検査を受けることが推奨されています。
クリニックで受診する診療科
低用量ピルを処方してもらうときに受診する診療科は、婦人科や産婦人科です。
内科や美容クリニックなどでも、低用量ピルの取り扱いがある場合は処方してもらえます。内科や美容クリニックで受診する場合は、事前に低用量ピルを取り扱っているか確認しておきましょう。また、クリニックによっては、受診時に予約が必要な場合があるため、事前に確認しておくと診察がスムーズに受けられるでしょう。
低用量ピルは医療用医薬品のため医師の処方が必要で、薬局やドラッグストアでは販売されていない点には注意してください。
オンライン診療を受けてピルを処方してもらう
オンライン診療は、Zoomなどのツールや電話などを使って診察を受ける方法です。
予約した時間にオンライン診療が受けられ、クリニックに通う時間や診察の待ち時間を削減できる、ピルを自宅配送してもらえるなどのメリットがあります。
また、オンライン診療では自宅で診察を受けられるため、「婦人科クリニックで受診していることを周りに知られたくない」という方にも便利でしょう。
しかし、保険を適用できる低用量ピルを希望する場合は、疾患を診断するための検査が必要であり、初診をオンライン診療で受診できないクリニックが多い点に注意してください。2回目以降は、オンライン診療を行っているクリニックであれば、オンライン診療と対面診療を併用して受診を継続できます。
保険適用でなくても低用量ピルを服用したい場合や、低用量ピルの服用目的が避妊であれば、自分の好きな時間に診察を受けられるオンライン診療がおすすめです。
オンライン診療では、診察回数が1年に1回で済んだり、低用量ピルをまとめて半年分~1年分処方してもらったりすることが可能です。診察回数や処方数はクリニックによって異なるため、公式サイトや事前の問い合わせで確認しておきましょう。
また、オンライン診療では、採血などの検査がありません。しかし、継続的に低用量ピルを服用する場合は、血栓症や異常の早期発見のために検査を受けることが推奨されています。低用量ピルを服用する際は、定期的に検査を受けるように心がけましょう。
低用量ピルを処方してもらうときの診察の流れ
低用量ピルを処方してもらうときの一般的な診察の流れを、クリニックとオンライン診療に分けて解説します。
クリニック
クリニックで診察を受ける流れは、下記のとおりです。
- 診察予約(必要に応じて)
- クリニックに来院し、問診表を記入
- 医師の診察
- 処方箋の受け取り
- 会計
- 薬局で低用量ピルの受け取り
クリニックに行って受診する際は、保険証と本人確認書類を持参します。その後、問診票を記入して医師の診察を待ちます。
問診票には、生理痛がいつ出現するのか、どれくらい続いているのか、性行為の有無、低用量ピルを服用したい旨などを記載します。低用量ピルを処方する際には、体重・血圧測定などが行われます。
問診で問題がなければ、医師の診察を受けます。診察時にも低用量ピルを服用したいことを伝えましょう。医師から低用量ピルの服用方法や副作用について説明を受けて納得できたら、服用する低用量ピルを相談し、処方してもらいます。
処方箋が発行されたらクリニックで会計をして、クリニックもしくは薬局で低用量ピルを受け取ります。
オンライン診療
オンライン診療の診察の流れは、下記のとおりです。
- 希望日時でオンライン診療の予約
- 問診票をメールなどで送信
- 予約日時にアプリなどを起動して、オンラインで受診
- 低用量ピルが処方されたら、自宅など指定した場所で受け取り
オンライン診療で受診したい場合、クリニックのWebサイトや公式LINEなどから診療日時を予約して、問診票を記入します。
オンライン診療は、事前に記載した問診票を確認しながら医師が診察します。診察は問題がなければ最短15分程度で終了します。
診察が終わり、支払いが完了すると最短で当日中に配送され、自宅など指定した場所で受け取り可能です。低用量ピルの配送時は、ピルが入っていると他者に分からないように配慮されているため安心してください。
オンライン診療の主な支払い方法は、クレジットカードです。ほかにも、銀行振込などクリニックによって利用できる支払い方法が異なるため、クレジットカード以外の支払い方法を利用したい方は、診療予約の前に確認しておきましょう。
低用量ピルを処方してもらうときの注意点
低用量ピルを処方してもらうときの注意点は、下記の3つです。
- 月経が始まる前に受診する
- 診察の結果によっては低用量ピルを処方してもらえない
- 家族に血栓症を発症した方がいる場合は医師に伝える
1つずつ解説します。
月経が始まる前に受診する
低用量ピルは、月経開始1日目から服用することが推奨されています。月経1日目以降で服用する場合でも5日目以内の服用が推奨されているため、月経が始まる前に受診するとスムーズに低用量ピルの服用を始められます。
月経1日目から低用量ピルを服用する理由は、卵胞の発育が進行する前に始める必要があるからです。卵胞が大きくなると、排卵が起こる可能性が上昇するため、生理痛が起こる可能性も高くなります。
ピルを服用したい方は月経が始まる前に受診して、低用量ピルを処方してもらいましょう。
診察の結果によっては低用量ピルを処方してもらえない
クリニックやオンライン診療で診察を受けた結果によっては、低用量ピルを処方してもらえない場合があります。
低用量ピルの処方時には、問診と身長・体重・血圧測定が行われます。血圧を測定した結果、値が160/100mmHg以上の場合は高血圧と診断され、ピルの投与が禁忌の対象となるため、低用量ピルを処方してもらえません。また、下記に該当する方も低用量ピルの処方が禁忌となり、処方してもらえない点に注意してください。
- ピルにアレルギーがある
- 妊娠している
- 35歳以上で1日15本以上喫煙している
- 乳癌を発症している
- 脳血管障害や心房細動を合併する心臓弁膜症を発症している
- 視野に違和感(ギザギザの光など)がある片頭痛を発症している
- 血管病変のある糖尿病を発症している
上記に該当する場合は、血栓症の発症や、現在発症している疾患が悪化する可能性があるため、低用量ピルを服用できません。
他にも、下記に該当する方は低用量ピルの慎重投与対象となるため、処方してもらえない可能性があります。
- 40歳以上
- 喫煙者
- 肥満(BMI30以上)
- 高血圧(140/90mmHg以上)
- 乳癌の既往歴があり、発症してから5年以上再発していない
- 乳癌の家族歴
- 血栓症の家族歴
- 片頭痛を発症している
- てんかんを発症している
疾患を発症している場合は低用量ピルの処方が難しくなりますが、喫煙やBMIが原因の場合は生活習慣を見直すことで処方を受けられる可能性があります。ピルの処方時だけでなく服用中も、肥満になると血液の流れが滞り、血栓ができやすくなる要因となるため、食生活には気をつけてください。
クリニックで診察を受ける際は、自身の病歴を医師に伝え、低用量ピルの服用が可能であるか判断してもらいましょう。
家族に血栓症を発症した方がいる場合は医師に伝える
家族に血栓症を発症した方がいる場合は、そうでない方と比較して血栓症のリスクが高くなる可能性があるため、医師の判断により処方されます。
低用量ピルに含まれるエストロゲンには、血液凝固の働きを促進させる作用があります。そのため、極めて稀ですが低用量ピルの副作用として血栓症が挙げられ、もともと血栓症リスクの高い人は低用量ピルを服用できない場合があります。
もし、家族に血栓症の既往歴を持つ方がいる場合は、診察の際に医師に伝えましょう。
低用量ピルを処方してもらうときにかかる費用
低用量ピルの費用は、保険診療で1シート約600~1,500円、自費診療で1シート2,000~3,000円です。また、低用量ピルを処方してもらう際は、ピル以外にも診察料や検査料、処方箋発行料、オンライン診療の場合は送料がかかります。
自費診療で受ける場合は、クリニックによって診察料などが異なるため確認しておきましょう。
保険診療では低用量ピルの1シートあたりの費用が安くなりますが、検査料や診察料、クリニックに通う交通費などを含めると、自費診療と大きく変わりません。オンライン診療では、診察料が無料となるクリニックもあるため、安く済む可能性もあります。
また、低用量ピル自体に、保険適用できるものと自費診療のものがあります。保険適用できる低用量ピルとして下記の例が挙げられます。
- ルナベルLD
- フリウェルLD
下記の低用量ピルは自費診療となるため、気をつけておきましょう。
- マーベロン
- ファボワール
- シンフェーズ
- アンジュ
- トリキュラー
- ラベルフィーユ
自費診療で処方されている低用量ピルは、月経困難症など保険適用できる疾患であっても、自費診療の値段になる点は注意してください。
低用量ピルの服用方法
低用量ピルは、毎日決まった時間に服用する必要があります。服用する時間は、自分の生活リズムで飲みやすいタイミングで問題ありません。
毎日決まった時間に服用するとホルモンバランスが安定し、ピルの効果が期待できます。もし、服用時間がずれたり、飲み忘れたりすると、ホルモンバランスが安定せず、避妊効果が軽減するため注意してください。
低用量ピルの避妊効果は、理想的な内服で99.7%と高い確率で避妊が可能となり、飲み忘れや服用の時間がずれてしまった場合は92%と報告されています。
低用量ピルを服用する際には21日間服用後に7日間の休薬期間があります。休薬期間に消退出血という生理のような出血が起こります。7日間の休薬期間を終えたら、出血がある状態でもピルの服用を再開してください。
休薬期間中に偽薬(有効成分が入っていない錠剤)を服用する28日シートと、偽薬を服用しない21日シートがあり、28日シートは錠剤を毎日服用するため、飲み忘れ防止が期待できます。低用量ピルの飲み忘れを予防するためには、服用が習慣化するまでは28日シートを利用したり、服用する時間にアラームをセットしたりすると良いでしょう。
参考:日本プライマリ・ケア連合学会誌「避妊」
低用量ピルの効果
低用量ピルには女性ホルモンが含まれており、服用するとホルモンバランスが整います。
通常、月経が終わるとエストロゲンの分泌が開始され、卵子を発育したり子宮内膜を厚くしたりします。卵子が十分に成長するとプロゲステロンの分泌が始まり、妊娠に備えて子宮内膜をさらに厚くします。
低用量ピルを服用すると、エストロゲンやプロゲステロンが体内に十分にあると脳が判断するため、エストロゲンやプロゲステロンの分泌を抑制します。ホルモンの分泌が抑制されると卵子は成長せず、子宮内膜も厚くなりません。
低用量ピルを服用して、ホルモンバランスが整えられることで生理不順の改善や生理痛、PMS、月経困難症などの軽減が期待できます。また、副効用でニキビや肌荒れの改善にも効果的です。
低用量ピルの副作用
ここでは、低用量ピルの副作用について解説します。
マイナートラブル
低用量ピルの副作用は、主に下記のものがあります。
- 不正出血
- 嘔気
- 気分変調
- 体重増加
- 乳房の張り
- 頭痛
- 食欲不振
- 腰痛
- むくみ
- 疲労感
- 血栓症
上記の副作用はマイナートラブルと呼ばれます。日本産科婦人科学会によると、副作用によりピルの服用を中止した女性のうち、不正出血を訴えた方は12.0%、嘔気は7%、気分変調や体重増加は5%とされています。
副作用は、低用量ピルの服用を継続すると軽減することが多いため、3ヶ月程度は服用を続けましょう。低用量ピルを3ヶ月ほど服用しても副作用が改善しない場合は、クリニックに相談して低用量ピルの種類を変更すると改善することがあります。
低用量ピルの服用を3ヶ月続けられないと感じたときにもクリニックに相談し、ピルの種類の変更もしくは服用をやめる相談をしましょう。日本産科婦人科学会によると、副作用を理由に低用量ピルの中断をする方は46%と約2人に1人のため、副作用を限界まで我慢せず、医師に相談してください。
参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)」
血栓症
低用量ピルの副作用の中でも血栓症は、発症したと感じたらすぐにクリニックに相談する必要があります。早期に血栓症を発見して治療を行うと、ほとんどの症例の血栓は消失するとされています。しかし、血栓症の発見が遅れると血栓が血液の流れに乗り、心臓や脳などの血管に詰まることで、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患を引き起こすリスクがあります。
血栓症の主な症状は下記のとおりです。
- 激しい頭痛・胸痛・腹痛息苦しい
- 視野が狭い
- 舌のもつれ
- ふくらはぎの痛み・むくみ
血栓症は、低用量ピルの服用を始めて3ヶ月以内は年間1万人に14人ほど発症すると報告されています。上記で解説した症状が出現し、呼吸困難などが起きて症状が悪化したと感じたら、受診を待たず救急車を呼びましょう。
参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)」
まとめ
生理痛で悩んでいて低用量ピルを処方してもらうには、クリニックに行くかオンライン診療を利用して受診しましょう。オンライン診療であれば自宅で診察を受けられるため、知人に知られることなく受診でき、待ち時間の軽減や通院にかかる費用を抑えることが可能です。
低用量ピルを処方してもらう際には、問診のほか検査が必要になることがあります。病歴がある場合は、診察時に医師に伝え、安全に低用量ピルの服用を始めましょう。 レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました