レバクリ

更新日:2024年10月29日

ピルの服用で性格は変わる?原因や対処法を解説

この記事のまとめ
  • ピルの服用を開始すると、女性ホルモンの増減により性格が変わることがある
  • ピルの服用により性格が変わるのは一時的なもので、2~3ヶ月ほど経つと落ち着く
  • ピルの服用開始から3ヶ月ほど経っても憂鬱な気分が続くときは、医師に相談する
  • ピルの服用により、イライラ・情緒不安定といったPMSの症状緩和が期待できる

ピルを服用すると、情緒不安定になったり感情のコントロールが難しくなったりする場合があります。性格が変わる原因として考えられるのは、女性ホルモンのバランスが変化するためです。基本的に2~3ヶ月ほど経つと症状は落ち着きますが、長期間続く場合は医師に相談しましょう。

このコラムでは、ピルの服用により起こりうる性格の変化や原因、対処法などを解説します。また、ピルの服用で得られる効果も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ピルの服用開始により起こりうる性格の変化とは

ここでは、ピルの服用を開始すると起こりうる性格の変化について解説します。主な変化は、次の4つです。

  • うつ状態のように情緒不安定になる
  • 感情のコントロールが難しくなる
  • 恋愛感情や性欲が減退する
  • 体調不良で意欲がわかなくなる

それぞれの変化について解説します。

うつ状態のように情緒不安定になる

ピルを服用し始めると、情緒不安定になる場合があります。ピルの服用によって引き起こされる可能性のある症状は、次のとおりです。

  • 理由もなく悲しくなり涙が出る
  • 仕事や勉強に集中できない
  • 元気が出ない
  • 朝、起きれない
  • 眠れない
  • 食欲が増す
  • 食欲がなくなる

上記のような症状は、ピルの服用を開始して間もないころに起こりうる副作用で、ホルモンバランスの変化が原因と考えられています。情緒不安定になると塞ぎ込んでしまいがちですが、一時的なものと捉えることが大切です。

通常、ピルを服用し始めてから2〜3ヶ月ほど経つと、症状は次第に落ち着きます。本来の性格が変わるわけではないため、しばらく様子をみて服用を続けましょう。

感情のコントロールが難しくなる

ピルの服用開始によって、感情のコントロールが難しくなり性格が変わる場合もあります。わけもなくイライラし、普段なら気にならないことに対しても、怒りっぽくなることがあるようです。

些細なことに苛立つと、パートナーや家族などとのコミュニケーションを煩わしいと感じる場合もあるでしょう。

恋愛感情や性欲が減退する

ピルの服用開始によって気分の変化が起こると、恋愛感情や性欲が減退する場合があります。気分の落ち込みにより、楽しみにしていたデートであっても億劫に感じることがあるでしょう。

また、ピルの服用により男性ホルモンのテストステロンの分泌量が減ることで、性欲が減退する場合もあると考えられます。

体調不良で意欲がわかなくなる

ピルの服用開始によって一時的に体調不良になり、物事への意欲がわかなくなる場合があります。

特にピルの服用を始めて間もないころは、吐き気や不正出血、胸の張り、腰痛といった副作用が生じやすいとされています。勉強や仕事だけでなく、ときには自分の好きなことに対しても意欲がわかなくなるケースがあるでしょう。

ピルの服用により性格が変わる3つの原因

ここでは、ピルの服用により性格が変わる3つの原因について解説します。考えられる主な原因は、次の3つです。

  • 黄体ホルモンの影響
  • 卵胞ホルモンの減少
  • ほかの薬との飲み合わせ

それぞれの原因について解説します。

1.黄体ホルモンの影響

ピルで性格が変わる原因の一つとして考えられるのは、黄体ホルモンの影響です。ピルには黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類の女性ホルモンが配合されています。

黄体ホルモンは、次のような妊娠を維持する働きがあります。

  • 子宮内膜を柔らかくし維持する
  • 子宮を妊娠しやすい状態にする
  • 体温を上げる
  • 食欲を増進させる
  • 水分や栄養素をためる

ピルに使用される黄体ホルモンは4種類あり、開発された時期によって、第1〜4世代に分類されます。それぞれの世代の黄体ホルモンの種類や特性は、次のとおりです。

世代黄体ホルモンの種類特性
第1世代ノルエチステロン・月経困難症のコントロールに優れる
・不正出血や肌荒れ、多毛などの副作用が出やすい
第2世代レボノルゲストレル・第1世代よりも副作用が出にくい
・自然のホルモンサイクルに近い
第3世代デソゲストレル・不正出血を起こしにくい
・肌質の改善が見込める
第4世代ドロスピレノン・避妊目的ではなく、月経困難症の治療に用いられる

上記のうち、第3世代は男性ホルモンの抑制効果が高く、長期間服用することで性欲減退や抑うつなどの副作用が出やすいとされています。第4世代は超低用量ピルと呼ばれ、含まれるホルモン量が少ないため、副作用が比較的起こりにくいのが特徴です。

2.卵胞ホルモンの減少

ピルの服用により、脳が卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌しなくてよいと判断し、分泌量が減少することで性格が変わる場合があります。

卵胞ホルモンの分泌量が減少すると、脳内の神経伝達物質であるセロトニンも減り、イライラや憂うつといった感情が生じやすくなります。

3.ほかの薬との飲み合わせ

ピルとほかの薬との飲み合わせによっても、性格が変わる場合があります。ピルの服用中に下記の薬を併用した場合、気分の落ち込みといった症状が出る可能性があります。

  • 副腎皮質ホルモン(ステロイド)
  • シクロスポリン(免疫抑制剤)
  • テオフィリン(喘息の薬)
  • 三環系抗うつ剤
  • オメプラゾール(胃酸を抑制する薬)

ピルを服用したい場合は、現在服用中の薬を医師に伝えることが大切です。

ピルの服用により性格が変わったときの3つの対処法

ここでは、ピルの服用により性格が変わったときの対処法を紹介します。主な対処法は、次の3つです。

  • しばらく様子を見る
  • ピルの処方医に相談しピルの種類を変える
  • 心療内科で受診する

それぞれについて解説します。

1.しばらく様子を見る

ピルの服用によって性格が変わる場合は、2〜3ヶ月ほど様子を見ましょう。ピルを服用し始めて間もないころは、ホルモンバランスの変化に身体が慣れておらず、心身の変化を感じやすいとされています。

2〜3ヶ月ほど経つと、身体が慣れてきて精神的な変化も落ち着くと考えられます。

2.ピルの処方医に相談しピルの種類を変える

ピルで性格が変わるのが気になる方は、ピルの処方医に相談し、種類を変えてみることをおすすめします。ピルの種類によって主な効果や起こりやすい副作用が異なり、変更することで悩んでいた症状が軽減する可能性があります。

処方してもらったピルが合わないと感じたときは、我慢せずに医師に相談しましょう。

3.心療内科で受診する

ピルを服用し、3ヶ月ほど経っても気持ちが落ち着かない場合は、心療内科での受診を検討してみましょう。長期間にわたる性格の変化や気分の落ち込みは、ピルが原因ではない可能性があります。

心療内科で受診する際は、ピルを服用している旨やいつから・どのような症状があるのかを医師に伝えましょう。

ピルの服用で得られる効果

ピルの服用は、身体に悪い影響ばかりを与えるわけではありません。ピルを服用することで、良い効果も得られます。ここでは、ピルの服用により得られる効果を2つ紹介します。

月経前の情緒不安定が改善する

ピルを服用することで、イライラ・情緒不安定といったPMS(月経前症候群)の症状が軽くなると考えられます。ピルを服用して情緒が安定するのは、女性ホルモンの卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスが一定に保たれるためです。

ピルを服用していない場合、月経周期に伴って卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量が急激に増減するため、PMSを引き起こしやすくなります。

妊娠への不安や性交痛の軽減により性欲が向上する

主に避妊目的で処方される低用量ピルの服用により、妊娠への不安が減り、性行為に積極的になれる場合があります。また、ピルを服用すると、膣に潤いが出て性交痛が軽減するケースもあるため、症状が改善することで性欲が高まる場合があるでしょう。

まとめ

ピルの服用を開始すると、性格が変わる場合があります。これは、女性ホルモンである卵胞ホルモンや黄体ホルモンのバランスが変化するためです。ただし、ピルの服用による性格の変化は一時的なもので、2~3ヶ月ほど服用を継続すると落ち着くでしょう。また、ピルを服用することで、PMSの緩和といった良い効果を得られます。

ピルの服用により憂うつな気分が続き、日常生活に支障をきたしている場合は、ピルを処方してもらった医師に相談してみましょう。

ピルの服用を開始したい場合は、医師による診察・処方が必要です。レバクリではオンライン診療を行っており、場所や時間を気にせず受診できます。診察料は無料のため、ピルの処方を希望する際は、ぜひお気軽にご利用ください。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました