更新日:2024年10月29日
PMSは生理中も続くことがある?考えられる疾患や治療法を解説
- PMSの症状は生理中も続くことがある
- PMSの症状が生理中も続く場合、PEMSや月経困難症の可能性がある
- 症状のピークが訪れるのはPMSが生理前、PEMSや月経困難症は生理中
- PMS・PEMSの治療法はピル・漢方薬・偽閉経療法・抗うつ薬・鎮痛剤など
- 月経困難症の治療法は鎮痛剤・ピル・漢方薬など
PMSの症状が生理中も続くことに対して、「PMSではなく、別の病気なのでは?」と不安を覚えている方もいるでしょう。一般的に、PMSは生理開始後に症状がおさまりますが、生理中も症状が続く場合があります。ただし、PEMSや月経困難症が原因の可能性もあるため、注意が必要です。
この記事ではPMSが生理中も続く原因や、PMSやPEMS、月経困難症の治療法について解説します。
PMSの症状は生理中も続くことがある
PMSの症状は、生理中も続くことがあります。
一般的に、PMSは生理が始まる1週間ほど前から症状が出て、生理開始後に症状がおさまります。しかし、そのパターンに当てはまらない場合もあります。
ここでは、PMSの4つの出現パターンや、そもそもPMSとは何かを解説します。
PMSの4つの出現パターン
PMSの主な出現パターンは、以下の4つです。
- 生理が始まる1週間ほど前から症状があらわれ、生理開始とともに症状がおさまる典型例
- 排卵直後から症状があらわれ、生理開始とともに症状がおさまる
- 排卵前後に症状があらわれ、一度おさまってから症状が再開、生理開始とともに症状がおさまる
- 排卵直後から症状があらわれ、生理終了まで症状が続く
PMSが出現する典型的なパターンは、上記の1つ目の「生理が始まる1週間ほど前から生理開始まで」ですが、排卵日の直後から生理開始時まで症状が続く人や、排卵日前後に症状が出る人もいます。
そもそもPMSとは
そもそもPMSとは、生理前に起こる心や体の不調のことです。症状の種類は非常に多く、200種類以上あるといわれています。たとえば、下腹部や乳房の痛みなどの身体的な症状や、イライラや憂鬱な気分などの精神的な症状が挙げられます。
婦人科でPMSと診断されるのは、生理前から生理開始までの不快な症状が繰り返し3か月以上続き、日常生活に差し支えるほど症状がひどい場合です。
PMSの症状が生理中も続く場合に疑う疾患
PMSの症状が生理中も続く場合、PMS以外の疾患が原因で生じている可能性があります。生理中もPMSの症状が続く場合に疑う病気は、以下のとおりです。
- PEMS
- 月経困難症
それぞれの症状や特徴を解説します。
PEMS
PEMSとは「周経期症候群」を指し、生理前から生理中にかけて起こり、特に生理中に症状が強くなる精神的・社会的症状のことです。イライラする、無気力になる、人付き合いが面倒になるといった症状があらわれます。
月経困難症
月経困難症は、子宮やその周辺の組織の異常により、生理期間中に起こる病的症状のことです。主な症状は以下のとおりです。
- 下腹部痛
- 腰痛
- 吐き気
- 疲労感
- 食欲不振
- イライラ
- 抑うつ
月経困難症には「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2種類あります。それぞれの特徴をみていきましょう。
機能性月経困難症
機能性月経困難症は、病気ではなく体質やストレスなどに起因します。子宮内膜が剥がれる際に、痛みの物質である「プロスタグランジン」が過剰に分泌され、子宮の筋肉が過度に収縮して血行が悪くなることで、下腹部痛や腰痛などが起こります。
通常、初潮後2〜3年が経過してから出現するとされ、ストレスで悪化しやすいことが特徴です。
器質性月経困難症
器質性月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの、子宮の何らかの病気を原因とします。鎮痛成分が効かないほど痛みが強く、日常生活に影響を及ぼすほどひどい症状の場合は、器質性月経困難症の可能性があります。
PMSとPEMS・月経困難症の違い
PMSは生理前に症状が出るのに対し、PEMSや月経困難症は生理中に症状が出る点が違いといえるでしょう。
PMSの症状は生理中も続くことはありますが、生理開始とともに症状が軽くなります。一方、PEMSと月経困難症は、生理中に症状のピークが訪れます。
PMS・PEMSの治療法
PMS・PEMSの主な治療法は、以下のとおりです。
- ピル
- 漢方薬
- 偽閉経療法(性腺刺激ホルモン放出ホルモン作動薬)
- 抗うつ薬
- 鎮痛剤
それぞれの内容を解説します。
ピル
PMS・PEMSともに、低用量ピルや超低用量ピルを服用して治療する方法が効果的です。ピルは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を含む薬のことで、生理周期によるホルモンバランスの変動を抑え、PMSやPEMSが出現するのを防ぎます。
漢方薬
PMS・PEMSには、漢方薬も効果が見込めます。うつ症状や冷え・のぼせには「加味逍遙散」、強いイライラや便秘などには「桃核承気湯」、むくみや冷えがあり、体力がない場合には「当帰芍薬散」などが例として挙げられます。
偽閉経療法(性腺刺激ホルモン放出ホルモン作動薬)
偽閉経療法とは、「性腺刺激ホルモン放出ホルモン作動薬」の服用によって、その名のとおり、ホルモンレベルを閉経の状態にする治療法のことです。他の薬剤で治療効果が認められない場合に、最終手段として行われます。
抗うつ薬
抗うつ薬の1つである「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」も、PMSやPEMSの治療薬として用いられることがあります。重度のうつ症状がみられる場合は、精神科での治療が必要です。
鎮痛剤
鎮痛剤は、下腹部痛や腰痛、頭痛などの痛みが症状としてあらわれる場合に、それらを軽減するために使用します。
月経困難症の治療法
月経困難症のうち器質性月経困難症については、原因である病気の治療(薬物療法や手術療法など)が優先されます。
一方、機能性月経困難症は、生理時にプロスタグランジンが通常よりも多く作られることが原因といわれており、主な治療法は以下のとおりです。
- 鎮痛剤
- ピル
- 漢方薬
ここでは、機能性月経困難症の治療法について解説します。
鎮痛剤
通常の機能性月経困難症の治療で、まず選択されるのが鎮痛剤です。主に「非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)」が治療に使われます。
非ステロイド性抗炎症薬には、プロスタグランジンが合成される際に必要な酵素の働きを抑え、プロスタグランジンの生成を抑制する働きがあります。
ピル
ピルも、機能性月経困難症の治療に有効です。女性ホルモンのバランスを調整して子宮内膜の増殖を抑制し、子宮内膜が厚くなるのを防いでプロスタグランジンの産生を抑えます。
漢方薬
機能性月経困難症の治療には、ピルの代わりに漢方薬が使われることもあります。月経困難症の症状の緩和に有効とされる主な漢方薬は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂皮茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などです。
PMSや月経困難症にお悩みならクリニックに相談を
つらいPMSや月経困難症の症状にお悩みなら、我慢せずにクリニックで受診するのがおすすめです。医師の診断を受け、適切な治療方針に沿って治療を始められます。
手軽にクリニックで受診したいなら、オンライン診療を検討してみましょう。通院時間や待ち時間がなく、院内処方であれば自宅に薬を郵送してもらえるため、忙しい方も無理なく受診できます。
まとめ
一般的に、PMSは生理が始まる前から生理開始までに症状が出ますが、生理中も続くことがあります。生理中もPMSのような症状が続く場合、PEMSや月経困難症などPMS以外の疾患が原因の可能性があります。
症状の原因を明らかにし、つらいPMSの症状を改善するためにも、一度クリニックで受診することがおすすめです。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました