更新日:2025年01月21日
おりものが茶色いのは不正出血が原因?生理や妊娠、病気のケースを解説
- おりものが茶色いのは不正出血が原因
- おりものが茶色くなる不正出血の原因には、生理・排卵の影響や着床出血などがある
- おりものが茶色く不正出血の症状が長引くときは、子宮や卵巣の病気の可能性もある
- おりものが茶色く不正出血の症状が気になるときは、病院で受診しよう
茶色いおりものが出ると、「病気なのでは?」と不安に思う方もいるでしょう。茶色いおりものが出るのは、不正出血が原因です。不正出血が起こる原因には、生理・排卵の影響や着床出血、ホルモンバランスの乱れ、低用量ピルの服用などが挙げられます。
この記事では、おりものが茶色くなる原因やおりものが茶色いときに考えられる病気、病院受診の目安などについて解説します。おりものが茶色いときに実践できるセルフケアも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
おりものが茶色いのは不正出血が原因
おりものが茶色いのは、不正出血が原因の可能性があります。ここでは不正出血の概要や注意が必要なおりものについて解説します。
不正出血とは?
不正出血とは、生理とは関係ないタイミングで起こる出血のことです。生理のときは、子宮内膜が剥がれて血液とともに排出されます。一方、不正出血は子宮や卵巣、卵管、膣といった性器から生理以外の理由で出血します。
不正出血の量や頻度は、一概にはいえません。少量の茶色い出血がおりものに混じる程度のときもあれば、ナプキンが必要なくらいの出血が数日続くときもあります。不正出血が気になったときは、出血したタイミングや日数、出血量などを記録しておくとよいでしょう。
おりものの色をチェックしよう
不正出血が起きたときは、おりものが茶色く変色します。しかし、不正出血を原因としない場合、おりものは茶色以外に変化するケースもあります。おりものの色の変化と考えられる原因を、以下で確認しましょう。
おりものの色 | 考えられる原因 |
---|---|
透明・乳白色・薄い黄色・クリーム色 | ・正常なおりものの色だが、ボロボロとしたカッテージチーズ状・酒粕状のおりものの場合、カンジダ腟炎を発症している可能性がある |
茶色 | ・おりものに血液が混ざっている |
濃い黄色・黄緑色 | ・膣内で雑菌が繁殖している可能性がある ・子宮や卵巣の病気の可能性もある |
ピンク | ・おりものに血液が混じっている ・出血がごく少量の場合、茶色ではなくピンクになることがある |
黒 | ・おりものに血液が混じっている ・体内で血液が古くなり酸化したときや、出血量が多いときは黒っぽいおりものになることがある |
おりものが茶色くなる5つの原因
おりものが茶色くなるのは不正出血が原因で、不正出血が発生する原因には、生理・排卵の影響や妊娠による着床出血、ホルモンバランスの乱れ、低用量ピルの服用などが挙げられます。ここでは、それぞれの原因と発生する仕組みを見ていきましょう。
1.生理の直前・直後の出血
おりものが茶色い原因の1つめは、生理直前・直後の出血です。何らかの原因により生理がスムーズに始まらない、またはすっきりと終わらないときは、茶色いおりものが出る可能性があります。生理前後数日間の茶色いおりものであれば、それほど心配する必要はないでしょう。
しかし、茶色いおりものが8日以上続くときは、過長月経の可能性があります。
2.排卵期出血
おりものが茶色い原因の2つめは、排卵期出血です。排卵時はホルモンバランスが一時的に乱れることで、不正出血が起こる可能性があります。
排卵日は、月経が始まってから約2週間後とされています。不正出血の時期が排卵日付近の場合、排卵期出血の可能性が高いためそれほど心配する必要はないでしょう。ただし、出血する期間が長い、生理と同じくらいの出血量がある、毎月出血するといったときは、病気の可能性もあるため一度病院で受診するとよいでしょう。
3.妊娠による着床出血
おりものが茶色い原因の3つめは、妊娠による着床出血です。妊娠は、受精卵が子宮内膜に潜り込むことで成立します。このときに子宮内膜が傷つき、わずかに出血することがあります。これが着床出血です。
着床出血が起こるタイミングは、生理予定日の少し前です。少量の出血があったにもかかわらず生理が始まらないときは、妊娠の可能性を考えましょう。
4.ホルモンバランスの乱れ
おりものが茶色い原因の4つめは、ホルモンバランスの乱れです。ホルモンバランスが乱れる原因として、以下の例が挙げられます。
- 思春期でホルモンバランスが安定していない
- 更年期で女性ホルモンの分泌が減少している
- ストレス過多や生活習慣の乱れが続いている
ストレス過多や睡眠不足などが続くと、不正出血が起こる可能性があります。思い当たる原因がある方は、まずは休息をとり身体を休めましょう。
5.低用量ピルの服用
おりものが茶色い原因の5つめは、低用量ピルの服用です。低用量ピルとは、女性ホルモンである黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)が配合された薬で、生理痛や月経前症候群(PMS)などの治療に使用されます。
低用量ピルの服用を開始すると、一時的にホルモンバランスが乱れて不正出血を起こす場合があります。服用開始から間もない時期は不正出血が発生する可能性が高いため、しばらくは様子を見てもよいでしょう。
ただし、不正出血が頻繁に起こる、出血している期間が長い、出血量が多いというときは、医師に相談すると安心です。
おりものが茶色いときは病気の可能性もある
不正出血によりおりものが茶色くなる原因は、ホルモンバランスの乱れや妊娠などのほか、子宮・卵巣の病気の可能性もあります。
ここでは、不正出血によりおりものが茶色いときに考えられる5つの病気を解説します。不正出血に悩んでいる方は、身体の不調の原因を見極める材料として押さえておきましょう。
1.子宮内膜症
子宮内膜症とは、本来子宮内だけにあるはずの子宮内膜が、子宮の内側以外の場所にできてしまう病気です。
子宮内膜症の代表的な症状は生理痛の悪化や経血量の増加で、不正出血が見られるケースもあります。そのほか吐き気や腰痛、性交痛、排便痛などの症状が出ることもあるようです。
子宮内膜症は20代~40代の幅広い年代の女性に発症する可能性がある病気です。症状が重い場合は手術するケースもありますが、一般的にはホルモン剤などにより痛みをコントロールしながら長く付き合っていくことになります。
2.子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の筋肉に由来する良性の腫瘍です。子宮筋腫の症状は過多月経や過長月経などで、腫瘍ができた場所によっては不正出血が発生する可能性があります。
また、腫瘍により子宮内膜がただれることにより、分泌液が混ざった水様のおりものが増えるケースもあります。
子宮筋腫は、必ずしも治療が必要なわけではありません。しかし、腫瘍の大きさやできた場所、症状によっては、ホルモン剤の服用により腫瘍を小さくしたり、手術で取り除いたりすることがあります。
3.子宮頚管ポリープ
子宮頚管ポリープとは、子宮の入り口にできる良性の腫瘍です。子宮頚管ポリープができると出血しやすく、激しい運動や性行為などの刺激により不正出血が発生する可能性があります。
子宮頚管ポリープは無症状で良性の場合がほとんどですが、まれにがん化しているケースもあるため、一般的に切除のうえ良性・悪性の検査をします。ポリープの切除は、入院せずに日帰りで処置できる場合がほとんどです。
4.子宮頸がん・子宮体がん
子宮頸がんおよび子宮体がんは、子宮にできる悪性腫瘍です。初期症状はほとんどありませんが、進行するとさまざまな症状が出ます。おりものの変化としては、濃い茶色になったり、水っぽいおりものが出たりすることがあるようです。
不正出血やおりものの異常が気になる方は、子宮頸がん・子宮体がんの検診を受けてみるとよいでしょう。
5.感染症
感染症による膣炎が発生すると、不正出血が起こるケースがあります。感染症の一例としては、クラミジアや淋菌感染症、トリコモナス症などが挙げられます。
感染症をそのままにすると、症状が悪化したり不妊の原因になったりするおそれがあります。感染症が疑われるときは、速やかに病院で受診して適切な処置を受けることが大切です。
おりものが茶色いときの対処法
茶色いおりものが出ると、不安を感じる方もいるでしょう。また、頻繁に出血したり出血が長引いたりすると、QOL(生活の質)の低下にもつながります。そのため、不正出血が続くときは、症状の改善を目指す対処法を実践しましょう。
ここでは症状の改善が期待できるセルフケアと、病院受診の目安を解説します。
症状の軽減が期待できるセルフケア
不正出血の原因がストレスによるホルモンバランスの乱れの場合、ストレス緩和や生活習慣の見直しにより、症状軽減を図れます。症状の軽減が期待できるのセルフケアの一例は、以下のとおりです。
- 休息をとり身体を休める
- 栄養バランスのよい食事をとる
- 質のよい睡眠をとる
そもそもストレスでホルモンバランスが崩れるのは、ホルモンと自律神経に深い関わりがあるからです。ストレス過多になると、ホルモンの分泌を調整する自律神経が乱れるため、ホルモンバランスも乱れやすくなります。
自律神経が乱れているときは、イライラや食欲不振、動悸、頭痛といったさまざまな症状が表れます。不正出血とあわせてこれらの症状が出るときは、ストレスの緩和に努めましょう。
症状がひどいときは受診も検討しよう
不正出血がひどく、おりものの色が変化しているときは、子宮関連の病気や感染症を発症している可能性があります。不正出血があるときの病院受診の目安は、以下のとおりです。
- 2週間以上出血が続く
- 出血量が多い
- 強い痛みがある
- 頻繁に出血が起こる
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんの検診を1年以上受けていない
上記はあくまでも目安です。おりものの状態がいつもと異なり不安がある方は、早めの受診を心掛けましょう。
まとめ
おりものが茶色くなる原因は、不正出血です。不正出血が起こる原因には、生理・排卵の影響や着床出血、ホルモンバランスの乱れ、低用量ピルの服用が挙げられます。
そのほか、不正出血は病気が原因で発生することもあります。出血量が多い、出血期間が長い、痛みを伴うなど、不安な症状があるときは病院で受診すると安心です。
おりものや不正出血について医師に相談したい場合、場所や時間にとらわれず、ビデオチャットや電話で診察が受けられるオンライン診療を利用するのも一つの方法です。忙しく病院に行く時間が取れない方は、オンライン診療の利用をぜひ検討してみてください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました