更新日:2026年09月14日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
病院でトランサミンを処方された際に「何の薬なのか」「何錠飲めばよいのか」と気になる方もいるかもしれません。トランサミンはトラネキサム酸を主成分とし、止血作用・抗アレルギー作用・抗炎症作用をあわせ持つ処方薬です。 この記事では、トランサミンの効果と処方される主な病気・症状、250mg錠と500mg錠の用量の違い、副作用、市販薬の有無、薬価まで幅広く解説します。 服用前に基本情報を整理しておきたい方は、ぜひ参考にしてください。
※レバクリの提携医療機関による美容皮膚治療で承認適応外として処方している薬は、トラネキサム酸・シナール・ハイチオール・ユベラ・グルタチオンの内服薬5種類です。その他の医薬品や治療法については、一般的な情報提供として掲載しています。

トランサミンは、トラネキサム酸を主成分とする医療用医薬品です。炎症や出血を鎮める効果が期待でき、喉の痛みや口内炎、皮膚のかゆみといった日常的な症状から、出血を止める治療まで幅広く活躍しています。
トランサミンは市販されていないため、手に入れるには医師の処方箋が必要です。同じ成分(トラネキサム酸)を配合した市販薬はありますが、処方薬とは効果や量が異なり、止血目的の市販薬はありません。
「トランサミン」は先発医薬品の商品名であり、有効成分の名称が「トラネキサム酸」です。薬局で「トラネキサム酸錠」として処方された場合、それはトランサミンと同じ有効成分を含む後発医薬品(ジェネリック医薬品)です。
有効成分・含有量・剤形はいずれも先発品と同等であることが、厚生労働省の承認基準に基づいて確認されています。先発品か後発品かの選択は薬価(患者負担額)に影響しますが、主成分の面での違いはありません。どちらを選ぶかは医師または薬剤師に相談のうえ決めましょう。
トランサミンには錠剤・カプセル・散剤(粉薬)・注射剤(点滴)など複数の剤形があり、患者の状態や使用場面に応じて使い分けられます。シロップ剤は別途、乳幼児や嚥下が難しい患者向けに医療現場で使用されます。
トランサミンは、体内の腫れや出血を抑える効果がある薬です。以下の症状に対して効果が期待できます。
過剰に活性化した血の塊を溶かす働きを抑えることで、止血効果が期待できます。白血病などの疾患に伴う出血をはじめ、手術中・手術後の異常出血、あるいは肺や鼻、子宮などからの出血を抑えるために用いられます。
鼻血の治療にも広く使われていますが、現在、止血を目的としたトラネキサム酸配合の市販薬は存在しません。そのため、止血目的で使用する場合は必ず医師の処方箋が必要となります。
アレルギー反応に伴って起こる皮膚の赤みや腫れ、かゆみを鎮める効果が期待できます。主に、湿疹や蕁麻疹、薬の副作用によって現れた肌荒れ(薬疹・中毒疹)などの治療に用いられます。アレルギー反応の引き金となる物質(プラスミン)が、皮膚の赤みやかゆみを引き起こす成分(キニンなど)を作り出すのを抑えることで、肌の症状を和らげます。
喉が赤く腫れたり、物を飲み込むときに激しく痛むような炎症を和らげることが期待できます。トランサミンは、喉の痛みや腫れ、熱感を引き起こす原因物質の発生をブロックするため、ひどい風邪による喉の痛みや、扁桃腺の腫れといった激しい症状の緩和にも用いられます。
口の中にできる痛い口内炎や、粘膜がただれてしまう症状(潰瘍)の炎症を抑え、痛みを和らげることが期待できます。口腔粘膜の炎症に関わる物質(プラスミン)を阻害することで、炎症の悪化や広がりを抑える働きが期待されます。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トランサミン錠・トランサミンカプセル・トランサミン散 添付文書」
トランサミンの用量は、病名・症状・患者の状態によって医師が決定します。処方された量・回数・タイミングを必ず守り、自己判断で増減しないことが大切です。
トランサミン錠を承認適応(国から正式に認められた効能・効果)の範囲内で使用する場合は、医師の判断により1日750〜2,000mgの範囲で処方されます。
250mg・500mg錠それぞれの1日量の目安は次のとおりです。
シミ対策の美容皮膚治療では、飲み忘れを防ぎ、無理なくケアを続けられるよう、 医師が最適な用量を調整します。
子どもへのトランサミン処方は、年齢・体重に応じて医師が用量を計算し、散剤(粉薬)やシロップが使われることが多くなります。錠剤は飲み込みが難しいため、一般的に乳幼児〜学童期は散剤・シロップが選ばれます。
「トランサミン散」と「トランサミンシロップ5%」の1日量の目安は以下のとおりです。処方量は体重・年齢・症状によって異なるため、必ず医師の指示に従ってください。

飲み忘れた場合は、気づいたときにすぐ1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばし、次のタイミングから再開してください。2回分を一度にまとめて飲むことは消化器症状などのリスクが高まるため、避けてください。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トランサミン錠・トランサミンカプセル・トランサミン散 添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トランサミンシロップ5% 添付文書」
重大な副作用としてけいれんが報告されています。それ以外の副作用の発現率は0.1~1%未満と報告されています。気になる症状が現れた場合は、早めに医師または薬剤師に相談しましょう。
トラネキサム酸は腎臓から排泄されるため、腎機能が低下している方や透析中の方では体内に蓄積しやすく、けいれんが現れることがあります。高用量投与でもリスクが高まるため、これらの患者では慎重な判断が必要です。
主な副作用として、そう痒感(かゆみ)、発疹などの皮膚症状や、食欲不振、悪心(吐き気)、嘔吐、 下痢、胸やけなどの消化器症状が報告されています。また、眠気を感じる方も報告されています。

「副作用として便秘はあるか?」という質問を受けることがありますが、トランサミンの添付文書に便秘は副作用として記載されていません。ほかの薬との飲み合わせや体質によって消化器の状態が変わることはありますが、便秘が気になる場合は担当医師に相談してください。
トランサミンには、絶対に一緒に服用してはいけない薬があります。
対象となる薬: トロンビン(血を止めるための酵素製剤)
禁忌の理由: トロンビンは血液を固める働きを持つ薬です。出血を抑えるトランサミンと同時に使用すると、血の塊(血栓)が体内のあちこちでできやすくなってしまい、血栓症のリスクが著しく高まるため、併用してはならないとされています。
ほかの薬と一緒に飲むことで、トランサミンの効果が強くなりすぎたり、思わぬ副作用が生じる恐れがあるため、医師が慎重に処方を判断する必要がある薬です。
対象となる主な薬:凝固因子製剤(エプタコグ アルファなど)、蛇毒製剤(ヘモコアグラーゼなど)、ほかの抗線溶薬(バトロキソビンなど)
注意が必要な理由: これらはいずれも「血を固める・止める」方向で働く薬です。トランサミンと同時に使用すると、出血を抑える作用が重なりすぎてしまい、血管の中で血の塊(血栓)が作られやすくなる危険性があります。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トランサミン錠・トランサミンカプセル・トランサミン散 添付文書」
一部の方は服用を避ける必要があります。
脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎などの血栓がある方、術後でベッドから動けない臥床状態にある方などは、トランサミンの服用により血栓症のリスクが高まる可能性があります。また、腎機能に障害がある方や人工透析を受けている方も、薬が体内に蓄積しやすいため注意が必要です。
さらに、高齢者の方も身体の生理機能が低下していることが多いため、服用にあたっては慎重な判断が必要となります。
妊娠中・授乳中の方についても、安全性が十分に確認されていないため、使用前に必ず医師に相談してください。自己判断での使用は避け、必ず専門医の指導のもとで使用することが大切です。
医療用医薬品の「トランサミン」そのものは市販されておらず、入手するには医師の診察と処方箋が必要です。ただし、有効成分「トラネキサム酸」を配合した市販薬(一般用医薬品)はいくつか存在します。これらは処方薬と同じ成分を含みますが、承認された効能・含有量が異なります。なお、止血を目的としたトラネキサム酸配合の市販薬はありません。
トラネキサム酸を配合した市販薬は、主に喉の痛み・口内炎・肝斑など限定的な目的で承認されています。それぞれの製品の概要を紹介します。
ペラックT錠(第一三共ヘルスケア)は、喉の痛みや扁桃の腫れに特化したトラネキサム酸配合の市販薬です。扁桃炎・咽喉頭炎に伴う咽頭痛の症状緩和を目的としており、薬局・ドラッグストアで購入できます。
トラフル錠(第一三共ヘルスケア株式会社)は、口内炎や喉の痛みの緩和を目的としたトラネキサム酸配合の市販薬です。口内粘膜の炎症を抑え、口内炎の痛みを和らげることを目的としています。
ハレナース(小林製薬株式会社)は、水なしでも服用できる顆粒タイプの喉の痛み向けトラネキサム酸配合市販薬です。喉の炎症や腫れによる痛みの緩和を目的とし、外出先でも服用しやすい形状になっています。
トランシーノEX(第一三共ヘルスケア)は、肝斑の改善効果が認められているトラネキサム酸配合の市販薬です。処方薬のトランサミン添付文書には肝斑への効能は記載されていないのに対し、トランシーノEXは肝斑を対象とした一般用医薬品として承認されており、薬局・ドラッグストアで購入できます。

処方薬のトランサミンを入手するには、医療機関での診察が必要です。市販薬では対応できない止血や手術後の管理、高用量での使用などが必要な場合は、必ず医師の診察を受けてください。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トランサミン錠・トランサミンカプセル・トランサミン散 添付文書」
第一三共ヘルスケア「ペラックT錠a」
第一三共ヘルスケア「トラフル錠a」
第一三共ヘルスケア「トランシーノEX」
処方薬のトランサミン(先発医薬品)とトラネキサム酸(後発医薬品)は、250mgと500mgで薬価は異なりますが、先発品と後発品で薬価に差がありません(2026年現在)。保険診療の場合、患者の実費負担は薬価に負担割合(1〜3割)をかけた金額に、診察料・調剤料等が加算されます。
なお、シミ・肝斑を目的とした使用は自由診療(保険外)のため、上記の薬価は適用されず、費用は医療機関によって異なります。1錠あたり約20~65円が相場ですが、詳しくは受診先の医療機関にお問い合わせください。
トランサミンは、処方された病名や症状に応じて適切に服用すれば、止血から喉の痛み・アレルギー症状・口内炎まで幅広くサポートできる薬です。
市販薬(ペラックT錠・トランシーノEXなど)はトラネキサム酸を含むものの、効能・用量が処方薬とは異なります。止血など保険診療が必要な症状、あるいは処方薬レベルの用量が必要な場合は、必ず医療機関を受診してください。
シミ・肝斑を目的としてトラネキサム酸を検討している方は、美容皮膚科での自由診療という選択肢があります。平日に通院する時間が取りにくい場合は、スマートフォン完結のオンライン診療も1つの手段です。薬価や費用面で先発品・後発品どちらを選ぶかも含め、自分の状況に合った形で医師に相談してみてください。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トランサミン錠・トランサミンカプセル・トランサミン散 添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トランサミンシロップ5% 添付文書」
第一三共ヘルスケア「ペラックT錠a」
第一三共ヘルスケア「トラフル錠a」
第一三共ヘルスケア「トランシーノEX」
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治療期間について
肌のターンオーバー周期に基づき、1~2ヶ月後から効果が実感できることが多いです。効果の実感には個人差があるため、定期的に医師の評価を受けながら継続を判断します。
費用について
美容皮膚治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代のほかに初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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