更新日:2026年10月30日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
妊娠中・授乳中の美容を目的としたシナールの内服は、医師に報告することが推奨されます。一緒に処方されることの多いトラネキサム酸やユベラなどのほかの薬や、市販薬のシナールも同様です。妊娠中・授乳中の美容目的の内服は自己判断で続けずに、医師へ相談しましょう。
※この記事で紹介するトラネキサム酸・シナール・ハイチオール・ユベラ・グルタチオンは、いずれもシミへの承認適応を持ちません(シナールは炎症後の色素沈着には承認適応がありますが、その他のシミには適応外です)。自由診療では、これらの医薬品が持つ作用に着目し、シミへのアプローチとして選ばれることがあります。なお、レバクリの提携医療機関で取り扱う美容皮膚治療で承認適応外として処方している薬は、トラネキサム酸・シナール・ハイチオール・ユベラ・グルタチオンの内服薬5種類です。

美容を目的としたシナール(ビタミンC・ビタミンB5)の服用は、妊娠中の場合、自己判断で続けないことが基本です。シナールは妊娠中のビタミン補給に使われることもありますが、承認適応外のシミやくすみのケアを目的としている場合は、医師にご相談ください。
シナールが国から承認されている効能は、ビタミン類の補給と炎症後の色素沈着です。炎症後の色素沈着とは、ニキビ跡ややけど、けがの跡が茶色く残った状態を指します。
つまり、「ビタミン補給」あるいは医師が「疾患として色素沈着の治療」を必要と判断した場合は、妊娠中でも処方されることがあります。しかし、疾患とは言えないレベルの「肌を明るくしたい」「将来のシミを予防したい」といった承認適応外の美容目的で使用する場合は、治療としての有益性よりも妊娠中の安全が優先されるため、自己判断で飲み続けることは避けましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「シナール配合錠・シナール配合顆粒 添付文書」
美容皮膚目的でシナールを服用することについて医師に相談するときは、妊娠中・授乳中は治療を見合わせるという選択肢も含めて検討しましょう。シミのケアは緊急性の高いものではないため、妊娠や産後で体調が大きく変わる時期には治療をお休みし、卒乳後に治療を再開することも可能です。妊娠中の肌の変化が気になる場合は、まずかかりつけの産婦人科の医師に相談してみましょう。
妊娠前にシナールを飲んでいた場合も、念のためかかりつけの産婦人科の医師に服用していた事実を伝えてください。「ビタミン剤だし、伝えなくても良いだろう」と決めて医師に伝えなかったり、自己判断で飲み続けたりしないことが大切です。
妊娠がわかったら、かかりつけの産婦人科の医師へ、服用している薬について伝えてください。以下の4点を伝える内容として整理しておくと良いでしょう。
妊娠週数によって医師が確認したい点は変わるため、「いつからいつまで飲んでいたか」をできるだけ具体的に伝えるのがおすすめです。手帳やスマートフォンのメモに服用期間を記録しておくと、当日スムーズに伝えられます。
服用している薬について胎児への影響が気になる場合も、医師に確認してください。服用している薬の種類や量、時期によって胎児への影響の現れ方は変わります。妊娠経過を把握しているかかりつけの医師に相談するのが良いでしょう。
美容目的の内服では、シナールがトラネキサム酸やユベラなどと組み合わせて処方されることがあります。美容皮膚の内服薬は、承認された効能も注意点もそれぞれ異なりますが、妊娠中・授乳中にも美容目的で飲み続けて良いかは、いずれも自己判断せず医師に相談しましょう。
トラネキサム酸(トランサミン)には出血を抑える(血栓を溶けにくくする)作用があるため、血栓ができやすい妊娠中は特に注意が必要です。添付文書でも妊婦は治療の有益性が危険性を上回る場合のみ投与、授乳婦は有益性を考慮して授乳の継続か中止を検討するよう明記されています。そのため、妊娠中や授乳中に美容目的で自己判断で飲み続けることは避け、必ず医師へご相談ください。
参考: 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トラネキサム酸錠「YD」 添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トランサミン錠・トランサミンカプセル・トランサミン散 添付文書」
ユベラは血行を促すビタミンEの薬ですが、授乳中の服用には注意が必要です。添付文書の授乳婦の項目には、「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」と明記されています。薬の成分が母乳を通じて赤ちゃんへ影響する可能性も考慮されるため、授乳中に美容目的で自己判断で飲み続けることは避け、必ず医師に相談して指示を仰ぎましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ユベラ錠50mg 添付文書」
ハイチオールは肌のターンオーバーを助ける薬です。添付文書には妊婦や授乳婦の服用に関する特段の禁止や注意の記載はありません。しかし、妊娠中や授乳中は体が非常にデリケートな時期です。そのため、ほかの薬と同じように「治療の有益性が危険性を上回る場合のみ服用する」という基本的な考え方を持つことが望ましいでしょう。美容目的で自己判断で飲み続けることは避け、念のため事前に医師へ相談するようにしましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ハイチオール錠40mg・ハイチオール錠80mg・ハイチオール散32% 添付文書」
グルタチオンは、妊娠悪阻(つわり)や妊娠高血圧症候群の治療にも使われる薬です。そのため、添付文書には妊婦や授乳婦の服用に関する特段の禁止や注意の記載はありません。しかし、医師が治療として必要と判断した場合と、美容目的での服用は異なります。妊娠中や授乳中は体が非常にデリケートな時期であるため、美容目的での利用の場合は医師に相談することが大切です。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「グルタチオン錠100mg『ツルハラ』 添付文書」
市販のシナールやビタミンC製剤がある場合は、医師に伝えておきましょう。
市販品と医療用医薬品の違いは、医師が診察のうえで用量と服用期間を調整するかどうかにあります。医療用医薬品は、医師が症状や体調をみながら量と期間を決め、その後の経過も確認します。 一方、市販のビタミンC製剤やサプリメントは、健やかな状態の維持や予防を目的としたもので、自分で選んで飲み続けることが前提です。市販薬だから自分で判断して良い、ということにはならないため、妊娠中・授乳中に市販のビタミンC製剤を飲みたい場合は、購入前に医師や薬剤師へ相談しましょう。
市販のビタミンC製剤とサプリメント、さらに処方薬を同時に飲むと、ビタミンCを摂りすぎてしまう可能性があります。ビタミンCを過剰に摂取すると、副作用として下痢や吐き気、胃けいれんなどが起こる可能性があります。そもそも、妊娠中のつわりで食事が摂りにくい時期は、体調そのものが不安定になりやすい時期です。吐き気が起こっても、つわりのせいなのか、ビタミンCの過剰摂取によるものかは、一概に判断が難しいでしょう。飲んでいる市販薬やサプリメントを漏れなく把握したうえで、成分が重複していないか医師や薬剤師に相談しながら確認してみてください。
シナールの副作用として添付文書に記載されているのは、胃の不快感や悪心(吐き気)など消化器の症状です。噂されることのある「白髪が増える」「太る」という症状は、現時点で医学的な報告はありません。

シナールの添付文書に記載されている副作用は以下の項目で、いずれも頻度は不明とされています。
妊娠中はつわりで同じような症状が出ることもあるため、薬によるものか体調によるものかを自分で見分けるのは難しいでしょう。もし、妊娠中にシナールの服用を続けていて気になる症状が出た場合は、医師へ相談してください。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「シナール配合錠・シナール配合顆粒 添付文書」

「シナールを飲むと白髪が増える」という話を見かけることがありますが、シナールの服用と白髪に関する医学的報告はありません。添付文書の副作用にも、白髪に関する記載は含まれていません。 妊娠中や産後は、ホルモンバランスや生活リズムの変化で髪が薄くなったり、白髪が増えたりすることがあります。白髪はホルモンバランスや食生活、睡眠なども影響しますので、気になる変化があれば医師に伝えてみてください。

体重の増加についても、シナールの服用と太ることを結びつける医学的報告はありません。シナールの添付文書にも副作用に体重増加の記載はなく、シナールに含まれるアスコルビン酸(ビタミンC)とパントテン酸(ビタミンB5)には体重を直接増加させる作用はないとされています。
もし服用中に体重の変化が気になる場合は、薬の服用ではなく、食事や生活習慣などほかの要因が影響している可能性が考えられます。不安な点があるときは、医師に相談して対応を検討しましょう。
妊娠中・授乳中のシミ対策は、紫外線対策を徹底し、肌への刺激を減らして保湿を丁寧に行うといったケアを続けることが重要です。ここでは、シナールの内服以外で取り組めるシミ対策を紹介します。

妊娠中にシミやくすみが気になりやすくなる背景には、ホルモンバランスの変化があります。特に、頬骨に沿って左右対称に広がる薄茶色のシミである肝斑(かんぱん)は、女性ホルモンの乱れや摩擦、紫外線が関わるとされています。 シミやそばかすのもととなる「メラニン」は、紫外線や摩擦などの刺激を受けたときに、肌を守る反応としてつくられるのが特徴です。妊娠中はこの反応が起こりやすい状態が重なるため、同じ生活をしていても肌の状態が変化した、シミが増えたと感じることがあるでしょう。
シミ・肝斑・炎症後の色素沈着はいずれも紫外線で悪化するため、紫外線対策が欠かせません。日焼け止めに加えて、帽子や日傘、長袖の服やアームカバーを組み合わせると良いでしょう。 曇りの日や短時間の外出でも紫外線は届くので、季節を問わず、室内にいても紫外線対策は習慣にしておくと安心です。
摩擦も肌への刺激になるため、洗顔やタオルの使い方を見直してみるのも良いでしょう。洗顔のときは泡でやさしく洗い、タオルは押さえるように水気をとると、肌をこする回数を減らせます。 洗いすぎは肌の乾燥や刺激につながり、二次的に肌荒れを悪化させることがあります。洗顔のあとは保湿ケアを行い、肌のコンディションを整えましょう。肌が敏感になっていると感じるときは、低刺激をうたった製品を選ぶようにし、本格的に使い始める前に少量から試してみてください。
毎日の食事からシミ対策に有効な栄養素を意識して摂るようにしましょう。抗酸化ビタミンが多く含まれている食材は以下です。
ビタミンが豊富で栄養バランスの良い食事は、シミ対策だけでなく妊娠中・授乳中の体調を整えるのにも有効です。つわりで食欲のないときや育児で多忙なときも、できるだけ栄養素を意識して食事を摂ることを心がけると良いでしょう。
妊娠中はマイナートラブルで眠りが浅くなりがちですが、シミのもととなる肌の古い角質を排出するターンオーバーには睡眠が不可欠です。ストレスも自律神経を乱して肌荒れやターンオーバーの遅れにつながるため、リラックスできる環境づくりを心がけましょう。

妊娠中に濃くなったシミ(特に肝斑)は、産後、ホルモンバランスが元に戻るにつれて自然と薄くなることもあります。どんなにケアしても濃くなってしまうことはあるので、「今はこれ以上増やさないためのバリア期間」と割り切り、焦らない心の余裕を持つことも大切です。産後は睡眠がとぎれがちで、生活のリズムも整いにくい時期です。肌の調子が戻らないと感じても、以前の残りの薬を自己判断で飲み始めるのは避けてください。
ここでは、妊娠中・授乳中のシナールの内服について多く寄せられる質問にお答えします。
妊活中もシナールの服用は控えたほうが良いですか?
妊活中も、美容目的での服用は自己判断で続けずに医師へ相談してください。妊娠に気づくタイミングは人によって差があり、気づかないうちに服用が続くことがあるためです。美容皮膚科の医師へは妊活中である旨を伝えたうえで、この時期の方針を決めておくと良いでしょう。
妊娠中に葉酸サプリとシナールを一緒に飲んでも良いですか?
飲み合わせの可否は、目的や飲んでいる量によって変わるため、医師や薬剤師に確認してください。葉酸のサプリメントにはビタミンが複合されている製品があり、成分が重なっている場合があります。飲んでいるものを持参するか、すべて書き出して医療機関を受診すると確認がスムーズです。
授乳中にビタミンCの多い食品を摂っても問題ありませんか?
通常の食事からビタミンCを摂る分には、問題ありません。ビタミンCは水に溶ける性質があるため、食事に加えてサプリメントや内服薬から多く摂取したとしても、余分なものは尿として排出されます。そのため深刻な副作用の心配は基本的にありませんが、一度に大量に摂りすぎるとお腹がゆるくなることがあります。食事以外にも薬やサプリを複数飲んでいて不安な場合は、適量かどうか医師や薬剤師に確認してみましょう。
シナールの美容目的の内服については、医師に相談することが大切です。シナールは妊産婦のビタミン補給という承認された効能を持つ一方で、シミやくすみのケアを目的とした使い方は自由診療の範囲にあたります。自己判断で飲み続けるのは避け、医師に相談してください。 内服薬以外の妊娠中・授乳中にできるシミ対策としては、紫外線対策や摩擦を減らすケア、丁寧な保湿が中心となります。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「シナール配合錠・シナール配合顆粒 添付文書」 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トラネキサム酸錠「YD」 添付文書」 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「トランサミン錠・トランサミンカプセル・トランサミン散 添付文書」 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ハイチオール錠40mg・ハイチオール錠80mg・ハイチオール散32% 添付文書」 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ユベラ錠50mg 添付文書」 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「グルタチオン錠100mg『ツルハラ』 添付文書」
記事を読んで美容皮膚(メディカルスキンケア)に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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美容皮膚(メディカルスキンケア)治療は、主に内服薬で行われます。市販の化粧品やサプリが肌の表面にアプローチするのに対し、内服薬は体の内側からターンオーバーを整え、肌悩みの根本にはたらきかけます。
治療期間について
肌のターンオーバー周期に基づき、1~2ヶ月後から効果が実感できることが多いです。効果の実感には個人差があるため、定期的に医師の評価を受けながら継続を判断します。
費用について
美容皮膚治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代のほかに初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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