レバクリ

更新日:2024年07月01日

PMSなどの生理前の不調改善や不妊治療の選択肢をサポートするアプリを手掛ける法人

本記事では、PMSや更年期など女性の身体の不調を科学的アプローチによりサポートするアプリを開発した企業、AIの活用による不妊治療データ検索サービスを開発した企業をご紹介します。 女性特有のあらゆる不調を改善するために幅広い角度から情報収集をしたい方は、試してみたくなるサービスが見つかるかもしれません。

ライオン株式会社

1891年の創業以来、130年以上にわたり、ハミガキ剤をはじめ洗剤などの日用品やOTC医薬品など、人々の日々の暮らしに役立つ製品やサービスの提供につとめています。また産業用品や、国内だけではなくアジア地域にも事業展開しています。 同社は2030年に向けて、新経営ビジョン『次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ』を策定し、人々の心と身体のヘルスケアとサステナブルな社会の実現を目指し「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をパーパス(存在意義)として事業活動を行っています。人々の生活の大部分を占める日常の気の進まないことを前向きな体験、即ちPositive Habitsに変えていく商品やサービスを提案することで、幸せの総和を増やしていくことを目指しています。 同社ではこのたび、月経や更年期症状、妊娠・育児などに伴うイライラや気分の落ち込み、集中力の低下、睡眠などの悩みを抱える女性にセルフケアを提供するスマートフォン用Webアプリを開発しました。

PMSサポートアプリ「CoCoRe(ココリー)」

CoCoRe_1.jpg ▲画像提供:ライオン株式会社

月経や更年期症状などライフステージごとに現れる気持ちの不安定さは多くの女性が感じている悩みでしょう。これらの症状に対して、体内環境や生活習慣の改善などの対策を試みても、根本的な改善には至らないという声が多く寄せられています。そこでライオン株式会社では、PMS(月経前症候群)でお悩みの20〜40代の女性を対象に調査を実施。その結果、9割以上の方が自己卑下したり、自分の感情を恐れるなどの「ネガティブな考え方のくせ」を持っていることが分かったそうです(※)。 同社ではこの“考え方のくせ”に着目し、婦人科医や心療内科医、臨床心理士・公認心理師などの専門医と連携して月経前や月経中も自分らしく過ごせるようにサポートするアプリ「CoCoRe(ココリー)」を開発し、2023年6月にサービスを開始しました。さらに、2024年6月には月経の悩みだけでなく、妊娠・育児、更年期などにおける心のモヤモヤに悩む女性たちに向けたサービスへリニューアルいたしました。

CoCoRe_2.jpg ▲画像提供:ライオン株式会社

「CoCoRe」では“考え方のくせ”を変えて、月経前のイライラや落ち込みで悩んでいる女性が自分らしく過ごせるように、トレーニングプログラムにACTの考え方を取り入れています。 ACTとは、「Acceptance and Commitment Therapy(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)」を略した心理療法です。「CoCoRe」は、そのACTの考え方に基づくさまざまなプログラムを、ユーザー一人ひとりの月経周期などの状態に合わせておすすめします。

CoCoRe_3.jpg ▲画像提供:ライオン株式会社

同アプリには、悩みや目的からセルフケアを選ぶ機能や、月経周期を予測・管理できる機能はもちろん、日々のセルフケアの成果を可視化できる機能があります。 さらにアプリ内では、自分のありたい姿を「心の花」として表示し、その花が咲いた状態をイメージしながら毎日のセルフケアで育てていくことが可能です。一人ではなかなか継続が難しい方も計画的にトレーニングを続けることができ、日々の成果も確認できるためモチベーションを保ちやすくなっています。 コンテンツは「トレーニングコンテンツ」と「リラックスコンテンツ」の2つから選択可能です。その日の心の状態に合わせて無理なくセルフケアに取り組めます。

※2022年同社調べ PMSに悩む20~40代女性 n=32(心理的柔軟性を測定する尺度(AAQ2)において20点以上が該当)

vivola株式会社

近年では、晩婚化・晩産化の傾向があることから、現代女性の健康のケアは以前よりも難しくなっていると言われています。 vivola株式会社では、このような現代女性のライフステージにおける健康課題に着目。2020年の設立以来、不妊治療データ検索サービスおよび治療支援SaaSの提供、女性健康関連事業を手掛けており、なかでも不妊治療の領域に特化したサービスを展開しています。

同社の代表取締役CEOである⾓⽥⼣⾹⾥氏の起業のきっかけは、角田氏自身が不妊治療を行っていた際の経験にあります。 生殖医療に関する書籍や論文を自分で探して医学的に根拠のある知識を得ることで、治療方針に対して納得感が得られ、不妊治療に対する負担が軽くなったと感じたそうです。 「自分と同じように不妊治療を行っている方々に、もっと気軽にこれらの情報にアクセスしてもらうことはできないか?」そんな思いから、アプリの開発が始まりました。

不妊治療患者向けアプリ「cocoromi」

cocoromi_1.jpg ▲画像提供:vivola株式会社

vivola株式会社が開発した「cocoromi」は、不妊治療を行っている患者向けの治療データ分析アプリです。2020年6月にサービス提供をスタートしました。 同アプリでは、患者が治療データを入力することで、不妊治療を経て妊娠した方の年齢やホルモン値、妊孕性に大きな影響を与える男女の疾患などから自身と似た性質の方の不妊治療データを検索することが可能。同質データを知ることで、自身の治療計画の参考にしてもらうことが狙いです。

不妊治療の方針や検査内容は医療機関によって異なり、さらに地方では着床前診断ができる医療機関が十分でないため、遠方から都市部の医療機関に通う方も少なくありません。 治療期間や費用の目途など、不妊治療で通院している医療機関以外の客観的な統計データを知ることができれば、早いタイミングで治療法の変更や転院を考えることも可能になります。

同アプリの機能は、次の3つに大きく分かれます。

cocoromi_2.jpg ▲画像提供:vivola株式会社

1つ目が、治療スケジュールや治療データを一括管理できる機能です。通院スケジュールはGoogleカレンダーと連携して入力可能。また、治療ログの内容をもとに周期ごとの治療サマリーも表示されます。

cocoromi_3.jpg ▲画像提供:vivola株式会社

2つ目は、全体の治療の統計はもちろん、自身と似た方の治療データも閲覧できる機能です。

cocoromi_4.jpg ▲画像提供:vivola株式会社

3つ目は、治療に関する疑問を治療仲間に相談できる機能です。治療内容や病院情報などの各カテゴリーで、ユーザー同士で質問や情報交換ができます。

「cocoromi」のユーザーからは、医療機関や治療方法の判断材料になった、パートナーと感情的にならずに話せた、不妊治療中の疑問を抱え込まずに打ち明けることで孤独感が和らいだといった声が寄せられています。