更新日:2024年04月24日
慢性腎臓病とは?発症の原因や特徴、治療法について解説
- 慢性腎臓病とは、腎臓の機能が健康な人の60%未満に低下する、またはタンパク尿が出るなどの腎障害が3ヵ月以上継続している状態を指す
- 慢性腎臓病は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・生活習慣病と深く関わり、これらの人は慢性腎臓病を発症しやすい
- ステージ1・2の段階では自覚症状がほとんどなく食事療法などで改善できる可能性があるが、病期が進むにつれて改善が難しくなる
- 慢性腎臓病の治療方法として、薬物投与や生活習慣病の改善、食事療法が挙げられる
- 慢性腎臓病の人がED治療薬を服用すると、効果や副作用が強く出すぎてしまうリスクがあるため、必ず医師に相談が必要である
近年、高齢化や生活習慣の変化などが原因で、慢性腎臓病の患者が増えています。エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018(日本腎臓学会)によると、慢性腎臓病の日本人の患者数は約1,330万人であり、成人の約8人に1人とされています。
この記事では、慢性腎臓病について解説します。発症の原因や症状の特徴、治療法についても解説するのでぜひ参考にしてください。
参考:日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」
慢性腎臓病とは
慢性腎臓病とは、腎臓の機能が健康な人の60%未満に低下する、またはタンパク尿が出るといった腎障害が3ヵ月以上継続する状態を指します。初期の段階だと症状が現れず、健康診断などの検査時に発覚することがほとんどです。
腎臓は、主に以下のような働きをしています。
- 血液をろ過し、老廃物や余分な塩分を尿として排出して血液をきれいな状態に保つ
- 体内の水分や塩分量の排出量を増加または減少させることで血圧を調整する
- 血液を作るのに必要なエリスロポエチンというホルモンをつくり出す
- 体内の血液量やイオンバランスを調整し、体に必要なミネラルを取り込む
腎臓は体を正常な状態に保つ役割を担っていますが、腎臓の機能が低下すると上記のような働きがうまく機能しなくなるため非常に危険です。また慢性腎不全が進行すると、最終的に透析や腎移植が必要となります。
慢性腎臓病になりやすい人
慢性腎臓病は、加齢や生活習慣との関わりが大きく、発症しやすいのは以下のような人です。
- 高齢者
- 家族に慢性腎臓病の方がいる人
- 過去の検診で尿異常や腎機能異常を診断された人
- 腎形態異常の人
- 急性腎不全の既往歴がある人
- メタボリック症候群の人
- 高尿酸血圧の人 など
先述したとおり、初期段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、定期的に健康診断や検査を受け、異常がないか確認することが重要です。
慢性腎臓病の原因
慢性腎臓病の原因となりやすいのが、主に以下の3つの疾患です。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
ここからは、それぞれの原因について詳しく解説します。
高血圧
高血圧は、慢性腎臓病の原因となります。
腎臓は、余分な塩分と水分を排出し血圧を調整する働きをしますが、高血圧が続くと動脈硬化により腎硬化症を発症する可能性があります。
その結果、腎臓の機能が低下し、尿として排出する量が減るため体内に水分とナトリウムが溜まり、体に浮腫みが生じます。
糖尿病
糖尿病になると、膵臓からでるインスリン(血糖を下げるホルモン)の分泌がうまくできなくなり、血糖をコントロールできなくなります。
高血糖が続くと、腎臓の血液中の老廃物をろ過し尿として排出する働きをする部分に障害をきたし、タンパク尿が出るようになります。
これを放置すると、血液中のタンパク質が減り、最終的には末期腎不全となる可能性があります。奈良県の医療情報によると、この原因による慢性腎臓病は、糖尿病歴が10年を超えている人によく見られるとされています。
参考:奈良県「10)糖尿病による腎不全と透析(日常生活の留意点)」
脂質異常症
脂質異常症も慢性腎臓病に深くかかわります。脂質異常症は、血液中に含まれる中性脂肪やコレステロールが多い状態になる病気で、コレステロールの高い状態が続くと、コレステロールが血管に溜まり、動脈硬化を引き起こす可能性があります。
さらに、そのまま動脈硬化が進行すると、腎臓を障害し、慢性腎臓病になるおそれがあります。
慢性腎臓病の特徴
慢性腎臓病は、病期によって症状に特徴があります。ここからは、それぞれのステージ別に症状を解説します。
ステージ1・2
ステージ1の症状は「腎障害があるが動きは正常」、ステージ2は「軽度の機能低下」です。ステージ1・2の段階では、自覚症状がほとんど見られず、ほとんどが健康診断などで発見されます。
この段階であれば、慢性腎臓病の危険因子である高血圧や糖尿病、脂質異常症などを防ぐ健康管理を徹底することで、改善の余地があります。
ステージ3
ステージ3は、「腎機能が健康な人の半分以下に低下している」状態です。むくみや疲れ、尿の異常などの自覚症状が表れ始める段階です。
ステージ3では、カリウムの排出が難しくなり、血液中のカリウム濃度が高くなる高カリウム血症になるリスクが高まります。
末期腎不全を防ぐためには、この段階で適切な治療を行い、進行を食い止めることが重要となります。
ステージ4
ステージ4は、「腎機能が普通の人の30%以下まで低下した」状態で、浮腫みや頻尿、貧血などの症状が表れます。
この段階になると、もはや機能回復は望めず、いかに現状を維持し透析療法を遅らせるかが目標となります。
また、尿毒症の発現や、心臓・脳血管障害の合併症のリスクがあり、最悪の場合死に至る可能性もあります。
ステージ5
ステージ5は、腎臓がほとんど機能しておらず末期腎不全の状態です。
この状態になると、もはや投薬などではどうにもならず、透析療法や腎移植などの腎代替療法が必要となります。
慢性腎臓病の治療法
慢性腎臓病の治療法として、主に以下の3つが挙げられます。
- 薬物療法
- 生活習慣の改善
- 食事療法
ここからは、それぞれの治療法について詳しく解説します。
薬物療法
病期や原因、症状などに応じて治療薬が処方されます。
具体的には、慢性腎不全の危険要因である高血圧を治療するため血圧を下げるための降圧薬が処方されたり、脂質異常症を治療するために血中コレステロールを下げる薬が処方されたりします。
そのほか、高カリウム血症や尿毒症の治療薬や、慢性糸球体腎炎などがあればステロイド薬が使われます。
生活習慣の改善
メタボリック症候群などの生活習慣病は、慢性腎臓病の危険因子です。
運動不足や喫煙、多量の飲酒などは、脂質異常症や糖尿病や高血圧をもたらす要因であり、慢性腎不全を引き起こすリスクが高まります。
健康診断などで腎機能の数値が良くない場合は、生活習慣を見直すことで改善できる可能性があるでしょう。
食事療法
慢性腎臓病の治療として、食事療法も挙げられます。
具体的には、エネルギー制限や塩分制限、タンパク質制限などの食事療法が中心です。特に、塩分の多量摂取は高血圧を引き起こす原因となるため、慢性腎臓病において塩分制限は必須です。
また、病期が進行し、腎機能が低下している場合は、エネルギー制限や塩分制限、タンパク質制限に加えてカリウムなどの制限も必要になります。
ただし、食事を制限しすぎると、栄養不足になるおそれがあるため、食事管理の際は必ず医師の指示に従いましょう。
透析療法・腎移植
末期腎不全になると、透析療法や腎移植などの腎代替療法が必要となります。
透析療法は、人工的に血液中の老廃物をろ過することで除去し、血液を綺麗にする働きを腎臓に代わって行う方法で、腎移植は、亡くなった人から腎臓の提供を受ける方法です。
ただ、日本国内で腎移植が行われることが少なく、ほとんどの人が透析療法を選択されています。
慢性腎臓病の方がED治療薬を服用する場合の注意点
慢性腎臓病の人がED治療薬を服用する際は、いくつか注意が必要です。
腎臓の機能が低下している人が、バイアグラなどのED治療薬を服用すると、有効成分が血液中に貯まりやすくなります。そのため、治療薬が効きすぎてしまったり、頭痛や顔のほてりなどの副作用が強く出たりといったことが起こりやすくなるのです。
また、慢性腎臓病により透析療法を受けている場合は、レビトラの服用は禁忌となります。 バイアグラやシアリスを服用した場合も治療薬の効果や副作用が強く出てしまう可能性があるため、服用する際は、必ずかかりつけの医師に相談しましょう。 ED治療薬については、「ED治療薬の特徴は?3種類の薬の勃起力や即効性、持続時間・副作用を解説」で詳しく解説しています。
慢性腎臓病でバイアグラやレビトラ、シアリスなどのED治療薬が利用できないという場合は、ICI療法という方法もあります。 ICI療法は、陰茎の海綿体に直接薬剤を注射して勃起を促す治療法であり、ED治療薬が使えない方でも利用できます。医師に相談のうえ、利用を検討してみるのもよいでしょう。
まとめ
慢性腎不全は、体内で重要な役割を担う腎機能が低下する病気であり、ED治療薬を服用する際も十分に注意する必要があります。
慢性腎不全は、早い段階で生活習慣の見直しや薬物療法などの治療を行うことで改善できる可能性があります。
自覚症状がないからといって放置するのは大変危険なので、腎機能の数値が悪い場合は医師に診断を受けるようにしましょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会