更新日:2025年01月21日
40代でED(勃起不全)が発症する原因と対策|勃起力の低下を予防
- 40代のED有病率は12%で、8.4人に1人がED症状に悩んでいる
- 40代では器質性EDや混合型EDが多い
- 40代でEDになる原因には、加齢や生活習慣、ストレスが挙げられる
- 40代のEDへの対処法には、ホルモン補充療法や生活習慣改善、ED治療薬の服用などがある
40代になり「勃起力が低下してきた」ことに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。年齢が上がるにつれED有病率は増加する傾向があり、実際に40代のED有病率は10%を超えていることが明らかになりました。EDになる原因はさまざまなものがあり、40代特有のものも存在します。 この記事では、EDの症状や種類を説明するとともに、40代のED事情や40代でEDになる原因、40代のEDへの対処法について解説します。
40代のED事情
「日本のED(勃起不全)有病者数調査2022」によると、20~50代のED有病率(中等度または重度のEDである人の割合)は、以下のとおりでした。
40代では12%と、8.4人に1人がED症状に悩んでいることが明らかになりました。ただし、年齢が上がるにつれてED有病率が増加しており、若いうちはとくに問題がなかった人でも、加齢とともにEDになる可能性があります。
参考:浜松町第一クリニック「日本のED(勃起不全)有病者数調査2022」
EDの症状と種類
EDとは「Erectile Dysfunction」の略で、勃起機能の低下を指す言葉です。「ED診療ガイドライン第3版(P16)」によると「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または(and/or)維持できない状態が持続または(or)再発すること」と定められています。
EDを知るためには、勃起のメカニズムを知ることが大切です。ここでは、勃起のメカニズムやEDの主な症状、EDの種類について解説します。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン第3版」
勃起のメカニズム
正常な勃起は、以下の段階を得て起こります。
- 性的刺激
- ペニスへ神経を伝達
- 海綿体へ血液が流入
性的な刺激を受けることにより、脳の中枢神経が興奮し、その情報が脊髄神経を通ってペニスへ伝わります。それにより、海綿体に動脈血が多く流れ込み、血液が充満していくことで海綿体が硬くなります。これが勃起のメカニズムです。
EDになっている人は、このいずれかの段階で機能が正常に働かなくなっている可能性があります。
EDの主な症状
勃起しないことだけがEDの症状ではありません。それ以外にもEDと認められる症状があります。EDの主な症状として挙げられるのは、以下のとおりです。
- 勃起しない、またはしにくい
- 勃起はするものの、硬さが不足している
- 自慰行為では勃起できるが、性行為になると勃起しない
- パートナーに対してのみ勃起しない
- 挿入時は勃起しているが、途中で勃起がおさまる(中折れする)
- 朝勃ちしない
自覚がない場合でもEDを発症している可能性も考えられます。勃起力の低下を感じた場合は、放置せずに対処することが大切です。
EDの種類
EDは、以下の4つに分類できます。
- 心因性ED:ストレスや過去の性行為の失敗などの心理的な要因によるED
- 器質性ED:陰茎の血管や神経の障害によるED
- 混合型ED:心因性と器質性の双方を併発したED
- 薬剤性ED:特定の薬剤の副作用が要因によるED
30代までのED発症者は、心因性EDの割合が高い一方、40代以上のED発症者は、器質性EDや混合型EDの割合が増えてきます。
40代でEDになる6つの原因
40代でEDになる原因として、以下の6つが挙げられます。
- 加齢による男性機能の低下
- 生活習慣病による動脈硬化
- 肥満
- 乱れた食生活
- 運動不足
- ストレスや不安
それぞれの原因について解説します。
加齢による男性機能の低下
40代でEDになる原因には、加齢による男性機能の低下が挙げられます。男性ホルモンのひとつである「テストステロン」は、性欲亢進や生殖器の発育に影響を与える働きを持つホルモンです。
しかし、テストステロンは20代をピークに徐々に減少し、30代以降は減少速度が加速します。テストステロンが減少すると、関節痛・倦怠感・イライラ・集中力低下・性欲低下といった男性更年期障害の症状が現れます。
EDは、男性更年期障害の症状のひとつといえるでしょう。
生活習慣病による動脈硬化
生活習慣病による動脈硬化も、40代でEDになる原因に挙げられます。40代になると、メタボリックシンドロームや糖尿病、高血圧症などの生活習慣病にかかる人が増加します。日本において、以下の疾患でEDになっている人の割合は、以下のとおりでした。
- 高血圧:41.6%
- 糖尿病:42%
- 高脂血症:20%
生活習慣病は、動脈硬化や神経障害の原因になる疾患です。ペニスの血管は非常に細いため、動脈硬化になると、ペニスの血管に血液が十分に流れ込まなくなる可能性があります。その状態が続くと、EDの症状が重くなってしまうでしょう。
参考:日本泌尿器科学会「勃起力が低下した」
肥満
肥満も、40代でEDになる原因に挙げられます。年齢を重ねるにつれ筋肉量が減少するため、基礎代謝は下がり、肥満になりやすくなります。とくに、40代から50代は基礎代謝が下がる節目の年代です。
肥満は、糖尿病や脂質異常症といった血管の健康を損なう疾患の前段階といえます。糖尿病をはじめとした生活習慣病は、動脈硬化を引き起こし、EDになる確率を上げる原因となります。
参考:e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」
乱れた食生活
食生活が乱れているからといって、すぐにEDになるわけではありません。しかし、食生活の乱れは、EDの原因である肥満や生活習慣病、男性ホルモン量の低下を招く可能性があります。
肥満や生活習慣病、男性ホルモン量の低下は、EDを引き起こす原因です。とくに、ジャンクフードばかり食べている人や野菜不足の人は、これらの症状を引き起こす恐れがあるでしょう。
運動不足
運動不足によりカロリーの消費量が減少すると、EDの原因となる肥満や動脈硬化、男性ホルモン量の低下を引き起こす恐れがあります。
厚生労働省「国民健康・栄養調査報告結果の概要(P26)」によると、40代で運動習慣がある男性は18.5%でした。これは、全年代で最も低い結果です。40代は仕事が忙しく、定期的に運動する機会がなくなってしまった人が多くなるためでしょう。
定期的に運動をする機会がないのであれば、EDになる可能性が高まります。
参考:厚生労働省「国民健康・栄養調査報告結果の概要」
ストレスや不安
ストレスや不安は、40代でEDになる原因のひとつです。ただし、40代のストレスや不安は若い世代と原因が異なります。20代のストレスや不安によるEDの原因として挙げられるのは、性行為での失敗体験や妊活のプレッシャーなどです。
管理職になる人も多い40代は、仕事に対する責任やプレッシャーによるストレスが増加し、それが原因でEDになるケースがあります。
40代のEDへの対処法
40代のEDへの対処法として、以下の5つが挙げられます。
- ホルモン補充療法
- 内科疾患の治療
- 生活習慣の改善
- ストレスの解消
- ED治療薬の服用
ここでは、それぞれの対処法について解説します。
ホルモン補充療法
40代のEDへの対処法として、ホルモン補充療法が挙げられます。性欲亢進や生殖器の発育に影響を与える働きを持つホルモン「テストステロン」が不足していると、EDになる可能性があることは前述したとおりです。
テストステロンの減少は、血液検査で確認できます。血液検査ではEDの症状だけでなく、男性更年期障害の症状も確認できるため、糖尿病や脂質異常症といった血管の健康を損なう疾患の前段階の症状を発見し、事前にEDを予防することも可能です。
テストステロンの減少が確認された場合、テストステロンを投与するホルモン治療をすることにより、EDの症状改善につなげます。貼り薬や塗り薬のほか、経口内服薬や注射薬があり、症状の度合いによって適した薬剤が選択されます。
内科疾患の治療
EDの対処法には、内科疾患の治療も挙げられます。40代のEDは、糖尿病・肥満・高血圧などの疾患が原因で動脈硬化が起こり、血管障害からEDを引き起こすケースが多いです。動脈硬化の原因である疾患を改善できれば、EDの症状もおさまる可能性があります。
健康診断で生活習慣病の可能性を指摘されたものの、生活面で支障がないことを理由に、放置している人もいるでしょう。そのような人はまずは再度検査を受け、疾患を治療することが大切です。
ただし、疾患を治療すれば自動的にEDの症状が改善されるとは限りません。ED治療と並行して治療しましょう。
生活習慣の改善
生活習慣の改善も、EDの対処法に挙げられます。糖尿病や肥満など、生活習慣の乱れによる疾患からの動脈硬化が原因でEDになることは前述したとおりです。とくに肥満は器質性EDのリスクを高めます。
アメリカの臨床研究では、BMI値が30以上の人は、23未満の人よりもED発症リスクが約1.7倍増加したという結果もあります。肥満の原因となるのは、摂取カロリー過多と運動不足です。
肥満の傾向がある人は、食事や運動、睡眠といった生活習慣を見直すことにより症状が改善される可能性があります。以下のような生活習慣を心がけることにより、健康的な身体となるでしょう。
- 習慣的なウォーキング(1日8000歩以上)
- 1回30分以上の運動を週に2回以上実施する
- 1日8時間以上の睡眠時間を確保する
- 休日に寝だめをしない
- 夕方以降のカフェイン摂取を避ける
- 就寝前にスマートフォンやパソコンなどの電子機器を扱わない
- 禁煙する
- バランスの良い食生活を心がける
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、脂肪燃焼に効果的です。たばこの成分に含まれている「ニコチン」は、血管収縮作用と男性ホルモンのバランスを乱す作用があります。喫煙習慣がある人は、健康のためにも禁煙に取り組みましょう。
バランスの良い食生活を心がけるためのポイントとして挙げられるのは、以下の4つです。
- 高脂質・高カロリーな食事を避ける(揚げ物や脂肪分など)
- 塩分を控える
- アルコールの摂取を控える(アルコールは純アルコール量換算で1日20gまで)
- 毎食野菜を摂取する
これらのポイントを押さえることにより、生活習慣が改善され、EDの症状改善につながります。
参考:とうきょう健康ステーション「身体活動・運動」 参考:とうきょう健康ステーション「眠り方改革してみませんか?」 参考:農林水産省「ちょうどよいバランスの食生活」 参考:厚生労働省「アルコール」
ストレスの解消
40代は仕事に対する責任やプレッシャーにより、多くのストレスを受ける世代です。ストレスが原因で心因性EDになった場合、ストレス解消することでEDの症状が改善される可能性があります。
ストレス解消法には、以下のものが挙げられます。
- 趣味や娯楽に没頭する(映画鑑賞・ゲーム・スポーツ・ドライブなど)
- 何も考えない時間を作る
- カフェに行く
- 湯船につかる
- 温泉やサウナに行く
- マッサージを受ける
- 旅行をして日常から離れる
ただし、40代は仕事が忙しくてこのような時間をとれない人もいるでしょう。その場合、労働環境を改善するとともに、短い時間でも良いのでリラックスできる方法を見つけましょう。
ED治療薬の服用
ここまで紹介した対処法で改善がみられないのであれば、ED治療薬を服用しましょう。EDは勃起のメカニズムがなんらかの原因により機能していない状態です。ED治療薬は、媚薬や精力剤のように、性的興奮や刺激を促すわけではありません。
「PDE-5」と呼ばれる勃起機能を低下させる酵素の働きを抑制することにより、血管を広げます。それにより、ペニスへの血流を増やし、勃起を促進します。日本で認可されているED治療薬は、以下の3つです。
ED治療薬の種類 | 特徴 |
---|---|
バイアグラ | ・1999年に発売され、世界的な認知度がある ・ジェネリック医薬品がある(シルデナフィル) ・比較的費用が安い ・25mgと50mgの2種類のみ ・錠剤タイプと水なしで服用できるタイプ(ODフィルム)がある ・食事の影響を受けやすく、空腹時に服用する必要がある ・効果が現れるまでにかかる時間は30分~1時間 ・効果の持続時間は3~5時間 ・効果のピーク時間は服用後60分 |
レビトラ | ・2004年に発売された ・ジェネリック医薬品がある(バルデナフィル) ・水に溶けやすく、即効性がある ・使いやすさからリピーターが多い ・バイアグラに比べて食事の影響を受けない ・空腹時により効果が得られる ・効果が現れるまでにかかる時間は15分~30時間 ・効果の持続時間は5~8時間 ・効果のピーク時間は45分 |
シアリス | ・2007年に発売された新しいED治療薬 ・42%の世界的シェアを占める人気の高いED治療薬 ・20mgの服用が一般的 ・副作用が出現しにくい ・食事の影響を受けにくく、好きなタイミングで服用できる ・効果が現れるまでにかかる時間は1~3時間 ・効果の持続時間は30~36時間 ・金曜日の夜に服用すれば、日曜の朝まで効果が持続するため「ウィークエンドピル」という別名がつけられている ・効果のピーク時間は服用後60分~4時間 |
これらのED治療薬は、処方箋が必要です。他の疾患の治療薬を服用している場合、飲み合わせが関係する可能性もあります。医師と相談したうえで、服用するED治療薬を選びましょう。
まとめ
EDとは勃起機能の低下を意味する言葉です。40代のED有病率は12%と、8.4人に1人がED症状に悩んでいます。40代でEDになる原因として挙げられるのは、以下の6つです。
- 加齢による男性機能の低下
- 生活習慣病による動脈硬化
- 肥満
- 乱れた食生活
- 運動不足
- ストレスや不安
40代のストレスや不安は、仕事に対する責任やプレッシャーによるストレスが主な原因です。40代のEDへの対処法として、以下の5つが挙げられますが、自身の症状に適した対処をする必要があります。ED治療薬を服用する場合は、医師の診断が必要です。
- ホルモン補充療法
- 内科疾患の治療
- 生活習慣の改善
- ストレスの解消
- ED治療薬の服用
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会