更新日:2025年05月26日
筋トレや運動がED改善に効果的だと耳にしたものの、具体的にどういった運動やトレーニングを行えばよいのかわからないという人もいるでしょう。実際に、運動不足はEDのリスクを高めるリスクがあるため、生活に適度な運動を取り入れることはED改善に役立ちます。
本記事では、ED改善のために鍛えたい筋肉やおすすめの運動・トレーニングを紹介します。運動と並行して実施したいED改善法も紹介するので、参考にしてください。
運動不足はEDのリスクを高める原因の1つです。そもそも勃起は、性的刺激を受けた脳が神経を介して、ペニスの血管をゆるめ、海綿体に血液がたまることで起こります。
しかし、日々の運動習慣がない人は肥満や動脈硬化になるリスクが高い傾向にあり、動脈硬化が起こると勃起に必要な血液がペニスに届きにくくなるため、EDの症状を引き起こす可能性も高まるというわけです。血流改善や生活習慣病予防になる適度な運動は、EDを予防・改善するうえでも欠かせない要素といえるでしょう。
また、運動不足はEDの原因である高血圧や糖尿病などの生活習慣病になるリスクが高く、ペニスの勃起力の低下にも影響を及ぼします。勃起には性的刺激が必要ですが、そのきっかけとなるのが性欲です。
性欲は男性ホルモンであるテストステロンの分泌レベルに比例しており、分泌量が減れば性欲も下がります。しかし、男性は運動をすることで男性ホルモンの分泌量を高められるため、習慣的な運動をすればEDの改善効果も期待できるでしょう。
ペニスは神経伝達や血流を介して勃起するため、勃起に関連のある筋肉を鍛えることで勃起力を高められます。勃起力の強化に役立つのは、以下の3つの筋肉です。
EDを治すために鍛えたい筋肉についてご紹介します。
大殿筋(だいてんきん)はお尻の筋肉です。勃起との関連性が高いとされています。ペニスに近い位置にある大殿筋は、下半身の血液を送る働きがあります。
また、大殿筋は性行為の際のピストン運動でもよく使うため、鍛えることにより持続力向上を期待できます。
恥骨尾骨筋・球海綿体筋(ちこつびこつきん・きゅうかいめんたいきん)も、勃起と関連性が高いとされている肛門付近にある筋肉です。
肛門から恥骨にかけてある恥骨尾骨筋は、ペニスの根本を締め付けることにより、ペニスへ流れてきた血液を留める作用があります。PC筋とも呼ばれる筋肉です。
一方の球海綿体筋は肛門からペニスの裏側にかけてある筋肉で、ペニスに血液を送り射精をコントロールする役割を持っています。BC筋とも呼ばれています。
大腿四頭筋・大腿二頭筋(だいたいしとうきん・だいたいにとうきん)は太ももの筋肉で、こちらも鍛えることでED対策に良い影響が出るとされています。太ももの前側にあるのが大腿四頭筋で、後ろ側にあるのが大腿二頭筋です。2つの筋肉は体の中でも大きな筋肉であり、下半身の血液を流すポンプの働きを持ちます。
一方で、加齢とともに衰えやすく、筋力の低下により勃起力にも影響を与えてしまうのが特徴です。筋力低下を抑制し勃起力を維持するためにも、これらの筋肉を積極的に鍛えることは効果的だといえるでしょう。
運動や筋トレを行うことでペニス周りの血流を促したり、勃起と関連のある筋肉を鍛えられたりするため、EDを治すのに効果的です。定期的な運動は男性ホルモンの分泌を促進させるため、積極的に生活に取り入れていきましょう。
ここでは、ED改善におすすめの運動・トレーニングを以下3種類ご紹介します。
自分にあった運動やトレーニングを見つけて、実践してみましょう。
ED改善におすすめの運動・トレーニング1つ目が、有酸素運動です。有酸素運動とは、体内の脂質や糖質をエネルギー源とし、酸素を利用することで筋肉を動かすエネルギーを取り出す運動を指します。
有酸素運動は筋肉への負荷が比較的軽く、長期間かつ長時間運動を継続しやすい点が特徴です。有酸素運動としては、以下のような運動が挙げられます。
実際に、日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン(P60)」でも、有酸素運動によって勃起機能が改善するとされています。
有酸素運動は血液の循環を促進する効果があるため、EDの主な原因である動脈硬化による血流悪化の改善が期待できるほか、脂肪燃焼の効果もあるため肥満によるED予防にも役立ちます。
また、脂肪燃焼効果もあるため、EDの原因となる糖尿病や肥満などの生活習慣病を防止しやすくなることも魅力です。ウォーキングやジョギングであれば、1回あたり30〜40分程度を目安として、週3回以上継続するとよいでしょう。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン」
ED改善におすすめの運動・トレーニング2つ目が、筋トレです。筋トレを行うと全身の血流が向上します。とくに、勃起に関連する骨盤周辺の血流を良くする下半身の筋トレは、ED改善に効果的です。
また、筋トレには男性ホルモンの一種である「テストステロン」の分泌を促す効果もあります。前述したように、テストステロンが増えることで勃起力の向上や、ED改善を期待できるでしょう。
ED改善におすすめの筋トレを4つご紹介します。
スクワットは、太ももやお尻など下半身の筋肉を中心に鍛える筋トレです。体の筋肉の大部分を占める下半身の筋肉は、鍛えることで血流が向上します。ED改善を期待できるほか、性行為に必要な持久力も高められるでしょう。
スクワットで鍛えられる筋肉は、以下の3つです。
スクワットのやり方は、以下のとおりです。
1日3セットを目安に、1〜5を10回程度繰り返しましょう。ただし、スクワットを誤った方法で行うと足腰を傷めることがあるため、正しいフォームで行うことが重要です。
体のバランスが崩れがちな人は、体の前に椅子を置いて支えにしてスクワットをやる方法を試してみてください。
ランジとは、脚を前後に開き、腰を落とす・戻す動作を片足ずつ行うトレーニングを指します。下半身の多くの筋肉を同時に鍛えられるのが魅力です。
ランジで鍛えられる筋肉には、以下のようなものがあります。
ランジのやり方は、以下のとおりです。
1~5を10回程度繰り返し、左右それぞれ1日3セットを目安に行いましょう。
ケーゲル体操もEDを治すのに効果的といわれています。ケーゲル体操は骨盤底筋体操とも呼ばれている、肛門を締めて骨盤底筋を鍛える体操のことです。骨盤底筋は、排尿や排便、勃起などをコントロールする筋肉で、勃起に関わる恥骨尾骨筋(PC筋)や球海綿体筋(BC筋)も含まれています。
ケーゲル体操で鍛えられる筋肉は、以下の2つです。
恥骨尾骨筋や球海綿体筋を鍛えることで、勃起力を向上させたり、性行為時のペニスの持久力を高めたりできます。骨盤底筋体操のやり方は以下のとおりです。
2〜4を繰り返して、1日3セットを目安に行いましょう。ケーゲル体操は骨盤底筋を手軽に鍛えられる方法であるため、EDの自覚がある場合は習慣化して鍛えるのがおすすめです。
レッグオープンは仰向けの姿勢から両脚を上げて、脚を広げる・戻す繰り返し行うトレーニングです。主に太ももの内側の筋肉(大腿内転筋群)が鍛えられます。
いくらED改善のために太ももの筋肉を鍛えたとしても、付け根部分の血流が悪いと十分な効果を得られません。太ももの付け根の筋肉が柔軟だと、血流が良くなりペニスの海綿体に血液が流れやすくなるため、勃起力の改善に効果があるとされています。
レッグオープンのやり方は、以下のとおりです。
1~4を15回程度繰り返し、15回を1セットとして1日3セット程度を目安に行ってください。ポイントは、脚を開閉する際に反動を使わないことです。筋肉の力だけで動作を行うことで、効果的に鍛えられます。
ED改善におすすめの運動・トレーニング3つ目が、ストレッチです。なかでも、脚を広げた状態で上半身を倒すエクササイズである開脚ストレッチは、骨盤周辺の筋肉が柔軟になるため、ペニスに血液が流れやすくなることが期待できます。開脚ストレッチでは、太ももの付け根部分である大腿内転筋群が鍛えられます。
開脚ストレッチのやり方は、以下のとおりです。
体が硬い人は、お風呂上がりなど筋肉の血行が良い状態で行うようにしましょう。また、デスクワーク中心の生活を送っている人は、骨盤あたりの筋肉が凝り固まって血流が悪化している可能性があるためおすすめです。
最後に、EDの改善のために運動とあわせて実施したい改善法を紹介します。主な改善法には、以下の5つが挙げられます。
食生活の見直しや睡眠時間の確保などは、手軽に行える方法です。運動とあわせて自分にできる範囲の改善法を見つけて、継続的に実践していきましょう。
EDの予防・改善には、栄養バランスの良い食生活が欠かせません。栄養バランスの乱れた食生活を続けていると、血液中の糖質や脂質が増えて血液がドロドロになり、ペニスに血液が流れにくくなります。
メタボリックシンドロームや肥満、糖尿病の人は、EDになりやすいとされているため、脂質の多いジャンクフードのような高カロリーな食べ物の食べ過ぎには注意が必要です。
EDの改善には、適度な睡眠時間を確保して質の良い睡眠をとることも大切です。睡眠不足はホルモンバランスや自律神経の乱れを引き起こすため、EDの悪化につながる恐れがあります。
良質な睡眠をとるには、以下のことを意識するようにしましょう。
就寝前の寝酒やカフェイン摂取は覚醒を促し、睡眠の質を低下させる原因です。また、利尿作用で夜間頻尿を起こす原因にもなるため、カフェインやアルコールを寝る前に摂取することは避けましょう。
参考:厚生労働省「e‐ヘルスネット 睡眠と生活習慣病との深い関係」
喫煙は動脈硬化を引き起こすだけでなく、ニコチンによる血管収縮作用もあるため、日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン(P60)」では、ED患者に対して禁煙指導を行うことが強く推奨されています。
禁煙すれば、EDの発症リスクを減らすだけでなく脳卒中やがん、心筋梗塞など、さまざまな病気のリスクも下げられます。健康的な体になるためにも、禁煙を心掛けましょう。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン」
過度な飲酒は、肥満や動脈硬化の原因となるため、ED発症のリスクを高めてしまいます。厚生労働省が公開している「アルコール」によると、適切な飲酒量は1日に純アルコール20g程度です。例として、アルコール度数5%の中瓶ビール1本(500ml)が目安となります。
1日の飲酒量を意識して、過度な飲酒をしないように注意しましょう。
参考:厚生労働省「アルコール」
EDの改善には、ED治療薬の服用も有効です。ED治療薬とは、性行為の前に服用することで、一時的に勃起力や持続力を高める薬を指します。即効性のあるED治療を求めている場合は、筋トレとED治療薬を組み合わせるとよいでしょう。
運動不足がきっかけで肥満や動脈硬化になると、EDのリスクを高めることがあるため注意しましょう。ED改善のためには、大殿筋や恥骨尾骨筋・球海綿体筋、大腿四頭筋・大腿二頭筋など、勃起に関連のある筋肉を鍛えることが重要です。
また、ED改善におすすめの運動・トレーニングとしては、有酸素運動や筋トレ、ストレッチなどが挙げられます。ご紹介したのは、自宅で手軽にできる方法ばかりです。ぜひ、実践してみてください。
運動とあわせて、食生活の見直しや禁煙、ED治療薬の服用などをするのも、ED改善法にはおすすめです。運動と並行してこれらを実践することで、ED改善に近づけるでしょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)