更新日:2025年05月26日
男性の方であれば、過去に比べて朝勃ちの頻度が減ると気になるのではないでしょうか。EDや病気の可能性を考え、心配になる方もいるでしょう。本記事では、そもそも朝勃ちがなぜ起こるのかを解説したうえで、頻度が減った場合に考えられる理由を紹介します。見直すべき生活習慣や自分で朝勃ちの有無を確認できる方法も紹介するため、ぜひ不安を解消するために役立ててください。
そもそも朝勃ちとはなぜ起こるのか、よくわからない方もいるでしょう。まずは朝勃ちの起こる仕組みとその役割を解説します。
朝勃ちは、睡眠中に起こっている「夜間勃起現象」の一部です。人が眠っているときは、ノンレム睡眠とレム睡眠が90分間隔で繰り返されています。
ノンレム睡眠は、身体も脳も休息している深い眠りです。一方、レム睡眠は身体は眠っているものの脳は起きている状態で、眼球がぴくぴくと動いたり、夢を見たりします。レム睡眠中は自律神経が不安定で、脈拍や呼吸、血圧が不規則に変化しており、男性であれば性器の勃起も起こります。これは「夜間勃起現象」と呼ばれ、この現象が起こっているタイミングで目が覚めるのが、朝勃ちの正体です。
朝勃ち(夜間勃起現象)は、生殖機能を維持するために起こっていると考えられます。夜間勃起現象は、レム睡眠中に身体に起こる生理現象であり、必ずしも性的刺激によって起こるものではありません。
使わない筋肉が衰えるように、勃起しない期間が長く続くと必要なときに勃起できなくなるものです。夜間勃起現象が起こるのは、勃起する力を維持するために身体が試運転を行うプログラムと考えられています。そのため、朝勃ちは生殖機能が適切に働いている証といえるでしょう。
朝勃ちは、男性の身体に起こる正常な現象です。そのため、「朝勃ちしない」「朝勃ちの頻度が減った」という場合には、なんらかの理由があります。考えられる具体的な理由は以下の通りです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ストレスや疲労によって朝勃ちが起こらないことがあります。ストレスや疲労がたまると、良質な睡眠がとれなかったり、自律神経のバランスが崩れたりするもの。その結果、夜間勃起現象がうまく起こらないため、朝勃ちの頻度が減ることがあります。
朝勃ちの減少は、男性更年期障害によって起こることもあります。男性更年期障害とは、加齢によって男性ホルモンが減少することで起こる疾患です。疲労感や倦怠感、イライラや抑うつなど様々な症状があり、性機能の低下もその1つに挙げられます。
30代後半以降どの年代でも起こる可能性があり、長く続く場合もあるでしょう。朝勃ちの減少以外にも、日常生活に影響するような症状がある場合は、医療機関の受診をおすすめします。
EDであることも、朝勃ちが減る原因の1つです。ストレスや疲労がないにもかかわらず朝勃ちがなかったり、性交時にもうまく勃起できなかったりする場合は、EDの可能性もゼロではありません。陰茎の血管や神経、脳などの身体的な機能になんらかの障害があり、物理的に勃起できない状態と考えられます。
ただし、朝勃ちはないが性交時には問題なく勃起するという場合は、EDの心配は少ないでしょう。
病気の兆候として、朝勃ちの現象が起こることもあります。勃起には血流が大きくかかわるため、血管に異常がある場合は朝勃ちも起こりにくいです。血管に関する病気には、糖尿病、高血圧、脂質異常症による動脈硬化などが挙げられます。
加えて、血液や血管に直接は関係のない慢性腎臓病や下部尿路症状なども、勃起機能を妨げる病気です。腎臓は血液中の老廃物をろ過する働きを持っており、腎臓の機能が落ちるとさまざまな症状が現れます。こうした影響が複雑に絡み合い、勃起力の低下やEDを引き起こすことも少なくありません。下部尿路症状は、前立腺の肥大によって起こることが多く、同じく勃起機能の低下やEDの原因になりえます。
「朝勃ちが減った」「朝勃ちしなくなった」と感じたら、以下のポイントをチェックしてみましょう。
勃起機能には日常生活におけるさまざまな要因が絡んでいます。朝勃ちの減少につながる生活習慣に当てはまっている場合は、改善することが大切です。
まずは自分の食生活をチェックしましょう。栄養バランスのよい食事を、規則正しく摂ることが大切です。栄養バランスが偏ると、血液や血流に異常があらわれて勃起機能に悪影響を及ぼすほか、他の病気につながる可能性もあります。
不規則な食生活は自律神経の乱れを引き起こす場合があり、夜間勃起現象にも悪影響を及ぼすでしょう。食生活を見直すことで、こうしたさまざまなリスクを軽減できます。
十分な睡眠を取ることも、勃起機能には大切です。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、男性ホルモンの正常な分泌や精子の製造が促されます。しっかりと睡眠を取らなければこうした働きが阻害され、性欲の減退や体力の低下にもつながります。1日に6〜7時間は睡眠時間を確保することを心掛けましょう。加えて、良質な睡眠を取るために、寝室の環境や寝る前の習慣を見直すことも大切です。
適度な運動によって、病気の予防や健康の維持が期待できます。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動は、身体の血流を促進することで内臓脂肪を燃焼させ、動脈硬化の予防や代謝の向上などが期待できる運動方法です。
一方で、筋力トレーニングやダンベル運動などの無酸素運動は、筋肉に刺激を与えることで男性ホルモンであるテストステロンの分泌を増やすとされています。生活の中に運動の習慣を採り入れるために、できることや得意なことから始めましょう。
日頃お酒を飲む人は、飲酒の習慣もチェックしましょう。飲酒は肥満や動脈硬化などを引き起こす場合もあります。酒量は多すぎないか、ついつい高カロリーなおつまみを食べすぎていないかなどを見直すことが大切です。
ただし、飲酒にはリラックス効果があることも事実です。量を決めたり、休肝日を作ったりするなどして、適度な飲酒を心掛けましょう。
勃起機能が気になる場合は、喫煙の習慣についての見直しも必要です。たばこに含まれるニコチンには、血管を収縮させる働きがあります。日常的に喫煙をしていると、血管や周辺組織の老化を早め、動脈硬化の原因となります。血流に深くかかわる勃起機能にも悪影響があることはいうまでもありません。
喫煙は朝勃ちの減少だけでなく、EDや他の病気の原因にもなります。健康のことを考え、禁煙するのがおすすめです。
朝勃ちがないと「自分はEDではないか」と心配になる人も多いでしょう。以下では、朝勃ちがない場合に考えられるEDの可能性と、EDの検査方法について紹介します。
朝勃ちは夜間勃起現象に伴う生理現象であり、「朝勃ちしなければED」という訳ではありません。朝勃ちの減少には、さまざまな要因があります。性交時に問題なく勃起できれば、EDかどうかはあまり心配しなくていいでしょう。
朝勃ちがなく性交時に勃起しない場合は、身体機能に障害があることで起こる器質性EDである可能性があります。血管や神経、脳などの身体的な問題によって、勃起自体ができない状態です。
一方で、朝勃ちはするが性交時にはうまく勃起できないケースもあります。この場合は、ストレスや自信のなさなど精神的な影響からくる心因性EDかもしれません。朝勃ちがあるのであれば、身体の機能的には勃起が可能といえるでしょう。心因性EDを改善するには、精神面をケアする必要があります。
朝勃ちがあるかどうかを簡易的に調べる方法に、スタンプテストがあります。つながっている切手のシートを陰茎に巻き付けて就寝し、起床時に切手シートが切れていれば夜間に勃起があったとわかるものです。市販の切手でできるセルフチェックであるため、朝勃ちがないと不安な方や、医療機関を受診するかどうか迷っている方は、まず試してみるとよいでしょう。EDの疑いがある場合に、器質性EDか心因性EDかを判断するためにも有効です。
より信頼性の高い方法には、就寝前に測定器を装着して変化を確認する方法や、陰茎の海綿体に薬剤を注射して勃起するかどうかを確認する方法などがあります。いずれも医療機関で受けられる検査です。
朝勃ちは、睡眠中に起こる生理現象である「夜間勃起現象」の一部で、生殖機能が正常に働いている証です。朝勃ちが減った場合はストレスや疲労、男性更年期障害の影響が考えられ、EDや病気などの可能性もあります。性交時に勃起できれば、朝勃ちしないことを過度に気にする必要はありません。
朝勃ちがなく、性交時にもうまく勃起できない場合は、EDである可能性があります。気になる場合は、医療機関の受診がおすすめです。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)