更新日:2025年08月04日
勃起力が低下した、勃起が持続しないといったEDに悩んでいる男性の方もいるかもしれません。EDの原因にはストレスや加齢、薬剤の副作用などさまざまあり、生活習慣の改善やED治療薬の服用により改善を図れます。
本記事では、ED(勃起不全)の症状や原因、改善方法について紹介します。
性行為の際に勃起しない、勃起が持続しないなど、満足に性交渉が行えない状態になることをED(勃起不全・勃起障害)と呼びます。
勃起は、ペニス(陰茎)を構成する海綿体と筋肉に血液が大量に流入することで起こる生理現象です。細かく分解すると、以下の順序で勃起が起こります。
このようにして起こる勃起が、なんらかの原因で妨げられたり、維持できなくなったりするのがEDです。
勃起の持続時間は、一般的に数分から30分程度といわれています。
ただし、勃起の持続時間は年齢や健康状態などによって変わり、個人差も大きいため、この時間は参考程度と考えてください。
勃起することで、挿入が可能になります。アメリカ・イギリス・オランダ・スペイン・トルコの5か国、500組のカップルによる調査では、挿入から射精までの時間の中央値は5.4分(5分24秒)でした。こちらの時間もさまざまな条件で変化し得るため、目安と考えるのが妥当です。
参考:National Library of Medicine「膣内射精潜時に関する多国籍人口調査」
ここでは、勃起力の低下やEDを引き起こす主な原因について解説します。EDは加齢の影響が大きいとされますが、その他にもさまざまな原因が考えられます。糖尿病や心疾患などの病気が原因になっていることもあるため、注意が必要です。
EDの原因は、タイプ別に以下のように4つに分類されます。
以下で、原因別に説明します。
心因性のEDとは、仕事や私生活上の悩み・ストレスなどが原因で交感神経が活性化し、勃起しにくくなる類型です。ストレスを抱えていると、性的興奮が神経にうまく伝達されず、EDにつながると考えられています。
性行為の失敗経験がストレスとなり、EDにつながっているケースも少なくありません。「また失敗したらどうしよう」という不安な思いから自律神経のバランスが崩れ、うまく勃起できない・勃起が持続しないパターンを繰り返す人もいるようです。
EDは中高年以上がなるものというイメージがある人もいるかもしれませんが、ストレスによるEDの場合は、20~30代の若年層にも多く見られます。
器質性のEDは、身体的な原因によるもので、病気や男性ホルモンの分泌低下などにより引き起こされます。加齢の影響も大きく、器質性EDは40代以降に多く見られる傾向があります。
器質性EDのうち、50代以上に多いのが動脈硬化や神経障害などによるものです。動脈硬化が進むと血液の循環が悪くなるため、ペニス(陰茎)の海綿体にも十分に血液が流入しなくなり、EDが起こりやすくなります。
動脈硬化は、高血圧や糖尿病など生活習慣病を抱えている人に多く見られる症状です。高血圧などでは血管にかかる負担が大きくなり、動脈を硬くしてしまいます。
脳卒中や神経障害、パーキンソン病などもEDを招く病気です。これらの病気は神経に障害を起こすため、脳からの指令をペニス(陰茎)までうまく伝達できなくなります。事故や外傷などで海綿体周辺の神経を損傷した場合なども、EDが起こりやすくなる傾向があります。
服用している薬剤の副作用で、EDが起こる場合もあります。EDとの関連性が知られているのは、以下のような薬剤です。
上記の薬剤を継続的に服用し、「勃起しない」「勃起が持続しない」といった変化を感じた場合は、薬剤性EDの可能性があります。
混合性EDは、心因性・器質性など複数の原因が組み合わさり、勃起しない・勃起が持続しないといった状態になることを指します。EDは単独の原因で引き起こされることは少なく、むしろ複数の原因が重なっていることが多いとされています。
「勃起しない」「勃起が持続しない」といった状況を改善するには、生活習慣の見直しやED治療薬の服用などの方法があります。生活習慣の改善が役立つのは、EDの背後には高血圧や糖尿病などの生活習慣病が隠れていることも多いためです。ここでは、EDや勃起力を改善する方法について解説します。
食生活を改善することで、勃起力を回復できる可能性があります。以下の例は、EDの改善に役立つと考えられる栄養素です。
亜鉛には、勃起に関係する男性ホルモン「テストステロン」の分泌を促す作用があります。加齢に伴う勃起力の低下を感じている場合には、亜鉛を意識的に摂るとよいでしょう。
亜鉛は豚肉やチーズ、牡蠣などに多く含まれています。食品から摂りにくい場合には、市販のサプリメントを利用する方法もあります。
DHAとEPAはサバやイワシなどの青魚に含まれ、血液をサラサラにする効果で知られている不飽和脂肪酸です。血液を流れやすくすることで、海綿体への十分な血流によって勃起力の改善が期待できます。
逆に、高カロリーな揚げ物や糖質の多い食べ物は、血流に悪影響を及ぼすため、EDの原因となりかねません。こうした食事の多い生活では、EDのリスクを高める高血圧や糖尿病を招く心配もあります。
運動や体操がEDの改善に有効とされるのは、血流をよくする効果があるためです。勃起力の改善・強化には、骨盤周辺の筋トレが効果的とされています。下半身の筋肉を鍛えるためのスクワットなども、血流を改善し、勃起力の回復に資するでしょう。
妊産婦が尿漏れ予防のために行う、「ケーゲル体操」をとり入れるのも一案です。アメリカの産婦人科医アーノルド・ヘンリー・ケーゲル氏が考案したこの体操は、勃起にも関係する骨盤底筋を鍛えるものです。
ケーゲル体操は、以下のような動きを1分程度の時間で行います。
適度な運動を習慣化できれば、勃起力の改善だけでなく、体の健康を保つためにも役立つでしょう。
食生活や運動以外でEDの改善につながるものとしては、禁煙や禁酒、睡眠時間・質の確保が挙げられます。
喫煙には動脈硬化を招くリスクがあり、動脈硬化はEDの原因にもなります。アルコールは、少量であればリラックス効果があり問題ないと考えられますが、飲みすぎは動脈硬化や肥満、ひいてはEDを招くリスクがあります。
睡眠不足にも要注意です。睡眠時間が不足していると男性ホルモン(テストステロン)の分泌が少なくなり、勃起力が低下するおそれがあります。EDの改善には、寝る前に入浴して血行をよくする、ストレッチしてリラックスするなど、睡眠の質を高めるための工夫もしてみましょう。
仕事や日常生活におけるストレス、「性行為で失敗したらどうしよう」というプレッシャーなどが原因の心因性EDの場合は、心療内科やED専門クリニックなどでカウンセリングを受けるのも一つの方策です。
悩みを誰かに話すと、モヤモヤが晴れてスッキリすることがあります。これを「カタルシス効果」と呼びます。ときには専門家に頼って、ストレス解消を試みてみましょう。
「パートナーの期待に応えなければ」といったプレッシャーで性行為の際に勃起しない・勃起が持続しないといった場合は、パートナーに相談するのも有効です。パートナーとの話し合いで「焦る必要はない」と認識できれば、気持ちが楽になる可能性があります。
心療内科やED専門クリニックなどを、パートナーと一緒に訪れるのも一つの方法です。2人でEDと向き合い、改善を図ることで、状況が良くなる可能性があります。
食生活や適度な運動など、生活習慣を改善してもEDの症状が変わらない場合は、ED治療薬の服用を検討しましょう。勃起できない・勃起が持続しないことに悩み続けると、精神的なダメージが大きくなって悪化するおそれがあるため、早期に治療を受けるのが賢明です。
ED治療薬には、「バイアグラ」「シアリス」「レビトラ」などがあり、薬価を抑えたジェネリック(後発医薬品)もあります。
「病院やクリニックに行くのは抵抗がある」といった場合であっても、インターネットで海外からED治療薬を取り寄せるのは危険です。通販サイトの薬は偽造薬の可能性があり、効果を得られないだけでなく健康被害を引き起こす懸念もあります。
クリニックによっては来院不要のオンライン診療に対応しているところもあるので、通院に負担を感じる方は活用を検討するとよいでしょう。
勃起しない・勃起が持続しないなどにより、満足のいく性行為ができない状態がEDです。ストレスや動脈硬化などEDの原因はさまざまで、複数の原因により発症することもあります。食生活の改善や運動などで勃起力が回復することもありますが、うまくいかない場合は専門クリニックなどでの治療を検討しましょう。
「受診のハードルが高い」という場合には、オンライン診療に対応しているクリニックを利用する方法もあります。
レバクリのオンライン診療なら、自宅にいながらEDの診察を受けられます。初診料・診察料が0円で薬代と送料以外のお金はかかりません。EDについて医師に相談したい方は、レバクリの利用を検討してはいかがでしょうか。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)