更新日:2025年08月04日
「ED(勃起不全・インポ)を治療したいときはどうすればいい?」と考えている人もいるかもしれません。EDは原因によって4つに分類され、原因に合わせて治療を行うことが大切です。EDの治療は、泌尿器科や内科などで行えます。
この記事では、ED(勃起不全・インポ)の原因や原因別の治療法を紹介します。あわせて、ED治療で用いられる薬の種類やそれぞれの特徴、受診する際の診療科についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
EDとは勃起不全・勃起障害のことで、性行為の際に十分な勃起を得られない、もしくは勃起を維持できない状態のことです。かつては、インポやインポテンツなどと呼ばれることもありましたが、差別的な意味合いがあることから、現在は使用されていません。
EDは原因に応じて、4つのタイプに分けられます。それぞれ発症の原因や治療法が異なるため、まずは自分がどのEDに該当するのか考えることが大切です。ここでは、EDの原因と原因別の治療法について解説します。
器質性EDとは、血管や神経の障害によって引き起こされるEDです。特に動脈硬化を原因とすることが多く、血液循環が悪化することでEDの発症につながります。動脈硬化を引き起こす高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病も原因のひとつです。
そのほか、脳出血や脳外傷、脳腫瘍、脊髄損傷、アルツハイマー病などによる血管や神経の障害によってもEDが起こりやすくなります。
器質性EDを改善するには、EDを引き起こしている疾患の治療が欠かせません。あわせて、ED治療薬を服用して血流を改善し、EDの症状改善を図ることもあります。
心因性EDは、ストレスやトラウマなどの精神的な問題が原因で引き起こされるEDです。不安やストレスが増えることで症状が悪化する恐れがあるため、注意しましょう。
日常生活のストレスにより心因性EDを発症している場合、原因となるストレスをできる限り取り除くことが大切です。カウンセリングを受けてストレスや不安の原因を検討し、対処法を考える方法もあります。
また、ED治療薬の服用により成功体験を積むことで、自信がついて性交渉への不安軽減を図ることもできるでしょう。
薬剤性EDとは、内服している薬剤の副作用によって起こるEDです。EDを引き起こす可能性がある薬としては、次のようなものがあります。
薬剤性EDの場合、服用中の薬の変更や減薬、休薬によって症状が改善する可能性があります。ただし、自己判断で服用を中止したり減薬したりせず、まずはかかりつけ医に相談しましょう。
なお、服用している薬によっては、ED治療薬と併用可能な場合があります。
混合性EDとは、器質性EDや心因性ED、薬剤性EDのいずれかが混合して起こるEDのことです。EDは一つの原因で起こることは少なく、複数の原因が重なって起こることが多いとされています。
混合性EDの治療では、ED治療薬の服用や生活習慣の改善、原因となる疾患の治療などを行います。
ここでは、EDの代表的な治療方法について解説します。それぞれの治療法を見ていきましょう。
ED治療薬の服用は、代表的な治療方法です。血管拡張作用を持つED治療薬を服用すると、陰茎の血流が改善し、勃起の促進効果を得られます。
代表的なED治療薬は、次の3つです。
それぞれのED治療薬については次項で解説するので、そちらもあわせて確認してください。
EDの治療方法として、生活習慣の改善も挙げられます。食事や睡眠、運動などの生活習慣を改善することで、EDの原因となる肥満や血行不良といった健康上の問題の改善を図れるでしょう。
また、喫煙や過度な飲酒はEDのリスクを高めるため、禁煙や減酒を心掛けることも大切です。
心因性EDの治療では、心理カウンセリングも有効な方法です。臨床心理士や精神科医とのカウンセリングを通して不安やストレスなどの原因を掘り下げ、適切な対処法を考えてEDの改善につなげます。
恋人・夫婦関係にEDの原因がある場合は、パートナーと一緒に心理カウンセリングを受けるのも一つの方法です。
器質性EDや、精神疾患による心因性EDの場合、まずはその疾患を治療することが原則です。
EDの原因が次のような疾患の場合には、治療によってEDを改善できる可能性があります。
疾患の治療とともに、状況に応じてED治療薬の服用や心理カウンセリングなども行います。
ED治療薬を服用しても効果が得られない場合や、ED治療薬を服用できない場合の選択肢として、衝撃波治療があります。衝撃波治療は、陰茎に低強度の衝撃波を照射し、血管機能や血流の改善を促す治療法です。
衝撃波治療の場合、ED治療薬のような即効性はありません。しかし、週に1回ほどの照射を1~2ヶ月続けることで、数ヶ月~数年間効果を感じられるとされています。
男性ホルモンの一種であるテストステロン量の低下によってEDの症状が出ている場合、ホルモン補充療法を行うこともあります。
テストステロンは性欲や勃起の維持などにかかわる重要なホルモンです。20代をピークとして、加齢とともに低下していきます。
ホルモン補充療法では、テストステロンを筋肉注射や塗り薬などによって補充します。
ここでは、ED治療で用いられる治療薬について解説します。日本で使用されている代表的なED治療薬は、「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3種類です。
バイアグラは、国内で最初に認可されたED治療薬です。世界で最初に開発されたED治療薬でもあります。
バイアグラはもともと狭心症の治療薬として研究・開発されていましたが、勃起不全に効果があると判明し、ED治療薬として開発されました。
<効果の持続時間>
<副作用の例>
服用は1日1回までで、次回の服用まで24時間以上の間隔を空ける必要があります。胃に食べ物が残っていると成分の吸収が弱まるため、食後に服用したい場合は2時間以上空けるのが理想です。
レビトラは、バイアグラについで開発されたED治療薬で、即効性が特徴です。日本では2004年に認可されましたが、2021年に販売中止になっています。
販売中止になった理由は、安定供給が困難になったためです。現在はレビトラと同じ成分で作られたジェネリック医薬品(レビトラジェネリック)が使用されています。
<効果の持続時間>
<副作用の例>
服用は1日1回までで、次回の服用まで24時間以上の間隔を空ける必要があります。食事の影響は受けにくいですが、空腹時のほうが効果を得やすいとされています。
シアリスは、ED治療薬の中でも効果の持続時間が長いことが特徴で、性行為のタイミングを気にすることなく服用できるのがメリットとされています。また、シアリスはほかの2つと比べて効果がマイルドで、副作用が比較的少ないことも特徴です。
<効果の持続時間>
<副作用の例>
バイアグラやレビトラと同様に服用は1日1回までで、次回の服用まで24時間以上の間隔を空けます。
ED治療に臨もうと思っても、病院の何科を受診すればよいかわからない人もいるでしょう。ここでは、EDを治療したいときに受診する診療科について解説します。
EDの症状があるものの、どの科を受診すればよいかわからない場合、まずは泌尿器科を受診してみましょう。泌尿器科は、泌尿器や男性生殖器の治療を専門とする診療科目です。
EDの治療は、内科のクリニックでも行えます。特に、生活習慣病の疑いがある方は血管や神経などの問題によりEDが起こっている可能性があるため、内科での受診がおすすめです。まずは疾患の治療を行い、EDの改善を図りましょう。
強いストレスやプレッシャー、トラウマなどによりEDを発症している可能性があるときは、精神科や心療内科で受診するのも一つの方法です。精神疾患を発症している場合はその疾患の治療を行うとともに、心理療法やED治療薬の服用によりEDの改善を図ります。
最後に、ED治療に関するQ&Aを紹介します。
EDではないかと思った場合は、早期に医療機関を受診するようにしてください。「EDは病気ではないだろう」と考えて治療しない人もいるかもしれませんが、EDは病気であり、放置すると回復に時間を要します。また、器質性EDの場合は、放置すると高血圧や動脈硬化などが悪化して、他の病気を引き起こすおそれがあるでしょう。
ED治療は自由診療のため、ED治療薬の価格は医療機関によって異なります。一般的な価格相場は、以下のとおりです。
治療薬 | 先発医薬品 | 後発医薬品(ジェネリック医薬品) |
---|---|---|
バイアグラ | 1,300〜1,700円 | 400〜1,200円 |
レビトラ | 取り扱いなし | 1,000〜1,500円 |
シアリス | 1,500〜2,100円 | 1,000〜1,600円 |
医療機関によっては、まとめ買いや定期配送の利用により、料金を抑えることも可能です。
食後にED治療薬を内服すると、効果に影響が出る場合があります。ED治療薬の種類ごとの食事の影響の有無は、次のとおりです。
バイアグラの場合は食後の服用、レトビラは高脂肪食を食べたあとの服用によって、効果が低下する恐れがあります。
ED治療薬とアルコールの相互作用はないとされています。ただし、飲酒量が多いと脳の中枢神経が抑制されて性的興奮が陰茎に伝わりづらくなり、ED治療薬の効果が低下するおそれがあるため、注意しましょう。
薬局やドラッグストアでは精力剤が販売されており、なかには勃起力向上をうたった製品もありますが、精力剤にはEDの治療効果はありません。
精力剤は栄養補給により健康をサポートするものであるため、EDを治療したい場合は、ED治療薬を服用しましょう。
ED治療薬は薬局やドラッグストアでは販売されておらず、服用するには医師の処方が必要です。ED治療薬を服用したい場合は、医療機関を受診しましょう。
ED治療薬を処方してもらうには、病院に行く方法のほか、オンライン診療もあります。オンライン診療であれば自宅で診察を受けられ、通院の負担を減らして医師に相談できる点がメリットです。
ED(勃起不全・インポ)の治療法は、原因によって異なります。代表的な治療法としては、ED治療薬の服用や生活習慣の改善、心理カウンセリングなどです。
日本のED治療で用いられる薬としては、バイアグラ(シルデナフィル)やレビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)があります。それぞれ特徴や効果の持続時間などが異なるため、違いを把握しておきましょう。
ED治療薬は、薬局やドラッグストアでは購入できません。ED治療薬を服用したい方は、医療機関を受診しましょう。
レバクリでは、ED治療薬のオンライン処方を行っています。オンライン診療では場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)