更新日:2025年09月03日
「カフェインは勃起力改善に効果がある?」と疑問に思っている方もいるでしょう。カフェインは、末梢血管を拡張させる働きや興奮を促す作用があるため、ED(勃起不全)に良い影響を与える可能性があります。しかし、カフェインの摂りすぎは健康に悪影響を与えるおそれがあるため、摂取量に注意が必要です。
本記事では、カフェインとEDの関係のほか、勃起力改善が期待できる食べ物・栄養素も紹介します。
カフェインを摂取すると、ED(勃起不全)に良い影響を与えるとされています。カフェインは、コーヒーや紅茶のほか、エナジードリンクにも含まれている成分です。カフェインには、眠気を覚ます効果や利尿作用、鎮痛作用など、多くの働きがあります。
カフェインの作用のうちEDに効果があるとされるのは、血管拡張作用や興奮作用、疲労・ストレス緩和作用です。ただし、カフェインは摂りすぎると健康に悪影響を及ぼすおそれがあるため、摂取量に注意しましょう。
厚生労働省の「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A 」によると、以下のような目安が示されています。
カフェインの含有量は、飲み物によって異なります。コーヒー150mlにカフェインは約90mg含まれますが、紅茶の場合、同じ150mlでもカフェインは約45mgです。コップの大きさや濃さにもよりますが、成人男性の場合はコーヒーなら1日2〜3杯、紅茶では4〜6杯までにすると良いでしょう。
では、EDの予防・改善にはどの程度のカフェインを摂取すると効果があるのでしょうか。テキサス大学の研究結果では、1日170〜375mgのカフェインを摂取していた男性は、EDを発症するリスクが低下したとされています。このカフェイン摂取量は、おおむねコーヒー2〜3杯分です。
ただし、同研究では「傾向を示す証拠はない」としています。カフェイン摂取によりEDが改善することが証明されたわけではなく、EDに良い影響を与える可能性があることが示唆されています。
参考:
厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A 」%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82)
PLOS ONE「Role of Caffeine Intake on Erectile Dysfunction in US Men: Results from NHANES 2001-2004」
カフェインを大量に摂取すると、中毒症状を起こすことがあるため、注意が必要です。カフェインの過剰摂取は中枢神経を過度に刺激し、頭痛・動悸・下痢・吐き気・不眠などの症状を引き起こすおそれがあります。
カフェイン中毒が重症化すると、不整脈やけいれん、低血圧、意識障害などにより命にかかわる事態となることも考えられます。少しでも症状がみられたらカフェインの摂取は止めて、病院で受診してください。
コンビニなどで手軽に買えるエナジードリンクの中には、カフェインを多く含有している商品があります。糖質を多く含んでいることもあるため、1日に何本も飲むのはおすすめできません。糖質の摂り過ぎは肥満や生活習慣病を招き、EDの原因になります。
カフェインの摂りすぎは、ED改善に有効とされる亜鉛の吸収を阻害することも、注意点の一つです。亜鉛は男性ホルモンの生成に関係する成分で、亜鉛が不足すると精子の活動が低下するとされています。
ED改善を期待してカフェインを摂りすぎると、逆にEDを招く危険性があります。カフェインは、目安量を守って摂取することが大切です。
カフェインの摂取がEDに良い影響を与えるとされる理由は、以下の3点です。
それぞれの作用について解説します。
カフェインには末梢血管を拡張させる働きがあり、ED改善に好影響をもたらすと考えられています。勃起には、陰茎への血液の流入が必要です。カフェイン摂取によって陰茎の毛細血管への血流が促されれば、勃起力が改善する可能性があります。
「コーヒーを飲んだら眠れなくなった」という経験がある人もいるかもしれませんが、これはカフェインの興奮作用が原因です。カフェインは、神経を鎮静させる「アデノシン」という化学物質の作用を妨げるため、脳が興奮して眠気が覚めると考えられています。
勃起するためには、性的な興奮が陰茎に伝達されることが重要です。ストレスなどによる心因性EDの場合、カフェインの興奮作用で性的興奮を起こしやすくすることで、勃起力が改善する可能性があります。
カフェインには、疲労・ストレスの緩和作用もあるとされています。正常に勃起するには、精神状態も大切です。カフェイン摂取により気持ちが落ち着けば、性行為に臨みやすい精神状態になることが期待できます。
ここまで、カフェインの作用により、EDの改善が期待できること紹介しました。しかし、カフェインは過剰摂取すると重篤な健康被害につながる可能性があります。そのため、カフェインのみに頼ってED改善を図ることはおすすめできません。
ここでは、カフェイン以外に勃起力の改善が期待できる食品・成分について解説します。
牡蠣やチーズに含まれる亜鉛を摂ることで、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌量の増加が期待できます。
亜鉛を含むほかの食品は、豚肉・レバー・卵黄などです。亜鉛はビタミンCと一緒に摂ると吸収が良くなるとされているため、野菜や果物などと一緒に食べるのがおすすめです。
注意が必要なのは、亜鉛を摂りすぎると、男性機能に悪影響を与える可能性がある点です。カフェインだけでED改善を図るのが難しいように、亜鉛だけで勃起力を回復させるのも難しいと考えましょう。
体内で生成される非必須アミノ酸の一種であるアルギニンは、血管の拡張に必要な一酸化窒素を合成する際に使われます。一酸化窒素の産生を高めて血管を拡張し、陰茎への血流が増えれば、勃起しやすくなるでしょう。
アルギニンを多く含む食品は、鶏肉・大豆・落花生・卵などです。免疫機能を高める働きもあるため、体調を整えるためにも積極的に摂取したい栄養素です。
シトルリンもアミノ酸の一種で、アルギニンと同様に一酸化窒素の産生を高め、血液の流れを良くする作用があります。
シトルリンが多く含まれているのは、スイカやメロン、キュウリ、冬瓜などウリ科の食べ物です。
サンマやサバなどの青魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富に含まれています。DHAやEPAは、体内ではほとんど作られない必須脂肪酸の一種です。
どちらも、血液がサラサラになる効果が期待できます。血液がサラサラになれば、陰茎への血流も良くなり、勃起しやすくなると考えられます。
DHAとEPAを魚介類から摂取する際は、刺身など生食が効果的です。サバやツナの缶詰を料理に使うのも良いでしょう。DHAやEPAは煮物や揚げ物にすると流れ出てしまうため、調理には注意が必要です。
魚介類を食べる習慣があまりない人や、苦手な場合は、市販のサプリメントを活用するのも一つの方法です。
ビタミンDは、強い骨を維持するために必要な栄養素です。ビタミンDは欠乏するとEDのリスクが高くなるとされています。
ビタミンDを含む食品には、サケや干ししいたけ、しらす干しなどが挙げられます。サバの缶詰には、DHAやEPAのほか、ビタミンDも豊富に含まれているため、料理に活用するとよいでしょう。なお、ビタミンDは日光浴によっても生成されます。
ほうれん草やアボカドなどに含まれるビタミンEは、抗酸化作用がある成分です。ビタミンEは、血管を拡張する作用のほか、EDの一因ともされる男性更年期障害の予防・改善にも役立つとされています。
ビタミンEを含む食品には、ほうれん草やアボカドのほかにアーモンドやうなぎなどもあります。アーモンドには多くのビタミンEが含まれているため、小腹が空いたときは、菓子類ではなくアーモンドを食べるのがおすすめです。
フラボノイド(抗酸化物質)を多く含むブルーベリーや柑橘類などのフルーツは、EDのリスクを減少させるといわれています。フラボノイドが血行を良くし、陰茎の毛細血管への血流促進が期待できるためです。
柑橘類以外では、リンゴやバナナ、梨などにもフラボノイドが豊富に含まれています。コンビニなどで売られている冷凍フルーツも、積極的に食べることで勃起力改善の効果が期待できます。とくにブルーベリーは、冷凍すると抗酸化作用が高まるとされています。
マカダミアナッツやカシューナッツなどのナッツ類は、コレステロールを減らす作用のある不飽和脂肪酸が豊富に含まれる食品です。食物繊維も多く、EDのリスクを高める肥満や生活習慣病の予防効果が期待できます。
ナッツの多くは糖質をあまり含んでいないことも、肥満の予防、ひいては勃起力低下の予防に有効と考えられる要素です。
スーパーやコンビニなどで売られているチョコレートのうち、カカオ成分の高いチョコレートを食べると、勃起力の改善が期待できます。チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには、血流を改善する作用があるためです。
一般的に、ビターチョコレートは乳製品が入っておらず、カカオマスが40〜60%以上のチョコレートを指します。スイートチョコレートやミルクチョコレートなどは糖質を多く含んでいるため、食べすぎると肥満や生活習慣病の原因となりかねません。チョコレートの中でもカカオ成分の高いチョコレートがおすすめなのは、糖質が少ないためです。
カフェインには血管拡張作用や興奮作用、疲労・ストレス緩和作用があるため、EDの改善に良い影響を与えると考えられています。ただし、カフェインを過剰摂取すると頭痛や下痢などが起こり、健康を害する可能性があるため注意が必要です。
カフェイン以外にも、ED改善の効果が期待できる食品や成分は多くあります。ただし、食品だけで勃起力を回復させるのは、簡単ではありません。EDに悩んでいる場合は、病院の受診も検討してみてください。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)