更新日:2026年10月23日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「バイアグラを飲めば早漏も改善するのでは」と考える方もいるかもしれません。バイアグラ(シルデナフィル)は早漏の第一選択薬ではなく、あくまでED(勃起不全)の治療薬です。ただしEDと早漏が併存する場合には、使われることがあります。本記事では、バイアグラと早漏の関係や早漏の分類・原因、バイアグラ以外の改善方法を紹介します。射精までの時間で悩む方は、この記事を参考にすると同時に医師への相談も検討しましょう。
バイアグラ(シルデナフィル)は早漏の第一選択薬ではなく、ED(勃起不全)治療薬として国内で承認された薬です。 早漏の薬物治療でまず選ばれるのは、ダポキセチンなどのSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)です。ただし、EDと早漏が併存する場合には、バイアグラが使われることがあります。 また、一部の研究では、シルデナフィル単剤でも射精までの時間(射精潜時)が延びたとの報告もあります。 つまり、バイアグラは早漏治療薬ではないものの、結果として早漏改善につながる可能性が示唆されているのです 。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
早漏とは、挿入前や挿入後まもなく射精してしまい、満足のいく性行為が難しい状態を指します。 国際性医学会(ISSM)は、発症の時期によって、早漏を「原発性(生涯性)」と「後天性」の2つに分類しています。原発性は初めての性行為のときから続くもの、後天性はそれまで問題がなかったのに、あるときから射精までの時間が短くなったものです。なお、複数国での調査による射精潜時の中央値は約5.4分と報告されています。
参考:National Library of Medicine「A multinational population survey of intravaginal ejaculation latency time」
原発性早漏は、初めての性行為のときから、常に、またはほぼ常に挿入後約1分以内に射精してしまうタイプです。 原発性早漏のはっきりした原因は、まだ分かっていません。ISSMのガイドラインでも、大多数の男性で原因となる生物学的な要因は特定されていないとされています。研究では、射精を抑える脳内物質であるセロトニンの受け取りやすさ(受容体の感受性)や、遺伝的な体質が関わっているのではないかと指摘されていますが、いずれも確定した原因ではありません。
後天性早漏は、以前は問題がなかったのに、射精までの時間が明らかに短くなったタイプです。 射精までの時間が、以前と比べて臨床的にはっきりと短縮し、多くは約3分以下になるのが目安とされています。後天性早漏では、背景に別の要因が隠れていることがあり、ISSMのガイドラインでも、ED(勃起不全)や前立腺の炎症(前立腺炎)、甲状腺の働きが活発になりすぎる状態(甲状腺機能亢進症)などがないか調べることが勧められています。 このほか、パートナーとの関係や、性行為へのプレッシャー・不安といった心理的な要因が関わることもあります。原因となっている状態がある場合は、その治療を行うことが改善への近道になります。
バイアグラを服用して「持続時間が延びた」と感じる背景には、心理的な要因が関係している可能性があります。
緊張や不安などの心理的な要因は早漏の原因の一つです。バイアグラで勃起がサポートされると、性行為に対する心理的プレッシャーが軽減され、心に余裕が生まれることがあります。それによって緊張が和らぎ、射精までの時間延長につながることが考えられます。 また一部の研究では、シルデナフィル単剤でも射精までの時間が延びたと報告されています。ただし、研究結果は一貫しておらず、早漏治療の第一選択とはされていません。 改善を目指す場合は、ダポキセチンなどの早漏の治療薬やトレーニングを併せて検討するのが一般的です。
早漏の改善を目指すなら、バイアグラではなく早漏の治療薬が検討されます。また、早漏対策としての訓練法や生活習慣の改善などを試すのも一つの方法です。ここでは、それぞれの方法について紹介します。
スクイーズ法は、射精の直前に陰茎を圧迫(スクイーズ)して射精を止める訓練法です。 具体的には、以下の手順で行います。
圧迫は親指と人差し指で、10〜20秒を目安に行ってください。この訓練によって射精をコントロールする力が高まり、実際の性行為でも持続時間が延びることが期待できます。
生活習慣の改善は、早漏の体質改善につながる大切な要素です。 規則正しい生活リズムや適度な運動、バランスの取れた食事は、男性ホルモンの分泌を正常に保ち、神経系の働きを整えることにつながります。以下で具体的な改善方法をみていきましょう。
射精のタイミングをコントロールする骨盤底筋を鍛えることは、早漏改善に役立つ対策の一つです。骨盤底筋とは骨盤の底にある筋肉の総称で、臓器を下から支え、尿もれなどを防ぐ役割を担っています。また、射精の瞬間まで過度な興奮を抑える役割もあるため、ここを鍛えると、射精のタイミングを自分で調整しやすくなります。 骨盤底筋を鍛えるために、以下のケーゲル体操を取り入れてみてください。
さらに有酸素運動で体全体の血流が良くなると、陰茎周辺の神経の働きも活発になり、射精をコントロールする力の向上が期待できます。
栄養バランスの取れた食事は、男性機能の維持・向上を間接的にサポートします。 直接早漏を治す食材はありませんが、射精を遅らせる脳内物質(セロトニン)の材料や、性機能を支えるホルモン(テストステロン)の分泌をサポートするために、食事からの栄養補給を心掛けましょう。
血行を促す栄養素はいくつかありますが、なかでも末梢の血管を広げるビタミンEと、スタミナを保ち血管を広げるアリシンは、下半身の神経の働きや血流をサポートするとされています。アーモンドや納豆、ニラレバ炒めなど、日々の食事に一品加えることから始めてみましょう。 一方で、過度なアルコールや喫煙は血管の働きを悪くし、射精をコントロールする力を低下させる可能性があります。これらの習慣は控えることが大切です。

質の高い睡眠は、男性ホルモンの分泌や自律神経の調整に大切な役割を果たします。 睡眠不足が続くとストレスホルモンが増え、自律神経のバランスが乱れて交感神経が優位になります。これにより、男性ホルモンであるテストステロンの分泌低下を招き、早漏やEDの要因になることがあります。また、骨盤底筋などの筋肉の修復に必要な成長ホルモンは、入眠直後の3〜4時間に多く分泌されるため、このときに深く眠れていることが大切です。 必要な睡眠時間には個人差がありますが、成人ではおおよそ6〜8時間が目安とされています。就寝前のスマートフォンやテレビの使用を控えたり、室温や湿度を整えたりすることで、より質の高い睡眠を確保しやすくなります。
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
早漏の治療に使われるダポキセチンは、射精までの時間を延ばし、早漏の改善をサポートする治療薬です。 ダポキセチンはセロトニンの再取り込みを抑えて脳内のセロトニン濃度を高め、過剰な興奮を抑えるブレーキの役割を強め、射精のタイミング調整をサポートします。ダポキセチンを服用する際の特徴と注意点は以下のとおりです。
ここでは、バイアグラと早漏について多く寄せられる質問にお答えします。
バイアグラなどのED治療薬と早漏治療薬は併用できる?
バイアグラなどのED治療薬と、ダポキセチンのような早漏治療薬の併用は、医師の指導のもとで可能とされています。ただし、どちらの薬も血管や神経に作用するため、併用の際は相互作用や副作用に注意が必要です。血圧の急な低下や心臓・血管への負担が懸念されるため、必ず医師に相談してから使用してください。服用のタイミングや量も医師と相談して決め、自己判断での併用は避けましょう。
バイアグラの副作用は?
バイアグラの主な副作用には、ほてりや頭痛、動悸、めまいなどがあります。これらは血管を広げる作用によるもので、多くは一時的なものです。副作用が現れた場合は、性行為を中断して休みましょう。めまいや視覚障害などの副作用も報告されているため、車の運転や機械の操作を行う場合は注意してください。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
バイアグラは早漏の第一選択薬ではなく、あくまでEDの治療薬です。ただし、EDと早漏が併存する場合には用いられることがあります。一部の研究では、バイアグラの服用で射精までの時間が延びたと報告されています。持続時間が延びたと感じられる理由の一つは、勃起を保てる安心感から心理的な余裕が生まれるためです。 早漏はISSMの定義で「原発性」と「後天性」の2つに分けられ、原因や背景はタイプによって異なります。特に後天性の場合は、EDや前立腺炎、甲状腺の疾患などが隠れていることもあるため、原因に合わせた対処が大切です。
早漏改善を目指すなら、ダポキセチンなどの早漏治療薬や、スクイーズ法、ケーゲル体操といったトレーニング、生活習慣の見直しを検討しましょう。 「近くにクリニックがない」「対面での相談には抵抗がある」という方は、オンライン診療という選択肢もあります。オンライン診療はビデオ通話を通じて医師に相談できるため、自宅など希望の場所で治療法を検討できます。一人で悩まず、まずは医師に相談することから始めてみてください。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
National Library of Medicine「A multinational population survey of intravaginal ejaculation latency time」
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
American Urological Association / Sexual Medicine Society of North America「Disorders of Ejaculation: An AUA/SMSNA Guideline」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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また、ダポキセチンは諸外国では早漏治療薬として承認・使用されていますが、2026年9月時点で日本では承認されていません。そのため、副作用が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
なお、ダポキセチンは医療機関が海外から輸入したうえで、医師の管理のもとで使用されます。国内で同じ効能・効果で承認された飲み薬はありません。 そのほか、局所麻酔成分が含まれた外用剤(塗り薬やスプレーなど)も選択肢の一つです。これは陰茎の感覚を一時的に鈍らせ、刺激による射精を遅らせる作用を持ちます。ただし、こちらも国内未承認薬となるため、使用にあたっては必ず医師の指導に従ってください。 すぐに作用が現れるため刺激に敏感な方に向いていますが、麻酔成分がパートナーにも影響する可能性があるため、性交前に拭き取ることが勧められます。
早漏の外科的治療は、陰茎の感度を物理的に下げることを目的とした方法です。ただし、ガイドラインでは外科的治療は実験的な位置づけとされ、倫理委員会の承認を受けた臨床試験のなかで検討されるべきものとされています。主な手法には「神経の遮断」と「ヒアルロン酸の注入」があります。 神経を遮断する選択的背側神経切除術は、陰茎の感覚を伝える背側神経の一部を切除して感度を下げ、射精までの時間を延ばそうとする方法です。一部の研究で効果が報告されていますが、永久的な感覚の喪失や勃起機能への影響といった重大な合併症のリスクがあり、リスクとベネフィットを慎重に検討する必要があります。 ヒアルロン酸の注入は、皮膚の厚みを増して、外部からの刺激が神経に届きにくくする方法です。時間の経過とともに体内に吸収されるため、効果を保つには定期的な注入が必要となります。また、まれではありますが亀頭壊死などの合併症がみられることもあるため、こちらも慎重に検討する必要があります。 なお、上記の治療はすべて国内未承認です。
参考:American Urological Association / Sexual Medicine Society of North America「Disorders of Ejaculation: An AUA/SMSNA Guideline」

バイアグラはあくまで勃起を助ける薬です。早漏の改善を感じたとしても、それは勃起を保てる安心感から心理的な余裕が生まれた結果である場合が多く、早漏治療薬ではありません。改善を目指すなら、ダポキセチンなどの早漏の治療薬や、生活習慣の見直しを医師と相談しながら検討することが大切です。