更新日:2025年12月23日
ダイエットに大変なイメージを抱き、「できるだけ早く痩せたい」と思う方は多いのではないでしょうか。ダイエットに必要な期間は個人差が大きいため、挫折を避けながら正しい方法でダイエットを続けることが大切です。本記事では、ダイエットに必要な期間の目安と、停滞期やカロリーの知識、採り入れたい生活習慣などについて解説します。
ダイエットに必要な期間は、目標とする体重や現在の体重、身体の状態、ダイエットの方法などによって変わります。長い期間取り組んだからといって、必ずしも痩せるというわけでもありません。 肥満症ガイドラインでは、3~6か月で現在の体重から3%以上の減量目標がよいとされています。
極端な食事制限や激しい運動は継続しにくく、リバウンドや体調を崩すなどのリスクもあります。正しい方法によってダイエットを続けることが大切です。
以下では、自分のダイエットに必要な期間を考えるヒントとして、3つの期間について解説します。
個人の代謝や摂取エネルギー、運動量によって結果は異なりますが、ダイエットの効果が表れるまでの一般的な期間は次のとおりです。
体質は人によってそれぞれなので、ダイエットで痩せたことを実感するまでの期間は当然個人差が大きいです。
なお、ダイエットを始めてすぐの時期は体重が減りやすい傾向にあります。その理由の多くは、体の水分量の減少や、消化管の内容物の減少などです。脂肪の燃焼によって体重が減ったわけではありません。
体重を1kg減らすには、7,200kcalのカロリー消費が必要といわれています。減らしたい体重と減量のペースから、理論上必要なダイエットの期間を計算できます。
たとえば、5kg減量したい場合を考えましょう。
7,200kcal×5kg=36,000kcal
以上から、5kgの減量には36,000kcalの消費が必要です。1日あたり300kcal消費していくとすると、必要なダイエットの期間は次のように計算できます。
36,000kcal÷300kcal=120日
理論上は、120日(4か月)の間ダイエットすると5kgの減量を達成できるということになります。
ただし、必ずしもこの期間で減量ができるというわけではありません。体内のエネルギーの中で、体脂肪は消費されにくいためです。体内では、まず糖質、次に脂質、最後に筋肉という順番でエネルギーに変換されます。
上記の方法で計算した期間は参考にとどめ、目安程度にすることをおすすめします。
急激な体重減少により代謝が低下する『代謝適応(adaptive thermogenesis)』が生じることがあり、これが一時的な減量停滞を引き起こすと考えられています。停滞期は個人差があり、一定期間が経過すると再び減少が再開される場合もあります。過度な減量よりも、月あたり1〜2kgの緩やかな減量が、代謝の維持やリバウンド防止に効果的とされています。
摂取カロリーと消費カロリーが同じくらいであれば、体重が減らなくなることがあります。
ダイエットでは、摂取カロリーよりも消費カロリーを増やすことで体重を減らします。しかし、2つのカロリーがつり合ってしまうと体重は減りません。
ダイエット開始時に、摂取カロリーよりも消費カロリーの方が大きくなるように計算しても、徐々に消費カロリーと摂取カロリーがつり合ってくることがあります。これは、体重の減少に伴い消費カロリーが減少するためです。
そのため、体重が減ってきたら摂取カロリーと消費カロリーを見直し、消費カロリーの方が大きい状態にする必要があります。
ダイエットの基本は、「摂取カロリー<消費カロリー」の状態を継続することです。そのため、ダイエットの方法は、摂取カロリーを減らすか、消費カロリーを増やすかの2通りです。それぞれの方法について、以下で詳しくみていきましょう。
摂取カロリーとは、食事によって身体に取り込むカロリーです。カロリーを過剰に摂取してしまうと体内に脂肪として蓄積され、体重増加の原因となります。ダイエットでは、摂取カロリーを健康的に減らすことが大切です。
日頃どれくらいのカロリーを摂取しているかを踏まえて、摂取カロリーをどれくらいに抑えればよいのかを把握する必要があります。
摂取カロリーを考える際に知っておきたいことに「基礎代謝」があります。基礎代謝とは、呼吸や心拍、体温の維持など、生命を維持するために最低限必要なエネルギー量です。年齢・男女別の基礎代謝量は次のとおりです。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
| 性別 | 男性 | 男性 | 女性 | 女性 |
|---|
| 年齢 | 基礎代謝基準値(kcal/kg/日) | 基礎代謝量(kcal) | 基礎代謝基準値(kcal/kg/日) | 基礎代謝量(kcal) |
| 18~29歳 | 23.7 | 1490 | 22.1 | 1130 |
| 30~49歳 | 22.5 | 1570 | 21.9 | 1170 |
| 50~64歳 | 21.8 | 1510 | 20.7 | 1120 |
| 65~74歳 | 21.6 | 1390 | 20.7 | 1090 |
| 75歳以上 | 21.5 | 1310 | 20.7 | 1020 |
上記の代謝量は、年齢ごとの平均的な体重で計算されています。
摂取カロリーの目安が2000kcal前後であったことに対し、その半分ほどは代謝によって消費されることがわかります。摂取カロリーを考えるときは、基礎代謝量を下回らないようにすることが大切です。
摂取カロリーを管理するためには、どの食品にどれだけのカロリーがあるかを知っておきましょう。主要な食品のカロリー例は次のとおりです。
| 食品名 | 可食部100gあたりのカロリー(kcal) |
|---|---|
| 白米 | 156 |
| 玄米 | 152 |
| 鶏肉(もも・皮付き・焼き) | 220 |
| 鶏肉(むね・皮なし・焼き) | 177 |
| 豚肉(ロース・脂身付き・焼き) | 310 |
| 牛肉(バラ・焼き) | 451 |
| 牛肉(ヒレ・焼き) | 238 |
| 鮭(焼き) | 175 |
| サバ(焼き) | 264 |
| 鯛(焼き) | 326 |
| 卵(ゆで) | 134 |
| キャベツ(生) | 23 |
| トマト(生) | 20 |
| じゃがいも(蒸し) | 76 |
| 乾燥わかめ(水戻し) | 20 |
| ぶなしめじ(ゆで) | 22 |
| りんご(生) | 53 |
| みかん(生) | 49 |
なお、同じ食品でも調理方法によってカロリーは変わります。たとえば、鶏もも肉を例にしてみてみましょう。
| 食品名 | 可食部100gあたりのカロリー(kcal) |
|---|---|
| 鶏肉(もも・皮付き・焼き) | 220 |
| 鶏肉(もも・皮付き・ゆで) | 216 |
| 鶏肉(もも・皮付き・から揚げ) | 249 |
このように、揚げるとカロリーは高くなり、ゆでたり生食したりする場合はカロリーを抑えられます。
食品や調理方法ごとのカロリーのイメージを持っておくと、買い物や外食の際に意識して選べるでしょう。
消費カロリーとは、活動によってエネルギーに変換されるカロリーのことです。摂取カロリーを抑えるだけでなく、消費カロリーを増やすことも、ダイエットを成功させるためには欠かせません。以下では、消費カロリーを増やす具体的な方法をみていきましょう。
有酸素運動には、ウォーキングやジョギング、水泳などがあります。ダイエットでは、こうした有酸素運動を30~60分程度行うことが有効です。
脂肪は有酸素運動を始めて20分以上経つと、分解・消費が促されます。必ずしも20分以上連続して運動する必要はなく、5分の運動を4回、合計20分行うという方法でも構いません。
「すこしきつい」と感じるくらいの運動を、週に5回以上できればベストです。ただし、無理をせず続けられるペースで取り組みましょう。
レジスタンス運動には、スクワットや腹筋などがあります。一般的に「筋トレ」と呼ばれる種類の運動です。
筋肉量が増えると基礎代謝が高まり、消費カロリーが増えます。そのため、無酸素運動と並行して、筋肉量をアップさせるレジスタンス運動を行うことで、効率的にカロリーの消費ができます。
レジスタンス運動のおすすめの頻度は、週に2~3回程度です。レジスタンス運動に取り組んだ次の日は休みを取り、無理のないペースでダイエットに採り入れましょう。
ダイエットでは、次のような日々の生活習慣も重要です。
それぞれの習慣について、以下で詳しくみていきましょう。
食べたものを記録する習慣をつけると、摂取カロリーを意識するようになり、食べ過ぎを防止できます。
食べたものを逐一記録することで、「私ってこんなに食べていたのか…」と驚く方もいます。食べたものについて、「結構食べているな」と思う方もいるかもしれません。こうした発見が意識の変化につながり、食べる前に立ち止まって考えられるようになります。
体重や体脂肪を記録することも、身体の変化の把握やモチベーションアップにつながります。ただし、数字に一喜一憂しすぎないことが大切です。
ダイエットには規則正しい生活が欠かせません。不規則な生活習慣が自律神経に悪影響を及ぼし、ダイエットを妨げている場合もあります。
起床時間や就寝時間、食事の時間は毎回一定にして、規則正しく生活することが大切です。
十分な睡眠も、ダイエットには大切です。睡眠中にホルモンが分泌されることで、食欲が抑えられたり代謝が正常化されたりします。逆に、睡眠不足は、食欲増進ホルモン「グレリン」を増やす原因となってしまいます。
睡眠中もカロリーを消費するため、夜はしっかりと眠りましょう。
「自力でダイエットが難しい」「早く痩せたい」という場合は、「医療ダイエット」という方法もあります。
医療ダイエットとは、医学に基づいた医療行為によるダイエット方法です。脂肪を蓄積する脂肪細胞を減らす治療ができるため、高い効果が期待できます。リバウンドのしにくさや、医療機関での治療による安心感も魅力です。薬や注射、手術などによって、理想の体重・体形を目指せます。
ダイエットに必要な期間は人によって異なり、効果が表れるまでには2週間以上かかります。ダイエットを続けるうちに体重が減らなくなる場合もありますが、カロリーのバランスを見直してダイエットを続ければ再び体重は減り始めます。
食生活の改善と運動を採り入れ、生活習慣を整えながら、挫折することなくダイエットを継続することが必要です。