更新日:2026年05月19日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「髪の毛を増やす方法が知りたい」と悩んでいる方もいるかもしれません。髪の毛を増やす効率的な方法は、医師へ相談し、薄毛の原因を特定したうえで治療することです。AGAの場合は、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどの薬を用いて治療します。
本記事では、髪の毛を増やす方法や薄毛になる主な原因について解説します。健康な髪の毛のために心掛けたい生活習慣もあわせて紹介するので、参考にしてください。
薄毛を招く主な原因には、AGAやFAGA・FPHL、休止期脱毛症、円形脱毛症などの疾患があります。
ここからは、薄毛を招く主な原因をそれぞれ解説します。
AGAはAndrogenetic Alopeciaの略称で、進行性の男性型脱毛症です。主な原因は、強力な男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)だといわれています。
前頭部や頭頂部から薄毛が進行するため、AGAの代表的なパターンには「M字はげ」「U字はげ」「O字はげ」が挙げられます。

AGAの症状を改善するには、医学的な治療が必要です。たとえば、抜け毛を抑えるフィナステリドやデュタステリドなどの内服薬の服用、または発毛を促すミノキシジルなどの外用薬の使用です。AGAは自然治癒することはなく、放っておくと進行するため、早期治療をおすすめします。
女性の薄毛であるFAGAはFemale Androgenetic Alopeciaの略称で、女性の男性型脱毛症を指します。これまでは、女性の薄毛も男性のAGAと同じくDHTが関係していると考えられていました。しかし、研究が進むにつれて、DHTだけでは説明できない点も出てきました。いまだに発症メカニズムは完全に解明されていません。そのため、現在は女性の脱毛症の総称としてFPHL (Female Pattern Hair Loss:女性型脱毛症)と呼ばれるようになってきています。
頭頂部を中心に広い範囲で軟毛となり、毛のボリュームが減るのが特徴です。治療法として、1%のミノキシジル外用薬が推奨されています。
休止期脱毛症は、ヘアサイクルの乱れによって通常より多くの髪の毛が休止期へ移行し、抜け毛が増える脱毛症です。本来のヘアサイクルは成長期・退行期・休止期の順に繰り返されており、休止期の期間は通常3〜4ヶ月程度とされています。しかし、何らかのきっかけにより成長期の髪の毛が急に休止期へ移ったり、休止期の期間そのものが延長されたりすることで抜け毛が発生するのです。
考えられるきっかけとして、以下が挙げられます。
このように休止期脱毛症を招くきっかけは多岐にわたります。原因として考えられるものによって対処方法が異なるため、発症後は医師へ相談し適切な処置を受けましょう。
円形脱毛症は、髪の毛が円形や楕円状に抜け落ちてしまう疾患です。免疫細胞が何らかのきっかけで自らの毛包に反応してしまうことで発症すると考えられています。
円形脱毛症は、一箇所が抜ける「単発型」や複数が抜ける「多発型」、蛇行するように広がる「蛇行型」のほか、頭部全体に脱毛が広がる「全頭型」、全身に脱毛が広がる「汎発型」といった臨床型に分類されます。ただし、症状は連続して変化することがあるため、一概にはいえません。

治療法は年齢や進行度、範囲に応じて検討され、病態に合わせた適切なアプローチが大切です。主な治療法として、ステロイド外用薬や局所免疫療法などが挙げられます。
薄毛は全身性の疾患でも引き起こされます。たとえば、甲状腺機能の低下や膠原病、鉄欠乏性貧血などの疾患が考えられます。抜け毛のほかに、倦怠感や動悸といった全身の不調を自覚している場合には、一度内科を受診することがおすすめです。
医療機関で血液検査などの検査を受け、薄毛の原因となる疾患が隠れていないかを確認しましょう。検査することで、不安の解消や適切な治療につながります。
薄毛の原因がAGAである場合、髪の毛を増やすために以下の方法が考えられます。
ここからは、AGAの場合に薄毛を改善する方法をそれぞれ紹介します。
ミノキシジルは、血管拡張作用により発毛効果が期待できる治療薬です。ミノキシジルには頭皮に塗る外用薬と、飲み薬である内服薬の2種類があります。外用薬は日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインにおいて、「行うよう強く勧める」とされています。
一方、内服薬は国内では未承認の薬であり、知見が蓄積されている段階で、有効性や安全性が確立されていません。あくまで専門医の管理下で用いられる薬である点に注意しましょう。
以下が内服薬と外用薬の違いです。
| 比較する項目 | ミノキシジル内服薬 | ミノキシジル外用薬 |
|---|---|---|
| 作用範囲 | 全身に作用する | 塗布した部分に作用する |
| 副作用 | 動悸やむくみ、低血圧、多毛症など | かゆみやかぶれ、赤みなど |
| 国内での承認 | なし | あり |
なお、効果の現れ方には個人差があります。継続した使用が必要であり、即効性はないことを理解しておきましょう。
フィナステリドやデュタステリドは、AGAの原因物質であるDHTの発生を抑えることで、抜け毛を防ぐ効果が期待できる治療薬です。DHTは、体内のテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びつくことで生成されます。フィナステリドやデュタステリドは5αリダクターゼの働きを阻害して、DHTの生成を抑制します。両者は国内承認されており、AGA治療における代表的な治療薬です。

また、日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインにおいても、フィナステリドやデュタステリドの服用は男性に対して「行うよう強く勧める」とされています。ただし、効果の現れ方には個人差があるほか、薬の効果を得るには継続的な服用が必要です。 なお、フィナステリドやデュタステリドは男性のAGAで用いられる治療薬です。女性の薄毛では治療選択が異なります。
自毛植毛は、後頭部や側頭部といったAGAの影響を受けにくい部位の毛髪を、皮膚組織ごと薄毛の部分へ移植する治療法です。日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインでは、薬による治療で十分な効果が得られない場合の選択肢として、経験豊富な医師が施術する場合に限り「行うよう勧める」とされています。

一方、人工毛植毛については、同ガイドラインにおいて「行うべきではない」と明記されています。これまでに多くの人工植毛による有害事象が報告されており、安全性の根拠が確立されるまでは、原則として行うべきではないとの見解です。人工毛は体にとって異物であり、炎症や拒絶反応を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。
AGAをセルフケアで改善することは困難であり、前述した治療が必要となります。しかし、間接的な頭皮環境のサポートとして、生活習慣を整えることは大切です。
ここからは、AGAの治療と並行して心掛けたい生活習慣について解説します。
健康な髪の成長をサポートするには、栄養バランスの良い食事を摂ることが大切です。ダイエットしたい場合であっても、極端な食事制限は避けましょう。厚生労働省「食事バランスガイド」によると、望ましい食生活として1日に以下を取り入れることを推奨しています。以下の食事例はあくまで参考であり、性別や年齢、1日の活動量によって異なります。
主食:ごはん中盛りであれば4杯程度
主菜:肉・魚・卵・大豆料理から3皿程度
副菜:野菜料理5皿程度
牛乳・乳製品:牛乳瓶であれば1本程度
果物:みかんであれば2個程度
自分ですべて作らずとも、市販の惣菜などを利用するのも良いでしょう。選ぶ惣菜は余分な脂を使用していない和食の副菜がおすすめです。
参考:厚生労働省「食事バランスガイド」
適度な運動は、ストレス軽減や睡眠の質改善、全身状態の維持に役立ち、結果として毛髪の健康を支える生活習慣の一つになります。「運動のためのまとまった時間がとれない」「デスクワークで身体を動かす機会がない」といった人も、身体を動かす時間を工夫して増やしましょう。
たとえば、バスでの通勤を自転車や徒歩に変えたり、エレベーターではなく階段を使用したりするなどです。また、仕事中の座りっぱなしを防止するため、一定の時間毎に意識的に立ち上がる、または昇降デスクを利用するなども考えられます。日常に運動を取り入れることによって、運動が習慣化され、健康的な体へと近づけるでしょう。
健康的な髪の成長を促すには、良質な睡眠と適度な睡眠時間の確保が大切です。睡眠時に分泌される成長ホルモンが髪の成長をサポートするためです。成長ホルモンは、就寝後の深い眠りの際に最も多く分泌されます。
質の良い睡眠のため、以下6つのポイントを取り入れましょう。

また、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、成人の適正な睡眠時間はおよそ6〜8時間程度と考えられています。これを参考に自分に合った睡眠時間を確保し、深い眠りを得る工夫をすることが健やかな髪の手助けになるでしょう。
参考:厚生労働省「睡眠対策」
頭皮へのダメージを避けた適切な洗髪を心掛けることで、頭皮環境を清潔に保てるでしょう。間違った方法で頭皮を傷つけたり、必要な潤いを奪ったりすると、頭皮環境の悪化につながりかねません。適切なヘアケア製品を選び、優しく洗髪すれば、健やかな頭皮と髪の毛を維持できます。
正しい洗髪方法は以下の手順を参考にしてください。

ポイントは指の腹で優しくマッサージするように洗うことです。高温のお湯で洗髪したり、洗浄力の強いシャンプーで頭皮に必要な皮脂まで過剰に洗い流したりすると、頭皮が乾燥し肌のバリア機能が低下する恐れがあります。頭皮の乾燥を防ぐためには、38度前後のお湯と自分の頭皮に合ったシャンプーを使用するのがおすすめです。
健康的な髪の毛を維持するためには、過度な飲酒を避けましょう。過度な飲酒は睡眠の質を低下させるほか、食生活の乱れから栄養バランスを崩す原因となり、髪の健康に悪影響を与える可能性があります。さらに、髪の成長を妨げるだけでなく、アルコール依存症や生活習慣病、肝疾患といった深刻な病気につながる恐れもあるでしょう。
厚生労働省「アルコール」によると、節度ある適度な飲酒は1日平均で純アルコール約20g程度とされています。純アルコール量の目安は以下の表をご覧ください。
髪の毛を増やすためには、クリニックへ相談するのがおすすめです。正しい生活習慣は髪の毛の健康作りをサポートできたとしても、直接的な改善にはつながりません。薄毛を改善するためには、薄毛になった原因を正確に診断する必要があります。
また、自己判断で対策を行った場合、薄毛が改善しないだけでなく、悪化する可能性も考えられます。クリニックを受診することで、薄毛の原因や進行度を医師に診断してもらい、治療を開始するのが効率的な方法です。
最後は、髪の毛を増やす方法に関してよくある質問をまとめました。さらに詳しく知りたい方は参考にしてください。
髪の毛を増やす食べ物・サプリメントはある?
髪の毛を増やすための食べ物やサプリメントはありません。古くから「わかめを食べると髪が増える、あるいは伸びる」といった説を耳にすることがありますが、これには医学的な根拠がなく、ただの噂にしか過ぎないのです。
サプリメントに関しても、あくまで栄養を補うための食品に分類されており、臨床試験に基づいた医薬品のような発毛効果は期待できません。もし、髪の健康をサポートするために利用する場合は、栄養成分の過剰摂取や服用中の薬との飲み合わせに注意しましょう。
ツボ押し・頭皮マッサージは髪の毛を増やす方法として役立つ?
ツボ押しや頭皮マッサージを行うことは、髪の毛を増やす方法として現時点で明確な医学的根拠がないとされています。同様に、頭皮マッサージによって血行を促進させることが発毛につながるという説も、医学的な裏付けが乏しいのが現状です。
ただし、指の腹を使って頭皮を優しく揉みほぐす習慣は、心身をリラックスさせる方法として役立つ可能性があります。発毛効果を期待するのではなく、リラックスしてストレスを解消する手段の一つとして取り入れるのが適切でしょう。
髪の毛を増やすためには、専門のクリニックへ相談し、自身の薄毛の原因を正しく特定したうえで適切な治療を受けましょう。薄毛の原因にはAGAやFPHL、円形脱毛症などがあり、それぞれ医学的なアプローチが異なります。AGA治療では、内服薬による進行抑制や外用薬による発毛促進が期待できるほか、自毛植毛が必要となるケースもあります。
食事や睡眠を整えることは頭皮環境の土台作りにはなりますが、直接的に髪の毛を増やすことにはなりません。効率的に改善を目指すなら、まずは専門のクリニックを受診し、医師の診断に基づいた治療を開始することが大切です。通院に負担がかかる場合は、オンライン診療という選択肢も検討してみると良いでしょう。
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
オンライン診療とは、スマホやPCを使い、ご自宅など好きな場所から医師の診察を受け、お薬を配送してもらえるサービスです。従来のAGA治療における「通院の負担」「待ち時間」「人目」といった課題を解決します。
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| お酒の種類 | ビール | 清酒 | ウイスキー・ブランデー | 焼酎(35度) | ワイン |
|---|---|---|---|---|---|
| アルコール度数 | 5% | 15% | 43% | 35% | 12% |
| 純アルコール量 | 20g | 22g | 20g | 50g | 12g |
(参考:厚生労働省「アルコール」)
飲酒の合間に水を飲んだり、休肝日を設けたりする工夫を行いつつ、適切な飲酒量を守るよう心掛けましょう。
参考:厚生労働省「アルコール」
喫煙は健康な頭皮環境のために、避けるべきです。タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、頭皮の血行を悪化させてしまう可能性があるためです。
喫煙習慣は髪への悪影響だけに留まりません。厚生労働省の「健康日本21(たばこ)」によると、喫煙は肺がんや虚血性心疾患、脳血管疾患などのリスクを高めるとされています。
まずは1日のタバコの本数を減らすことから意識してみましょう。自分の力だけで禁煙するのが難しい場合には、医療機関の禁煙外来を受診する選択肢もあります。専門の窓口では禁煙補助薬などを用いながら、サポートが受けられます。頭皮や体のためにも、自身で工夫して禁煙しましょう。
参考:厚生労働省「健康日本21(たばこ)」
過度な精神的ストレスは、脱毛症発症の間接的なきっかけになる可能性があります。可能な限りストレスの原因を取り除くとともに、日頃から意識的にストレスを発散させることが大切です。
具体例として、適度な運動や深呼吸、笑ったり泣いたりできる映画の鑑賞などが挙げられます。また、歌でリフレッシュしたり、今の辛い感情を紙に書き出したりすることも、心の負担軽減につながるでしょう。