更新日:2026年09月04日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「貧血のせいで抜け毛が増えるのでは」と気になっている方もいるかもしれません。貧血になると血液中のヘモグロビンが不足し、毛母細胞へ酸素や栄養が届きにくくなるため、抜け毛の一因になると考えられています。一方で、抜け毛の原因は貧血だけとは限りません。本記事では、貧血と抜け毛の関係や貧血の原因・症状、AGAなど貧血以外の抜け毛の原因、予防や改善方法を解説します。

貧血は、抜け毛を引き起こす一因になると考えられています。貧血になると血液中のヘモグロビンが減り、髪の毛を作る毛母細胞へ酸素や栄養が届きにくくなるためです。髪は成長のために多くの酸素と栄養を必要とするため、供給が滞ると抜け毛や髪の成長の遅れにつながります。ただし、貧血が抜け毛の直接的な原因であると証明した研究はまだ多くなく、ほかの要因が関わっている場合もあります。

そもそも貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少ない状態を指します。特に女性に多く見られ、貧血になると疲労感やめまい、息切れなどの症状を引き起こします。ここでは、貧血の原因や症状、なりやすい人の特徴について解説します。
貧血の主な原因は、鉄分不足や栄養バランスの偏り、慢性疾患、出血などです。なかでも多いのが、鉄分不足による鉄欠乏性貧血です。鉄分は酸素を運ぶヘモグロビンの材料となるため、不足するとヘモグロビンが十分に作られず、酸素の供給が滞ります。また、赤血球の生成に欠かせないビタミンB12や葉酸が不足しても、貧血が起こることがあります。 このほか、がんや慢性腎臓病などの疾患にともなう二次性貧血や、月経・消化管出血などの出血による貧血もあります。
貧血になると酸素が身体に十分に行き渡らないため、次のような症状が現れます。
貧血になると全身の不調が現れるだけでなく、髪にも影響を及ぼすことがあります。
過度な食事制限や偏食、激しい運動をする人などは、貧血になりやすい傾向があります。貧血になりやすい人の特徴は、次のとおりです。
極端な食事制限や偏食が続くと、鉄分やビタミンB12、葉酸などが不足しやすくなります。肉や魚を控えている場合は、摂取できる鉄分が吸収率の低い非ヘム鉄が中心になりやすいため、鉄分不足になりがちです。マラソンなどの持久系スポーツではスポーツ貧血が起こることもあり、運動量に応じた栄養補給が求められます。胃潰瘍や胃の手術などは鉄分の吸収や出血に影響し、貧血の原因になります。
| 抜け毛の原因 | 主な特徴 |
|---|---|
| AGA(男性型脱毛症) | 進行性で、男性ホルモンがヘアサイクルを乱す。細く短い毛が増え、生え際・頭頂部が目立ちやすい。 |
| 円形脱毛症 | コイン型や境界がわかりやすい形に、部分的に髪が抜ける。 |
| 一時的な抜け毛 | ヘアサイクルの乱れによる一過性のもの。 |
| 生活要因(ストレス・睡眠不足) | 頭皮環境を悪化させ、間接的に抜け毛へ影響する場合がある。 |
抜け毛の原因は貧血だけとは限らず、AGA(男性型脱毛症)など別の要因が隠れていることもあります。貧血だと思い込んで対策を続けても、原因が違えば抜け毛の変化を感じにくくなる場合があります。ここでは、貧血以外に考えられる抜け毛の主な原因を紹介します。
男性の抜け毛で多い原因のひとつが、AGA(男性型脱毛症)です。AGAは、男性ホルモンが毛根に作用し、髪が生え変わるヘアサイクル(毛周期)を乱すことで起こります。本来なら数年かけて太く長く育つはずの髪が、育ちきる前に抜けてしまうのが特徴です。しだいに細く短い毛が増え、生え際や頭頂部の地肌が目立つようになります。 AGAは治療をしない限り進行する疾患のため、早めに医師に相談することが大切です。
AGAや貧血のほかにも、抜け毛にはコインのように髪が抜ける円形脱毛症や、ヘアサイクルの乱れによる一時的な抜け毛など、さまざまな要因があります。 また、ストレスや睡眠不足は、それ自体が抜け毛の直接的な原因と断定はできないものの、頭皮環境を悪化させて間接的に影響する可能性があります。抜け毛が長く続くときや急に増えたときは、自己判断せず医療機関に相談すると、原因を見極めやすくなります。

抜け毛を貧血のせいと決めつけてしまうのは避けたほうが良いでしょう。抜け毛の原因を見極めるのは難しく、とくにAGAは進行性で、対処が遅れるほど元の状態に近づけるのが難しくなる場合があります。抜け毛が気になり始めたら、医師に原因を診断してもらうことが改善への第一歩です。

貧血による抜け毛は、栄養バランスの良い食事や医療機関への相談で予防・改善につながると考えられています。主な方法は、次の2つです。
それぞれの方法を解説します。
貧血を予防・改善する基本的な対処法は、バランスの整った食事で十分な栄養素、特に鉄分を意識して摂ることです。食品に含まれる鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄があり、前者はレバーや赤身の牛肉、魚などに、後者は野菜や卵、牛乳、大豆製品などに多く含まれています。ヘム鉄と非ヘム鉄の違いは、体内での吸収率です。ヘム鉄のほうが吸収率は高く効率よく体内に取り込めるため、貧血予防のために積極的に摂取しましょう。一方、非ヘム鉄はヘム鉄よりも吸収率は下がりますが、ビタミンCや動物性タンパク質と一緒に摂ると吸収率が上がります。 鉄分に加えて、赤血球やヘモグロビンの材料となるタンパク質や、赤血球の生成を助けるビタミンB12・葉酸の摂取も大切です。タンパク質は鶏肉や牛肉、豚肉、卵、乳製品に、亜鉛は牡蠣や牛肉、レバー、卵、チーズなどに多く含まれています。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
自分では貧血が原因だと思っていても、別の要因で抜け毛が起きている場合があります。クリニックや医療機関に相談すれば、血液検査で貧血の有無を確認でき、必要に応じて鉄剤などの治療を受けられます。また、抜け毛の原因がAGAなどにある場合は、原因に応じた治療の提案を受けられる場合があります。抜け毛が続くときや原因がはっきりしないときは、一度専門の医療機関で相談してみましょう。
抜け毛に関する相談は、オンライン診療でも可能です。オンライン診療は、忙しい方や通院が難しい方も、都合の良いときに治療を受けられるのが魅力です。スマートフォンやパソコンを使って自宅にいながら医師に相談でき、医療機関によっては薬が自宅に届きます。抜け毛の治療で病院に行くことに抵抗がある方も、受診のハードルが下がりやすいため、ひとつの選択肢として検討するのも良いでしょう。
ここでは、貧血と抜け毛に関するよくある質問をまとめました。Q&A形式で回答するので、ぜひご覧ください。
貧血による抜け毛は自然に治りますか?
原因が一時的な栄養不足や月経などであれば、貧血の改善とともに変化が見られる場合があります。一方で、慢性疾患などが背景にある場合は、根本的な原因への対処を行わないと、期待する変化を感じにくくなることがあります。抜け毛が続くときは医療機関に相談しましょう。
貧血による抜け毛は男性にも起こりますか?
男性にも起こります。過度な食事制限や偏食、激しい運動、胃腸の病気などで鉄分が不足すると、男性でも貧血や抜け毛につながることがあります。ただし男性の抜け毛はAGAが原因のことも多いため、見極めが大切です。
鉄分はサプリメントで補っても良いですか?
食事で十分に摂れない場合は、サプリメントで補う方法もあります。ただし過剰に摂ると胃腸の不調などが起こることがあるため、用量を守り、心配なときは医師に相談しましょう。
貧血と抜け毛には関わりがあり、貧血になると毛母細胞へ届く酸素や栄養が不足して、抜け毛が起こりやすくなります。貧血の主な原因は、鉄分不足や栄養バランスの偏り、慢性疾患、出血などです。予防と改善には、鉄分を意識した栄養バランスの良い食事が役立ちます。 一方で、抜け毛の原因は貧血だけとは限りません。とくに男性では、進行性のAGAが抜け毛の主要因です。医師の診断をもとに原因に応じた治療をするためにも、抜け毛が長く続くときや原因がはっきりしないときは、医療機関の受診を検討すると良いでしょう。 通院の時間がとりにくい場合は、オンライン診療を利用する方法もあるので、自分に合った受診方法を選ぶと良いでしょう。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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