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更新日:2024年04月18日

脂漏性脱毛症とは?症状の特徴や治し方、改善方法を解説

この記事のまとめ
  • 脂漏性脱毛症とは、脂漏性皮膚炎から起こる脱毛症である
  • 脂漏性脱毛症の主な原因は、皮脂の過剰分泌によって増殖したカビである
  • 脂漏性脱毛症は、抗真菌薬やステロイドで治療する
  • 脂漏性脱毛症は、初期段階であればセルフケアで改善する可能性がある

「頭皮がベタついていて抜け毛が増えた」「フケや頭皮の炎症が頻繁に起こる」と感じている方は、脂漏性脱毛症の可能性があります。

この記事では、脂漏性脱毛症がどんな脱毛症であるかを詳しく解説します。脱毛以外に現れる症状や脂漏性脱毛症の原因なども解説するので、脂漏性脱毛症を発症しているかもしれないと感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

脂漏性脱毛症とは

脂漏性脱毛症は、脂漏性皮膚炎から起こる脱毛症であり、年齢や性別を問わず発症する可能性があります。

脂漏性皮膚炎は、皮脂の過剰分泌によって引き起こされる炎症で、皮脂の分泌が盛んな頭皮や顔、胸、背中などで起こりやすいのが特徴です。この炎症によって頭皮環境が悪化すると、髪の毛が十分に育ちにくくなるため抜け毛が起こります。この状態を脂漏性脱毛症といいます。

脂漏性脱毛症の症状

脂漏性脱毛症を発症すると、抜け毛以外にも複数の症状が現れる場合があります。

それぞれの症状について詳しく解説します。

頭皮のベタつき

脂漏性脱毛症を発症すると、頭皮のベタつきを感じることがあります。髪の根元に近いほどベタつきやすく、症状がひどくなると髪の毛全体が湿ったようにベタついたり、毛穴に黄色い皮脂が詰まったりすることがあります。

フケ

脂漏性脱毛症を発症すると、フケの量が増えることがあります。一般的なフケは白くてカサカサしていますが、脂漏性脱毛症の発症に伴うフケは黄色味がかっていて大きくベタベタしていることが特徴です。

ニキビや湿疹

脂漏性脱毛症によって、ニキビや湿疹が起こることもあります。ニキビや湿疹は、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まることで引き起こされます。皮脂腺が発達している生え際や眉間に起こりやすいのが特徴です。

脂漏性脱毛症の主な原因

脂漏性脱毛症の原因は完全には明らかにされていませんが、マラセチア菌というカビ(真菌)の異常繁殖が関係していると考えられています。このカビは、人間を含む動物の皮膚に常在している菌の一種です。

マラセチア菌は、皮脂バランスが安定している健康な状態の皮膚にも存在しますが、基本的に害はありません。しかし、皮脂や汗などが過剰に分泌されると、それをエサにして増殖し、炎症を起こしてしまう可能性があります。

皮脂の分泌量が増える原因

前述した通り、マラセチア菌の増殖は、皮脂の過剰分泌によって起こります。そこで、皮脂の分泌量を増やしてしまう原因をご紹介します。

睡眠不足

睡眠不足は、皮脂の分泌量を増加させる可能性があります。睡眠不足になると、身体をリラックスさせる副交感神経が働かず、交感神経が優位な状態が続きます。交感神経には男性ホルモンの分泌を促す働きがあるため、睡眠が不足すると皮脂の分泌量が増えてしまうのです。

また、睡眠不足は、肌のターンオーバーを乱す原因にもなります。肌のターンオーバーを促す働きのある成長ホルモンは、特に睡眠中に多く分泌されるからです。

脂っこい食事

ジャンクフードやファーストフードなどの脂っこい食事は、皮脂の過剰分泌を引き起こす原因となります。脂っこい食事には脂質が多く含まれているからです。

また、脂っこい食事は、肌の乾燥やターンオーバーの乱れを引き起こし、皮脂の分泌量が増加させてしまうことがあります。脂質をエネルギーに変える際に、皮脂の分泌をコントロールする働きのあるビタミンB2やビタミンB6が大量に消費されてしまうからです。

誤ったヘアケア

洗浄力の強いシャンプーを使用していると、皮脂を過剰に落としてしまい、それを補おうと皮脂の分泌が増えることで、かえって頭皮環境を悪化させてしまうおそれがあります。

また、1日に何度もシャンプーをするのも、必要な皮脂までもを洗い流してしまうため注意が必要です。

ストレス

ストレスが溜まると、男性ホルモンが過剰に分泌されるため、皮脂の分泌量が増える可能性があります。

また、ストレス解消といって過度な飲酒や喫煙をするのも、皮脂を増やす原因となります。お酒に含まれるアルコールには毛細血管が拡張する作用があるため、皮脂腺が刺激され、皮脂の分泌が促進されてしまいます。また、喫煙は交感神経を優位にするため、男性ホルモンの分泌が増えることで皮脂を増やしてしまうのです。

脂漏性脱毛症とAGAの違い

脂漏性脱毛症とAGA(男性型脱毛症)の違いは、発症する原因にあります。

脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌によって起こる脂漏性皮膚炎が原因で引き起こされるのに対して、AGAはジヒドロテストステロンという男性ホルモンの作用が原因で引き起こされます。

また、脂漏性脱毛症の発症には後天的な要因が大きく、年齢や性別に関わらず発症する可能性がある一方で、AGAは遺伝的要因が大きく、成人が多く発症するのが特徴です。

脂漏性脱毛症とAGAは併発することがあるため、頭皮の炎症がある部位以外にも脱毛がある場合は、注意が必要です。

脂漏性脱毛症の治療方法

脂漏性脱毛症は、抗真菌薬やステロイドで治療するのが一般的です。それぞれの特徴は下記の表のとおりです。

効果長期使用1ヶ月以内の再発
抗真菌薬マラセチア菌の活性を抑える可能しにくい
ステロイド炎症を抑える副作用のリスクが大きいしやすい

脂漏性脱毛症は治療によって完治させることができますが、AGAを併発している場合は、薄毛の症状を完治させることが難しいです。AGAは進行性の脱毛症のため、治療をせずに放っておくとどんどん進行してしまいます。「AGAの可能性もあるかもしれない」と感じる方は、一度AGA専門のクリニックを受診してみるのがおすすめです。

脂漏性脱毛症を改善させる方法

脂漏性脱毛症は、「頭皮が脂っぽい」「フケが増えてきた」などの初期段階であれば、セルフケアで治る可能性があります。しかし、抜け毛の量が多い場合や頭皮に炎症が起きている場合は、クリニックでの治療が必要なため、すぐに医師へ相談しましょう。

ここでは、脂漏性脱毛症を改善するためのセルフケアの方法をご紹介します。

食生活を改善する

脂漏性脱毛症を改善させるためには、脂っこい食べ物や糖質が多い物を食べる頻度や量を減らすよう心がけましょう。普段からファーストフードやコンビニ弁当を食べる機会が多い方は、注意が必要です。

また、ビタミンやミネラルが豊富に含まれている物を積極的に食べることも有効です。ビタミンやミネラルには、肌の乾燥を防ぎ、皮脂の分泌量を減らす効果があります。小松菜やピーマンなどの緑黄色野菜や、レタスやキャベツなどの淡色野菜を普段の食事に取り入れるようにしましょう。

睡眠の質を改善する

睡眠の質を改善することで、皮脂の過剰分泌を抑え、脂漏性脱毛症を改善することができます。睡眠の質を高めるためには、寝る1時間前からスマホの使用を控えたり、夕方以降はコーヒーや紅茶などに含まれるカフェインの摂取を控えたりするのがおすすめです。

また、睡眠の質を高めるためには、十分な睡眠時間を確保することも重要です。厚生労働省によると、働く世代に必要な睡眠時間は6~9時間とされています。1日に少なくとも6時間以上の睡眠時間を確保するようにしましょう。

ただし、睡眠時間を確保していても、眠りにつく時間が日によって異なると、体内時計が狂って睡眠の質が悪化することがあります。毎日なるべく同じ時間にベッドに入るよう心がけましょう。

参考:厚生労働省「知っているようで知らない睡眠のこと

シャンプーを見直す

脂漏性脱毛症を改善するためには、普段使用しているシャンプーを見直してみるのも有効です。

頭皮が敏感になっている方は、洗浄力がマイルドなアミノ酸シャンプーを使用するのがおすすめです。洗浄力の強いシャンプーは、必要な皮脂まで洗い流してしまい、かえって皮脂の分泌量を増やしてしまう可能性があります。

洗浄力の強いシャンプーには、石油系の洗浄剤が使われていることがほとんどです。普段使用しているシャンプーの成分表を確認し、石油系洗浄剤の代表的な成分である「ラウリル硫酸Na」や「ラウレス硫酸Na」が記載されていたら、シャンプーの変更を検討してみてもよいでしょう。

ストレスを発散する

脂漏性脱毛症を改善させるためには、皮脂の過剰分泌の原因となるストレスを発散させるのも一つの手です。

仕事やプライベートが忙しくて、リラックスする時間がなかなかとれない方は、下記の手軽にできるストレス発散法を試してみるのがおすすめです。

  • 日光を浴びる
  • 家族や友人に話を聞いてもらう
  • 好きな音楽を聴く
  • 深呼吸をする
  • ストレッチをする

まとめ

脂漏性脱毛症は、脂漏性皮膚炎から起こる脱毛症です。脂漏性脱毛症の主な原因であるカビは、皮脂の過剰分泌によって引き起こされます。そのため、脂漏性脱毛症を改善するには、食生活や使用しているシャンプーなどを見直して、皮脂の分泌量を抑えるのが有効です。

脂漏性脱毛症は、初期段階であればセルフケアで治る可能性がありますが、抜け毛や炎症などの症状がひどい場合はクリニックでの治療が必要になります。気になる方は、皮膚科を受診することをおすすめします。

抜け毛の症状がひどい場合、脂漏性皮膚炎以外に考えられる原因としてAGA(男性型脱毛症)があります。AGAを発症している可能性がある場合は、AGA専門のクリニックやオンライン診療サービスを受診するのがおすすめです。

レバクリでは、AGAのオンライン診療サービスを運営しています。診察料は無料のため、自分の症状がAGAの可能性もあるかもしれないという方はお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会