更新日:2026年02月04日
「最近抜け毛が気になるものの、AGAとは症状が少し違う」と感じている方もいるかもしれません。抜け毛に加えて頭皮のベタつきやフケがある場合は、脂漏性脱毛症の可能性があります。 脂漏性脱毛症は皮脂の過剰分泌と頭皮の炎症によって引き起こされる抜け毛の症状です。
本記事では脂漏性脱毛症の特徴や主な原因について解説します。また、脂漏性脱毛症とAGAとの違いや効果的な治療法、セルフケア方法も紹介するので、ぜひご一読ください。
脂漏性脱毛症とは、皮脂の過剰な分泌と頭皮の炎症によって引き起こされる抜け毛の症状です。脂漏性脱毛症は頭皮がべたつき、黄色っぽい湿ったフケが現れることが特徴的です。この状態が続くことで髪の毛が徐々に細くなり、やがて抜け落ちます。皮脂の過剰分泌によって頭皮環境が悪化し、毛根に炎症が起きることで髪の成長サイクルに悪影響を及ぼします。
脂漏性脱毛症は早期に適切な対応をすれば改善可能な症状です。頭皮の清潔を保ち生活習慣を見直すことで症状が軽減される場合もあります。脂漏性脱毛症は放置すると症状が悪化する場合があるため、早めの対策が重要です。
脂漏性脱毛症とAGA(男性型脱毛症)は見た目が似ていることから混同されがちですが、原因に明確な違いがあります。国民生活センターの「AGA治療、植毛」によると、AGAは主に男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンが頭髪の成長を抑制するために起こります。毛根が徐々に小さくなり、髪が細く短くなる遺伝的要因が強い症状です。一方、脂漏性脱毛症は皮脂の過剰分泌と頭皮の炎症が主な原因です。
また、脂漏性脱毛症は適切なケアで改善する可能性があるのに対し、AGAは進行性の疾患であるため、すでに薄毛が進行している場合セルフケアでの改善は難しい傾向があります。脂漏性脱毛症とAGAの症状の見極めが難しい場合は、医師による診断を受けるのがおすすめです。
AGAについて詳しく知りたい場合は、「AGAとは?抜け毛・薄毛が進行する男性型脱毛症について分かりやすく解説」の記事をあわせてチェックしてみてください。
参考:国民生活センター「AGA治療、植毛」
脂漏性脱毛症と円形脱毛症はどちらも「脱毛症」という名称がついているものの、まったく異なる疾患です。円形脱毛症は自己免疫疾患の一種で、体の免疫システムが毛包を攻撃することによって起こります。円形脱毛症は突然コイン大の丸い範囲の髪が抜け落ちるのが特徴です。
脂漏性脱毛症は頭皮にべたつきや湿ったフケが見られる一方、円形脱毛症は頭皮自体は健康な状態であることが多いのです。また、円形脱毛症は精神的ストレスとの関連が指摘されていますが、脂漏性脱毛症は主に頭皮環境の悪化が原因となります。
脂漏性脱毛症を引き起こす原因にはどのようなものがあるのか気になる方もいるかもしれません。脂漏性脱毛症の主な原因は以下のとおりです。
ここでは、上記4つの脂漏性脱毛症を引き起こす原因についてそれぞれ詳しく解説します。
脂漏性脱毛症の原因の一つは、マラセチア菌の過剰な繁殖です。マラセチア菌は頭皮に存在する常在菌ですが、皮脂が過剰に分泌されると異常に繁殖します。マラセチア菌は皮脂を餌として分解する際に遊離脂肪酸を産生するのです。
遊離脂肪酸が頭皮に炎症を引き起こし頭皮のバリア機能を低下させます。その結果、頭皮の炎症が悪化して毛根にダメージを与えることで抜け毛が増加するのです。マラセチア菌の繁殖は頭皮のベタつきだけでなく、かゆみや赤みなどの症状も引き起こします。
ホルモンバランスの乱れは脂漏性脱毛症の発症原因の一つです。特に男性ホルモンであるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素によって変換されたDHT(ジヒドロテストステロン)は、皮脂腺の活動を活発化させます。これにより頭皮の過剰な皮脂分泌が起こり、脂漏性脱毛症の環境が整うのです。
ホルモンバランスの乱れは加齢による自然なホルモン変化のほか、ストレスや睡眠不足、不規則な食生活なども影響します。女性の場合は月経周期や妊娠、更年期などのライフステージの変化に伴うホルモンの変動も脂漏性脱毛症の原因の一つです。
不規則な生活習慣は脂漏性脱毛症の発症や悪化につながります。特に偏った食生活や睡眠不足、過度のストレス、運動不足などが主な要因として挙げられます。生活習慣の乱れは頭皮の皮脂分泌のバランスを崩し、脂漏性脱毛症の症状を引き起こしやすくなるのです。
脂質や糖質の過剰摂取を含む偏った食生活は皮脂の過剰分泌につながり、頭皮環境を悪化させる可能性があります。また、ビタミンや亜鉛の不足は、髪の健康維持に必要な栄養素が足りなくなるため、髪の成長に悪影響を及ぼす場合もあります。
睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、免疫機能を低下させます。免疫機能の低下により頭皮の炎症反応が起こりやすくなり、マラセチア菌などの増殖を促進させるのです。
「薄毛は生活習慣で改善できる?薄毛を予防・改善するための生活習慣とは?」の記事では、生活習慣を改善する方法について解説しているので、ぜひご一読ください。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
不適切なヘアケアは脂漏性脱毛症を悪化させる要因となります。洗浄力の強過ぎるシャンプーの使用は頭皮の必要な皮脂まで奪ってしまい、皮脂腺が過剰に皮脂を分泌する反応を引き起こします。
また、髪の洗い過ぎは頭皮を乾燥させ、反対に洗わなさ過ぎると皮脂や汚れが蓄積するため、洗髪の頻度も重要です。個人の皮脂分泌量や生活環境によって最適な頻度は異なりますが、脂漏性脱毛症の場合は1日1回の洗髪がおすすめです。
さらに、整髪料の使い過ぎや洗い流し不足も頭皮環境を悪化させる原因になり得るのです。特にワックスやジェルなどの油性の整髪料は頭皮に残ると毛穴をふさぎ、炎症を引き起こす可能性があります。
脂漏性脱毛症の治療法には内服薬と外用薬があり、症状の程度や原因に合わせて適切な方法を選択することが大切です。
軽度の症状であればセルフケアで改善することもありますが、症状が進行している場合は医療的なアプローチが必要になります。ここでは、内服薬と外用薬のそれぞれの治療法について詳しく見ていきます。
脂漏性脱毛症の内服薬治療は頭皮の過剰な皮脂分泌を抑制し、体内から頭皮環境を改善するアプローチです。クリニックで処方される内服薬には抗真菌薬や抗アンドロゲン薬などがあります。
特にイトラコナゾールなどの成分が含まれる抗真菌薬には、マラセチア菌などの増殖を抑制する効果があります。一方、抗アンドロゲン薬は男性ホルモンの働きを阻害し皮脂の過剰分泌を抑える効果があります。ただし、抗真菌薬や抗アンドロゲン薬は副作用の可能性もあるため、医師の指導のもとで適切に使用しなければなりません。
内服薬の治療は効果が現れるまでに数週間から数ヶ月程度掛かる場合があります。また、服用を中止すると症状が再発する可能性があるため、医師の指示に従った継続的な治療が必要です。自己判断での服用中止や用量調整は避け、気になる点があれば医師に相談しましょう。
外用薬を用いた脂漏性脱毛症の治療では直接頭皮に薬を塗布することで、局所的な環境改善を図ります。脂漏性脱毛症の主な外用薬にはステロイド外用薬があります。ステロイド外用薬は脂漏性脱毛症の症状がひどい場合に短期間使用することで炎症を抑え、かゆみや赤みを軽減する薬です。
ただし、長期間の連続使用は頭皮の萎縮や副作用のリスクが高まるため、医師の指示に従った適切な使用が必要になります。
外用薬を効果的に使用するためにはまず頭皮を洗浄し、清潔な状態で薬剤を塗布することが重要です。外用薬によって使用法や頻度は異なるため、医師や薬剤師の指示に従いましょう。長期的な治療が必要な場合もあるため、根気よく継続することが大切です。
脂漏性脱毛症は日常生活でのセルフケアによって症状改善が期待できる症状です。専門医の治療と並行して以下のセルフケア方法を取り入れることで、より脂漏性脱毛症の症状を改善できるでしょう。
セルフケアの効果には個人差があるものの、継続することで頭皮環境が徐々に改善し、健やかな髪の成長につながります。脂漏性脱毛症の症状が重い場合やセルフケアだけでは改善が見られない場合は、クリニックでの治療を検討してみましょう。
ここでは、脂漏性脱毛症のセルフケアを3つ紹介します。
脂漏性脱毛症の改善にはバランスの取れた食生活が重要です。脂質や糖質の過剰摂取といった偏った食事は頭皮の皮脂分泌を促進し、症状を悪化させる可能性があります。
そのため、意識して摂取したいのはビタミンやミネラルです。特にビタミンB群や亜鉛は健康な髪の成長に関わる栄養素とされています。緑黄色野菜や豆類、ナッツ類などをバランスよく食べることで、髪の成長に必要な栄養素を摂取できます。
一方、揚げ物やファストフードなどの高脂肪食品、甘い菓子類、アルコールの過剰摂取は避けるべきです。皮脂分泌を増加させて脂漏性脱毛症の症状を悪化させる可能性があります。
また、水分摂取も忘れてはなりません。適切な水分補給は体内の老廃物の排出を促し、頭皮環境の改善につながるため、1日あたり1.5〜2リットルの水分を意識して摂るよう心掛けましょう。
脂漏性脱毛症の改善には適切なヘアケア習慣が大切です。頭皮の過剰な皮脂や汚れを除去しながらも必要な潤いを保つことを意識しなければなりません。
正しいヘアケアの方法は以下のとおりです。
洗髪の際は上記のポイントを押さえて正しいヘアケアを心掛けましょう。
特に脂漏性脱毛症にはケトコナゾールなどの抗真菌成分が配合された薬用シャンプーがおすすめです。抗真菌成分が含まれるシャンプーを使うことで、頭皮の清潔を保ちつつ真菌の増殖を防げます。また、刺激の少ないアミノ酸系シャンプーは頭皮の必要な皮脂を残しつつ、汚れを落とすのに適しています。
ストレスは脂漏性脱毛症の悪化要因となり得るため、ストレスをため込み過ぎないことが大切です。過度のストレスは自律神経のバランスを崩して皮脂分泌を増やしたり、頭皮の血行を悪くしたりします。
ストレスを管理する方法は十分な睡眠を確保することです。睡眠不足は皮膚の回復機能を低下させ、頭皮環境の悪化につながります。厚生労働省の「成人のためのGood Sleepガイド」によると、6時間以上の睡眠時間を確保することが推奨されています。日中に身体を動かし、夜は暗く静かな環境で休むように心掛けましょう。
また、趣味や娯楽の時間をもつこともストレスをため込み過ぎないためには重要です。「好きな音楽を聴く」「読書をする」「友人と会話する」など、自分がリラックスできる活動を意識的に取り入れましょう。また、深呼吸や瞑想などのリラクゼーションもストレスを軽減できます。
ストレス解消法は人によって効果的なものが異なります。自分に合ったストレス解消方法を見つけ、徐々に習慣化させていきましょう。
「薄毛は睡眠で治る?睡眠と薄毛の関係を詳しく解説」の記事では、睡眠と薄毛の関係について解説しているので、ぜひご一読ください。
参考:厚生労働省の「成人のためのGood Sleepガイド」
ここでは、脂漏性脱毛症に関するよくある質問をまとめました。女性が脂漏性脱毛症を発症する可能性や治療による改善見込み、効果的なシャンプー選びのポイントなどを解説します。
女性も脂漏性脱毛症を発症することがあります。脂漏性脱毛症はホルモンバランスの変化や生活習慣の乱れが原因となって女性にも起こり得る症状です。
女性の体内においても男性ホルモンが分泌されており、ホルモンバランスが崩れると皮脂の過剰分泌につながるためです。
脂漏性脱毛症は適切な治療によって改善が見込まれる疾患です。皮脂の過剰分泌と炎症を抑えることで毛根や頭皮環境を整え、健康な髪の成長を促すことが可能になります。
脂漏性脱毛症の治療法は薬物療法と生活習慣の改善が中心です。クリニックでは内服薬や外用薬などが処方されることが一般的です。治療の効果には個人差があるものの、早期に適切な治療を始めれば症状の改善が見られる傾向があります。
脂漏性脱毛症に効果的なシャンプーを選ぶ際は過剰な皮脂を洗い流し、頭皮の健康を保つ成分が含まれているものを選ぶことが重要です。
まず、洗浄力が適度なシャンプーを選びましょう。洗浄力が強過ぎると必要な皮脂まで奪い、かえって皮脂の過剰分泌を招く恐れがあります。一方、洗浄力が弱過ぎると皮脂を落としきれません。アミノ酸系の洗浄成分を含むシャンプーは、穏やかに汚れを落とせるためおすすめです。
また、抗真菌成分が配合されたシャンプーも効果的です。マラセチア菌の増殖を抑える成分が含まれているシャンプーの場合、頭皮環境を整えて炎症を抑える働きを期待できます。
脂漏性脱毛症は過剰な皮脂分泌と頭皮の炎症によって引き起こされる抜け毛症状です。頭皮のベタつきや湿った黄色いフケが特徴で、AGAや円形脱毛症とは原因や症状が異なります。脂漏性脱毛症の主な原因はマラセチア菌の繁殖やホルモンバランスの乱れ、生活習慣の乱れ、不適切なヘアケアの4つです。
脂漏性脱毛症の治療法としては、内服薬や外用薬による医療的アプローチがあります。早期の段階であればセルフケアで改善できる場合もあります。効果的なセルフケアはバランスの良い食生活や適切なヘアケア習慣、ストレス管理などです。
脂漏性脱毛症は女性も発症する可能性があり、適切な治療やケアを継続することで症状の改善が見込めます。シャンプーを選ぶ際はアミノ酸系や抗真菌成分配合の製品がおすすめです。脂漏性脱毛症の症状が重い場合や改善が見られない場合は、医師への相談を検討しましょう。