更新日:2026年08月05日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「抜け毛が増えてきたけど原因は何?」と不安を感じている男性もいるかもしれません。抜け毛の原因は生活習慣の乱れやストレス、誤ったヘアケアなどさまざまですが、進行性のAGA(男性型脱毛症)が隠れていることもあります。 本記事では、男性の抜け毛が増える主な原因や頭皮環境を整えるセルフケア、受診の目安を紹介します。AGAが原因の場合の治療法も解説するので、参考にしてみてください。
男性の抜け毛で考えられる原因は、以下の5つです。
抜け毛が増える原因は一つではなく、男性の場合は複数の要因が重なって起こることが考えられます。まずは、自分の抜け毛に当てはまる原因を知ることが、対策の第一歩になります。
生活習慣の乱れが直接抜け毛を招くわけではありませんが、偏った食事や睡眠不足、運動不足は頭皮環境を悪化させ、結果的に抜け毛の原因につながる場合があります。脂質や塩分に偏った食生活は頭皮環境を乱す要因の一つです。
また、成長ホルモンは深い睡眠中に多く分泌されます。そのため、浅い眠りが続いたり、睡眠不足になると成長ホルモンが十分に分泌されず、結果的に頭皮環境を悪化させてしまう恐れがあるでしょう。
強いストレスを継続的に感じると、自律神経のバランスが崩れ、血管が収縮して頭皮への血流が慢性的に悪化してしまいます。髪に栄養が届きにくくなることで、本来抜けるはずのない成長期の髪まで弱らせる原因となりかねません。
また、ストレスは男性ホルモンのバランスにも影響を及ぼします。皮脂が過剰に分泌されて頭皮環境が悪化し、さらなる抜け毛を招くという悪循環につながる可能性もあるでしょう。
毎日行っているシャンプーなどのヘアケアが、頭皮環境を悪化させているケースも考えられます。間違った洗髪方法の例は、以下のとおりです。
頭皮の表面には保護膜(皮脂膜)があり、肌を守っています。洗浄力の強過ぎるシャンプーで必要以上に皮脂を奪ってしまうと、保護膜を壊し頭皮環境の悪化につながるでしょう。
また、爪を立てて洗うと頭皮の保護膜に傷を作り、炎症を引き起こすきっかけとなります。熱過ぎるお湯は頭皮の乾燥や刺激につながる場合があるため、ぬるめのお湯を使用しましょう。
成人男性における抜け毛の原因の一つが、AGA(男性型脱毛症)です。AGAは一般に徐々に進行する病気であり、自然改善は期待しにくい脱毛症です。何も対策をしなければ、髪が生え変わるヘアサイクル(毛周期)が乱れ、薄毛の範囲は徐々に広がっていく場合があります。
特に、生え際や頭頂部の抜け毛が気になっている場合は、AGAの可能性があるため、医師に相談してみましょう。
抜け毛を伴う疾患はAGA以外にもあります。たとえば、円状に髪が抜ける「円形脱毛症」は自己免疫疾患の一つであり、AGAとは治療法が異なります。 また、頭皮に強いかゆみやベタつき、フケが出る「脂漏性皮膚炎」は、頭皮の常在真菌であるマラセチア菌の増殖が原因で、慢性化・再発しやすいといわれています。こうした疾患に対してAGA治療を行っても抜け毛は改善しないため、原因を見極めることが重要です。
抜け毛予防・対策のためのセルフケアには、バランスの良い食事や良質な睡眠、適度な運動などがあります。これらの生活習慣の改善が直接的に抜け毛予防につながるわけではありませんが、髪や頭皮の環境を整えることから、間接的に抜け毛予防に影響を与える可能性はあります。
ここでは、日々取り組めるセルフケアについて紹介します。
まずは、髪の成長の手助けになる栄養素を食事で十分に摂取しましょう。髪を構成する成分の約90%以上は、「ケラチン」というタンパク質です。髪の材料になる良質なタンパク質を取り入れるためには、肉・魚・卵・大豆製品などを摂取することが大切です。
さらに、タンパク質を髪へと合成するときに使われる亜鉛は、牡蠣やレバー、ナッツ類などに多く含まれるため意識的に摂取しましょう。
また、健康な髪を育むために、頭皮の血流を促すビタミンEや、粘膜を保護するビタミンB群などもバランスよく摂るのがおすすめです。 食事が偏ってしまう日は、ビタミンや亜鉛のサプリメントを活用しながら、必要な栄養を補えるように工夫するのも良いでしょう。
参考:厚生労働省「食事バランスガイド」
十分な睡眠時間を取り、髪の成長に必要な「成長ホルモン」の分泌を促すことも対策の一つです。成長ホルモンは深い眠りで集中的に分泌され、毛母細胞の修復や分裂を活性化させる役割があります。 休養感のある睡眠のためには、1日に少なくとも6時間の睡眠を確保することが必要だとされています。睡眠不足は自律神経の乱れに直結し、頭皮の血行不良を引き起こしやすくなるでしょう。 まずは、十分な睡眠時間を確保してください。また、質の良い睡眠のためにできることは以下の3つです。
日中は適度な運動をして夜には静かな環境で休むというメリハリをつけることが、質の良い睡眠で成長ホルモンの分泌を促すポイントです。
参考:厚生労働省「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」
参考:厚生労働省「成人のためのGood Sleepガイド」
適度な運動を取り入れることで全身の健康維持に役立ち、結果として髪の成長環境を整える手助けになります。厚生労働省のガイドラインによると、1日60分以上の歩行(8,000歩以上に相当)を目指すことが推奨されています。
デスクワーク中心で座りっぱなしの方は、座っている時間が長くなりすぎないよう、少しでも体を動かすと良いでしょう。
参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023成人版」
毎日できるセルフケアとして、頭皮に優しいシャンプーで正しく洗髪することも大切です。洗浄力の強いシャンプーで毎日洗うと頭皮が乾燥します。その結果、乾燥した頭皮を補おうとして皮脂が過剰に分泌され、毛穴詰まりの原因となってしまいます。 必要な皮脂を残しつつ汚れだけを落としてくれる洗浄力がマイルドな「アミノ酸系シャンプー」を使用するのも選択肢の一つです。
正しいシャンプーの流れは、以下のとおりです。
洗い流しが足りず、頭皮に洗浄成分が残ると炎症の原因になります。上記の流れを意識して、頭皮をいたわるように正しく洗髪しましょう。
「抜け毛が気になるので、どのタイミングで受診すればいいのか知りたい」と考えている方もいるかもしれません。ここからは、セルフチェックで分かる受診の目安を解説します。
毎日の抜け毛が150本を超える状態が続く場合は、受診を検討しましょう。一般的に、1日に50~100本程度は寿命によって自然に抜け落ちます。しかし、排水口の抜け毛が明らかに増えたり、枕に付着する毛が以前の倍以上になったりなど、抜け毛が数週間続く場合は注意が必要です。
特に、細く短い毛や毛根がない毛が目立つ場合は、毛周期の異常やAGAが進行しているサインの可能性があるため、自己判断せず早期の診断が推奨されます。
抜け毛を観察し、細く短い毛や毛根がついていない毛が目立っている場合、それは髪が太く成長する前に抜けてしまっている異常な状態です。また、正常な抜け毛には根元にふっくらとした白い「毛包」が付着しています。毛包がついていない場合や、形が歪んでいる場合は、毛根への栄養供給が止まっていることも考えられます。
発毛途中の抜け毛はAGAの可能性があるため、変化に気づいたら早めに医師に相談してみるのが良いでしょう。ただし、毛根がついていない場合、切れ毛の可能性もあるため、髪のダメージの有無も確認しましょう。
髪の毛自体だけでなく、頭皮にかゆみや赤み、フケなどの異常が見られる場合も、受診のサインです。かゆみや赤み、ベタついたフケが出る状態は、頭皮で炎症が起きているケースも考えられます。このような炎症は市販薬だけでは改善しない場合もあり、成分が刺激になることで、かえって悪化させる可能性もあります。
皮膚疾患からくる抜け毛の場合は、専門的な治療が必要になるため、早めに皮膚科やクリニックで相談しましょう。
セルフケアを行うことは、健康な頭皮環境を整えるベースになりますが、AGA(男性型脱毛症)による抜け毛の直接的な原因解決にはつながりません。そのため、根本的に抜け毛を抑えて髪を増やしたい場合は、医療機関での適切な治療が必要になります。
ここでは、一般的に行われているAGAの治療法について詳しく解説します。
AGA治療の一つは、内服薬(飲み薬)による抜け毛の進行抑制です。
抜け毛を抑える薬に含まれる有効成分の「フィナステリド」や「デュタステリド」には、AGAの原因となる5αリダクターゼを阻害する作用があります。それにより、抜け毛の原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制し、結果として短くなってしまったヘアサイクル(毛周期)を正常な長さに戻す効果が期待されます。
フィナステリドとデュタステリドの具体的な作用メカニズムは以下のとおりです。

参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「プロペシア錠 添付文書」
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル 添付文書」
AGAの治療には、外用薬(塗り薬)も使われています。外用薬として用いられるミノキシジルは、薄毛が気になる部分に直接塗ることで頭皮の血管拡張を促し、毛母細胞に働きかけて細胞分裂を活性化させることで、発毛を促す効果が期待されています。内服薬と合わせて使用される場合があります。

ただし、使用を途中でやめてしまうと、薬の効果で維持されていた毛髪が再び抜け落ちてしまうため、根気強く使い続けることが大切です。
薬の治療で十分な効果が得られない場合、最終手段の一つとして検討されるのが自毛植毛です。これは、AGAの影響を受けにくい後頭部の自分の髪を、毛根ごと気になる部分に移植する方法です。一度定着してしまえば、抜け落ちてもほかの髪と同様に生え変わり続けるというメリットがあります。
ただし、痛みが伴いやすくダウンタイムが必要であることや、費用が高いことなどのデメリットもある点に注意が必要です。
「抜け毛を治したいけれど、誰にも知られたくない」と悩んでいる方もいるかもしれません。オンライン診療は通院が必要なく、ほかの患者と顔を合わせずにスマートフォンなどで診察を受けられるのがメリットです。オンラインを通じて医師による診察やアドバイスを自分の好きな場所から受けられます。
さらに、処方薬は薬局まで受け取りに行く必要がなく、指定した場所に配送されるため、周りにAGA治療を知られることもありません。仕事で忙しい場合も、AGA治療を安心して続けやすいでしょう。
抜け毛の原因について、よくある疑問を質問形式でまとめました。
抜け毛の原因になる食べ物はありますか?
特定の食べ物が直接抜け毛を引き起こすという根拠はありません。ただし、脂質や塩分に偏った食事は頭皮環境を乱す要因になり得ます。
髪の材料になるタンパク質や亜鉛を含むバランスの良い食事を意識し、頭皮環境を整える土台づくりを心掛けましょう。
ストレスが原因の抜け毛は自然に元へ戻りますか?
一時的なストレスによる休止期脱毛症などの抜け毛は、原因が取り除かれて頭皮環境が整えば落ち着いていくこともあります。
一方で、進行性のAGA(男性型脱毛症)である場合は、自然には改善しにくいとされています。抜け毛が長く続く場合は、自己判断せず医師に相談するようにしましょう。
秋など季節によって抜け毛が増えることはありますか?
季節によって抜け毛量が増える可能性も考えられます。海外の研究によると、8~9月頃の抜け毛量は冬の約2倍になると報告されています。ヘアサイクルにも季節性の変動があると考えられるでしょう。ただし、髪の毛が生え変わるヘアサイクルには個人差があるため、すべての人に当てはまるわけではない点に留意しましょう。
参考:National Library of Medicine「Seasonal changes in human hair growth」
20代でも抜け毛が増えるのはなぜですか?
AGAは年齢にかかわらず発症することがあり、20代で抜け毛が増えるケースもあります。円形脱毛症などAGA以外が原因である可能性も考えられるため、原因の見極めが大切です。気になる場合は早めに医師へ相談してみましょう。
男性の抜け毛の原因は、「生活習慣の乱れ」「過度なストレス」「誤ったヘアケア」「AGA」「その他の疾患」などです。抜け毛を防ぐ直接的な対策にはなりませんが、栄養バランスの良い食事や質の良い睡眠の確保などのセルフケアは、頭皮環境を整える土台となります。
受診の目安として、1日の抜け毛が150本を超える状態が数週間続く場合や、細く短い毛が目立つ場合は、早めに医師へ相談しましょう。セルフケアだけでは根本的な抜け毛の改善は困難なため、フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬やミノキシジル外用薬などの医学的な治療が必要です。
通院の時間がとれない方や周囲に知られたくない方は、自分の好きな場所で完結するオンライン診療も選択肢の一つです。レバクリを通じた診療では、診察料なしで受診でき、最短15分で診察を受けられます。
厚生労働省「食事バランスガイド」
厚生労働省「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」
厚生労働省「成人のためのGood Sleepガイド」
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023成人版」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「プロペシア錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル 添付文書」
National Library of Medicine「Seasonal changes in human hair growth」
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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抜け毛を予防するために、自分なりのストレス解消法を見つけることも大切です。ストレスを完全にゼロにすることは難しいかもしれませんが、できるだけ没頭できる趣味やリラックスできる時間を作ってみましょう。
たとえば、 静かな公園での散歩やアロマを使った入浴、深い呼吸を意識して行うヨガなどは、副交感神経を優位にして血管を拡張させる効果があります。