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更新日:2024年07月19日

AGAに育毛剤は効果がある?発毛剤との違いやAGAの治療方法を解説

この記事のまとめ
  • 育毛剤と発毛剤の違いは、薬機法における分類である
  • 育毛剤は予防や衛生を目的とするものであり、AGAの症状を改善する効果は期待できない
  • AGAを改善するには発毛剤の使用が有効
  • AGAによる薄毛を根本的に改善するためには、AGA専門のクリニックを受診するのがおすすめ

薄毛対策について調べていると、育毛剤や発毛剤を目にする機会が多いかと思います。その中で、「そもそも育毛剤と発毛剤に違いはあるのか」「市販の育毛剤でもAGAに効果はあるのか」という疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では育毛剤のAGAに対する効果について解説します。発毛剤との違いや、主なAGA治療法の効果と副作用についても解説するので、薄毛を改善したいが具体的に何をすれば効果が得られるのかがわからないという方はぜひ参考にしてみてください。

育毛剤と発毛剤の違い

育毛剤と発毛剤は混同されやすいですが、使用する目的や含まれている成分が異なります。育毛剤の効果を確認する前に、まずは、育毛剤と発毛剤の違いを明らかにしましょう。

育毛剤と発毛剤の違いは、薬機法における分類です。育毛剤は医薬部外品、発毛剤は医薬品に分類されます。

医薬部外品は、予防や衛生を目的とした製品です。医薬部外品は、人体に対する作用がおだやかなものであるため、薬局やドラッグストアで手軽に入手することができます。

一方で、医薬品は、病気の治療を目的とした製品です。医薬品には「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の2種類があります。医療用医薬品は、医師や薬剤師などの専門家による管理が必要となるため、入手するには病院やクリニックで医師の診察を受けた上で処方してもらう必要があります。

一方で、一般用医薬品は、OTC医薬品とも言われ薬局やドラッグストアで購入することが可能です。ただし、購入する際には薬剤師や登録販売者からの適切な情報提供を受ける必要があります。

発毛剤は、病院やクリニックで処方してもらうこともできますが、医薬品の中でも一般用医薬品に分類されるため、薬局でも入手することができます。

参考:厚生労働省「医療用医薬品と一般用医薬品の比較について

育毛剤発毛剤
分類医薬部外品医薬品
目的予防や衛生治療
入手方法薬局やドラッグストアで購入する基本的に病院やAGA専門クリニックで処方してもらう

AGAを発症する原因

そもそもAGAはどのように発症するのでしょうか。

AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンの作用だとされています。ジヒドロテストステロンは、テストステロンという男性ホルモンが5aリダクターゼという還元酵素によって変換されることによって生成されるホルモンです。

髪の毛が生え変わる周期(ヘアサイクル)には、休止期・成長期・退行期の3つのフェーズがあり、正常な周期ではこのうちの成長期に2~6年かけて髪の毛は成長します。しかし、ジヒドロテストステロンが男性ホルモンレセプターという受容体と結合すると、脱毛因子が増加し、ヘアサイクルにおける成長期を短縮させてしまうのです。その結果、髪の毛が十分に成長しきらないまま抜け落ちることで、薄毛が進行します。

育毛剤はAGAの根本的治療にはならない

結論から言うと、育毛剤はAGA治療に効果がないものがほとんどです。

AGAによる薄毛を改善させるためには、AGAの原因となるジヒドロテストステロンの働きを抑制する必要があります。しかし、育毛剤に含まれているのは、血行を促進する成分や保湿成分であるため、AGAの進行を抑制する効果は期待できません。

育毛剤の効果

育毛剤はAGAによる薄毛を改善することはできませんが、今生えている髪の毛を健康に保ち、薄毛を予防する効果は期待できます。

育毛剤には、頭皮の血行促進や保湿を行い、髪の毛が成長する土台となる頭皮環境を整える効果があります。AGAによる薄毛の症状を改善するのは難しいですが、髪の毛にハリやコシがなくなってきたと感じる方や、薄毛や抜け毛を予防したいと考えている方におすすめです。

AGAによる薄毛に有効なのは育毛剤ではなく発毛剤

育毛剤と発毛剤のうち、AGAによる薄毛に効果が期待できるのは発毛剤です。発毛剤には厚生労働省が効果を認めたミノキシジルという有効成分が含まれています。

ミノキシジルは、もともと高血圧の治療薬として用いられていたため、血管を拡張して血流を促進する働きがあります。血流が良くなると、毛細血管を通じて髪の毛に十分な栄養素を受け渡すことができるため、髪の毛の成長を促すことができます。また、ミノキシジルには、髪の毛を作るもととなる毛母細胞を活性化させる働きがあるため、発毛を促進することができるのです。

クリニックでできるAGA治療方法

市販の育毛剤では、根本的にAGAを改善するのは難しいため、AGAを治療するのであれば発毛剤を使用するのがよいでしょう。発毛剤はクリニックで処方してもらうことが可能です。さらに、クリニックでは発毛剤以外にもさまざまな方法でAGAの治療を行っており、医師と相談しながら自分に合った治療法を選ぶことができます。

主要な治療法は以下の通りです。

  • AGA治療薬
  • 自毛植毛
  • 育毛メソセラピー

それぞれについて詳しく説明します。

AGA治療薬

クリニックで処方されるAGA治療薬には内服薬と外用薬があり、主な内服薬としてフィナステリドとデュタステリドが挙げられます。外用薬には、これまで説明してきた発毛剤にあたるミノキシジルがあります。

フィナステリド(プロペシア)

フィナステリドは脱毛を抑制する効果が期待できる治療薬です。AGAを発症するきっかけとなる5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類があり、Ⅰ型は全身に分布し、Ⅱ型は前頭部や頭頂部に存在するとされています。フィナステリドはこのうちのⅡ型の働きを阻害する作用があるため、AGAの原因となるジヒドロテストステロンの生成を抑えることができるのです。

発現頻度は極めて稀ですが、フィナステリドの副作用としては、下記が挙げられます。

  • 性欲の減退
  • 発疹
  • 男性機能の低下
  • 肝機能の低下

デュタステリド(サガーロ)

デュタステリドには、フィナステリドと同様に5αリダクターゼを阻害する働きがあり、脱毛を抑制する効果が期待できます。

ただし、フィナステリドは5αリダクターゼⅠ型の働きのみを阻害するのに対し、デュタステリドはⅠ型とⅡ型両方の働きを阻害することができるため、フィナステリドより効果が高いとされています。

副作用に関しても、フィナステリドと同じく性欲の減退や発疹が挙げられますが、性機能の低下などの発症頻度はデュタステリドの方が高いとされています。

ミノキシジル

前述した通り、ミノキシジルには、血管を広げる作用や毛母細胞を活性化させる作用があるため、発毛効果が期待できます。

ミノキシジルには内服薬と外用薬の2種類があり、期待できる効果は同じですが、副作用の発生具合が異なります。ミノキシジルの外用薬は、頭皮に直接塗布するため、副作用として頭皮の発疹やかゆみなどが起こる可能性があります。一方で、内服薬は体内に薬剤を取り入れるため、動悸やめまいなどの副作用が起こる可能性があるので、使用する際は副作用の違いを理解しておきましょう。

また、ミノキシジル外用薬は厚生労働省によって認可されているのに対して、内服薬は認可されておらず、安全性が確認されていないため、使用する際には注意が必要です。

関連記事:AGA治療薬の種類・効果・副作用について、ガイドラインに基づいて解説

自毛植毛

クリニックで行うAGA治療法には、自毛植毛があります。自分の髪を頭皮ごと薄毛の部分に移植する治療法です。発毛組織を含む頭皮ごと移植するため、髪を切ってもまた生えてくるようになるのがメリットです。頭皮ごと採取するため、頭に点状や線状の傷跡が残る可能性があるのがデメリットといえるでしょう。

自毛植毛の施術を受けたあとは、髪が生着せずに抜けてしまう場合があります。そのため、施術後から1週間は、髪を洗う際になるべく刺激を与えないようにしましょう。

育毛メソセラピー

クリニックで行うAGA治療法には、育毛メソセラピーもあります。育毛メソセラピーは、頭皮に直接有効成分を注入する治療法です。成分を注入する方法としては、注射針で注入する方法やレーザー、超音波によって浸透させる方法などがあります。

メソセラピーのメリットとして、内服薬での治療より効果が早く現れることが挙げられますが、費用が高くなる傾向があるのがデメリットと言えるでしょう。

使用される主な成分には下記があります。

  • ミノキシジル:発毛を促進する
  • フィナステリド:脱毛を抑制する
  • 成長因子(IGF、FGFなど):髪の毛の成長をサポートする
  • ビタミン、ミネラル、ヒアルロン酸など:頭皮環境を整える

成長因子や栄養素などの成分を注入する場合、特に身体にとって害はないため、基本的に副作用が起こる可能性はほとんどありません。しかし、ミノキシジルやフィナステリドなどの薬剤治療で使用される成分を注入する場合には、その治療薬の副作用が発生する可能性があります。

まとめ

育毛剤には、髪の毛が育つ土台となる頭皮環境を整える効果が期待できます。予防や衛生を目的とする医薬部外品に分類されるため、AGAの症状を根本から改善する効果は期待できないことがほとんどです。

一方、育毛剤と混同されがちな発毛剤は医薬品に分類され、発毛を促進する効果が期待できます。ただし、発毛剤には脱毛を抑制する成分が含まれていないため、AGAによる薄毛の進行を抑制するには、フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬をクリニックで処方してもらうのがおすすめです。

レバクリでは、AGA専門のオンライン診療サービスを行っています。オンライン診療には、通院に手間がかからない、通院していることが周囲に知られにくいといったメリットがあります。対面のクリニックでは初診料・診察料がかかることが多いですが、レバクリでは無料で診察を行っているため、まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会