更新日:2026年05月15日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「デュタステリドの初期脱毛はどのような症状?」と疑問に思っていたり、「デュタステリドを服用したら抜け毛が増えてきて困った」と不安を抱えていたりする方もいるかもしれません。実はデュタステリドの服用を開始すると、一時的に抜け毛が増える初期脱毛が起こる可能性があります。
本記事では、デュタステリドにおける初期脱毛のメカニズムなどを解説します。乗り越えるためのコツも紹介するので、気になる方は参考にしてください。
初期脱毛とは、デュタステリドの服用によって一時的に起こる現象です。デュタステリドだけではなく、AGA治療薬のフィナステリドやミノキシジルなどでも発生するといわれています。
初期脱毛はAGA(男性型脱毛症)の治療において通過点であり、いずれ自然に落ち着きます。また、発生には個人差があり、誰にでも起こる現象ではありません。ただ、デュタステリド服用前の方は初期脱毛のメカニズムや抜け毛の量の目安などを知っておくと、安心できるでしょう。
ここからは、デュタステリドの初期脱毛について、メカニズムなどを詳しく解説しましょう。
初期脱毛は、新しく健康的な髪の毛が古い髪の毛を押し出すことで生じます。
正常なヘアサイクルは、以下のように「成長期」「退行期」「休止期」を繰り返しています。

しかし、AGAが発症すると、上記の正常なヘアサイクルが乱れてしまいます。
AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)という強力な男性ホルモンによって髪の毛の成長期が短縮され、髪の毛が細く弱くなり、抜け毛が発生しやすくなるのです。
デュタステリドは、AGAの原因物質であるDHTの生成を抑制することで、髪の毛の成長期を延長し、太く抜けにくい髪の毛を作る環境を整え、正常なヘアサイクルに近づけます。太く抜けにくい髪の毛が生える過程で、AGAが原因で細く弱くなった髪の毛が抜け落ちます。これが初期脱毛です。

初期脱毛のメカニズムを理解できれば、実際に起こったときに心の準備ができるでしょう。
初期脱毛で抜ける髪の毛の量は個人差があるものの、通常の抜け毛の3倍程度になる場合があります。一般的に正常な抜け毛は1日100本程度です。初期脱毛が起こると、その3倍にあたる1日300本近くが抜ける可能性があります。
たとえば、お風呂の排水溝や枕元に付着する毛がいつもの3倍程度になるということです。抜け毛の量に驚く方もいるかもしれませんが、あくまで一時的なものであるため、過度に心配せず落ち着いて対応しましょう。
なお、初期脱毛で抜ける毛は主にAGAの影響で細く弱くなった毛です。前述のとおり、初期脱毛はAGA治療の通過点であると理解しましょう。
初期脱毛が起きた際、「頭皮が薄くなった」と見た目の変化を感じる場合があります。経過例は以下のとおりです。

ただし、初期脱毛の現れ方には個人差があり、上図よりも抜け毛が増えることや、反対にほとんど抜けない可能性も考えられます。上図はあくまで参考例として捉えておきましょう。
初期脱毛では、AGAの影響を受けた髪の毛が抜けるため、もともと薄毛が気になっていた頭頂部や生え際などが目立つ恐れがあります。初期脱毛は古い毛が抜け落ち、代わりに新しく強い髪が生え変わる通過点であることを再確認し、辛抱強く落ち着くのを待ちましょう。

初期脱毛は髪の毛が新しく生まれ変わる現象であると捉えましょう。それでも抜け毛の量に不安を感じる場合は、すみやかに医師へ相談するのがおすすめです。
初期脱毛は個人差があるものの、デュタステリド服用を開始してから2週間〜1ヶ月程度で始まる傾向にあります。早い方では飲み始めて1週間ほどで、洗髪時や起床時の枕に付着する抜け毛が増え始めるかもしれません。
特に、開始から4〜8週間前後ごろに抜け毛の増加を実感しやすくなるでしょう。ただし、初期脱毛の期間には幅があり、1ヶ月で収まるケースもあれば、3ヶ月ほど続く可能性も考えられます。初期脱毛の長さは薬の効果そのものとは直接的な関係はないため、焦らずに落ち着いて経過を見守りましょう。
デュタステリド服用時に、初期脱毛の可能性があると理解しても、受け入れるのが難しい場合があるかもしれません。
ここからは、デュタステリドによる初期脱毛を乗り越えるためのコツを紹介します。現在、初期脱毛が起きている方はもちろん、デュタステリド服用前の方も参考にしてください。
初期脱毛によって薄毛が気になる間は、薄毛が目立たない髪型を取り入れましょう。髪型で視覚的にカバーできれば、外見から感じるストレスを軽減できる可能性があるからです。
たとえば、サイドを短く刈り上げたり、全体をベリーショートにしたりするスタイルが挙げられます。残っている髪の毛で無理に隠そうとするよりも、思い切って短髪に整えるほうが、清潔感のある印象に仕上がる場合もあります。
良質な睡眠は、健康的な髪の毛を作る土台になります。入眠直後の深い眠りの際に成長ホルモンが分泌され、髪の毛の成長をサポートしてくれるでしょう。
良質な睡眠をとるための対策として、以下が考えられます。
日々の生活習慣を整えることで、髪の毛にとって理想的な環境作りが整います。
健康な頭皮環境を整えるためには、たんぱく質や亜鉛、ビタミンなどをバランス良く摂取することが大切です。髪の毛の主成分はケラチンというたんぱく質で構成されています。また、亜鉛はたんぱく質の合成を助ける役割を担っています。さらに、ビタミン類を取り入れることで、健康的な頭皮の環境作りが期待できるでしょう。
これらの栄養素の具体的な食品例は、以下のとおりです。
たんぱく質:卵、肉、魚、大豆製品など
亜鉛:牡蠣、牛肉の赤身、ブロッコリーなど
ビタミン:緑黄色野菜、柑橘類、ナッツなど
日々の食事内容を見直し、髪の毛の健康を体の内側から支えていきましょう。
ストレス解消法を見つけることは、健やかな髪の毛を育むために大切です。過度なストレスは自律神経の乱れと血行不良を引き起こす恐れがあります。初期脱毛に対して不安を抱え過ぎると、頭皮環境においてさらなるストレスを招くリスクがあるでしょう。意識的にストレス発散の習慣をつけることをおすすめします。
具体的には、ストレッチや散歩といった軽い運動を取り入れたり、自分の好きな趣味の時間を作ったりすることが効果的です。また、深呼吸するだけでも副交感神経が優位になり、リラックスした時間を過ごせるでしょう。
デュタステリドによる初期脱毛は一時的な現象のため、いずれは終わりを迎えます。兆候として、以下の状態が考えられます。
ここからは、デュタステリドによる初期脱毛が終わる兆候を、それぞれ解説しましょう。
初期脱毛のピークを過ぎると、シャンプーやブラッシングの際の抜け毛が目に見えて減少してきます。一般的には初期脱毛開始から2〜3ヶ月ほどで、抜け毛の量が通常時に戻るといわれています。日々の変化が気になる方は、カメラで写真を撮って記録しておくと、客観的に把握しやすいかもしれません。
ただし、初期脱毛が落ち着くまでの期間には個人差があるため、周囲と比べて焦る必要はありません。抜け毛の量について不安な点があれば、すみやかに医師へ相談しましょう。
毛穴から生える新しい産毛を確認できれば、初期脱毛が終わりに向かっている段階かもしれません。デュタステリドの作用により、古い髪の毛が押し出され、新しい髪の毛が生えてきているからです。
鏡の前で自身の生え際などを観察し、新しい毛が生え始めていないかチェックしてみるのもおすすめです。目に見える形で成長を実感できれば、前向きな気持ちで治療を継続できるでしょう。
デュタステリドを服用する際は、初期脱毛以外にも注意すべきことがあります。ここからは、デュタステリド服用前に知っておきたい注意点を解説します。
デュタステリドには初期脱毛以外にも、例として以下のような副作用があるため、把握しておきましょう。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構の「5α還元酵素1型/2型阻害薬男性型脱毛症治療薬劇薬、処方箋医薬品デュタステリド製剤」によると、重大な副作用として肝機能障害が挙げられています。服用によって薬の分解を行う肝臓に負担がかかるためです。ただし、デュタステリドに限らず、ほかの治療薬でも肝機能障害の副作用は考えられます。
デュタステリドの主な副作用として知られているのは、リビドー(性欲)減退、勃起不全、射精障害の性機能障害です。
上記添付文書にある国際共同第II/III相二重盲検比較試験によると、勃起不全4.3%、リビドー減退3.9%、精液量減少1.3%の割合で副作用が発現したと報告されています。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「5α還元酵素1型/2型阻害薬男性型脱毛症治療薬劇薬、処方箋医薬品デュタステリド製剤」
初期脱毛に驚いて自己判断でデュタステリドの服用を中止するのは避けましょう。服用を中断してしまうと、デュタステリドの作用によってリセットされたヘアサイクルが、再び元の乱れた状態に戻ってしまう恐れがあるからです。
上記添付文書では、デュタステリドの効果を評価するためには、通常6ヶ月間の治療が必要だと記載されています。初期脱毛により不安を感じる場合もあるかもしれませんが、まずは6ヶ月を目安に粘り強く治療を継続することが大切です。

初期脱毛や副作用への不安は、正しい知識を持つことで乗り越えやすくなります。不安なときは医師へ相談し、安心できる環境で治療を続けましょう。
ここからは、デュタステリドによる初期脱毛に関して、よくある質問をまとめました。それぞれを詳しくみていきましょう。
初期脱毛がない場合でも効果は期待できる?
初期脱毛が起こらないからといって、デュタステリドが効いていないわけではありません。
初期脱毛の有無や程度は個人の体質によって異なります。また、初期脱毛で抜ける髪の毛の量が少ない場合は、起こっていても気づかない可能性が考えられるでしょう。
初期脱毛がみられなくても、自己判断で服用を中止せず、少なくとも6ヶ月は治療を継続しましょう。焦らずに服用を続けることで、本来期待できる効果を実感できる可能性が高まります。
フィナステリドから切り替えた際も初期脱毛は起こる?
治療方針の変更により、フィナステリドからデュタステリドへ治療薬を切り替えたあとでも、服用から1〜3ヶ月程度の期間に初期脱毛が起こる可能性があります。
デュタステリドの効果によって、ヘアサイクルが新たに整うためです。デュタステリドが作用している兆候のひとつといえるでしょう。
本記事で解説した初期脱毛のメカニズムを正しく理解し、焦らずに適切な対応をとることが大切です。
2回目の初期脱毛が起こる可能性はある?
治療を開始してからしばらく経過した時期に、2回目の初期脱毛が起こる場合があります。
これもまたヘアサイクルが整う過程で起こる現象です。2回目の初期脱毛は、1回目の段階では反応しなかった毛包が時間差により活性化されたことで生じる可能性が考えられます。
「一度は症状が収まったのに」と焦ってしまう場合もあるかもしれません。しかし、自己判断で慌てて服用を中止しないよう注意しましょう。不安を感じる場合は、医師へ状況を相談してください。
デュタステリド服用による初期脱毛は、薬の作用で乱れたヘアサイクルが整い、古くて弱い髪の毛が新しく健康な髪の毛に押し出されることで起こる一時的な現象です。初期脱毛は、治療が順調に進んでいる兆候とも捉えられます。
個人差はありますが、デュタステリド服用から2週間から1ヶ月程度で始まる可能性があり、抜け毛の量が通常の3倍ほどに増える場合もあります。一般的には、3ヶ月ほどで落ち着く傾向にあるため、過度に心配する必要はありません。
初期脱毛に驚いて自己判断でデュタステリドの服用を中止すると、本来期待できる効果が得られない恐れがあります。初期脱毛に不安を感じる際は、医師へ相談することが大切です。
なお、初期脱毛の有無には個人差があります。初期脱毛がなかったとしても、デュタステリドが効いていないわけではありません。
5α還元酵素1型/2型阻害薬男性型脱毛症治療薬劇薬、処方箋医薬品デュタステリド製剤
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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