更新日:2023年12月22日
マカは、男性の滋養強壮に効果があるサプリメントです。しかし、その効果から「薄毛につながるのではないか?」と思う方も多いようです。
そこで本記事では、マカの基本情報やマカと抜け毛の関係性について解説します。また、正しいマカの服用方法についても紹介しているため、マカの服用を検討されている方はぜひ参考にしてください。
マカは、南米のアンデス山脈近郊に自生する根菜の一種で、大根などと同じアブラナ科に分類される植物です。
アンデス山脈近郊は、年間平均気温が7℃以下、かつ冷害や干ばつが発生することも多く、植物が生息するには過酷な環境。この環境でも栄養を豊富に貯め込んで成長していくマカは、現地ではスーパーフードとして、古くから重宝されています。
現在では、老化予防や疲労回復、精力アップなどの効果が期待できるサプリメントとして、世界中の人々に愛用されています。
結論からいうと、マカの副作用で抜け毛になることはありません。ここでは、なぜマカの副作用として抜け毛が発生するといわれるようになったのか、その背景を解説します。
マカの副作用に抜け毛があるといわれる理由は、マカの作用の1つである性欲向上が関係しています。
男性の性欲が向上する要因の1つは、男性ホルモンの一種であるテストステロンの作用によるものです。また、テストステロンに関して、男性型脱毛症であるAGAの原因になると思っている人がいるようです。
そのため、マカを服用するとテストテロンが増え、薄毛になるのではといわれるようになったと考えられます。
しかし、実際にはテストステロンの増加がAGAの原因になるわけではありません。AGAの直接の原因となる男性ホルモンは、ジヒドロテストステロンです。ジヒドロテストステロンは、テストテロンが5αリダクターゼという酵素によって変換され、生成されます。
仮にテストステロンが増えたとしても、5αリダクターゼによって変換される量まで増えるわけではないため、ジヒドロテストテロンが増えることはありません。また、マカと薄毛の関係を示す研究データも現在のところありません。よって、マカによる薄毛のリスクは低いといえるでしょう。
テストステロンと薄毛の関係について詳しく知りたい方は、「テストステロンは薄毛の原因?日常生活でもできる薄毛の改善方法も解説!」も参考にしてみてください。
マカは抜け毛を助長するものではなく、抜け毛を予防する効果があるものとして期待されています。マカに含まれる成分の1つにベンジルグルコシノレートという物質があり、これには成長ホルモンの分泌促進や女性ホルモンバランスを整える効果があるとされています。
薄毛の原因は、前述したようにジヒドロテストステロンが関係していますが、ほかにも血流の低下などが可能性として指摘されています。ベンジルグルコシノレートはテストテロンを直接増やすことはありませんが、成長ホルモンの分泌を促すことで、代謝や血流が改善され、抜け毛の予防や改善に対して、一定のが期待できるとされています。
ここでは、マカに含まれる成分を紹介していきます。なお、マカに含まれる成分はサプリメントの製作会社によって微妙に異なるため、ここでは主要な成分をピックアップしています。
アルギニンはタンパク質を構成するアミノ酸のひとつです。人間の体内でも作ることができますが、加齢に伴い生産量は減っていくため、食事やサプリメントから補う必要があります。アルギニンの効果は、成長ホルモンの分泌促進や筋肉の増強、免疫力の向上、血流改善硬化などです。
ミネラルの1種に分類される亜鉛は、体の成長や維持に関わる成分です。必須微量ミネラルであり、人間の体内では作ることができません。
また、亜鉛は髪の毛の成分の1つであるケラチンを合成するために必要なミネラルを含んでおり、髪の成長に良い影響を及ぼす可能性があります。
ベンジルグルコシノレートは、ダイコンにも含まれる辛み成分の1つで、抗酸化力を向上させる効果が期待されています。抗酸化力とは、老化などにつながる活性酸素を無害にするための力のことです。
また、滋養強壮や精子の増加など精力に関する効果も、このベンジルグルコシノレートによる効果であるとも考えられています。
ビタミンEも、抗酸化作用があるビタミンの1つです。数あるビタミンの種類の中でも、加齢によって発症しやすい疾患の予防に役立つ栄養素でもあり、「若返りのビタミン」と呼ばれています。
マカを服用して得られる効果は性欲向上と疲労回復効果、更年期症状の緩和、そして肥満の改善です。このうち、性欲向上と更年期症状の緩和については臨床試験でもその効果が認められています。
それぞれを詳しくご紹介します。
前述のとおり、マカには性欲向上の効果があります。海外の臨床試験によれば、21~56歳の男性にマカを投与したところ、性欲の改善が見られたと報告しています。また、精液量や精子数、運動性精子数が増加し、勃起機能の改善がみられたそうです。さらに、これだけの効果がありながら、性ホルモンや性機能には直接的な影響を及ぼさなかったとされており、性ホルモンや性機能に影響を与えずに、性欲を向上させることができるのです。
ただし、これらの効果が出るにはある程度継続して服用する必要があるようです。勃起機能の改善効果が期待できるまでには、6週間〜12週間程度かかると考えられています。また、精子量の増加が期待できるまでには4ヶ月程度必要と考えられています。
参考元:National Library of Medicine「Effect of Lepidium meyenii (MACA) on sexual desire and its absent relationship with serum testosterone levels in adult healthy men」
マカに含まれるビタミンやアミノ酸が筋肉の疲労回復を促し、疲労感を軽減する効果があると考えられています。
マカの種類によっては、身体的疲労だけでなく精神的な疲労回復効果が期待できる成分を含むものもあります。
マカの主要な成分であるベンジルグルコシノレートには、肥満の改善効果が期待されています。肥満はテストステロンの低下や勃起機能の悪化を招くことも分かっているため、マカを服用することで肥満が改善し、同時に性欲が改善する相乗効果が期待できます。
ここからは、マカのサプリメントの種類について解説します。
マカのサプリメントとして最も流通しているのが、この錠剤タイプです。粉末にして海外から届けられたマカは、多くの場合日本の工場で固めて錠剤にして販売されます。
海外の工場で作られたものよりも日本の工場で作られたものを選ぶ方が、安全性が高いといえるでしょう。
マカの粉末に加えて、マカの生エキスが含まれているものがあることが多いです。ただし、生エキスだからといって、特に効果が強まるということはないようです。また、生エキスを濃縮しているタイプのカプセルも販売されていますが、濃縮されていない生エキスや、粉末状のマカとどのような違いがあるかについては不明な点もあります。
いずれにせよカプセルタイプは、錠剤と同様にマカ以外にもさまざまな成分が入っており、それらの相乗効果によって求めている効果が期待できます。
粉末タイプの特徴は、100%マカのエキスしか入っていないという点です。錠剤やカプセルの場合は、マカ以外にもさまざまな成分を封入し、多くの成分の相乗効果によって、目的としている効果を出そうとします。
しかし、粉末タイプは100%マカのエキスしか入っていないため、マカの効能だけを得たいという方におすすめです。粉タイプなので、ドリンクに溶かしたり料理に入れたりすることもできることから、使い勝手が良い点も魅力です。
栄養ドリンクなどに、マカのエキスを添加したものです。マカのほかにもさまざまな栄養成分が配合されており、甘く飲みやすい製品が多いのが特徴です。飲みやすいことで過剰摂取につながりやすいため、ドリンクでマカを摂取する際には、製品に記載されている摂取目安量に従って飲用するようにしてください。
ここからは、マカの正しい服用方法を解説します。
マカの1日の推奨摂取量は1.5~5gです。これ以上摂取したからといって、効果が高まることはありません。
また、前述の臨床試験では、マカの摂取量は1.5gもしくは3gで効果が出たことが確認されています。大量に服用することよりも、継続して服用することが大切といえるでしょう。
参考元:National Library of Medicine「Effect of Lepidium meyenii (MACA) on sexual desire and its absent relationship with serum testosterone levels in adult healthy men」
マカは、服用すべき時間が明確には決まっているわけではありません。しかし、空腹であった方が吸収率が良いとされています。1日1回のものであれば朝、もしくは就寝前、1日2回の服用であれば朝食後と夕食後が望ましいとされています。
マカはサプリメントであるため、基本的に大きな副作用はありません。しかし、過剰に服用してしまうと頭痛や不眠、下痢が出現することがあります。
過剰に摂取せずに、安全性を担保しながら継続的に服用すると良いでしょう。
マカの服用を注意すべきな人は、肝臓や腎臓に疾患がある人、甲状腺に疾患がある人、アレルギーのある人です。
肝臓や腎臓に疾患がある場合、上述の頭痛や下痢などの副作用が起こりやすくなるとされています。肝臓や腎臓に疾患がある場合にはマカを服用する前にかかりつけ医へ相談しましょう。
また、マカにはゴイドロゲンが含まれており、これは甲状腺の機能を妨げる作用があるとされています。そのため、甲状腺に疾患がある場合は、マカを服用することで体調に変化をきたす可能性があります。甲状腺に関する疾患がある人がマカを服用する際には、必ずかかりつけ医へ確認しておきましょう。
さらに、マカは、ブロッコリーやキャベツと同じアブラナ科の植物であるため、これらの野菜にアレルギーを持っているとアレルギー症状が出るリスクがあるため注意が必要です。
前述した通り、マカが薄毛を引き起こすことはありません。マカを服用していて、薄毛が気になるという場合には、AGAを発症している可能性があります。AGAは自然治癒は難しく、専門医による治療が必要となります。
最近抜け毛が増えてきたという場合や、頭頂部、前頭部の薄毛が気になるという場合には、一度専門医へ受診をするのがおすすめです。
近年、AGA治療はオンラインでの治療も可能です。仕事が忙しく、なかなかクリニックを受診できないという方は、オンライン診療の活用もおすすめです。
AGA治療詳しく知りたい方は、「AGA治療は効果がないと言われる6つの理由」も参考にしてみてください。
主に性欲向上、疲労回復、肥満の解消を目的として飲まれる方が多いマカのサプリは、副作用で抜け毛が増えるということはありません。むしろ、ベンジルグルコシノレートや亜鉛、アルギニンなど、薄毛や抜け毛の対策に使われる成分が多く含まれており、薄毛や抜け毛の予防に効果があるでしょう。実際に、薄毛や抜け毛に対する効果は研究でも証明されているため、薄毛や抜け毛のケアをしたいという方におすすめのサプリであるといえます。
しかし正しい服用方法を守らなければ、体調を崩すなど不利益を被る可能性もあります。マカで薄毛や抜け毛の改善を目指すならば正しい用法・用量の服用をしましょう。マカのサプリメントにはさまざまな種類があるため、自分の好みに合ったサプリメントを選ぶことが求められます。
もしも、マカを服用していて薄毛や抜け毛が増えてきたという場合には、マカの副作用ではなく、AGAの可能性もあります。薄毛や抜け毛が、マカの服用前よりも一層気になるようになってきたという方は一度、専門医へ相談することをおすすめします。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)